
PlayStation®5用ソフトウェア『Baby Steps』は、『Ape Out』や『Getting Over It with Bennett Foddy』などの作品で知られるGabe Cuzzillo氏、Maxi Boch氏、Bennett Foddy氏らのチームが開発を手掛けた最新作だ。さえないおじさんとなって大地をひたすら歩き続ける、物理演算を使った“ウォーキングシミュレーター”と題する本作。そのユニークなゲーム内容を紹介しよう。

CHECK POINT①
パジャマ姿&裸足の無気力おじさんが自然あふれる異世界に!?
世界のストリーマーによるゲーム実況で人気を博し、日本でも“壺おじ”などの愛称で知られる『Getting Over It with Bennett Foddy』をはじめ、異色の作品でその名を知られるBennett Foddy氏が開発チームのひとりに名を連ねる本作。主人公のネイトは、35歳で無職のおじさん。何をする気力もなく、部屋に引きこもる日々を送っていた彼が、ある日突然、薄暗い自室のソファから突如姿を消す場面からゲームは始まる。

池の中に、部屋着代わりのロンパース(つなぎタイプの服)だけを身にまとって出現したネイト。びしょぬれで岸辺にたどり着き、立ち上がった彼の目の前に広がるのは、苔むした岩がそびえたつ洞窟のような場所だった。突然の出来事に戸惑う彼にできるのは、片足を上げて、もう片方の足の前に出すことの繰り返し……つまり、歩くことだけ。プレイヤーはこのネイトを操り、文字通り赤ちゃんのようなよちよち歩き(Baby Steps)で世界をめぐっていくことになる。
ネイトの“ウォーキング”の舞台になるのは、雄大な自然と、少々起伏に富み過ぎた地形が織りなす霧がかかったフィールド。点在する家などの施設はほとんどが崩れており、人の姿もほとんどないため、どこか崩壊後の世界といった感もあるが、高いところから見渡せば眼下に雄大な風景が広がり、見ごたえのある眺望を楽しめる。また、歩き続けるうちにウサギや鳥などの動物たちと出会うこともあるので、時には立ち止まり、動物たちのしぐさを観察してみるのもいいだろう。

CHECK POINT②
チェックポイントのキャンプへの道を探しつつ歩く! 歩く! 歩く!
ネイトは、L2のトリガーを押して左足を持ち上げ、離して左足を下ろす。右足はR2トリガーで同じ動作を行なう。ここにLスティックでの重心移動を組み合わせることで歩みを進めていける。またL2/R2トリガーを押したままだと片足を上げた状態になり、このときLスティックを動かすと足を下ろす位置を細かく調整できる。これらにRスティックでの視点操作を組み合わせてネイトを歩かせる。なお、両手を使ったアクションはイベントなどを除けば一切なし。あくまでも動かせるのは両足だけだ。
普通に歩くときは、L2と左スティック前を押してすぐ離し、次にR2と左スティック前を押してすぐ離し……と、左右の足と重心を交互に動かすことで前方に進んでいく。操作のタイミングが合わなかったり、ボタンを長く押しすぎて歩幅が広くなりすぎたりすると、すぐにネイトは転倒してしまうので、最初は二人三脚をする要領でタイミングを合わせるといいだろう。

マップ表示機能がない本作で、ネイトのウォーキングの道しるべになるのがフィールドの各所に設置されたキャンプ。これにたどり着くことでメインストーリー的なイベントが発生し、次のエリアに進んでいく形になっている。最初の山地や森林では巨大なロウソクの炎が目印になっているので、とりあえずはそちらに進んでいけばOK。その先には砂漠や巨大な機械が設置された岩場、雪山などのエリアが待ち受けており、地形に応じてさまざまなギミックも用意されている。

フィールドを先に進むには急な坂道、段差、狭い足場などなど、いくつもの難所をクリアする必要が出てくる。そうした不安定な足場を渡るときは、片足を上げて、下ろす位置を細かく調整する操作が重要だ。ネイトはかなり体幹が強いらしく、片足が安定していればもう片足は比較的長い時間上げたままでいられる。焦らず慎重に操作して、難所をクリアしていこう。

