シリーズ初のPlayStation®4専用タイトル『龍が如く6 命の詩。』。”次世代の龍”として、あらゆる要素を極め尽くした本作に込めた想いを2人のクリエイターに語ってもらった。
発売から1週間が経ち、その圧倒的なクオリティとボリュームで、多くのファンが桐生一馬の最後の伝説を堪能中であろう『龍が如く6 命の詩。』。特集最終回では、本作の開発を取りまとめた横山昌義プロデューサーと阪本寛之ディレクターへのインタビューを実施。発売後だからこそ語ることができるさまざまな想い、そしてプレイ中の人に向けた攻略ヒントも答えていただいた。
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前回までの特集記事はこちら
PS4®ユーザーがこの冬、『龍が如く6』をプレイすべき理由【特集第1回/電撃PS】
「龍が如く」シリーズで描かれてきた、”堂島の龍”桐生一馬の伝説を振り返る!【特集第2回/電撃PS】
『龍が如く6 命の詩。 お試し版』で極上の遊びを体験せよ!【特集第3回/電撃PS】
『龍が如く6』の魅力を名越総合監督の言葉とプレイインプレッションで紐解く!【特集第4回/電撃PS】
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プロデューサー/脚本・演出
横山昌義氏
『龍が如く6 命の詩。』のチーフプロデューサーで、脚本・演出も手掛ける。各種イベントに積極的に登場し、ファンとの懸け橋として精力的に活動中。
ディレクター
阪本寛之氏
『龍が如く6 命の詩。』のディレクター。本作ではPlayStation®4専用タイトルの制作にあたり “ドラゴンエンジン”と呼ばれる『龍が如く6』用のエンジンをゼロから設計し直すなど、大きな仕事を担っている。
遊んでみてわかる計算された没入感!
――初のPlayStation®4専用タイトルということで、開発も長期間にわたったとうかがっていますが、無事に発売日を迎えた現在の心境はいかがですか?
阪本寛之氏(以下、敬称略):もちろん「ようやく終わった」という気持ちはありますが、本作ではかなりたくさんのことにチャレンジしていたので、率直に「うまく作り終えたな」という達成感があります。これまでシリーズを重ねるごとにため込んでいたアイデアも開花できたので、そういった意味でもいいきっかけのプロジェクトになったかなと思います。
横山昌義氏(以下、敬称略):発売日を迎えられてホッとした、という気持ちはもちろんあります。ですが、結局のところ”勝負”というのは、ここから先なんですよね。本作にはいいところがたくさんあって、どこが本当にいいと言われるか……その答えはユーザーがプレイしてから出るものだと思っています。なので、感慨深いという感情はまだ得られていないですね。ここから2~3カ月が本当の勝負かなと考えています。
阪本:『龍が如く6』専用のドラゴンエンジンの開発といった、これまでにない要素にチャレンジしたことで、今後はもっと多彩なゲームが作れるだろうなという手応えも得られました。
横山:他社さんのゲームも含めて、2016年10月~12月は日本国内の家庭用ゲーム市場の大きな分岐点になるのではないかなと感じています。僕らも満を持して『龍が如く6』を発売したわけですが、多くの大作が発売されることで現在のユーザーのニーズが見えてきます。今後どのようなスタイルが望まれていくのか、言ってしまえば家庭用ゲーム機の次の一手が決まる時期だと思っています。「龍が如く」シリーズに関しても、今作の評価が今後のゲーム制作において大きな影響を受けることは間違いありません。もちろん、今後も望まれたものだけを作るわけではないですが、ゲームという体験そのものを再度深く考えないといけないタイミングにきているんでしょうね。
――PS4®の今後の展開を測る1作になるとのことですが、本作で初めて「龍が如く」シリーズに触れるというユーザーもいると思います。そういった人に一番アピールしたいポイントはどこでしょうか?
横山:これまでのゲームといえばイベントシーンのCGは超キレイで、ゲームシーンは普通のグラフィックという形が多かったです。PlayStation®3時代の「龍が如く」もそうでしたよね。ですが、今作では一歩上の段階まできました。家庭用ゲームには「次の感動体験」が求められていると思うんですよね。その1つの答えとして僕らが作ったのが、ドラマシーンとゲームシーンといったすべての部分で垣根をなくすという形でした。「龍が如く」では、CGをどこまでリアルに作り込めるかをチャレンジしてきましたが、それはゲームという分野だけでなく、映画やアニメというジャンルでも試行錯誤されてきた部分だとは思います。ですが、ここからはCGの精度を追うのではなく、ゲームとしてどれだけ上手にCGを使えるかが勝負になってくるのではないかと考えています。
『龍が如く6』では、イベントシーンのクオリティを高めることで、通常シーンとの差が広がっていくことを「よし」とせず、その垣根をいかに縮められるかを目指しました。「PS4®にすれば、これぐらいのクオリティのイベントシーンを作れる」ということはあらかじめわかっていたので、そこに向かってゲーム全体を底上げしていってプレイ時間に対する没入感を高めるために、基礎的な部分のクオリティを上げてきたんですね。ロードといったゲーム的な制約を極限まで取り除くことで、ユーザーが体験として「龍が如く」の街で生きることができないかと考えたんです。
阪本:没入感でいうならば、ほかのゲームとは比較にならないぐらいのめり込める設計にできたという自信がありますね。「龍が如く」シリーズは物語を追うことがおもしろいのが魅力の1つだと思いますので、プレイヤーが主人公(桐生)として、神室町や尾道仁涯町で世界観に浸れるものにはできました。そこを1番楽しんでいただけたなら、がんばったかいがあったと思えますね。
――実際にプレイしてみるとストーリーの没入感がものすごく、これまでのシリーズよりもゲームへののめり込みやすさは高まっていると感じました。
横山:実際に僕が触ってみての感想ですが、没入感の切れるタイミングが章ごとの区切れしかないですよね。展開を知っている僕ですらそうですから、ユーザーのみなさんが遊んだときは今までに体感したことがない没入感を得られると思いますよ。
