PS5™/PS4®『The Callisto Protocol』のクリエイター、Glen Schofield氏に特別インタビュー!

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PS5™/PS4®『The Callisto Protocol』のクリエイター、Glen Schofield氏に特別インタビュー!

※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。

私たちが初めて『The Callisto Protocol』の存在を知ったのは、今年6月に本作のクリエイターGlen Schofield氏が、PlayStation®︎5のプレイヤーの皆さんを木星の月で待ち受けるホラーゲームの映像を公開したときでした。Striking Distance StudiosのCEOでもあるGlen氏は、SFホラージャンルへの回帰を支える技術について紹介してくださいました――例えば、驚きと恐怖を完成させるホラーエンジニアリングの強みや、「ジェイコブ・リー」が変異した「バイオファージ」に立ち向かうための希望である近未来兵器といったものです。さらに、私たちを危険に満ちたブラックアイアンプリズンの奥深くへと引き込む、PS5ならではの3Dオーディオ機能とDualSense™ ワイヤレスコントローラーのハプティックフィードバック機能なども紹介いただきました。

gamescom 2022では、本作の戦闘システムについて深く掘り下げ、新たなゲームプレイを披露してくれました。そして今回は、12月2日(金)の発売までの道のりやサウンドスケープ、そして記憶に残るホラーストーリーを作り上げるためのテクニックについてGlen氏にお話を伺いました。

PlayStation®.Blog:発売まであと数ヵ月となりました。情報が初めて公開されてから2年近くが経ちましたが、一息ついて、これまでの道のりを振り返る機会はありましたか? それとも発売前の準備に集中していますか?

Glen Schofield:ここ数年間の記憶は曖昧です。私たちは パンデミックの最中に新世代のコンソール向けに新しいスタジオを作り、新しいIPをベースにした新しいゲームを、新しいチームと新しいゲームエンジンを使って制作してきました。本当に大変な道のりでした! Striking Distance Studiosのチーム一同、『The Callisto Protocol』を世界中の皆さんにお届けするのが待ちきれません!

プレイヤーの皆さん、特にPlayStation®︎コミュニティーの皆さんからのサポートは、私たちがゲームを完成させるまで駆け抜けるための原動力になっています。素晴らしいフィードバックをいただきましたし、これ以上の幸せは私にもチームにとってもありません。このゲームは愛の結晶なのです。

PS Blog:ゲームの完成までに残された課題はなんですか?

Glen Schofield:今は私たちが「コンテンツロック」と呼んでいる状態で、すべての要素が既にゲーム内に組み込まれています。ステージやクリーチャー、ビジュアルエフェクト、ムービーシーンなどすべてです。現在は最後の微調整を行なっている最中です。音声が入るタイミングを変えたり、ライトを明るくしたり、難易度を調節したりといった調整です。あとはもちろんパフォーマンスの最適化とバグの修正を日々行なっています。

開発のラストスパートは大変ですが、ゲームが本当に輝き始めるタイミングでもあります。トンネルの先に光が見えてきた気がして、とても満足感があります。

PS Blog:ゲーム内の音楽について詳しく教えてください。The Apprehension Engineを使ったダイアジェティック(ゲームの世界内の)サウンドが大半を占めるのですか?

Glen Schofield:ホラーゲームにとって音楽は大変重要なものです。音は体験の半分を占めると言っても過言ではないでしょうです。実際、私は音を戦闘システムと同じくらい大事な機能だと思っています――そのぐらい重要なのです。

ホラーゲーム音楽の面白いところは、かなり攻めたことまで色々と試しやすいことです。

部屋の角に機械があるとしましょう。私たちはこの機械をどうしたら怖くできるか考えます。機械の音に対するプレイヤーの先入観をどう裏切るのか。そこに少しだけ手を加え、異質で威圧的な音を作り出すにはどうすればいいのか。このように身近でありながら、脅威を感じる、違和感のある世界観を作りたいのです。

これらのダイアジェティック要素が、プレイヤーをその世界に没入させながらも、世界を不均等に保つのです。 

音楽やその他の非ダイアジェティックな音声要素は、世界で起こっていることの“句読点”として機能します。驚く瞬間に不協和音を出すと、恐怖の演出がさらに濃いものになります。しかしタイミングは完璧じゃないといけません。少しでも早い、または少しでも遅いと、失敗に終わります。

Apprehension Engineのようなツールは普通の楽器からは出せないようなサウンドを作成できるので、使っていてとても楽しいです。音を使ってプレイヤーを不快にさせ、さらに大きな恐怖を与えるためのお膳立てをするには、とてもいい方法です。

A monster charges towards the protagonist, tentacles sprouting from its torso.

