PlayStation®5/PlayStation®4ダウンロード専用タイトル『Hello Neighbor 2』は、連続行方不明事件が起こった町を舞台にしたステルスホラーゲーム。プレイヤーは事件を調査するジャーナリストとなり、町の住人たちの家に忍び込んで秘密を暴いていく。
住人たちの家には数々のパズルギミックが仕掛けられており、さりげなく散りばめられたヒントとプレイヤー自身の想像力を頼りにギミックを解いていく。住人たちに捕まらないよう、逃げたり身を隠したりしながら調査を進めるが、彼らはAI機能によってプレイヤーの行動パターンを学習して対応を強化。ワンパターンな攻略は通用せず、臨機応変な立ち回りが求められる。
こうした基本部分は前作『Hello Neighbor』を踏襲しているが、今作は探索範囲がオープンワールドで構成される「レイヴン・ブルックス」の町全体に拡大。前作で強烈なインパクトを残したミスター・ピーターソンをはじめ、パン屋や剥製師、市長といった手強いキャラクターそれぞれの家を調査していく。また、キャラクターのAIも、より高度な対応をするようパワーアップしている。
なお、今回のレビューでは、具体的な記述は序盤の内容に留めている。自力でギミックを解き、住人たち──とくにミスター・ピーターソンがひた隠しにしている秘密に迫るという楽しさを阻害しないためだが、少しの先入観も入れたくないという方は今すぐレイヴン・ブルックスの町に飛び込み調査を始めよう。
CHECK POINT ①
これはホラーか!? 人と社会の闇にジワリと触れる不安感
まず、ホラーゲームが苦手という方に伝えておきたい。本作はステルスホラーゲームとされているが、目を背けたくなるような残虐表現はないし、ゾンビやお化けに襲われることもない。ストレートな古典的ホラーとはまるで違うゲームだ。不意を突いて驚かせにくる演出はあるものの、それすらゲーム全体で見ればほんのわずかにすぎない。
では、どこにホラー要素があるのか。それは人の心の闇、社会の闇に触れてしまったときの何とも言えない不安感だ。舞台となるレイヴン・ブルックスはのどかな田舎町。歩いて回れるくらいの広さで、住人全員が顔見知りであっても不思議ではない小さな町だ。そんな場所で子どもが次々といなくなる連続行方不明事件が起こったというのに、なぜか緊迫した雰囲気が感じられない。事件現場と思われる家は警察が立ち入り禁止にしているが、彼らも真剣に解決しようとしているのか疑わしい。出会う人々はみんな、自分のことしか興味がないように見える。
住人たちがひた隠しにする秘密とは……?
ジャーナリストである主人公が真相に迫ろうと住人たちの家に忍び込むと、そこはパズルのようなギミックが満載のからくり屋敷だ。何重にも施錠された扉のカギは仕掛け付きの隠し金庫や隠し扉に仕舞われており、遊び心と呼ぶには度を過ぎた厳重さ。ビリビリに破いた写真や地図の断片が、切り裂いたクッションの中から見つかることもある。誰にだって知られたくない秘密のひとつやふたつはあるものだが、さすがにこれは異常だ。そして閉ざされた扉の奥を覗くと、薄暗い地下倉庫で子どもが過ごしていた痕跡や、怪しげな儀式でもしていたような場所を発見してしまう。
こんなことをしている人間と、隣人として何食わぬ顔をして接しているという恐ろしさ。そういえば、いつも明るく挨拶してくれるウチのご近所さんはどうなんだろう? 本当に信用していいのか……? そんなふうに考えて不安になってしまうことが本作のホラー要素だ。本当に恐ろしいのは、生きた人間だったりする。
また、本作のゲーム中にストーリーテリングにあたるものはなく、キャラクターのセリフもない。つまり、説明が全くないにも関わらず、舞台設定とプレイ中の感覚だけで妄想が膨らんでいく。ホラーともサスペンスとも違うように見えても、静かな恐怖を感じられることだろう。
CHECK POINT ②
パズルギミックは超難解! 観察力と想像力をフル稼働して解き明かせ!
本作の謎解きは、住人たちの家に仕掛けられたパズルギミックを解いていくことが基本。ゲームの冒頭では倉庫から脱出することがチュートリアルとなっており、扉を開けるために必要な歯車を3つ獲得し、色を合わせてセットすれば解ける。ものの数分で解除できる簡単なものだが、ギミックを見つける、ギミックのルールを理解する、キーアイテムを入手するために必要なツールを見つける、キーアイテムに到達するためにしゃがみやよじ登りといったアクションを駆使する──というゲームの基本が凝縮されている。
しかし、本編が始まると、最初のステージである事件現場の家からすでに超難解。まず、何をすればステージクリアとなるのかがわからない。ギミックらしきものを見つけても、それを解くルールがわからない。ギミックはいくつもあるので、手に入れたキーアイテムがどのギミックに対応するのかも不確かだ。
すべてが手探りの状態で始まるため、まずは怪しそうなところを注意深く観察し、想像力を働かせながら仮説を立てていく。動かせたり取れたりする、インタラクション可能な場所はカーソルアイコンが変化するので、これは大きな手掛かりだ。また、一見すると意味がなさそうなオブジェクトも、ギミックを解くルールを示唆するヒントになっている。
難しいギミックを解き明かす達成感!
