映画「グランツーリスモ」のモデルとなったヤン・マーデンボロー選手にインタビュー! ゲームプレイヤーから実際のレーサーへ至る道のりとは

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映画「グランツーリスモ」のモデルとなったヤン・マーデンボロー選手にインタビュー! ゲームプレイヤーから実際のレーサーへ至る道のりとは

2023年9月15日(金)、全国の映画館で公開される「グランツーリスモ」。今回は、映画のモデルであり、ゲームプレイヤーから実際のプロレーシングドライバーになったヤン・マーデンボロー選手に、「GTアカデミー by 日産×プレイステーション」(以下、「GTアカデミー」)での経験、映画でのスタントドライブ、そして彼の信じられないような人生についてお話しを伺いました。

「グランツーリスモ」シリーズのファンからプロレーサーになり、ハリウッド映画のモデルとなったヤン選手の物語は、言うまでもなく非現実的で夢のようです。映画の公開が間近に迫った今の心境をお聞かせください。

初めてこの映画が企画されていると聞いたときは、まるで夢のように感じました。今でもまだ変な気分です。自分の物語が“永遠”になったことが未だに信じられません。自分の人生、自分の名前が不滅のものとなり、未来の世代にも見てもらえるようになったということを、まさに消化しようとしている最中です。自分の孫が誇りに思えるものだと考えると、うれしいですね。

話をキャリアの原点に戻しますが、GTアカデミーに参加しようと思ったきっかけを教えてください。何か「これだ!」みたいな瞬間はありましたか?

5歳か6歳の頃から、レーサーになりたいと思っていました。ですが、歳を重ねるにつれ、この夢は実現不可能なように思えてきました。私は、比較的普通の暮らしをして、普通の仕事をしている、“普通”の家庭の出身でしたから。スポンサーになってくれる知り合いもいなかったので、学校に通っている間はこの考えを棚上げしていました。また、最初のGTアカデミーに挑戦するには年齢が低すぎましたが、それとは関係なく学校がとても忙しかったんです。

2011年になってようやく転機が訪れました。ちょうど大学を中退したばかりで、一か八かの状態にあったんです。それで、「どこまでできるかやってみよう」と考えました。

GTアカデミーでの訓練はどのような経験でしたか? また、初めて実際のトラックでレースしたとき、適応するのに一番難しかったことを教えてください。プロのレーサーとしてのキャリアが始まったとき、一番大きかった違いは何ですか?

適応するのが一番大変だったのは、視界です。家では、ゲームの「グランツーリスモ」を何年も小さな17インチの画面でプレイしていました。それに慣れていたのです。

本物の車に乗り、隣に座っているインストラクターが私の視界がどこに集中しているかを鏡で確認したところ、視線の先にあるトラックではなく、いつも地面を見がちなことがわかりました。比べてみると、車の視界と小さなテレビに制限された視界は根本的に違います。レース中は実際に見ているのと逆方向に走ることがよくあります。このクセを直す再教育と適応に数ヵ月かかりました。

ほかのことは簡単に感じました――19歳のときに、シルバーストーンサーキットで、初めて485馬力のGT-Rを運転しました。シートベルトを締めながら「オーケー、どんな感じかな?」と思いながら走ってみると、実際、その……普通に感じました。ブレーキやアクセルの入力の操作から、コーナーでの車のステアリングやピッチまで、車の運転は妙に馴染みがあるように感じました。振動の感覚や、ハンドルやシートからの反動が加わったのを除けば、「グランツーリスモ」シリーズで学んだのと同じように車を操作できました。

おそらく、19歳のときにはリスク回避の気持ちがかなり少なかったのも助けとなったのでしょう。とにかく速く走って、そしてできるだけ早く成長したかったんです。

この比較的短かった適応期間が、「グランツーリスモ」シリーズでのシミュレーションの品質の高さを証明していると思いますか? このゲームにこれほどたくさんの時間を費やしていなかったら、適応期間は大幅に違っていたと思いますか?

もちろんです。そうでなければ、プロのレース経験なんてできませんから。カートで走ったこともなければレーストラックで運転したこともなく、高速道路を走るのもGTアカデミーへの移動が初めてでした。人生のその時点では、カーディフの自宅から50キロか60キロ離れたところまでしか運転したことがなかったんです。友達はみんなそこにいたし、ほかの場所まで運転する理由もなかったんです。

白紙の状態だったから、それがうまく働いたんだと思います。レーシングカーをどうやって走らせるかとか、どうやって限界まで持っていくかとか、そういう先入観はありませんでした。すべての経験はゲームが基礎となっていて、そのおかげですべての指導を内面化しやすくなりました。悪い癖や間違ったアドバイスを忘れる必要もありませんでした。

少なくとも私にとっては、「グランツーリスモ」のおかげで、親が子供をプロのレーサーにするのに何万ドルも払う必要がありませんでした。ゲームのおかげで、このすべてをスキップできたんです。

映画のモデルとして自分の人生の物語を提供するのとは別に、ヤン選手を演じる役者の代わりにスタントドライブをする機会もありました。これはどんな経験でしたか? ほかに、映画制作にはどのように関わりましたか?