――サブストーリーの寄り道がもったいないぐらい、メインストーリーの先が気になる展開で、一気にラストまで駆け抜けてしまいました。
横山:じつは「サブストーリーは必要なのか?」というのも、考えなければいけないのかもしれません。今まではメッセージウィンドウを出す形だったので、「ここからサブストーリーですよ」とわかりやすかったんです。ですが、本作ではメインストーリーと同じ形で音声もあり、メッセージウィンドウもないまま、サラッとサブストーリーが始まるんですよ。とあるサブストーリーでは、メインストーリーにも絡む組織の名前がでてくるので、「知らない間に新しいメインストーリーが追加された!?」と、思わず勘違いしてしまうほどでした(笑)。これは僕的にもとても楽しい体験だったのですが、「今後もこの形で設計していくのか?」と考えさせられた体験でもありましたね。
――たしかにその感覚はわかります。メインストーリー、サブストーリー含めて日本の現代劇にここまでどっぷり浸かれるゲームはほかにはありませんね。
横山:2016年という現在の日本を描いたすべてのエンターテインメントのなかで、この『龍が如く6』が一番おもしろいと自負しています。日本を楽しむことにおいて、これ以上おもしろいものはないですね。作り手側が言うのもアレですが、「遊ばない理由がない!」ですよ。そういった意味でも「ゲームはゲーム」と考えるだけではいけない時代になっているのかなと。
最近よく考えるのですが「2時間のエンターテインメント」を追うために、昔は映画館へ行くことが普通でした。ですが、そこに行けない人、行きたくない人のためにレンタルが登場しましたよね。自宅で映画を見るということは、お酒を飲みながら観る、映像を一時停止して観るといった自由度が出てきます。さらに、今では動画配信サービスなども浸透し、よりエンターテインメントを手に入れるまでの時間の省略化が進んでいます。これと同じように、ゲームを取り巻く状況も変わってきていると思うんです。
PS4®専用の遊びは、PS3®までの家庭用ゲーム機の遊びとはまったく違うものだと感じています。映画と違って1週間2週間やり込む人もいるでしょうし、人によっては1年間付き合うのかもしれない。もう1つの人生をゲームの中で味わう人もいるかもしれません。『龍が如く6』を自らプレイして、過去シリーズと感動体験の質が変わってきているなと、別の次元に一歩進んだのかなと実感しました。僕らも『龍が如く6』を作ったことで、”ゲーム”という概念を考え直さないといけない、と思い知らされましたね。それに、次はもっとスゴイものが求められますからね。そこが今の恐怖感です(笑)。
――ゲームを「ストーリー性のあるエンターテインメント」として捉えた場合の作り方としては、今回の『龍が如く6』は1つの究極型かもしれませんね。
横山:正直、お店のゲームコーナーに新しいジャンルの棚を作ってもらうぐらいの”違い”を感じてもらえるかと。わりと大真面目に、RPGやアクションと同じように”龍が如く”というジャンルができてもおかしくないと思っています。
――たしかにジャンルとしてもありですよね。他社さんのゲームでも「龍が如く」というジャンルならば「ああ、こういうゲームか」と想像できますし(笑)。
横山:これからは、1つのジャンルを作り上げるぐらいのクリエイティブをしていかないといけないんでしょうね。『龍が如く6』が新しいジャンルと言えるレベルに達していたこともあって、ゲームの説明も難しかったです。基本的に、今までの「龍が如く」と比較して『龍が如く6』の「ここがこう進化した」と要素別に紹介していくことになるわけですが、一概に「進化ポイント」を伝えられないんです。アドベンチャー、バトル、イベントシーンなどすべてを含めての連続性をトータルでお見せしないと真の進化を伝えられないんです。
――バトルが、システムが……というよりも「バトルとシステムが絡み合ってこうなった」ということですね。
横山:全体として遊びがこう変わったと言わないと、正しく伝わらないんですよ。とはいえ、毎回全部まとめて話すわけにもいかないので、進化ポイントを1つ1つ分けてお伝えしていますが、実際は体験としてすべて変わっているので悩ましいところでしたね。
――今回、データを引き継げるお試し版が配信されたのも、実際に触れてそこの部分をトータルで体験してほしいという意図があってのことなんですね。
横山:今年の1月に発売した『龍が如く 極』の特典として、バトルやアドベンチャーを切り出した先行体験版を出しているので、同じような形で出しても意味がないと。それならば1章の途中までをそのまま入れてセーブデータの引き継ぎできるようにしつつ、新しい感動に触れてもらったほうがいいと考えました。今のこの時代にPS4®をお持ちの方は、ゲームが大好きな人だと思うんです。だったら、「ゲームが好きな人なら絶対に楽しめるから、一度触ってみてもらえませんか?」くらいの気持ちで配信を決めました。好みの味でなかったらあきらめますので、そこはみなさんの手に委ねます……みたいな。あとは、お試し版で遊べる1章は『龍が如く5 夢、叶えし者』のエンディングから物語が始まります。『龍が如く5』のラストはある意味先が気になる形にしましたので、遊ばれた人がエンディングのその後を知る機会があってもいいと思ったんです。1章をお試し版として出したのは、『龍が如く5』を遊んでくれた方への感謝の気持ちでもあります。
――1章をほぼ丸々遊べるお試し版は、ほかの作品でもそうそうありませんね。
阪本:イベントシーンだけでも約60分はありますからね(笑)。イベントシーンも丸ごと入っているという形は、本当にめずらしいと思いますよ。
横山:“ゲームは実際に遊んで動かしてみてなんぼ”というのが、今までのゲーム業界の概念ですが、僕は「龍が如く」においてはそういうセオリーが通用しないと思っています。コントローラーで操作することは大事ですが、”感動体験”という点はそれだけではありませんから。だから編集したり短縮することなく、スタートから思いっきりイベントシーンをゴリゴリで構成しています。じつはこれ、入社したときから先輩に一番やってはダメなゲームの作り方だと言われていたことなんですよ(笑)。でも、僕らの作品の世界観を伝えるためには絶対に必要なことだと信じています。
メインもサブも盛り上がるストーリー!