プレイしていてとにかく印象に残るのは、ネイトを歩かせることのままならなさ。安定した場所なら歩くこと自体は難しくはないが、難所でちょっとした段差に膝がひっかかったり、足場の悪さで重心を崩したりしたとたん、ネイトは転んでしまう。さらに、そのまま坂道を転げ落ちたり高所から転落したりすると、ゲームオーバーにはならないがたどり着くのに使った時間が完全にムダに。特定の場所でのセーブ機能や、オープンワールド作品ではお約束のファストトラベル機能もないので、特定の場所でハマってしまうと精神的にも厳しい。

とはいえ、失敗するのはプレイヤーのルート選びや操作ミスが原因である場合がほとんど。足場の配置が意地悪な場所も多々あるが、そうした場所も完璧な操作ができればクリアできるようになっており、理不尽とまではいえないのが本作の面白いところでもある。どうしてもダメなときは、別のルートがないか探したり、いったんひと休みして再挑戦したりするのがおすすめだ。

CHECK POINT③
フィールドの各所で出会う人々やサブイベントもユニーク!
基本的にはひたすら歩くゲームだが、チェックポイントやフィールド各所に用意されたサブイベントでは、個性的な人物たちとのシュールな会話を楽しむこともできる。登場人物たちは、ほぼ全員が怪しげでどこか“ヘン”なのだが、一方のネイトも、困っているのに奇妙な強がりで相手の助けを遠慮する難儀な性格をしており、そのかみ合わないやり取りに奇妙な面白さを感じるはずだ。

サブイベントには単純な会話イベントから、誰かからの探し物を探して特定の場所に持っていくものまで、いくつかのパターンが存在する。どれも、発見できなくてもゲームの進行には影響はないものの、他の人物との会話や、達成時のネイトのしょぼくれた独り言などが楽しめるので、どれもいちどは見ておきたいところ。また会話の演出はないが、ヒヨコがずっとあとをついてくるなど、サブイベントなのかどうか判断が難しいお遊びも存在している。

ほかに、フィールドにいろいろな果物がなっていて、それを食べたネイトが大げさなリアクションをする要素も。ターゲットの果物は遠くから見てもわかるエフェクトを発しており、見つけること自体は簡単だが、たどり着くのに苦労するはずだ。さらにマップ中に落ちている帽子を発見すると、ネイトがそれを拾ってかぶるおしゃれ(?)要素も存在。帽子をかぶってキャンプに泊まると、ネイトの夢らしきドット絵イベントが発生するので、こちらもぜひ発見しておきたい。
『Baby Steps』というちょっと可愛い印象もあるタイトルに反して、プレイヤーによっては好みが分かれそうな本作。シンプルだが決して簡単とはいえないゲームシステム、ネイトをはじめ少し不気味にも感じるキャラクターたち、きわどい内容も多いイベントシーンなど、あらゆる面でクセが強く、正直なところ万人受けするとは言い難いが、それだけに唯一無二といえる作品になっている。

精密な操作を求めるぶん、難所を切り抜けたときに達成感をもたらしてくれるゲームシステム。ノリが合う人なら大笑いでき、かつ考えさせるところもあるストーリー。どこかアナーキーでインパクト抜群のキャラクターたち。上記で挙げたクセの強さは、裏を返せば気に入る人にとってはたまらない魅力となる要素で、なんとなく敬遠するのはもったいない。別の人がプレイするところを見ているのも楽しいので、可能なら友達同士で挑戦してみるのもいいだろう。根気よくプレイすることで、少しずつ上達する(Baby Steps)はず!?

Baby Steps
・発売元:DEVOLVER DIGITAL, INC.
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:ウォーキングシミュレーター
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 2,310円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
※ダウンロード専用タイトル
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