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スクウェア・エニックスと「仁王」シリーズを手掛けるTeam NINJA(コーエーテクモゲームス)の共同開発による、3月18日(金)発売予定のPlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン)』。「FINAL FANTASY」シリーズの新たな方向性を示す本格アクションRPGだ。
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本記事では、開発者であるスクウェア・エニックスの藤原仁氏と井上大輔氏、Team NINJAの安田文彦氏にインタビュー。キャラクターデザインのこだわりや、ジョブシステムを中心としたバトルなどについてうかがった。本日1月25日(火)に公開された最新トレーラーに関する発言もあるので、まずは映像をチェックしよう。
『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』ファイナルトレーラー
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藤原 仁
Producer
2007年にスクウェア・エニックスに入社。『THEATRHYTHM FINAL FANTASY CURTAIN CALL』(プロジェクトマネージャー)、『DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA』(プロデューサー)など、複数のプロジェクトに携わる。本作ではプロデューサーとしてプロジェクト全体を統括し、チームのマネジメント、コンテンツの企画、予算、スタッフの配置、進捗管理など、幅広い業務を担当している。
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井上 大輔
Director
2005年にスクウェア・エニックスに入社し、複数のプロジェクトにさまざまな役割で参加。本作ではディレクターとして、ゲーム全体のディレクションを担当している。
【主な作品】
『DIRGE of CERBERUS-FINAL FANTASYVII-』(バトルプランナー)
『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES Ring of Fates』(イベントプランナー)
『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES Echoes of Time』(バトルリーダー)
『FINAL FANTASY XIII』(バトルプランナー)
『LIGHTNING RETURNS FINAL FANTASY XIII』(リードプランナー)
『DISSIDIA FINAL FANTASY OPERA OMNIA』(ディレクター)
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安田 文彦
Producer(コーエーテクモゲームス Team NINJAブランド長)
コーエーテクモゲームス執行役員、Team NINJAブランド長、仁王/NINJA GAIDEN IP(シリーズ)プロデューサー。2006年テクモ入社(2010年コーエーテクモゲームスに合併)。「NINJA GAIDEN」シリーズの企画/ディレクターを務めた後、『仁王』ディレクター、『仁王2』プロデューサー/ディレクターを経て、現職。本作ではプロデューサーとしてTeam NINJAスタジオ開発統括を担当している。
【主な作品】
『NINJA GAIDEN 2』(2008年)(プランナー)
『NINJA GAIDEN Σ2』(2009年)(メインプランナー)
『NINJA GAIDEN 3: Razor’s Edge』(2012年)(ディレクター)
『仁王』(2017年)(ディレクター)
『仁王2』(2020年)(プロデューサー/ディレクター)
トレーラーでジャックが持っているのは……!?
──本作は『FF1』の異説として描かれ、新しく公開されたトレーラーではジャックがスマートフォンのようなものを持っている姿が見られました。また、「よそ者」という言葉も非常に気になります。
藤原:正確に言うとスマホではありませんが、何か現代的なデバイスを持っているという描写です。ワイヤレスイヤホンやスマホのようなデバイスなど現代的なものを持っていることが、ジャックが「ストレンジャー」「よそ者」というアイコンであり象徴です。外部からやってきて、コーネリアに住む人々からすると歪に感じるところになります。
彼らが元々いた場所には、さまざまな世界の文化、それこそわれわれのいる現実世界の文化もあるのかもしれません。この謎は「ストレンジャー」たちの記憶とともにストーリーの中で明らかになるでしょう。
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──黒水晶も物語の核心に深く関わるような描写がされていました。
井上:水晶という名前のとおりクリスタルに該当するわけで、「FF」シリーズでクリスタルが重要なアイテムになるのは間違いありません。彼らがどうしてそれを持っているのかについても、いろいろな意味があります。
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──旅の仲間となるソフィアはどのような人物として描かれるのでしょうか。彼女もパーティキャラクターとして戦闘に参加させられますか?
