RPGにおいて、物語のほかにとくに重要なのが、バトルシステムと、キャラクターの育成システム。この2つによって、作品ごとの個性が決まってくるといえる。本作では、基本的なゲームの流れはベースとなった『クロノ・トリガー』を踏襲しながらも、バトルとカスタマイズに、独自のシステムを搭載。これが、ただ懐かしいだけではない本作ならではの新しさとゲーム性を生み出している。今回は、そんな2つのシステムについて詳しく紹介していこう。
加えて、インタビューでは、第2回に続き、Tokyo RPG Factory 『いけにえと雪のセツナ』プロデューサーの内堀建吾氏と、Tokyo RPG Factory 『いけえと雪のセツナ』ディレクターの橋本厚志氏の2人に、電撃ゲームメディア総編集長 江口 聡がお話をうかがう。
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前回までの特集記事はこちら
『いけにえと雪のセツナ』の魅力に迫る連載企画! スクウェア・エニックス社長の松田氏をはじめ、開発のキーマンへのインタビューも掲載【特集第1回/電撃PS】
『いけにえと雪のセツナ』の魅力に迫る連載企画! 旅の仲間たちの紹介に加え、ディレクター&プロデューサーへのインタビューも掲載【特集第2回/電撃PS】
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■ATB(アクティブ・タイム・バトル)をベースにしたバトルシステム
バトルシステムの基本は『クロノ・トリガー』と同じATBを採用。フィールド上で敵に接触すると、そのまま戦闘シーンへとシームレスに展開する点も同様だ。バトルが始まったら、時間とともにATBゲージがたまっていき、最大になったキャラクターは行動可能となって、「たたかう」などのコマンドを入力していくことになる。敵も同様で、こちらが何をしようか迷っている間にも時間は過ぎ、敵に攻撃されることもあるなど、本システムならではの緊張感を楽しむことができる。ほかのキャラクターのゲージも溜まっていれば、2人、または3人で協力して繰り出す連携技を使うことも可能となっている。
バトルに参加できるのは3人。設定変更により、コマンド選択中は時間が止まる「ウェイト」と、選んでいる最中も時間が過ぎる「アクティブ」を切り替えられる。
連携は、連携に参加する仲間全員のATBゲージがたまった状態で、対応する魔法や技を使えさえすれば発動可能。使用可能な状態なら、自動でコマンド一覧に表示される。強力なダメージを与えるだけでなく、回復や支援効果のある連携も多い。
……と、ここまでは、ATBのシステムを知っている人であればおなじみのはず。
本作ではそこに刹那システムと呼ばれる新システムを搭載。とにかくわかりやすさを重視したというこのシステムは、何らかの行動をする際、タイミングよくボタンを押すことで、さまざまな追加効果が発生するというものだ。ただし使うには、刹那ゲージを溜める必要がある。ゲージは仲間それぞれに存在し、何らかの行動をするか、ダメージを受けるか、ATBゲージがたまった状態で何もしないで待っていればじょじょに蓄積していく。一定量たまると、刹那ゲージ1回分のエネルギーを示す青丸がゲージの上に表示され、それを各キャラ計3回分までストックできるという仕組みだ。
この刹那システムは通常攻撃はもちろん、法石(後述)によるコマンドや、連携でも発生する。そしてその効果も、追加ダメージから状態異常付与、自分たちのHP回復など、とにかく多種多様に用意されている。ボタンを押すだけとシンプルな操作ながら、これ1つで戦局が変わる可能性もあるほど、戦略的にも重要な要素だ。
なお、ボタンのタイミングはそんなに難しくなく、攻撃モーションを見てからの目押しで十分間に合う。さすがに連打だと失敗することもあるが、すぐに慣れるレベルなので、アクションが苦手な人でも問題ない。