映画で運転することについては去年の初めに打診がありました。プロデューサーは少し警戒していて、たくさんの待ち時間があると助言してくれました。ですが、それは気になりませんでした。「やります。素晴らしいものになりそうだ」ただこう言ったんです。物語の根幹に関わる機会は逃せませんでした。通行人役でカメオ出演するよりも、もっと重要なことに感じられました。

この出演の一環として、「タラデガ・ナイト」のドライバーを務めたスティーブ・ケルソーさんや、「ナイトライダー」のK.I.T.Tのドライバーなど、伝説のスタントドライバーの皆さんに会うことができました。この超経験豊富なドライバーの皆さんは、全員がチームの一員で、彼らから学ぶのはとても光栄なことでした。

それ以外では、2019年に初めて脚本が書かれたときからこのプロジェクトに関わってたなかで、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントで一緒に仕事をした人たちは皆とても素晴らしかったです。プロデューサーはとても寛大に私を関わらせてくれて、脚本の草稿ごとに私の意見を取り入れてくれました。

撮影現場でシーンのレビューを手伝いたいかと聞かれましたが、それは自分の専門領域ではないため断りました。脚本やキャストについては満足していましたし、未完成の映像をどう適切に評価するかは分かりませんでしたから。私の専門分野ではありません。

映画「グランツーリスモ」の公開が迫った今、ご自分のキャリアがどのようになっていくか想像できますか?

見通せるのは2年くらいですね。それから先は予測が難しすぎます。でも、ル・マンは本当にやってみたいです。あのレースは来年の目標です。それから、日本に戻ってSUPER GTにも参戦したいですね。今はとても自由で、40代の後半までプロとしてレースをしたいと思っています。まだドライバーとしてのピークは過ぎていないですし、まだまだレースに対して意欲的です。

あなたの物語の映画を見た観客の皆さんに、何を学び取ってもらいたいですか?

夢見ること、心に決めたことは何でも実現できると皆さんに知ってもらいたいです。もちろん簡単ではありませんが、人生は一度しかありません――満足できないことや、意義が見いだせないことを何年も続ける必要はないでしょう?「映画グランツーリスモ」のストーリーが、今の人生とは違う、より満足できて完璧と思えるような道を進む勇気を、受け取ってもらえたらいいなと思います。僕には19歳のときにこのチャンスがあって、とてもラッキーでした。

最後に、短い質問がいくつかあります。

「グランツーリスモ」シリーズのなかで個人的にお気に入りのゲームはどれですか?

『グランツーリスモ2』と『グランツーリスモ3』で迷いますね。両方とも過去作品から大幅に進化していて、発売時は大きな衝撃を受けました。『グランツーリスモ2』には良いクルマとコースのセレクション、それに最高のイントロがありました。ですが『グランツーリスモ3』でのビジュアルの進化は圧倒的でした。発売時、夏の間ずっとこのゲームをプレイしていたのが、今でもいい思い出です。

「グランツーリスモ」シリーズでレースするのにお気に入りのクルマはありますか?

『グランツーリスモ2』のLMPカー。Toyota GT-Oneですね。

現実世界で運転するのにお気に入りのクルマは?

2017年から2020年の終わりまで日本で運転していた、日産GT-R GT500ですね。2リットル、700馬力、強力なダウンフォース、そして1トンの重量。しっかりしたレースカーです。

「グランツーリスモ」シリーズでお気に入りのレーストラックは?

グランバレー・スピードウェイがダントツですね。とても豪華で、信じられないような雰囲気の場所なので、現実にあったらいいのにと思います。

プロとしてレースするのにお気に入りのトラックは?

仙台にある小さなサーキット、スポーツランドSUGOですね。小さなニュルブルクリンクみたいです。

「グランツーリスモ」シリーズのお気に入りのミュージックトラックは?

『グランツーリスモ2』の「My Favourite Game」、それからもちろん「Moon Over the Castle」です。ノスタルジーで元気になれるので、両方ともワークアウトのプレイリストに入っています!


『グランツーリスモ7』は、PlayStation®5およびPlayStation®4で発売中。さらに配信中の無料アップデートでPlayStation®VR2にも対応しています。 

映画「グランツーリスモ」は、9月15日(金)より全国の映画館で公開されます。
https://www.gt-movie.jp/

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