“新生(アライズ)”させる想いを込めた『Tales of ARISE』──富澤Pインタビュー【特集第2回/電撃PS】

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“新生(アライズ)”させる想いを込めた『Tales of ARISE』──富澤Pインタビュー【特集第2回/電撃PS】

隣り合うふたつの星、ダナとレナを舞台に紡がれる、自由を求めて立ち上がる物語を描く“心の黎明を告げるRPG”『Tales of ARISE』(以下『アライズ』)。9月9日(木)の発売日を前にお届けする特集第2回では、本作のプロデューサーである富澤祐介氏にインタビューを実施。

25周年という長き歴史のあるシリーズながら、これまでの作品とは一線を画すチャレンジを選択した理由、そして用意されたシステムのおもしろさなどを余すことなくお届けする。

富澤祐介

『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』から「テイルズ オブ」シリーズのプロデューサーに就任。『アライズ』のプロデューサーを務めるほか、「テイルズオブ」ブランドのIp総合プロデューサーとしてIp全体の統括やコミュニケ―ションも行なっている。

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“継承と進化”という相反するテーマを、どうバランスよく両立させて実現するかに注力

――まずは『Tales of ARISE』の企画がスタートした経緯と、開発内で共有したコンセプトを教えてください。

富澤祐介氏(以下、敬称略):企画自体は2016年終わりくらいで、前作の『テイルズ オブ ベルセリア』(以下『ベルセリア』)が発売されてからすぐスタートした形です。『ベルセリア』がPlayStation®3からPlayStation®4の過渡期に発売されたタイトルで、次に作るならばPS4世代をベースにしたクオリティアップを提供する必要があると、開発内でもイメージしていました。

また、「テイルズ オブ」シリーズは『ベルセリア』くらいから、日本だけでなく世界中のユーザーさんに楽しまれるコンテンツになってきましたが、残念ながら海外での同時展開ができていませんでした。そこで、企画の初期段階からワールドワイドで、プロモーションも含めて同時展開を視野に入れていきました。

その際、どのような進化をさせた作品を「テイルズ オブ」の新作として出すべきか、初期の課題として議論を重ねました。これまで以上にフラットに考えて、開発コンセプト、スローガンを固めていった形です。

本作は結果的に25周年での発売となりましたが、長い歴史があるシリーズだからこそ、ただ単に今までにないものを提供してもファンの方には受け入れられないのはわかっていました。“継承と進化”という相反するテーマを、どうバランスよく両立させて実現させるのかということですね。

一方でハイエンドのグラフィックに基準を合わせることも最優先課題でした。ですが、単にフォトリアルな方向に合わせるのではなく、「テイルズ オブ」という作品が持つ魅力が何かを、アートやシナリオなどいろいろ再分解して聖域を作らずに一度見直しました。

そのなかで今のユーザーさんが求める基準に合わせるべき要素、逆に「テイルズ オブ」シリーズとしてしっかり守らなくてはいけない要素というように、細かく分解して検討しています。

――“開発始動”のアナウンスは2018年の「テイルズ オブ フェスティバル」で行なわれました。そこから3年がかかった理由は、やはりその再分解に時間がかかったということでしょうか?

富澤:そうですね。発表前から計算すると都合5年かかっています。初期の段階で1年近く時間をかけるのは普通ですが、なかでもコンセプトを見直してという部分は、今まで発売したどの作品よりも時間をかけました。

また「テイルズ オブ」シリーズは、とくにシナリオの重要性が高い作品です。“卵が先か、にわとりが先か”ということに近いですが、シナリオが先かシステムが先かという話がありまして。開発スタッフも考え方はそれぞれで、そこは永遠の課題でして今回もそこは議論をしながら進めました。