――本作でついに桐生一馬の伝説が完結することになりましたが、彼のラストを描くという部分で一番意識したことはなんですか?
横山:じつは、最初の時点では桐生の最後を描くという意識はなかったんですよ。物語の前提として、遥の子どもの父親捜しを通じて、桐生一馬と澤村遥という人間の物語に決着をつけたかったんです。そのうえで「桐生一馬はこういう生き方をする人間なんだ」という答えを出すというのが、今回の目標でした。ですので、最初から桐生単独主人公の物語にしようとは考えていたんです。ゲーム的な取り組みとしても、主人公の人数に引きずられていく部分も多いので、ここは最初に決めました。そのうえでゲームを作り始めて1年経ったぐらいから、「あ、これが桐生一馬のラストになるな」というイメージができてきたので、「桐生一馬伝説、最終章」というキャッチコピーを付けることになりました。
――桐生の最後を描くと決まる前から、ハルトの登場は決まっていたんですね。
横山:ストレートに『龍が如く5』のあとの世界を考えたときに見えた光景が、ハルトの存在だったんです。恋愛、結婚、出産といった多くの人たちの人生で起こり得ることは、ゲーム内で歳を重ねて生きている桐生たちにも起こり得るハズです。それが物語としておもしろいかどうかは置いておいて、起こり得ることはちゃんと正しく起こってほしいというところから考えた話になります。そのうえでイメージできたことが「遥が子どもを産んで、その子どもが桐生のそばにいる」というものでした。それが本当に遥の子どもかどうかはわからないが、そこで桐生はどういう生き方をするだろうかと考えると、自然と『龍が如く6』のストーリーラインやキャラクター、舞台が頭に浮かんできました。
――9歳から遥を知っているファンからすると、ハルトの存在は相当な衝撃でしたが、みなさんの反応はいかがでしたか?
横山:じつは「桐生一馬伝説、最終章」のパンチが効きすぎたのか、「「龍が如く」は終わるんですか?」という反応のほうが大きかったんですね(笑)。むしろ、このキャッチコピーにしたときにファンではない人たちから「桐生一馬って誰?」と言われないかという心配があったのですが、ぜんぜんそんなことはなくて。僕の想像以上に、桐生一馬の知名度は高かったです。どちらかと言えば、そちらの衝撃度が高いことにビックリしました。
――発表会の衝撃でいえば、キャスト陣の豪華さもだと思います。実際にゲーム内の演技を見ていても、その存在感と演技に圧倒されっぱなしでした。
横山:やっぱり上手でしたね。収録していて、正直ビックリしちゃいました。
――とくに、南雲を演じる宮迫博之さんと、染谷を演じる小栗旬さんの演技は圧巻でした。
横山:宮迫さんも非常に上手ですし、小栗さんはカッコイイですよね!
――小栗さんはもともとシリーズファンというお話でしたし、桐生と掛け合いできることがうれしいんだろうな、というのが演技から伝わってきました。桐生と敵対する立場なのに、どことなく”桐生愛”を感じます。
横山:小栗さんは「龍が如く」という作品をよくわかってくれていると感じました。
――演技という部分でいうと、今回の収録のボイスは今までの比ではない分量がありますよね。
横山:収録は大変でしたね。
阪本:全編フルボイスですからね。システム的なメッセージを除けば、ボイスがないセリフは1つもないんです。桐生役の黒田崇矢さんが収録に来た回数も、これまでのシリーズ含めてダントツで多いです。
――ちなみに、メインストーリーとサブストーリーでガラリと雰囲気が変わるのも桐生の魅力ではありますが、こちらの収録は大変だったのでは?