実際にプレイした印象では、これのおかげでザコを一掃できることもあり、かなりの爽快感を味わえた。また、強力なボス戦では、この刹那システムの追加効果の積み重ねが、最終的な勝因になってくる感じだった。強敵と戦う際は、ATBゲージがたまったらすぐに行動するか、それとも少し待って刹那システムを使うかの選択が常にあるので、戦略を組み立てて戦っているという感覚が強い。そのため、通常のATBよりもスリリングな戦いを味わうことができるはずだ。
■奥深いキャラカスタマイズを可能にする、法石&昇華システム
本作では、キャラクターの性能をカスタマイズする独自のシステムを搭載している。
まずキャラクターたちは、”法石”と呼ばれるアイテムを装備することで、さまざまな技や魔法を使えたり、状態異常付与などの特殊能力を得ることができる。これは法石を装備してこその効果なのだが、法石を”昇華”させて強化し、法石自体に強化効果を付与することも可能。本作はこの2段階のシステムで、かなり自由なキャラクターカスタマイズを実現しているのだ。
・キャラクターに能力を付与するもの――法石
法石とは、先述のとおり装備してキャラクターを強化するもの。特定キャラクター専用のコマンド法石と誰でも装備可能なサポート法石があり、コマンド法石を装備すれば戦闘で特定の技や魔法が使える。例えば主人公用の”回転斬り”の法石なら、装備することで”回転斬り”が使用可能になる仕組みだ。一方、サポート法石は特殊能力を得るもので、装備するだけでさまざまな効果を得られる。各キャラクターは、これらを自由な組み合わせで装備していくわけだが、装備できる数はレベルに応じて増えるので、高レベルになるほど幅広い戦術を構築することが可能だ。
・法石そのものを強化するシステム――昇華
昇華システムとは、法器という、いわゆるアクセサリー的な装備品を介して、法石そのものに多彩な特殊効果を付与するシステムのこと。やり方は、法器を装備したうえで、強化したい法石のコマンド(またはそれが絡む連携)で刹那システムを発動するだけでいい。これで、戦闘終了後に一定確率で、法器に備わった昇華効果が付与される。
効果の内容は、連携威力のアップ、消費MPの低下、行動後ATBゲージアップなど多種多様。さらに1つの法石に計10種の効果(重複可能)を付けることができるため、同じ効果を複数つけて一極化するか、いろんな効果を付けてマルチ化するか……といった形で、プレイヤー個人の好みに応じた幅の広いカスタマイズが可能なのだ。
法器にはかなりの種類があり、それぞれで昇華効果も異なっている。また、複数の昇華効果を持つ法器も多く、この場合、何が昇華されるかはランダムで決まることになる。
実際にプレイしたところ、全体的にランダム要素が多いのでなかなか思うようにいかないが、そのぶん、狙った効果を蓄積させたときの”作り上げた”感覚が強かった。苦労したぶん、達成感もひとしおというものだ。
なお、法器は、追加で法石を装備できるスロットがついている場合が多く、なかには法器そのものに昇華確率アップなどの特殊効果が付いている場合もある。どれだけの追加法器が付けられ、どんな昇華を持つかは、装備画面で確認可能だ。ちなみに冒険の序盤は各人が装備可能な法石の総数が少ないため、昇華の効果より、装備できる追加法石の数で何を装備するか決めるほうがよさそうだ。
法器には0~4個の追加スロットが付属。なお、法石装備画面では、キャラクターが装備できるスロット枠と法器による追加装備枠とで上下2ブロックにわかれている。法器を変えると、追加部分の法石は自動で外れるので、法器を変えたら法石も装備しなおす、という基本を忘れないようにしよう。スロットの種類はA、C、Sの3種類があり、Cはコマンド法石専用、Sはサポート法石専用、Aは全法石を付けることが可能だ。
法石は、魔導商会と呼ばれるショップで交換が可能。素材をショップに保管してもらい、法石ごとに異なる特定の組み合わせの素材がそろったら、ストックしてある素材と引き換えに法石を得られる仕組みだ。素材をショップに保管してもらう際は”売る”形となるため、素材に応じたお金ももらえる。
法器は、ブッキー&ホッキーと呼ばれるショップで販売。ここではお店の名前のとおり、武器も一緒に売っている。
■本作オリジナルのシステムはまだまだある!