ギミックとキーアイテムとヒントがそろっていくうちに仮説が確信へと変わり、ついにギミックの謎を解いたときは最高に気持ちいい! ドツボにハマって長時間進展がないこともあるが、ひとつの謎解きをきっかけに残りの謎が絞り込まれ、次々と突破できるようになるのも楽しい。暗号系などのギミックは、根気よく全通りの組み合わせを試したり、偶然解けてしまったりすることもあるが、自力での達成感を味わってからは、完全攻略しないと気が済まなくなるはずだ。
CHECK POINT ③
捕まったら強制退去! プレイヤーの行動を学習する住人たちを出し抜けるか!?
謎解きをさらに難しくしているのが、住人たちの存在だ。彼らは侵入してきた主人公を見つけると、鬼の形相で追ってきて捕まえようとする。捕まった場合は敷地外に放り出されてリトライ。謎解きに使われないまま所持していたキーアイテムは失われ、元の位置に戻される。
プレイヤーからすれば憎い相手となるのだが、住人たちが招かれざる侵入者を追い出そうとするのは当然。むしろ、ジャーナリズムだからと不法侵入を繰り返し、鍵のかかった扉や金庫を開けまくっている主人公のほうがサイコパスなのでは……?
住人たちには高度な学習AIが搭載されており、プレイヤーの行動パターンに対応して警戒を強めるようになっている。これは「Hello Neighbor」の大きな特徴であり、AIの性能は前作よりも強化されているうえに、それぞれの住人によって思考は異なるそうだ。
驚かされたのは剥製師の家。剥製師は当初、主人公を発見すると家の外までしつこく追ってきた。そこで、いったん逃げ出したあと、すぐさま別の入り口から侵入する方法をとっていたのだが、その再侵入経路を素早く潰しにきたことがあった。これがAIの計算した結果だとしたら、ちょっとすごい。
もっとも、住人たちが自分の行動パターンを読んで対応を変えてくるのなら、それを逆手に取ってやればいい。例えば、警戒されている正面玄関を避けて裏口から侵入するパターンが読まれたとして、今度は正面玄関付近を調べる時間が増えるはず。こうした住人たちとの裏のかき合いも本作の面白いところだ。
慎重なステルスと大胆なアクションを駆使して調査を進めよう!
探索中は住人に見つからないよう、慎重に行動しながらギミックの謎を解いていく。住人の足音が近づいてきたら、ハイドポイントとなるクローゼットの中に身を隠してやり過ごすなど、ステルステクニックを存分に駆使することができる。
ところが、住人に見つかって追い掛けられると、今度は大胆なアクションスキルが求められる。主人公はダッシュ以外にも、ジャンプやよじ登り、窓から飛び出すといったパルクール的な移動ができるため、追跡を振り切って逃げ出すことも可能だ。
本作ではギミックの謎を解く観察力や想像力だけでなく、かくれんぼ的なステルススキルも、おいかけっこ的なアクションスキルも重要だ。袋小路の場所では長居をしないとか、ショートカットを解放して逃走経路を増やしておくとか、住人たちを出し抜くには彼ら以上に建物の構造を熟知しておかなければならないが、これは何度も失敗を繰り返しているうちに、否応なく覚えていくものだったりする。
なお、本作は『Hello Neighbor』の続編となるタイトルだが、パズルギミックの謎解きや住人たちとの駆け引きを楽しむうえでは前作を未プレイでも問題ない。もちろん、ミスター・ピーターソンとその家族にまつわる秘密は、シリーズを通して大きなテーマとなっているので、興味を持ったなら手を広げてみるといいだろう。
『Hello Neighbor 2』プレイ動画
Hello Neighbor 2
・発売元:TINYBUILD LLC
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー、ホラー、アクション
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 Standard Edition 5,478円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Deluxe Edition 8,140円(税込)
・プレイ人数:1人
・レーティング:IARC 12+(12才以上対象)
※IARC(the International Age Rating Coalition)は、世界のゲーム評価機関により管理される国際年齢評価連合です。
※ダウンロード専用タイトル
PS Blogの『Hello Neighbor 2』記事はこちら
『Hello Neighbor 2』公式サイトはこちら(海外サイト)
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