藤原:ソフィアもジャックたちと同じ「ストレンジャー」のひとりとしてパーティキャラクターになります。
井上:人物像としては、パーティの中で最年長のキャラクターです。経験や知識を活かして、ジャックたちを支えるような立ち位置といえます。
カオスのデザインに込められた「恐怖」
──水のカオスのクラーケンと土のカオスのリッチのデザインコンセプトについて、本作特有の要素やこだわりをお聞かせください。
井上:カオスのデザインは、クリーチャーデザインを得意とする竹谷(隆之)さんにお願いしました。発注する際、パッと見たときに恐怖を感じるようにしてくださいとお伝えしました。クラーケンやリッチはその最たる姿というか、歪さを含め、人が恐怖するような印象になっていると思います。
『FF1』で表現されていたイメージも、ある程度は踏襲してもらっています。全くのオリジナルで見たことのないデザインではなく、『FF1』のカオスが『FFオリジン』という作品でどのような姿になるのか、恐怖というキーワードを含めてお願いしました。さらにいえば、クラーケンには「嫉妬」のイメージ、リッチには「恐怖・恐れ」のイメージがデザインに込められています。
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──セーラ姫やコーネリア王、ビッケ船長といった『FF1』のキャラクターが登場しますが、本作で表現するうえで難しかったところはありますか。
井上:セーラ姫とコーネリア王はロベルト・フェラーリが担当しました。セーラ姫に関しては、天野(喜孝)さんのイラストや野村(哲也)の想像しているものをベースにして生まれています。コーネリア王も原作のドット絵から膨らませていくしかないので、その意味では『DISSIDIA FINAL FANTASY』での考え方と同じです。
あのドットを今風にしたらどうなるか、ディティールを足したらどうなるか、そしてコーネリアという土地に住む人としてどうなるか。そういうところでデザインに起こしていきました。特にコーネリアの世界観という要素で難儀した部分はありますが、セーラ姫のデザインの方向性が決まって、ほかのキャラクターたちのデザインも固まっていきました。
ビッケ船長については、「ザ・海賊」というキャラクターなので(笑)、海賊がこの世界にいたらどうなるかを考えて描いてもらいました。また、野村の中にビッケ船長は金髪がいいというイメージがあって、そこも反映されています。
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召喚士は泣く泣く断念するも、アクションの楽しさが詰まったジョブを多数実装
──本作には「FF」シリーズでおなじみのジョブが多数登場しますが、どのような基準や考えで実装を決定したのでしょうか。
井上:アクションに落とし込みやすいジョブは先行してピックアップしましたし、僕が好きな赤魔道士のように「このジョブはなんとしても入れたい」というものもあります。またアクションのコンセプトを決めて、そこにジョブを当てはめていくパターンとして、オリジナルのジョブを作ることもありました。いずれにしても、アクションとしての楽しさを優先したところはあります。
安田:侍に「ぜになげ」を実装するのは難しいと言っていましたよね。
井上:そうですね。ジョブを象徴するアビリティを入れようとしたときに、バランスを取るうえでさすがに厳しいと思って諦めたものもあります。
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──ジョブの特性を本作のアクションに落とし込むうえで意識したことをお聞かせください。
井上:赤魔道士なら「連続魔」といったように「このジョブにはこのアビリティ」というところがありますし、侍なら刀を振るうジョブとして考えてアクションをつけるなど、そのジョブが得意とする武器を振ったときにどんなアクションがかっこよくなるかは意識しています。
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──ジョブアビリティの中で、お気に入りや特に注目してほしいアビリティはありますか?