横山:違う日に収録しましたね。メインストーリーを演じきったあとにサブストーリーの収録を始めるので、黒田さん的には桐生はチャラけたイメージで終わっているかもしれないです。たしか、最後の収録はカラオケでラップを歌って帰っていった気がします(笑)。
――今までのシリーズのサブストーリーもかなりハメをはずしたものが多かったですが、本作はメインストーリーとサブストーリーの区切りがないなかで、唐突にあのノリが展開するのでそのギャップがさらに楽しいです。
阪本:今回、サブストーリーは自由なタイミングで発生させられるように意図して作っているんですよ。
横山:僕が遊んでいたときは、尾道の秘密を追っている最中に落ち武者の霊に襲われましたからね。
阪本:あいつらが尾道のヒミツなんじゃないですか?(笑)
横山:タイミングによっては、ムナンチョヘペトナス教のサブストーリーも発生するし、それがヒミツなのかもと思ってしまうほど馴染んでいますね。
――またあの話が出てくるとは思わなかったので、ファンとしてはうれしかったです(笑)。
横山:担当者の愛などが入っていますので(笑)。
――それも含めて今回のサブストーリーは、尾道仁涯町や神室町にちなんだエピソードだけでなく、過去シリーズのネタを踏まえたものも多いですよね。
横山:そこは、ファンサービスの塊みたいなものですからね。
――サブストーリーのなかでも、1本のゲームとして確立している「クランクリエイター」ですが、このアイデアが生まれたきっかけはどのようなものでしたか?
阪本:最初は極道や不良の映画につきものである、”大人数の抗争”を体験するサイドコンテンツを作ろうというのが出発点でした。最初は、プレイヤー操作のキャラクターがいっぱいいて殴り合うみたいなものを想定していたのですが、本編のバトルと比べてもあまり印象が変わらなくて、違いが出せなかったんです。その後、100体vs100体といったド派手な殴り合いのゲームを作れないかなと、いろいろ試行錯誤しました。いわゆるリアルタイムストラテジー(RTS)の形式も試したのですが、操作が煩雑でそれに対応できるか否かで勝ち負けが決まるのは、「龍が如く」の客層には合わないだろうと。そこで、それをヒントにしつつ、シリーズのバトルコンセプトでもある「誰でもすんなり遊べて、いっぱい殴って倒して気持ちよく勝てる」という部分は守ることで、今のシステムに落ち着きました。
横山:本作のサブテーマに「絆や仲間」というのがあって、それに合わせて「仲間を増やしていくゲームシステムを作りたい」という要望を出しました。さらに、できれば、組みたいにデッキを作ってユーザー間で抗争をできるようにしたいとも伝えました。『龍が如く 維新!』のバトルダンジョン(カードになった新撰組隊士を率いてダンジョンに潜り、隊士が持つスキル駆使しながらクリアを目指す)が非常によくできたので、これを超える遊びを作りたかったんです。じつは、僕はRTSの操作は複雑で見るべき部分が多すぎるので苦手でして。もうちょっと手軽に遊べれば楽しいだろうなと思っていたので、クランクリエイターが今の形に落ち着いてきたのを見て「大雑把だけど戦略性がある、いい落とし所なんじゃないか」と感じました。
――手軽にサクサクと遊べるのにデッキの構成などこだわれる部分も多くて、かなりハマりますね。ポケサーファイターといったおなじみのキャラも仲間にできるのもうれしかったです。
横山:「桐生一馬伝説、最終章」というシリーズファン向けに強いメッセージを出しているにもかかわらず、物語では歴代シリーズのキャラクターがあまり出てこないんです。なので、クランクリエイターの遊び方が決まったときに、そこに何かしらの形で真島吾朗や堂島大吾といった歴代キャラクターを登場させたいと思ったんです。そういう意味で味方のメンツはサックリと決まったのですが、「じゃあ、誰を相手に戦うか」と考えたときにメインストーリーではそんなにたくさんのキャラクターは登場しないですし、広瀬の親分や染谷たちが相手というのも違うだろうと。そこで、クランクリエイター用に登場させるチームというか、ユニットを捜していたんです。いくつか候補をあげて営業をかけに行こうとしていたところに、ちょうど候補にあった新日本プロレスさんからお声がかかりまして。「明日行こうとしていたら向こうから電話がかかってきた!」的なジャストタイミングで、トントン拍子とかいうレベルじゃないぐらいあっという間に話が進んでいきました。どう考えても、新日本プロレスのレスラーたちが「龍が如く」の世界観に合わないわけがありませんよね? これまでもいろいろなコラボレーションをさせていただきましたが、その中でも最高峰に親和性の高いコラボレーションだと思います。そのせいか発表してもファンの方から「当然!」という感じに受け入れられて、むしろ「今まで出てなかったの?」というくらいの反応でした(笑)。
――完全に馴染んでいますよね(笑)。
横山:これまで登場してきた俳優陣のモデルは、顔を強面にしたりマッチョにしたりしてゲームに合わせていました。でも彼らはもうそのまま登場しても違和感がないんですよね。で、阪本はプロレスが大好きなので「あとは全部まかせた」と投げたら、あっという間にオリジナルストーリーが完成して。彼らの台詞回しも、プロレスが好きな方たちなら絶対に知っている鉄板ネタのオンパレードになっていて、「1+1で200だ。10倍だぞ10倍!」や「トランキーロ! あっせんなよ」もしっかり入っていますよ。しかも、それをご本人が演じているっていう豪華さで。好きな人たちが好きなネタをちゃんと入れて作っているので、おもしろくないわけがないんですよ(笑)。
阪本:ボス戦でも、専用の技を使いますよ。オカダ・カズチカさんの「レインメーカー」とか、実際のモーションでラリアットしてきますからね。
横山:あの6人の演技は、僕的にものすごくシビれるんだよね。変な話、プロレスのゲームと捉えても唯一無二のものになっているかも知れません。普通のリング上だったら、あの6人が顔をそろえることなんてありえませんし、同時に登場するということ自体が奇跡なんですよ。新日本プロレスのファンの方には絶対にプレイしてほしいです。
――しかも、倒せば味方になってくれるなんてかなり贅沢ですよね。
横山:僕は天山が大好きで、彼を味方にした後はバトル開始と同時に1人で出撃させて場を荒らしたあとに倒されて戻ってくる……という遊びをしています(笑)。