本作には防具の概念はなく、武器の装備だけで、攻撃力と防御力が変化する。武器は基本的に次の町にいくと強力なものが売っているという、昔ながらの買い替えスタイル。ただし、本作ではそこに、素材を使って武器を強化するシステムを搭載している。これは素材を武器に使うことで、性能が一定量アップするというものだ。
また、本作ではフィールド上でさまざまな食材を拾うことが可能で、特定の食材を持っていると特定の村人に話しかけた際に、料理と、その料理のレシピをもらえる。そのレシピを持ってショップにいけば、以降、お金と引き換えに料理の購入が可能となる仕組みだ。料理の効果は、取得経験値アップ、敵からの素材ドロップ率アップのほか、クリティカル発生率アップなどなど数多い。
ちなみに、これらを活用しなくてもゲーム自体は問題なく進めることができるが、実際にプレイした感覚では、ゲーム展開のちょっとしたスパイスとして楽しむことができた。とくに料理については、それなりに注意して食材を集めないと、なかなかレシピが集まらない。冒険の合間に、ちょっと寄り道して食材探しをしてみるのも、やり込みの1つと言えるだろう。
気に入った武器を使い込みたいならこれで強化可能。
町、ダンジョン、フィールド、食材はどこにでも存在する。きらっと光った場所を調べることで、入手が可能だ。
■快適なプレイアビリティと、豊富な図鑑機能にも注目!
90年代の雰囲気を持つ本作だが、最新技術を使った作品だけあってとても遊びやすい。また、とにかく豊富な図鑑機能の存在も特徴だ。モンスターやアイテムはもちろん、武器、法石、宝石など、あらゆるもののデータベースが、プレイを進めていくうちに完成していくようになっている。人物や世界観の補足、システムの解説まで、懇切丁寧に説明されているので、一通り目を通しておくといいだろう。図鑑を埋めるのが楽しいコレクター性の人にとっては、存分に堪能できる内容といえる。
■RPG初心者に、覚えておいてほしいこと
ここでは主に本作ならではの大きなシステムを紹介してきたが、細かい部分では、90年代RPGを踏襲していることも多く、昔からRPGをプレイしてきた人以外にはちょっとわかりにくい部分もある。例えば、本作には宿屋がなく、HP回復にはアイテムや魔法を使うことになる。まとめて回復したいときは、フィールド上で「テント」を使えばOKだ。ほかにも、フィールドでは常にセーブができる、セーブポイントに触れてもHPは回復しない、といったことも覚えておきたい。細かいことだが、これを知らないと、万全な状態でないのにボス戦に突入してしまうことも多い。かくいう筆者も、最近のRPGに慣れ過ぎてか、回復やセーブを忘れてそのままボス戦に入ってしまうことも多々あった。
次回、最終回となる連載第4回では、そういった失敗も含めて、冒険の序盤を、物語の流れに沿ってリプレイ風にレポートしていく予定だ。
■『いけにえと雪のセツナ』インタビュ―
─―電撃ゲームメディア総編集長の江口 聡が、本作のディレクター&プロデューサーにゲームシステムについて尋ねる
ここからは、連載インタビュー第3回を掲載。新たに追加されたシステムに関して、内堀建吾プロデューサーと橋本厚志ディレクターに直接解説していただいた。懐かしさと新しさのバランスに苦心したなど、気になる裏話をうかがうことができた。
内堀建吾氏(Tokyo RPG Factory 『いけにえと雪のセツナ』プロデューサー)
橋本厚志氏(Tokyo RPG Factory 『いけにえと雪のセツナ』ディレクター)
江口 聡 電撃ゲームメディア総編集長
◆新たに2つのシステムを搭載したバトルシステム
電撃ゲームメディア総編集長 江口 聡(以下、江口):ATBということでバトルも「そうそう、これだよね」っていう王道的な部分を強く感じるのですが、そこに加える新しい部分はどのようなものなのですか?
Tokyo RPG Factory 『いけにえと雪のセツナ』ディレクター 橋本厚志氏(以下、敬称略):大きく2つの新しい要素がありまして、1つは「これはベースとなるゲームとは違うゲームだ」とハッキリわかるように用意しました。これが刹那システムで、とにかくわかりやすさを重視した内容になっています。加えて、もっとやり込みたいというユーザーさんのために、ちょっと複雑なシステムを用意しています。法石というアイテムを装備すると魔法や連携が使えるんですけど、その法石をカスタマイズするシステムです。システムを理解さえしてしまえば、奥深いやり込みができるようにしてあり、バランスをとっています。
Tokyo RPG Factory 『いけにえと雪のセツナ』プロデューサー 内堀建吾氏(以下、敬称略):そこを理解して遊ぶと、ずっと遊んでいられるようなゲームになっています。旧スクウェアのRPGって、安心感もありますけど、毎回新たなチャレンジもしていたじゃないですか。そういう感じで、「ああ、今回はこんなシステムもあるんだ」って、楽しんでもらえれば嬉しいですね。
橋本:反面、元々のコンセプトの1つに、15~20時間くらいで濃密な体験をしてもらいたいというのがあるので、ストーリー自体はそれくらいで一区切りできるようにしています。なので、「時間があまりないよー」って人には、15~20時間くらいでちゃんと終るようにしているので、安心してください(笑)。
◆昔のゲームユーザーにあわせた手強さも!
