イヴァリースと呼ばれる世界を舞台に繰り広げられる壮大な物語……「ファイナルファンタジー」シリ─ズの12番目のナンバリング作品として、2006年にPlayStation®2で発売された『ファイナルファンタジーXII(以下、FFXII)』が、現在の最新技術を取り入れ、装いも新たに生まれ変わります。
『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ(以下、FFXII TZA)』は、オリジナルとなる『FFXII』からグラフィックを大幅強化&システム面にもさまざまな改良や調整を加えて、現代にマッチした”姿”へと昇華されたタイトルとなります。
約10年の歳月を経て、ハードウェアをPS2®からPlayStation®4へと移した『FFXII』はどこが見どころなのか? ついに発売を迎えた『FFXII TZA』の秘められた魅力について、開発の中核メンバーとなる3人のクリエイターにインタビュー! 開発秘話や、それぞれの想いなどをうかがっていきます。
『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』プロデューサー:加藤弘彰氏(写真左)
『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』ディレクター:片野尚志氏(写真右)
『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』コンポーザー:崎元 仁氏(ベイシスケイプ)(写真中央)
──『FFXII』をPS4®で改めてリリースすることになった経緯を教えてください。
加藤弘彰氏(以下、敬称略):オリジナルが発売されてから、何度か再立ち上げしようという話は上がっていました。どうせなら”オリジナルのメンバーでさらに作り込みたい”ということになり、現在はフリーランスで活動している方なども集まってもらえる”このタイミング”になりました。
──反響はいかがですか?
加藤:日本だけでなく、海外の方からの反響も多くありました。これまでにも”リメイクが出る”などというウワサが都度都度出ていたりもしたので、そういったものもいい盛り上げ材料になっていたのではないでしょうか。
──日本ではインターナショナル版もリリースされましたが、海外ではオリジナルのローカライズ版のみが発売されていたわけですよね。
加藤:海外では、オリジナルの英語吹き替えに加え、16:9モード、カットシーンの追加がされたものが発売されました。ゾディアックジョブシステムや倍速モードなどの、インターナショナル版にあった新規システム群に触れるのは、海外の方は初となりますね。
──PS4®版を制作するにあたり、苦労した点はどこでしょうか?
片野尚志氏(以下、敬称略):オリジナルを作っていたメンバーが概ねそろっていたので、ハードウェアの変更に対しての根本的なところで、新しい問題が生じ苦労するようなことはあまりなかったのですが、気を配った点ならあります。一番時間をかけて話し合ったのは”遊びやすさ”についてですね。自分たちでもう一度プレイをして、遊びにくいと感じたところに手を加えました。たとえばロード時間を短くしたり、オートセーブ機能を入れたり。今の時代にマッチしたものにしたかったので、すぐに遊べることと、リトライしてもらいやすさを大切にしました。
──映像は非常にキレイになっていますが、開発中のエピソードなどありますか?
片野:もとのデータをひも解いていくと、ポリゴンモデルはそのまま使うことができたのですが、テクスチャーの解像度は足りませんでした。ただ、テクスチャーを今の技術をそのまま取り入れてしまうと、写実的な表現になり、ジャッジの鎧がピカピカになりすぎてしまうなどの違和感が生まれてしまいました。もともとある吉田明彦さんのキャラクターのイメージを壊さずに、どう調整をするかのバランスは難しかったといえますね。
加藤:PS2®のときから落とし込まれてはいたのですが、そのときには気がつけなかったキャラクターの繊細な表情や、衣装の装飾などのこだわりが、しっかりと見てとれるようになっています。オリジナルにあった動きなどはあまりいじらず、材質の情報を加えることで高品質化を狙いました。オリジナルをプレイした方の当時の思い出補正のかかった映像よりいいものを、そして印象がかわらないように注意しています。
──プレイ体験の向上として「バトルのテンポと迫力を向上」とうたわれていますが、具体的にはどういったものなのでしょうか?
片野:PS2®のときはハードウェアの性能上、大きいエフェクトは順番待ち(処理落ちを防ぐため、同時に行なえるアクションの数を制限して実行していた)が発生していました。PS4®版ではそれを解消し、たくさんのエフェクトが同時に発生するド派手なバトルを楽しむことができます。それに伴って、順番待ちを使った攻略などは使えなくなっていますね。
──7月19日(水)に発売するオリジナルサウンドトラックでは、100曲もの曲が収録され、そのほとんどが新録だと確認できます。実際にはオリジナルの楽曲から、どの程度の数に手を加えているのでしょうか?