阪本:クランクリエイターの戦闘は、人によってけっこう攻め方変わりますよ。
――ユーザー間でどういう戦いが繰り広げられるか楽しみですね。
横山:たぶん、大吾や真島、冴島などの「龍が如く」キャラで固めてくる人もいるでしょうし、逆に新日本プロレスのみの方もいると思います。いろいろなパターンがあるでしょうね。
阪本:体力や攻撃力、防御力などもそれぞれ個性付けがされているので、育てた後でも組み合わせを楽しめる作りになってます。
横山:あと、「龍が如く6 命の詩。ウエハース」が12月15日(木)に発売されたのですが、そのオマケとして組長カードが付いてきます。SR真島とかSR大吾とかのほかに、六狂人以外の新日本プロレスのレスラーも十数人登場しています。カードの裏のシリアルコードをゲーム内で入力すると、その組長が手に入る仕組みです。クランクリエイターを進めるのが難しくなってきたなと感じたら、ウエハースを買いにダッシュしてもらえれば(笑)。また、有償DLCでSSRのカードも販売します。
――クランクリエイターは、アナザードラマを楽しむだけでなくお金稼ぎとしても活用できるのもいいですよね。
阪本:お金稼ぎとしては、一番手に入るコンテンツですね。
――クランクリエイターがまだできない序盤はお金がカツカツな印象でしたが、お金の稼ぎ難さは意図したものなのでしょうか?
阪本:序盤の金銭感覚は、限りなく現実に近いと思いますよ。
横山:今までのノリでお金を使っていると、タクシーにすら乗れなくなりますからね。尾道仁涯町に着いたときに所持金が600円ぐらいだったときには、どうしたらいいんだろうと震えました。序盤でスナック清美に入店するのですが、「無銭飲食する気か!?」と思っちゃいましたから。南雲が来てくれなかったら危なかったですね(笑)。でも、そのリアルさがまた逆によかったなと思ってもいるんです。今まではカジノでセーブ&ロードすれば、いくらでもお金が稼げていました。ですが、今作ではオートセーブですから、そういうこともやりにくくなっています。
細かい積み重ねが生み出す街のリアリティ
――神室町と尾道仁涯町についてですが、街を表現するにあたって苦労された点どこになりますか?
阪本:PS4®専用のビジュアルでしょうね。『龍が如く5 夢、叶えし者』や『龍が如く0 誓いの場所』の時点で、当時のエンジンでできる限界を突き詰めた映像作りをしていましたが、そこからPS4®専用にしたときに”何に特化して違いを見出すか”という部分には悩みました。画を出したときに、どこをどう強化すれば「変わった」と見てもらえるか、ここが一番苦労しました。
横山:同じ街ですから、引いて見ると今でも漠然としたイメージは変わらないんですよね。
――建物のスケールも大きくなっていますよね?
横山:簡単に言うと、全部リアルな対比になっています。今までは建物や看板に対してキャラクターが大きかったんですけど、今回初めてリアルな採寸になっています。ベースとなるエンジンが変わっているのもあって、完全にゼロからすべて作り直しています。
阪本:日本の道路は水はけのために中央が盛り上がるカマボコ状になっているので、じつは地面も現実と同じでカマボコ状になっています。横から見るとボコボコしているんですよ。あと、天下一通りも、ゲートから赤牛丸に向かう道路が上り坂になっているんです。
横山:現実の歌舞伎町が本当にそうなっていますから。ゲームを遊んでいてなんとなく本物っぽいというのは、そういう細かいところの積み重ねなんですよ。今回から「アクションマッチングシステム」を搭載して、バトルのアクションが坂とかでも自然に出せるようになったので、カマボコ状の地面とかも作れるようになったんです。そうでなければ、できない試みでしたね。
阪本:ゼロから作り直しということで、最初はものすごくこだわって作っていたんですよ。「これさえあれば差がわかる」とかではなく、「ゼロから作り直せるからトコトンこだわってみよう」というところからはじめました。
横山:チャンスだったんですよね。今までは開発効率とかスピードとかの兼ね合いがあって、やろうと思ってもできないことが山積みだったわけですよ。今回は、その積もり積もったものを全部やってしまおうと、2年半前から開発していました。僕が『龍が如く0』を制作中のころから、阪本のチームは『龍が如く6』に向けての基礎研究を続けていました。当然、研究はしたものの無意味だったものもあって、そういうものは削っていきました。
阪本:最初は置いてあるものすべてに干渉できる形でした。だから街の人すらも干渉し合って、どこか1カ所に自転車やゴミみたいなすべてが集まる現象が起きたり、自転車の山ができて通行不能になっていたりもしました(笑)。
横山:必要か否かも、こうやって実験してみないとわかりませんからね。
阪本:今でこそ倒した敵はその場で消滅しますが、当初はそのまま残っていました。ずっと残るようにしていたら、天下一通りに倒れた敵の山みたいなものができてしまって。その上を、桐生が歩いて乗り越えるみたいな光景に。
横山:最初は「そういうのもプレイの1つだ」なんて言っていて(笑)。その倒れた敵が消えるようになったのは、かなり最近のことなんですよ。今でも、移動中に自転車を倒してそこで戦闘が始まっても自転車は倒れたままだったりするのは、その名残だったりします。
――お店で大暴れしたあとに出禁になってしまうなんてシチュエーションも、そういったことができるようになったからこそなんですね(笑)。
阪本:ガラスは割れて割れた場所は通行可能になる、コンビニの棚は全部壊すことができて壊れた棚はちゃんとパーツごとに分かれて破片が飛びます。こういった要素は、最初から「バトルになったら壊そう」という考えのもと開発していきました。
横山:あとは、そういう状態になっても許してくれるタイアップ企業さんが増えてきたのも大きいですね。「ゲームが楽しくなるのであれば、自由に暴れてください」と理解をしてくださる企業さんも多くなりました。『龍が如く2』のような、まだ知名度が低い頃でしたらこんなことはできていないと思います。昔はバトルシーンになると、そこだけ看板を差し変えたりしていましたから。
APA HOTEL神室町店
新宿歌舞伎町のAPA HOTEL
――もう1つの舞台となる、広島 尾道仁涯町についてはいかがでしたか?
