『Detroit Become Human』は、HD世代のアドベンチャーゲームとして世界で高い評価を得た『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』『BEYOND: Two Souls』を送り出したフランスのゲーム開発会社Quantic Dream(クアンティック・ドリーム)がPlayStation®4に向けて開発中の最新タイトル。
“ネオ・ノワール・スリラー”と題された本作の気になるゲーム内容を明らかにするメディア向けセッションが、「E3 2016」の会場で開催された。
『Detroit Become Human』の舞台は、現在からわずか20年ほど未来のデトロイト。人工知能が高度に発展を遂げた結果、人と同様に知性を持ち、外見上もほぼ見分けがつかないアンドロイドたちが社会に溶け込むこの社会で、プレイヤーは複数のアンドロイドの視点からさまざまなエピソードを体験していくことになる。
現段階では、プレイヤーキャラクターとして女性形アンドロイドのカーラ(KARA)と、男性型のアンドロイドであるコナー(CONNER)の2人が発表済み。
昨年公開されたカーラが登場するイメージトレーラーと、今回のE3に合わせて発表されたコナーのプレイデモトレーラーの2種類の日本語吹替版映像が公開されているので、まずはそちらを見てから以下のセッションの模様を読んでもらいたい。
『Detroit Become Human』 Paris Games Week 2015 Trailer(カーラ篇/ 日本語吹替版)
『Detroit Become Human』 E3 2016 Trailer(コナー篇/ 日本語吹替版)
アンドロイドの暴走が問題化しつつある”起こりうる未来”の物語
セッションに登場したのは、本作でディレクター/ライターを務めるDavid Cage氏と、エグゼクティブ・プロデューサーのGuillaume de Fondaumière氏の2人。それぞれQuantic Dreamの中心メンバーであり、過去に発売された2作品にも深く関わってきた方々だ。
『Detroit Become Human』ディレクター/ライターのDavid Cage氏(写真右)と、エグゼクティブ・プロデューサーのGuillaume de Fondaumière氏(写真左)
本作の世界観についてDavid氏は、この世界のアンドロイドたちがメイドや教師、看護師、ウェイトレスなど一般的な仕事にも普及しているが、あくまでも道具として見られ、一部では人から仕事を奪う存在だと煙たがられていることや、人に害を与えたり、自殺を図ったりする”変異体(Deviant)”アンドロイドが増加し始めている状況も説明。
人とアンドロイドの軋轢を、起こりうる未来として描いた世界であることに言及していた。
【コナーでのプレイはアンドロイドならではの能力をフル活用!】
続いてはFondaumière氏が開発中のゲームを用いて、ゲームの進め方を説明するプレイデモパートに。プレイされたのは、変異体専門の捜査官であるコナーが人質救出に挑む前出のトレーラーと同じエピソードだ。
今回の事件は、とある家族の元でハウスキーパーを務めていたアンドロイドが突然その家族に牙をむき、ビルの高層階で娘を人質にしたまま抵抗を続けているというもの。事態は一刻を許さない状況だ。
現場に到着したコナーは、泣きわめく母親の話を受け流しながら事件現場へ。軽くリビングのような部屋を見渡すと、写真立てに入った家族の写真や、騒動の際に水槽から飛び出した観賞魚、殺された家人らしき男性、同じく殺害された警官の姿などが確認できる。
コナーの視点を調査モードへと切り替えると、室内全体が青いグリッドで表示され、調査可能なものがピックアップされる。このモードでは、写真を見ることで家族の名前が判明したり、魚を水槽に戻せたりと、詳しい調査やモノに対するリアクションを行なえる。
さらにそこから”Reconstruct Mode”と呼ばれるモードに入り、その場所に残る痕跡から、対象のモノの過去に何があったかを時間を遡って確認することも可能。この調査スキルは彼固有のもので、他のアンドロイドはまた別の能力を備えているそうだ。
ちなみに何か行動を行なった際、コナーの頭の横には”Probability of Success”という数値が表示される。これは目的達成の可能性を示した成功率のようなもので、重要な情報や、状況を有利に進められそうなものを得た場合は数値が上昇し、そうでない場合は低下する。
行動の目安としては非常にありがたいシステムだが、プレイヤーが選んだ行動や選択肢によってこの数値は大幅に変動するため油断はできなさそうだ。また、このエピソードのような緊急性の高い任務では、調査時間が長引きすぎても数値が下がるようだ。
簡単な調査を終えてベランダに出ると、そこには銃を手にしたまま多くの警官や特殊部隊員に包囲された犯人が。彼は激昂しながら、人質の娘を抱えてビルの縁に追い詰められている。