江口:そうした、原体験にあるRPGの良さを出しつつ、今のゲームユーザーにあったゲーム作りをするというのは大変だったのではないですか?
橋本:そうですね、なのでやり込みの部分は、ある意味昔のユーザーさんに焦点を当てている部分もありますね。
内堀:昔のゲームって、ヒントなしで全NPCに話しかけてフラグ立てないといけないとかあったんですが、最近のゲームってマップ付きで教えてくれるのが普通じゃないですか。今回はその、ゲームの誘導のバランスをどこにおくかでとても苦労しました。「調べられる場所にマーカーを出すか、出さないか」みたいな超基本的な部分さえ、どうするかでずっと議論を繰り返していましたから。
橋本:そこはだいぶ議論しましたね。そういう話を序盤にするのはいいんですけど、開発末期になっても「やっぱりこうした方がいいんじゃないか」っていう話も出たりして(笑)。何度も何度も議論を繰り返して、本当にギリギリまでやってましたね。
江口:確かに、あまり不便だと今の若いプレイヤーには敬遠されるかもしれませんし、便利過ぎると昔やってた人には物足りないかもしれないですね。
橋本:もちろんNPCから情報収集みたいな部分もあるんですが、例えば正解をいってくれるNPCが1人しかいないのに、その人がめっちゃわかりにくい場所にいるとかはないように調整しています。ただ意地悪なだけなのは、今のユーザーさんも昔のユーザーさんも望んでないだろうと。
江口:私が一番印象に残っているのは『FFⅢ』なんですが、やはりRPGでの思い出って、強敵との戦いとか、苦労した部分の方が大きい気がします。
橋本:バトルに関しては、最初は敵を弱めにして、ストーリーに没頭できるようにしようという話もしてたんですけど、結果的にいうと、かなり手強いゲームになりましたね(笑)。そこも込みで、昔のRPGっぽい雰囲気になっているところもあるし、苦労して倒したからこそ、その嬉しさがお話とリンクしてるところもあって、結果的にこれでよかったと思います。ただ、一方で、今ではどこをおもしろいと感じるかがすごく多様化してしまっているので、いろんなニーズに引っかかればいいなと思って、いろいろと仕掛けはしています。
◆あえて削ぎ落とすことで切なさを表現した”音楽”
江口:以前タイトルにグッときたと話しましたが、個人的に音楽にもかなりきてるんです(笑)。それも「切なさ」の演出にもなっていると思うんですが、全編ピアノというのも含めて、その辺もやはりこだわりがあったのでしょうか?
内堀:やはり「切なさ」を表現するにはピアノがいいということで、最初はピアノオンリーでって話もあったくらいです(笑)。結局バトルの曲とかは、ほかの音をいれたりしているんですけど、そうした無茶な注文にサウンド担当がきっちり答えてくれて、それがゲームにバッチリハマったというのは大きかったですね。
江口:電撃オンラインで一度曲を聞けるようにしていたんですが、ユーザーさんの反応がかなりすごかったんです。
内堀:松田さんが「どこかに焦点をあて、どこかを切り捨てるような、尖ったゲームにしたい」とおっしゃってましたが、BGMでピアノオンリーはまさにそういうことの1つですね。なので、とにかくこだわりました。とてもいい曲になっているので、ぜひ聞いていただきたいと思ってます。
江口:昔のゲームは、容量がなくてしかたなく削って、それが逆に尖った個性になってたと思うんです。今では容量の心配がないから、このBGMのように、あえて削ぎ落とすことで差別化を計ったことってありますか?