阪本:神室町のように「ビル、ビル、道!」というように区切りではなくて、民家をとっても2階から3階が増築されていたり、専用の屋根だったりと、それぞれで細かい違いがたくさんあるんですよね。でも、そこをちゃんと作らないと寂れた街並みを表現できないのでがんばりました。
横山:尾道市を舞台に選んだのはいいけど「あそこをちゃんと表現できるかな?」と不安もありましたが、出来上がりはスゴかったですね。ウチのデザイナーたちも、神室町を作ることに飽きていたんですね(笑)。
阪本:そういう意味では、デザイナーたちはノリノリでした(笑)。
横山:想像以上のクオリティになったのは、真面目にそこが大きいと思います。うちのデザイナーは、コンクリートやアスファルトみたいなグレーのものばかり作っているんですよ。今回、やっと色付きのものを作れてすごくうれしかったと思います。
――あの田舎のシャッターが下りた商店街の感覚とかは、本当にリアルでした。
横山:実際にあの場所に行くと、造形が似ているとかではなくて雰囲気がそのままですよ。この前、久しぶりに尾道市に行ったのですが、既視感がすごかったです。ゲームをひととおり遊んだあとに尾道市に行くと、「ここはあの場所か!」とより楽しめると思いますよ。
――今回は主観視点のまま歩くことができるので、観光的な遊び方もできますからね。あとはXperia(スマホ)で写真をバンバン撮れるのもいいですね。
横山:絶対に奇跡の1枚が生まれるハズなので、今から楽しみなんですよね。僕も実際にプレイしているときは、敵を引きつけてはギリギリで撮影して奇跡の1枚を狙っていますよ。場所によっては、死んだはずの過去キャラクターが映ったりすることもあります。条件が厳しいので、なかなか撮れないとは思いますが(笑)。
――街の探索という部分では金庫の存在も気になるところですが、金庫のカギの上手な見つけ方はありますか?
阪本:金庫のカギは、基本的に金庫のそばに落ちていますので、主観視点を利用しながら探してもらえると見つかるかと思います。近くのダンボールの中に入っていたりするので、回りのオブジェクトを壊してみるのもアリですね。序盤に手に入れると効果的なアイテムが多いので、ぜひ探してみてください。
横山:1つだけカギで開かない金庫がありますけどね。
――ウワサでは、実際の尾道市のどこかにパスワードが隠されているとか。
横山:『龍が如く6』の公式サイトに「尾道仁涯町観光ガイドマップ」が公開されているのですが、それをよく見てもらえれば……。見つけた人がTwitterとかで拡散してくれるといいんですけどね(笑)。「尾道市に住んでいる人は行ってくれ!」と、みんなで有志を盛り立ててもらえればうれしいですね。
――新規のプレイスポットも多いですが、とくに注目してほしい遊びはなんですか?
阪本:今回のプレイスポットは、バラエティ的に同じ遊び方をするゲームはほぼないんですよ。これらもゼロから作り直しているので、オーソドックスなラインナップかと思うかもしれませんが、遊んでみたらまったく別物というプレイスポットを意識的に集めています。「草野球」も育成+野球シミュレーションとして作っていて、初心者でも入り込みやすい難易度で野球を遊べるみたいな落とし所にしてあります。「素潜り漁」もバカなノリで笑ってもらえればいいかなと。「瀬戸内海にあんな魚がいるのかよ!」って話ですしね。
横山:絶対にいない(笑)。この素潜り漁は最初から絶対に入れてくれと言って作ってもらいました。尾道仁涯町のコンセプトが「繁華街ではない場所」というのがあるので、ご当地っぽい遊びを入れたくて。これまでいろいろな街を登場させましたが、すべて歓楽街なのでそこにある遊びも全部同じ方向性でした。だから、尾道仁涯町にはキャバクラやクラブセガはなくていいから、尾道仁涯町でしか遊べないプレイスポットを入れようと考えました。僕的には、一番好きなのはダーツが熱いですね。ダーツで勝っていくと最後にポール・リム(※)さんが出てくるんですけど、この方はダーツの現世界チャンピオンなんですよ。
――え、ご本人ですか?
阪本:本人です(笑)。ポール・リム役でポール・リムさんが登場してきます。
――えぇ!?