PS Blog:ホラーゲームの世界でダイアジェティック音声を完璧に仕上げるのは非常に大変なプロセスになると想像できるのですが、実際はどうですか? 駅の構造上の軋みや、鎖がジャラジャラと音を立てるタイミングなどを視覚と聴覚で完璧に合わせるために、音声チームが全エリアのレイアウトを何度も見直している光景が目に浮かびます。

Glen Schofield:私たちは『The Callisto Protocol』の音声に莫大な時間をかけています…。かなりの時間です。

ゲーム音の制作にどれだけの時間がかかっているかを知ると、多くのプレイヤーの皆さんは驚くと思います。例えばこの作品には20万種類以上の音が含まれています。具体的な例を挙げると、ジェイコブの宇宙服に付いている色んなパーツから出る効果音だけでも60種類以上収録されています。

リアリティや怖さを感じさせるためにどれだけのディテールが必要なのかを考えると、気が狂いそうになります。何週間もかけて世界の隅々までを見直し、音声が“良く”聞こえるだけでなく、“怖く”聞こえることを確かめています。

PS Blog:本作は近未来的な設定でありながら、すべてがどことなく現実に根ざしているように感じられます。それはステージのデザインにも反映されているのでしょうか? ブラックアイアンプリズンは実在の場所であり、たとえプレイヤーの目に触れないエリアであっても何かの意図のもと制作されたのでしょうか?

Glen Schofield:素晴らしい質問です。アートチームの軸のひとつとして“設計された現実性”というものがあります。このゲームは300年後の世界で繰り広げられるため、まだ現実では開発されていない近未来的なものがごく自然に存在しています。しかし、それらすべてがリアルに感じられ、現実味があり、世界のなかで意味をなすようにしたいのです。

プレイヤーは刑務所のメンテナンスエリア内で変わった機械を見かけることがあるかもしれません。デザイナーとしては、機械の具体的な用途まで理解してもらう必要はありませんが、リアルに感じられる必要はあるのです。機械が錆びていて、塗装が剥げていて、乗り物の近くにあれば、そこに文脈が生まれます。

このように細部までこだわり、考え抜かれたデザインはプレイヤーをさらに没入させることができます。もし、これらのデザインに違和感があれば、人々はその世界から引き戻されてしまいます。そうなると怖がらせるのは至難の技になります。

PS Blog:gamescomのデモ版では下水道のシーンがありました。このシーンは刑務所のレイアウトを企画しているなかで自然と出てきたのでしょうか? それともこういったシーンを含めるために刑務所のレイアウトをデザインしたのでしょうか?

Glen Schofield:デザインの早い段階で行なわれる試行錯誤のなかから生まれました。まずストーリーを組み立てて、ステージを作成し、何が楽しくて魅力的かを確認します。世界観やプレイヤーの旅について話す時間が増えるにつれ、このような“決定的な瞬間”についてのさまざまなアイデアが生まれてきます。

今回の場合は、開発のかなり早い段階から、このシーンを用意したいと考えていました。 実際、ソニーの役員さんに見てもらった初期のデモ版にも、下水道シーンのラフバージョンが含まれていました。

下水管を流れ落ちていく展開を実現するには、いくつもの技術的な問題を解決する必要がありました。しかし、これを早くから実現させることができれば、後々起こるどんな問題も乗り越えていく自信になると考えていました。

PS Blog:人間が作ったものをAIで加工して、宇宙人っぽくするという「ジェネレーティブデザイン」を利用したゲーム制作は、とても魅力的だと思います。どのような経緯でゲームに活用されたのでしょうか? チームがこれは行き過ぎかもと感じるような変わったデザインは出てきましたか?

Glen Schofield:ジェネレーティブデザインの芸術性に惚れ込んだのは、このゲームのために“アートバイブル”を作成していたときでした。ジェネレーティブデザインによって、見慣れたものでありながらまったく異質で異世界から来たような見た目に仕上げてくれます。ジェネレーティブデザインを使用することで、椅子や刑務所の鉄格子のような一般的なものを、ユニークで未来的に作り替え、このSFの世界にプレイヤーを没入させたかったのです。

そうは言ったものの、やり過ぎにならないように注意しました。やり過ぎるとかえって邪魔になってしまうからです。ジェネレーティブデザインを活用することで、特別で作り込まれた世界観を実現しながらも、最終的には現実味と実用性を担保したかったのです。

PS Blog:このゲームでは、DualSense™ ワイヤレスコントローラーのハプティックフィードバックとアダプティブトリガーの機能を利用して、近未来兵器の感覚を表現しています。これはどのようにして実現したのですか? また、GRPのような想像上の武器における“正しい感覚”というのは、どなたが判断されたのですか?

Glen Schofield:私たちはプレイヤーをゲームの世界に没頭させ、現実感や緊迫感、そして恐怖をより高い次元で感じてもらえるようハプティックフィードバックを活用しています。ホラー体験の多くは、スクリーン上で起こっていることを直感的に理解するということですが、ハプティックフィードバックはその感覚をさらに上のレベルへと押し上げます。

ゲームのすべてがそうであるように、最高の恐怖の瞬間は直感的に感じられるものであり、うまく表現するためには多くの試行錯誤が必要です――ハプティックフィードバックも同じです。私たちのデザインチームとシステムチームは、数ヵ月間かけて正しい感触に辿り着きました。GRP重力兵器の振動から、スタン・バトンで変異したモンスターに強烈な一撃を加えるときの衝撃まで、何度も何度も繰り返して、ちょうどいい感触を探すのです。

PS Blog:PS Blogの発表記事で、プレイヤーが強いという幻想を潰すためにリソースを限定するとお話されていましたが、ゲーム内に異なる難易度のオプションが組み込まれているのでしょうか? その場合は、どの要素が影響されるのでしょうか?