こうしたシーンでは、要所で相手にかける言葉や取るべき行動が△○×□の各ボタンに割り振られて表示され、プレイヤーの選択の内容に応じて状況が進む。最初のプレイでは、会話を進める度に犯人が興奮し、最後は人質もろともベランダから飛び降りてしまう結果になってしまった。
【事件の背後まで、しっかり調査することが事件解決の近道となる?】
基本的なシステムを説明しながら行なわれた1度目のプレイに続き、2度目のプレイがスタート。今度はベランダに出る前にきちんと室内を調査し、”Reconstruct Mode”も活用しながら交渉に必要な情報を得ながらのプレイとなった。
各部屋への細かな調査により、犯人のアンドロイドがダニエルという名であり、シングルマザーである女性とその娘と一緒に仲良く暮らしていたことや、殺害された男性が母親と最近知り合って恋人となり、近くダニエルの買い換え(つまり、ダニエルが”処理”されることを示す)を検討していたことなどが判明。
また、撃たれた警官を詳しく調べることで、コナーも銃を手に入れることができた。
調査の結果から予想すると、この事件は処理されることを察したダニエルが心理的に追い詰められて起こした、無理心中にも近い事件であることがわかる。
前述の通り、この世界のアンドロイドは人間から見るとあくまで道具であり、ダニエルのような運命をたどり、処理されるアンドロイドも少なくはないのだろう。しかしダニエルを、人格を備えた人間として見た場合、その境遇は本人にとってとても耐えうるものではなかったのだろう。
必要なことを調査したコナーは、いよいよベランダに出てダニエルと対峙。ダニエルと名前で呼び掛けたり、彼の要求する警察のヘリの後退を受け入れたりすることで、成功率を下げることなく交渉が行なわれ、その途中でダニエルが躊躇するタイミングが発生する。
ここでコナー側に、隠し持った銃でダニエルを撃つかどうかの選択が発生! Fondaumière氏は、ここでどうするかセッションに参加した人々に意見を聞き、彼を撃つという意見を選択。その結果、ダニエルはコナーの手で射殺され、女の子はなんとか生き延びるという結末を迎えた。
アンドロイドの視点から”人間らしさ”を問い、プレイヤーによって様々な体験を得るゲーム性
任務の失敗例と成功例、それぞれを見せて終了した『Detroit Become Human』のデモプレイ。今回提示された結末は2つだったが、プレイヤー自身の選択により、結末とそこまでの経過はさまざまに変化するそうだ。実際にトレーラー版では、特殊部隊の狙撃によってダニエルが破壊される光景も見ることができる。
加えて、本作にゲームオーバーはない。例えこの任務で人質救出が失敗したとしてもコナーの物語は先へと進んでいくし、他のプレイヤーキャラクターについてもそれは同様とのことだった。
デモプレイを見ていて印象的だったのは、調査を行なう”正常な”アンドロイドであるコナーが終始無表情であるのに対し、犯人のほうは焦りや怒りを全面に出し、非常に人間的な振る舞いを見せていたところだ。
この後、ダニエルと同様に”変異体(Deviant)”アンドロイドたちと接することで、コナーの心理にはなんらかの変化が訪れるのか。それとも、冷徹な捜査官として任務をこなすことになるのか。そして、ダニエルと同様に意思を宿していると思われるカーラとの接点はあるのか。
まだ明らかにされていない他のプレイヤーキャラクターの情報も含めて、今後の情報がさらに楽しみになるセッションだった。
『Detroit Become Human』のゲーム中で、プレイヤーはさまざまな意識と能力を持つアンドロイドたちの視点から”彼らの物語”を体験し、自分の選択が何を引き起こすのか、またその結末がどうなるのかを見守ることになる。
物語の中に選択は数多く用意され、得られる情報も膨大。プレイヤーの数だけ展開していく物語は、テクノロジーの進化が何を社会にどのような現象をもたらすのか、人間性とは何かといったことを考えさせる、奥深い寓話にもなりうるものだ。プレイヤーひとりひとりがプレイを通じて異なる経験を得、異なる印象を受けるゲーム体験を楽しめる作品として注目したい。
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『Detroit Become Human』
・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:未定
・発売日:未定
・価格:未定
・プレイ人数:未定
・CERO:審査予定
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『Detroit Become Human』公式サイトはこちら
©Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
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