橋本:容量的な制限はないですけど、それ以外で、削ぎ落とさざるをえなかった部分はありました。そこは察してください(笑)。狙って削ぎ落としたわけではないのですが、それこそ昔のゲームのように、落とさざるをえないという思いが工夫に繋がって、結果としていいまとまりになったと思います。
内堀:逆に、詰め込めるところには、過多になるくらい詰め込んでいるところもあります。そこは尖ったゲームを目指した本作らしい、独特の形になっているのではないかと個人的には思います。
◆一言で言い表す言葉は、「RPG」
江口:今回お話を聞いて、本作とは何かというイメージはよくわかったんです。ただそれをどう表すかが難しいんですよ。以前、簡単に「古き良きRPG」という言葉を使いましたが、むしろまったく違って、おもしろさの原体験を再現した最先端のゲームであると。ではそれをどう伝えるべきかというと、こうズバッと例える言葉がなかなか思いつかないなと。
内堀:すごい考えたんですが、結局それを「RPG」としましたね。最初は「J・RPG」といってたんだけど、これ「J」いらないなと(笑)。
橋本:最初の企画書には「プレミアムJ・RPG」とあったんですが、それはそれで伝わりにくいなと。僕にとってRPGはおもちゃ箱みたいなもので、いろいろごちゃごちゃ入ってて、それをあれでもないこれでもないと遊べるものだと思っているので、そういう意味でも、やはり「RPG」でいいのかなって思います。
江口:細かく細分化して語ることではないのかもしれないですね。もうRPG最高!でいいかみたいな(笑)。
橋本:ある意味、ユーザーさんが完成させるRPGでもあるかなと思います。言葉使いへのこだわりもそうですが、あえてすべてを語らず、セリフの行間を想像してもらいたいなと。昔はそれが容量的にできなくてユーザーさんに補完してもらってたんですが、今は意図的にやってる面もあります。それぞれで想像してもらうから醸し出せる「切なさ」も、絶対にあると思うので。
江口:RPGってそうですよね。脳内で補完していくのも楽しみの1つでした。
内堀:友だちとどこまでやったとか、あれはどうだとか話すのも楽しかったので、ある意味議論が起きてくれるといいなと思ってますね。
江口:それは松田社長もいっていた、賛否両論あってもいいという部分ですよね。
橋本:「俺はこの話どうかと思う」っていうのも意見だと思いますし、何もいわれないのが僕らとしては一番嫌なので、どこかに傷跡を遺したいと思いますね。
江口:最後にちょっと聞きにくいことなんですが、素朴な疑問として、どうして『2』ではなかったのでしょうか?
橋本:いろいろな理由があるんですけど、一番大きいのは僕らがベースの作品を作った人間ではないからです。あの頃のRPGを好きな人間が集まっているんですけど、当時みんなユーザーとして体験しているので、実際に作った人間は1人もいないんです。そこで名前を使うのは、作った方に失礼だし、僕らとしても、続編を作りたかったわけではないという思いがあったからだと、個人的には思います。
江口:ベースとしてイメージを踏襲しているけど、作っているのは最先端のRPGだから、あえてそうする必要はないということですよね。
橋本:そうですね、旧スクウェアのRPGが進化していったとき、『FFⅦ』で転機が訪れたと思うんです。そのときに、ハードが変わって、ポリゴンが主体になって、新しい手法が生まれるとともに、今までのゲーム作りの手法とか、文法みたいなものの一部が切り捨てられた気がするんです。
江口:確かにそれはあると思います。
橋本:ある意味、そのとき選ばなかった手法やゲーム作りの文法を、今の時代の技術でリファインしている感覚なのかなと思っています。だから多分、これが続編のプロジェクトだったら、僕らはここにはいないと思います。
株式会社スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏を交えたインタビューは【第4回】にも掲載。次回は、実際にプレイした体感をもとにして、本作の見どころに触れていく。
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いけにえと雪のセツナ
発売元:スクウェア・エニックス
プラットフォーム:PlayStation®4/PlayStation®Vita
ジャンル:RPG
発売日:2016年2月18日(木)予定
希望小売価格:
PS4®版 販売価格:4,800円+税
PS Vita版 販売価格:4,800円+税
CERO:B(12才以上対象)
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