横山:ダーツ好きの人だったら、本当にビックリすると思いますよ。見た目は62歳の普通のおじさんなんですけど、ダーツ界ではレジェンドなんで。
阪本:もちろん、しっかりフェイスキャプチャーしていますので、ぜひ挑戦してみてください。
横山:こんな風にメインとはまったく関係ない部分でも、スゴイことをやっていてもいいと思うんですよ。ちなみに依頼するにあたりポール・リムさんの動画を見ていたら、完全にファンになっちゃいまして。だから、僕の中ではポール・リムさんが今一番熱いです(笑)。
――ちなみに、ポール・リムさんはどういうつながりでお願いすることになったのですか?
横山:過去シリーズからもそうなのですが、このゲームのダーツ筐体はダーツライブ社のものを使っています。というのも、ダーツライブ社はSEGAのグループ会社のひとつなんですよ。ダーツライブ社とはずっとコラボをやっていて、実際のダーツライブで使うダーツライブカードというものがあるのですが、期間限定で「龍が如く」のカードを作ったりしていました。名越がやっている配信番組の「セガなま」は、i Darts Tokyoというダーツバーで収録していますが、あれはまさにダーツライブが経営しているバーですしね。そのおかげで、ダーツライブから「龍が如く」を知って遊んでくれる人も少なからずいます。お互いに仕掛けがあって、その一環でポール・リムさんが参加してもらえることになりました。
――まさに知る人ぞ知る要素ですね! 世界チャンピオンと戦えるダーツゲームは『龍が如く6』だけってことですね(笑)。
※クリックすると拡大します。
※ポール・リム氏:シンガポール出身のダーツ・プレイヤーで、数々の大会で高戦績を残す。BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップの501ゲームにて、9ダート・フィニッシュ(3ラウンド9投で上がること)を成し遂げた初のプレイヤーとして名を馳せた。
アルティメットヒートモードが勝利の秘訣!
――今回は「アルティメットヒートモード」が強敵攻略のキモとなるかと思いますが、このモードの効果的な使い方を教えてください。
阪本:桐生を成長させていくとアルティメットヒートモード中にのみ使用できる技も増えていくのですが、じつはこの技が非常に強力なんです。いっぱいザコ敵が出てくる戦いでは、こういった技を使っていくことが突破口になりますね。条件が特殊なので習得があと回しになりがちですが、これがあるとないとでは大きく効率が違います。とくに、掴んでから○ボタンの追加入力からさらに分岐する技が強力なのでオススメです。□ボタン連打のタコ殴りを多用しがちだと思いますが、あればかりだと強敵になるほど割り込んで中断してきます。そういう場合は、スウェイやダッシュ攻撃のあとに△を押すことで発動する、行動派生系のヒートアクションで攻めるといいですよ。あと、地味に強力な要素なのですが、アルティメットヒートモード中は絶対に倒されない仕組みになっています。
――どうしようもないときは、アルティメットヒートモードで無理やり耐えることもできるんですね。
阪本:また、アルティメットヒートモードを搭載したことで、ヒートゲージの価値がものすごく高まっています。ヒートゲージの最大値を増やすと、アルティメットヒートモードの効果時間が長くなり出せる技の回数も増えるので、めちゃくちゃ強くなりますよ。
――経験値の振り方もプレイヤーによって違いが出てきそうですが、ヒートゲージ系のスキルを覚えたほうがいいのでしょうか?
阪本:最初はやはり基礎能力を上げて、ほかの成長のアンロックを目指したほうがいいですね。あとはプレイヤーのみなさんの自由だとは思いますが、個人的には経験値アップ系のスキルの「技巧」や「魅力」を上げておくのがオススメです。もちろん、アルティメットヒートモードも技を覚えることで行動の幅が広がるので、そこも覚えたほうがいいですね。
――本作では経験値が5つに分類されましたが、オススメの経験値の稼ぎ方はありますか?
阪本:「筋肉」「俊敏」「根性」に関しては、序盤はとくにRIZAPが稼げます。残りの「技巧」と「魅力」は、サブストーリーやプレイスポットで稼げますね。あとは、ケーキとか甘いものでも増やせます。
横山:質屋でギプス系の装備品を買えるのですが、それを装備するとお腹が減りやすくなります。食事による経験値はかなりバカにできないので、いかに高回転で食事をするのかも重要だったりします。あと、中国系マフィアがかなり高額なお金を落とすので、ギプスを装備して彼らと戦うといい感じですね。そして、ハラが減ったらそのお金で食事をすると。序盤はこれを効率よくこなすかが大事だったりします。お金に余裕がある後半では、RIZAPに売っている「BURN+」というアイテムを使用すると、経験値が入るうえに胃袋ゲージがゼロになるんですね。なので、満腹まで食べたらBURN+を飲んで……を繰り返して経験値を稼ぐのもアリだと思います。
阪本:RIZAPのサプリメントは本当に強力なので、スポーツジムと並行して利用するといいですよ。
――RIZAPといえば、トレーニングの食事メニュー選びが意外と難しかったです。
横山:あれは、わざと難しくしたんですよ。リバウンドしないためには、自分で考えてメニューを組まないといけませんから(笑)。
――食事といえば、組み合わせボーナスも効果が大きいですよね。
阪本:かなり重要ですので、組み合わせは覚えたほうがいいですね。
横山:組み合わせボーナス以外だと、食事処だと「寿司吟」がオススメですよ。タイアップ店舗でもないのに(笑)。そこで食べられる豪華海老汁が「技巧」が大きく増えるのでオススメです。この食事で経験値を得る仕組みも、PS4®でシームレスになったから実現したものなんです。これが、わざわざエリア移動を挟んでアクセスしなければならなかったら、絶対に実装していません。
――食べ物もリアルに作られているから、見ているとお腹が減ってきちゃうんですよね。尾道仁涯町のかき小屋で牡蠣を食べるたびに「行って食べたい!」という気持ちになります。
横山:そうなんですよ。夜中に遊んでると、すごく長崎ちゃんぽんが食べたくなるんです。しかも、ここからすぐ近くにあるんですよ……。ついつい行っちゃうんですよね。いきなりステーキも1回行っちゃいました。あと、この間すしざんまいに行って、桐生が頼むものをイメージして食べてみたら、死ぬほどお腹いっぱいになっちゃいましたね(苦笑)。
独自に進化した”世界で唯一無二のタイトル”
――PS4®専用で初となる本作は、作り手としての手ごたえはいかがですか?