Glen Schofield:プレイヤーの機能通りにプレーできるよう、難易度の設定はいくつか用意しています。ですが、ノーマルの難易度でもかなり難しいゲームを作っています。

高難易度では、プレイヤーはさらに少ないリソースでやりくりしなくてはならず、敵はより強く、より凶暴で、プレイヤーの動きに敏感になります。

プレイヤーにはイライラや敗北感を味わせるのではなく、挑戦を楽しみ達成感を感じてもらいたいと考えています。

PS Blog:ストーリーの詳細を隠したいとは思いますが、ストーリーの構成過程についてお話いただけますか? この物語がどこでどのように完結するのか、明確なアイデアを持って臨んだのでしょうか? それとも制作しながら決めていったのでしょうか?

Glen Schofield:このゲームのアイデアは、前回のプロジェクトを終えた後、砂漠で数週間過ごしていたときに思いつきました。深宇宙の刑務所を舞台にしたSFホラーを作りたいと考えていて、いくつかの重要な筋書きはできていました。物語の結末は決まっていたのですが、細部はまだ決まっていませんでした。

帰宅して仕事を始め、数日後には10ページの概略を完成させ、売り込むための準備が整いました。そこから、20年以上一緒に仕事をしているクリエイティブ・ディレクターのScott Whitneyを含む、ライティングチームと仕事を始めました。実は、オリジナルの『Dead Space』という作品でも私たちは一緒に仕事をしています。

この物語を具体化するにあたって、チームの助けは必要不可欠でした。私は、自分のことを作家というよりストーリーテラーだと思っています。チームのみんなは、私のアイデアに命を吹き込む手助けをしてくれました。

PS5™/PS4®『The Callisto Protocol』のクリエイター、Glen Schofield氏に特別インタビュー!

PS Blog:ゲーム内やキーアートで、ジェイコブが宇宙服を着た後も顔が見えていることに気づきました。これは彼の脆さを強調し続けるためなのか、ムービーシーンで感情を伝えやすくするためなのか、あるいはその両方なのでしょうか?

Glen Schofield:素晴らしい考察です。このゲームの柱のひとつは、“人間らしさ”です。 プレイヤーにはキャラクターと共感し、ジェイコブの生死をかけた闘いを実感してもらいたいのです。無口で顔の見えないキャラクターではなく、ジェイコブの人間性を前面に押し出し、ブラックアイアンプリズンを探索する際の恐怖やさまざまな感情を表現したいと考えました。

また、ジェイコブの顔を見ることで、例えばキャラクターの死亡シーンなどの迫力もアップします。最新の映像では、ジェイコブが下水管にある大きな換気扇に巻き込まれますが、彼の顔から恐怖が読み取れると思います。

PS Blog:これまでに発表されているキャストは比較的少人数です。それは、ゲーム内で語られるストーリーの都合のためでしょうか? あるいは、このジャンルで以前からあるようなタイプのキャラクター設定ではなく、それぞれの個性を掘り下げるような意図があるのでしょうか?

Glen Schofield:私がサバイバルホラーを好きな理由のひとつに、孤立感や恐怖感があります。プレイヤーにはカリストでの孤独感や閉塞感を味わってもらいたいので、登場人物は数人しかいません。ストーリーを進めるために他のキャラクターは必要ですが、ほとんどの場合、ジェイコブ(とプレイヤー)はひとりで行動することになります。

PS Blog:あなたのホラージャンルでの経歴は、語るまでもなく有名です。あなたはこのジャンルのどういった点に惹かれているのですか? 長年にわたってこのジャンルはどのように進化してきたと捉えていますか?

Glen Schofield:私は物心ついたときからSFやホラーのファンでした。映画『The Thing』が公開40周年をつい最近迎えてびっくりしています。 映画館で観たのを鮮明に覚えていますよ!

SFや広大な宇宙の未知なる世界を探検するというアイデアは、孤立や孤独、そして雰囲気や緊張感をもたらす圧迫感など、私がサバイバルホラーで好きなものにとてもよく合っているのです。

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The Callisto Protocol

・メーカー:KRAFTON, Inc.
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:ホラー
・発売日:2022年12月2日(金)予定
・価格: PS5 ダウンロード版 販売価格 Day One Edition 9,240円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 11,880円(税込)
    PS4 ダウンロード版 販売価格 Day One Edition 7,920円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 10,560円(税込)
・プレイ人数: 1人
・CERO:審査予定


PS Blogの『The Callisto Protocol』記事はこちら


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