PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『ドキドキ文芸部プラス!』は、文芸部に入部した男子高校生として4人の部員たちと交流するビジュアルノベル。ベースになっているのは、2017年にリリースされた『ドキドキ文芸部!』。一見すると日本生まれの恋愛ゲームのようだが、アメリカのスタジオTeam Salvatoで制作され、全世界で1,000万ダウンロードを記録した話題作だ。
『プラス!』版では、書き下ろしサイドストーリーが新たに追加され、遊びごたえがさらにアップ。ほかにも、CGや楽曲などが新規収録されたり、ミュージックプレイヤーが搭載されたりしている。
なお、パッケージ版には以下の初回特典が付属する。購入はお早めに。
※店舗によって初回特典は終了している場合があります。
・キャラクタースタンド4個セット
・フロッピーディスク型ペーパーカードに印刷したフルサウンドトラックダウンロードコード
・ステッカーシール
・ドキドキ文芸部メンバーズカード
・モニカが書き下ろした詩
・キャラクターしおり4枚セット(アジア版限定)
『ドキドキ文芸部プラス!』プロモーションビデオ
待ち受けるのは詩と恋、そして……! 予備知識なしでプレイしたい異色作!
一見すると、オーソドックスな恋愛系ビジュアルノベルのような『ドキドキ文芸部プラス!』だが、それは外側だけ。実際にプレイすると衝撃的な展開が待ち受けており、「なるほど、こっちのドキドキか」とタイトルを深読みしたくなってしまう。できれば予備知識なしでプレイしてほしいので、興味をそそられた方はここで回れ右してもらってもかまわない。ここからは、できるだけネタバレを避けつつプレイレビューをお届けしよう。
なお、発売元からは「このゲームはお子様や精神状態が不安定な方には適していません」との注意が出されている。ゲームスタート時にも警告が表示されるため、該当する方はプレイを見合わせるか、オプションメニューで警告表示を有効化することをおすすめしたい。
CHECK POINT ①
キーワードを選んで詩を作成。好みに合えばヒロインと親密に!?
主人公は、幼なじみのサヨリに誘われ、創設まもない文芸部に入ることに。彼以外の部員は4名。才色兼備な部長・モニカ、いつも明るい副部長のサヨリ、マンガ好きのナツキ、重厚なファンタジー小説を愛読するユリと、いずれも個性豊かな女の子ばかりだ。
サヨリ
主人公を文芸部に誘った幼なじみ。副部長を務めている。いつも笑顔で、周囲を幸せにするために行動している。
ナツキ
つい強気に振舞ってしまう、素直になれない女の子。実はかわいいものが好きで、友達思いの一面も。
ユリ
本を愛する物静かな少女。人見知りが激しく、会話も得意ではないが、好きな本の話になると饒舌に。
モニカ
文芸部を立ち上げた部長。部活においても恋愛においても、主人公を引っ張ってくれる案内役。
文芸部が力を入れているのは、詩の創作。それぞれが思いを込めて詩をつづり、他の部員たちに読んでもらうという活動を行なっている。主人公も詩を書くのだが、いちから文章を組み立てるわけではない。ノートに並んだキーワードから、好きな単語を選んでいくだけでOKだ。ただし、ヒロインごとに好きな言葉があるため、どのワードを選んだかによって彼女たちの評価も大きく変わる。
自分の好きなワードが選ばれると、画面下のSDキャラが喜ぶので、それをヒントに詩を組み立てていこう。ストーリーの分岐にも関わるので、誰がどの言葉を好むのか想像しながら詩を作り上げるのが楽しい。いつも笑顔の女の子が意外とダークな言葉を好むなど、思いがけない一面が垣間見えるのも興味深い。
作成した詩を部員一人ひとりに見せていくと、思わぬ反応が返ってくることも。主人公の詩がもっとも心に響いた相手とはコミュニケーションがさらに深まり、特別なイベントが発生することもある。
自作の詩を読ませるだけでなく、ヒロインたちが書いた詩を読むこともできる。詩から、彼女たちの心象風景をうかがい知るのも楽しみのひとつ。一人ひとり筆跡も違い、そこからも性格を知ることができる。