横山:正直、僕自身はいわゆるAAAタイトルと比較しても『龍が如く6』がトップクラスのおもしろさで、部分的に見れば世界一の要素もたくさんあると思っています。独自の進化をした『龍が如く6』は、”世界で唯一無二のタイトル”になったと言っていいんじゃないでしょうか。
阪本:現在のオープンワールドゲームは広いわりに密度が低い傾向がありますが、『龍が如く6』は真逆の方向で狭くて深い部分を突き詰めているんですよ。「広くて薄いけど、どこまでも行ける」というものをあえて僕たちがやる理由はなくて、逆に「物の1つ1つに説得力があるもの」を作っているんです。配信中のお試し版で触れられる部分で例をあげれば、ドン・キホーテの店内にレイアウトしてある商品は、何から何までモデルが全部作り込まれています。
横山:「自由度はいったいなんだ?」という話になると思うのですが、海外のゲームユーザーからは「会話シーンでも移動できてカメラが回せること」が自由度だと言われたりもします。ですが、我々は「メインストーリーの進行中に、その他の要素が同時多発的に起きて、それにアクセスするのも自由」という自由度を目指しているんです。もっと言えば、会話シーンなら「ちゃんと面と向かって会話していることが見える」ことにこだわっています。発展のさせ方がぜんぜん違うんですよね。
阪本:そういうところを研ぎ澄ました没入感で、よさを出していきたいというポリシーのもと作っています。
横山:海外の大型タイトルの場合は、ストーリーを覚えるというより「こういう体験をした」ということを覚えていると思うんです。遊び場をユーザーに投げて「好きに遊んでね」という体験だと思います。逆に我々の場合は、体験だけでなく強制的にストーリーを味わってもらいます。いかに物語に没入させるかが「龍が如く」シリーズのゲーム設計のベースなんです。当然好き嫌いあると思いますが、個人的には世界の人たちに向けて、「一度遊んでみて。驚くから」と言いたいですね。プレイしてもらえれば、「クレイジーなチームだな!」って言ってもらえると思いますよ(笑)。
――そういう意味では、1作目から我が道を行くシリーズなんですよね。
横山:僕は文法にないことをやってしまう人間なので、常に「こうあるべき」というものを疑っています。昔の人がいいとしたものを、なぜ技術が違う今の時代にやる必要があるのかと。「自分たちが遊んでみて楽しかったら、それが答えじゃないか。」という思いで作ってきた11年なので、今後も僕は変わらないと思います。ただ、時が経てば自動的に僕も古い人間になっていくはずなので、そう感じたときは素直に遊ぶ側に回ればいいだけだと思ってます(笑)。
――では、最後に本作のプレイ中のファン、そして本作の購入を迷っている方に向けてメッセージをお願いします。
横山:「龍が如く」シリーズはタイトルを発売する時代そのままを描いてきている作品で、シリーズが駆けてきた11年間の日本が全部詰まっています。1作目だとスマホではなくケータイ電話ですし、ムシキング……ゲーム中ではメスキングという名前ですが、それが流行っていて……というように、時代を反映した11年の様相がゲームの中に詰め込まれていて、そうやって時代を追ってこられたことはとても幸せなことだと感じています。そして『龍が如く6』は、まさに2016年が反映され、”今の日本”を感じられる一番楽しい遊びだと思うので、シリーズファンだけでなく日本に興味がある人なら全員遊んでほしい! これがJAPANですよ。誇張抜きで、日本人が作る日本のエンターテインメントの極めしものが、ここにあると思うので全身全霊で味わってください。
阪本:「龍が如く」ならではのドラマティックな魅力だったり、日本を満喫できるゲーム要素だったりを、よく1つのパッケージに収められたなと自分でも思います。アジアのユーザーさんも含めて、彼らの期待を超えるクオリティを肌で感じることができる作品になっているので、続編だと思って足踏みせずに「龍が如く」の世界に飛び込んで楽しんでもらえれば幸いです。また、本作の評価は冷静に受け止めてエンターテインメントの形をもっと精査し、次のタイトルにつなげていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
全5回にわたり『龍が如く6 命の詩。』の魅力をお伝えしてきた本特集、いかがだっただろうか。アクション・アドベンチャーというジャンルでくくられてはいるが、本作はその概念に当てはまらない……横山氏の言葉を借りるなら、”ジャンル「龍が如く」”という独自のゲーム性を確立している。少しでも遊んでみれば、その意味をしっかりと感じることができるだろう。まだ未体験の人は、PS4®というハードのポテンシャルを存分に味わえる本作を、ぜひ手に取ってみてほしい。
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龍が如く6 命の詩。
・発売元:セガゲームス
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 8,190円+税
ダウンロード版 販売価格 8,845円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
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