【PSX 2017】対馬の現地取材でリークの危機が!? 『Ghost of Tsushima』パネルセッションレポート

PlayStation®4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima(ゴーストオブツシマ)』は、｢怪盗スライ・クーパー｣シリーズや｢inFAMOUS(インファマス)｣シリーズなど、数々の世界的ヒット作品を手掛けた開発会社Sucker Punch(サッカーパンチ)の最新作。中世の日本、対馬を舞台にしたオープンワールドのアクション・アドベンチャーゲームだ。

米国・アナハイムにて、ソニー・インタラクティブエンタテインメントアメリカ(SIEA)主催のコミュニティ・イベント｢PlayStation® Experience 2017｣が開催され、その初日である現地時間12月9日(土)に本作のパネルセッションが実施された。開発スタッフによるこだわりや制作秘話が語られた、セッションの模様をレポートしよう。
※以下、敬称略

オープンワールドの侍アクションゲームはスタジオの新たな挑戦

パネルセッションに登壇したのは、Sucker PunchのクリエイティブディレクターであるNate Fox、アートディレクターのJason Connell、アニメーションディレクターのBilly Harper、そしてソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のアソシエイトプロデューサーである片見龍平の4人だ。

まずは本作の説明として、侍を主人公にしており、1274年に蒙古軍が対馬に侵攻した戦い(元寇)が舞台。そこで生き残り、復讐し、ゴーストとしてのスキルを身につけていくゲームという設定が改めて説明された。

Sucker Punchには｢inFAMOUS｣という人気シリーズがあり、その新作が期待されていることも理解しているが、新しい刺激と成長のためにオープンワールドの侍アクションにチャレンジしたのだという。また、侍ゲームといえば戦国時代や江戸時代が舞台になることが多いが、映画やゲームで扱われることが少なく、見知った鎧とは異なる鎌倉時代をあえて選んだのも、新しい挑戦のため。もちろん、鎌倉時代に美しさを感じたうえでの選択であり、元寇というシチュエーションも魂を揺さぶられるものだったからに他ならないとのことだ。

ただし、ゲームを作る際は、歴史をただ忠実に再現しているのではない。実際に起こった出来事に敬意を払いつつも、そこからインスピレーションを受けた想像とアイデアによって制作していることが付け加えられた。

馬をモーションキャプチャー!? 思い出深い制作エピソードの数々を披露

そんな新たな挑戦はスタジオ全体に高いモチベーションを与え、開始から1～2カ月の開発スピードはかなり早かった。侍ゲームを愛する気持ちはスタッフも同じで、次々とアイデアが生まれていたからだという。

アイデアを実際に試した例として、馬のモーションキャプチャーを行なったというエピソードも披露された。2頭の馬を同時にキャプチャーするが、動物に負担をかけてはならない制約があるため、休ませながら作業を続けるべく用意した馬は4頭。マーカーの取り付けでもストレスを与えないように、自然由来の砂糖を使った接着剤を用いるなど、大変な準備となった。しかし、その甲斐あって馬の動きはリアルで迫力があり、トレーラーの突撃シーンを見てもスタッフの努力が実ったことがわかるだろう。

また、対馬の歴史を理解するための勉強にも多くの時間が費やされた。現代のシアトルが舞台の｢inFamous｣と異なり、日本の歴史を深く知っているスタッフは少ないからだ。対馬にも、2度にわたって取材に。元寇の当時そのままを取材することはできないが、竹林や岩々といった自然の原風景は残されている。侍の子孫に会い、祖先を祀る儀式にも招待されるなど、イマジネーションを膨らませるうえで貴重な体験ができたという。

ところが、その出会いが地元の新聞に載り、Sucker Punchが対馬を舞台にしたゲームを制作していることが報道されてしまう。記事にはBilly HarperとJAPAN Studioローカライズチームの石立大介の名刺までバッチリと掲載！

その時点で『Ghost of Tsushima』の開発は極秘裏に進められており、Harperは｢情報を漏らさないように、普段からスパイみたいにしていたのに、これがリークされたらクビだ｣と戦々恐々としていたそう。幸いにもこの情報が世界に伝わることはなく、今年10月の｢Paris Games Week 2017｣で無事に発表。こうしてファンに向かって紹介できることが、どれほどうれしいかを語っていた。