藤原:自分が使っていて一番気に入っているのは、竜騎士の「ジャンプ」です。やはり、竜騎士なら「ジャンプ」は使いたいですよね。開発が苦心して作ってくれて、しっかりと”らしく”なっていますし、実際に竜騎士がジャンプしたらこんなアクションになるだろうというリアルな再現になっていると思います。
安田:僕も「ジャンプ」と言いたいところですが、「盗む」を挙げます。RPGなら想像しやすいアビリティですが、アクションゲームに落とし込むとまた面白いものになったと思います。RPGとアクションゲームのレイヤーの掛け算ができて、シンプルなのに斬新なアビリティになっていると思います。
井上:僕はせっかくなので、公開していないジョブから。斧や刀のように両手持ちの重い武器を得意とするジョブの中で、最上位ジョブのカテゴリーにブレイカーというジョブがあります。その固有アビリティ「斬鉄剣」はタメることで発動しますが、かなりピーキーな性能になっています。僕は大剣や斧など重たい武器で戦うことが好きなので、いかにして「斬鉄剣」を叩き込むかを考えながら立ち回るのは楽しいです。
──「斬鉄剣」といえば、「FF」シリーズでは召喚獣オーディンの技として連想できます。本作で召喚はどのような扱いになっているのでしょうか。
井上:召喚は泣く泣く諦めた要素です。何を召喚するのかを含めていろいろ考えましたが、本編で召喚士というジョブを入れるのは厳しかったので断念しました。
藤原:基本的には『FF1』をモチーフとした世界観です。『FF1』に召喚獣はいなかったので、本作にも召喚獣は出てきません。
──バトルセットチェンジについて、お気に入りやおすすめの構成があればお聞かせください。
井上:弱点を補い合うようなジョブセットもいいですが、僕は特化型を作ることが多いです。たくさんの武器種がある中でも大剣を振ることが好きなので、あえて大剣を軸にしたジョブをふたつセットします。
一方は速く振るアクションで構成したジョブ、もう一方はMPコストが高いけれど高威力のアビリティを撃てるジョブにして、バトル中に敵の隙を見つけたら、瞬時に重たい攻撃を叩き込む……。そんな大剣特化型のジョブセットです。武器種が変わるとアクションも変わりますが、ふたつのジョブで同じ武器種なら立ち回りが安定しやすい面もあります。
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──パーティメンバーのNPCには、それぞれどのような得意分野があるのでしょうか。その得意なジョブによって身につけられる装備品が決まるという仕組みになりますか?
井上:例えばソフィアなら魔道士系のジョブを扱うことが得意です。プレイヤーは各NPCに用意されたジョブの中から選んで、そのジョブによって装備できるものが決まる形です。
──ちなみに、ガーランドの鎧は装備できますか?
井上:装備品としては登場しません。
体験版フィードバックから発売に向けて
──体験版第2弾のユーザーアンケートを受けて、第1弾から改善した点やマルチプレイの評価、また今後必要な調整などがあればお聞かせください。
安田:1回目から2回目にかけて、アクションは引き続き高い評価をいただくことができました。1回目に指摘が多かったグラフィックやフレームレートの安定性、あとはNPCのAIについては、長期的に対応してきました。2回目ではグラフィック等を改善して評価も上がりましたが、NPCのAIやマルチプレイでマッチングしづらい点は多くの指摘をいただきました。現在はマスターアップに向けた時期ですが、マッチング面はハードごとの最適化に力を入れていますし、NPCに関しては同行するキャラクターの個性を出せるとこまで調整できたと思っています。
──最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
藤原:2回の体験版が終わって、3月にはついに発売を迎えます。予約ページでも公開しているようにシーズンパスでDLCの配信も予定しており、発売するまでがゴールではなく、発売してからもなお『FFオリジン』の展開が続きます。ぜひそちらにもご注目いただき、まずは発売を楽しみにお待ちください。
井上:開発の進捗段階は「100%」と言うようにしています。あとはみなさん、ぜひ楽しんでいただければと思います。
安田:体験版からプレイヤーのみなさんやスクウェア・エニックスの方々とコミュニケーションを取らせていただいて、「FINAL FANTASY」のアクションゲームを、Team NINJAとしての新しいアクションRPGという意味でもしっかり作ることができました。発売して触っていただいて、また意見をもらえればDLCなど今後の展開にも活かしていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN
(ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アクションRPG
・発売日:2022年3月18日(金)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 Standard Edition 8,800円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Standard Edition 8,800円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 12,650円(税込)
・プレイ人数:1人(オンライン時:1~3人)
・CERO:D(17才以上対象)
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© 2022 KOEI TECMO GAMES/SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA
LOGO ILLUSTRATION:©2021 YOSHITAKA AMANO
※ゲーム画面はすべて開発中のものです。
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