崎元仁氏(以下、敬称略):ほぼ新録しています。ここまで新録となるのは、かなりめずらしいと思います。初めはサウンドトラックの音源を使うという案もあったのですが、当時できなかったことをやるべきだと思い、生演奏での新録を行ないました。オリジナル制作当時も、ちゃんとしたオーケストラ楽曲を作ろうとしていましたが、スペックの限界などもあり、聞きやすさを優先して、オーケストラにはできない表現を組み込んだりしていました。また今回、当時はボイスなどに被ってしまい、あまりBGMが聞こえない部分があったので、それを解消するといったことも行なっています。
加藤:最初に新録すると聞いたときは、予算などをどう捻出しようかと考えたりもしました(笑)。ただ、以前生音を収録したときの経験上、すぐにやるべきだとは思いました。できたものを聞いて、新録は大正解だったと、あらためて感じています。
崎元:シンセサイザーなどの機材で表現するのは好きではありますが、人が感情を込めて演奏したものも当然いい。ちなみに新録するにあたり、もとの楽曲を掘り返したのですが、当時は技術的に表現が難しく、聞こえないであろう部分まで、しっかりと作られていたんです。当時、こんなに熱量を持って作っていたんだと再認識させられ、物量が非常に多かったですが、がんばって新録しようという気持ちを持つことができました。とはいえ、当時の資料も整理されていなかったので、もとの音源を発掘するだけでかなりの時間を費やしてしまいましたが……(笑)。
──100曲もの新録のなかで、これはとくに聞いてみてほしいといった楽曲はありますか?
崎元:全部ですね(笑)。プレイして聞いてみるとわかるんですが、音に幅があり、ダイナミックさが出ています。オリジナルのBGMも選択できるのですが、オリジナルのほうも再生環境が向上したこともあり、質が上がっています。シーンにあわせてアレンジした曲もあるので、オリジナルと新録を切り替え、聴き比べてみてもおもしろいかもしれません。
──ボイスの新録はなかったのでしょうか?
加藤:当時の演技を大事にしたかったこともあり、ボイスはオリジナルのままです。ただ、高音質化によってセリフがクリアに聞こえるようにはなっていると思います。そしてわずかですが一部追加シーンもあり、そちらでは新たにボイスを収録させてもらっています。
──これまでにアナウンスされているところ以外、手を加えているところなどがあれば教えてください。
片野:ストーリーで、次はどこへいけばいいのかというメッセージを増やしたり、ヒントの言い回しがわかりにくかったところをわかりやすくしたり、現在のゲームのプレイの感覚としてわかりにくいなと感じたところなどはフォローするようにしました。モブハントについても一部を除き、出現位置を地図に表示するようにしています。やり込み要素として、特定の条件を達成しないと出会えない一部のボスなども、あえて当時のままにしてあったりもします。
──今回キャラごとにジョブを2つ選べることになりましたが、オススメのキャラとジョブの組み合わせなどはありますか?
加藤:どの組み合わせにしてもクリアできるバランスにしていますで、そこはみなさんの好みで、自由にチョイスしてもらえればと思います。
──PS4®で新たに生まれ変わる『FFXII』ですが、あらためて本作の魅力を教えてください。
加藤:世界の広さと、イヴァリースの大地を自由に冒険できるところです。
崎元:オリジナルの当時、オープンワールドになることを望んでいるユーザーは少なかったんじゃないかと思うんです。あらためて、いいとこどりをしていたなと思います。新しいことに挑戦していた作品でもあるので、あらためてプレイしてみてほしいです。
片野:フィールドを冒険する楽しみはもちろん、いろいろな仕掛けがあるのも魅力だと思っています。NPCの会話なども、それぞれの立場を踏まえたものになっていてストーリーをより楽しめると思います。キャラクターの育成やガンビットを使った工夫する楽しさも面白い部分。本編のプレイはもちろん、トライアルモードにもぜひチャレンジしてほしいですね。あとPlayStation®4 Proだと、さらに映像がキレイになるので、PS4®Proをお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
「FF」シリ─ズの12番目の物語がPS4®でどのような姿へと生まれ変わったのかを、ぜひとも自身の目でチェックしてみてほしい。
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FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE(ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:RPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 6,800円+税
ダウンロード版 販売価格 7,344円(税込)
デジタルプレミアムエディション 販売価格 11,448円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B (12才以上対象)
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