CHECK POINT ②
恋愛ゲームから一転、サイコホラーへ──。現実を侵食する恐怖を体感せよ
詩を作って、女の子たちとコミュニケーションを深めて……という流れは、一般的な恋愛ゲームとさして変わりない。だが、文化祭が近づくにつれて、徐々に不穏なムードが漂い始める。ここからはある程度、このゲームの核心に触れざるを得ないため、事前情報を一切入れたくない方はこのあたりでお引き取りいただいたほうがいいだろう。
実はこのゲーム、ごく普通の恋愛ビジュアルノベルを装っているものの本質は別のところにある。その実態は、サイコホラー。ゲームスタート時に警告されたとおり、ストーリーを進めていくとショッキングな表現も見られるため、気持ちが弱っている方は注意が必要だ。何も知らずにのほほんとゲームを進め、「あれ? なんか様子がおかしい?」と思ったときにはすでに手遅れ。彼女たちの行く末を、固唾を飲んで見守るしかない。
とはいえ、「ギャルゲーに見せかけて実はホラー」というゲームはそれほど珍しくはない。ついさっきまでニコニコしていたヒロインが突如豹変したり、主人公を慕いすぎるあまりヒロインが病的な様相を見せたりするゲームは過去にも存在した。だが、このゲームのポイントは、メタフィクション性が高いこと。モニターの向こう側で繰り広げられていた物語が、こちら側──つまり現実にじわじわ沁み出してくるような生々しい恐怖を覚えずにいられない。詳しくは語れないが、あるシーンではゲーム内の登場人物から直接自分に語りかけられているようなギミックがあり、ゾワッと震えてしまった。しかも、こうしたメタフィクション要素はゲームの攻略法にも関わってくる。実に挑戦的であり、挑発的な作品と言えるだろう。
CHECK POINT ③
静かに育まれる部員たちの友情。サイドストーリーで新たな一面が明かされる!
今回『ドキドキ文芸部プラス!』に生まれ変わるにあたって、新要素も多数追加されている。中でも注目したいのが、ゲームの進行度によってアンロックされていくサイドストーリー。主人公は登場せず、4人のヒロインたちの関係性にフォーカスした6編+αの物語を楽しむことができる。各エピソードはモニカとサヨリ、サヨリとユリなど、ふたり一組の物語になっており、メインストーリーでは明かされなかった個々の結びつきが描き出されている。
時系列は主人公が入部する前らしく、モニカが文芸部を立ち上げ、他のメンバーが参加するようになった経緯など、文芸部創設当初のエピソードが丁寧に語られていく。趣味嗜好の違う人を拒絶するのではなく、どうやって相手を認め、尊重していくか。お互いにとって心地よい距離感を、どのようにして探っていくか。人づきあいにおいて大切なメッセージも語られ、読んでいると温かい感情が湧いてくる。もちろん、サイドストーリーでしか見られないイベントCGも複数用意されている。
とはいえ、これらのサイドストーリーで語られているのが真実かどうかは、プレイヤーに委ねられている。ゲーム内のある文章を読むとすべてを鵜呑みにできない気もするが、そこはプレイヤーの解釈次第。逆に、ここで描かれたことがすべて真実だとすれば、本編の展開がより一層切なくて悲しいものに思えてくる。これぞ『ドキドキ文芸部プラス!』。サイドストーリーでさえもひと筋縄ではいかない、企みに満ちた問題作といえるだろう。
『ドキドキ文芸部プラス!』プレイ動画
ドキドキ文芸部プラス!
・発売元:PLAYISM
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:ビジュアルノベル
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 4,200円(税込)
ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
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