今までは比較的シナリオを先行して作ることが多かったですが、今回はまずコンセプトから固めていきました。再構築したという意味でとても時間をかけています。

――ゲームシステム面でいえば、とりわけグラフィック周りの表現はこれまでにない方向性で、そのクオリティに目が奪われました。

富澤:『アライズ』では特徴的なアートスタイルを目指して、アトモスシェーダーという表現方法を採用しています。「テイルズ オブ」シリーズらしく、かつ現在のゲーム市場においても魅力的に見えるアートスタイルの開発は、開発初期から目標としてきました。

ただ、初期の段階では今のように調和のとれた美しさを再現するのが大変でした。Unreal Engine 4をベースに、テストパイロットで絵作りを何度もテストを重ね、マスター直前までひとつひとつこだわり続けました。じっくりクオリティアップしたことで、今回のアートスタイルを構築できたと思います。

さらに時間をかけた部分でいえば、ローカライズのクオリティアップもそうですね。今回は世界同時発売を最初に目標としており、そのためには11言語にもわたる膨大なテキスト作成と日英の音声収録が必要で、とても通常では同時に進められないボリュームでした。

そこで、発売までに多言語に対応させた形にもっていくためには、ローカライズチームとどう取り組めばいいのかをしっかり検討しました。最終的には、圧倒的な物量に対して向き合う時間を相当かけただけあって、安心できるクオリティの作品にできたと思います。

――海外も同時展開するということで、クオリティの到達ラインで海外タイトルを意識した部分はあったのでしょうか?

富澤:そうですね。ここ数年で海外のAAAタイトルの隆盛もあり、ゲームデザインやベースレベルがグッと上がったのは間違いないと思います。これはジャパニーズスタイル、欧米スタイルという区分に限らず、ゲーム体験自体がレベルアップしてきた感じです。

『アライズ』もゲーム体験のグレードを上げる指針として、海外タイトルを参考にさせてもらった部分はあります。だからといって、一概に欧米スタイルをならおうというわけではありません。Unreal Engine 4を採用した理由も、検証をいろいろ重ねて作品を一段とよくするツールとして有用だったからです。

――そんなさまざまな想いが込められた本作ですが、現在体験版が配信されています。こちらはかなりの高い評価を得ていますが、反応を見ていかがですか?

富澤:体験版でご提供できたのはグラフィック部分と、進化させた新しいバトルです。みなさんが期待するストーリーはあえてほぼ伏せていますが、そのふたつの大きな進化をお伝えできたと思います。

ユーザーさんの反応は非常にあたたかく、「ひさしぶりに「テイルズ オブ」を遊ぶ」とか、なんなら「これが初めての「テイルズ オブ」です」というご意見を多くいただいていまして。そういったこともあり「私たちの狙いは伝わっているんだな」と実感して、ホッとしているところです。

今回はいずれもチャレンジを伴う進化だったため、体験版配信前は「今までの「テイルズ オブ」とは違う」という戸惑いのご意見もたくさんありました。そこを心配されている方は、ぜひ体験版で確かめていただきたいです。

――たしかに体験版はビジュアルとバトルの進化をしっかり味わえました。この体験に「テイルズ オブ」らしいストーリーやキャラクターたちが上乗されるとなると、「これは間違いない!」という安心感がありました。

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遊びながら何かしらの気づきや考えを持つきっかけになってくれたら

――本作は支配からの解放という、やや“重い”テーマを描く物語になりますが、今回はどういった層に響く物語を届けようと考えられたのでしょうか?

富澤:「テイルズ オブ」は25周年ということもあり、多くのファンに支えられてきましたが、『アライズ』は新たなユーザーさんにも届けるタイトルになります。これまでシリーズでは人々の対立、葛藤、正義のあり方を繰り返して描いてきました。今回もコンセプトを決める初期から、そこに対してストレートに挑戦したいと考えていました。

冒頭から主人公のアルフェンが奴隷であるという、過酷な状況を用意しました。これには支配に抗って解放を目指すという心の強さを描くことで、ゲームとしてのわかりやすさも表現できると考えたからです。

そして今回はダナ人とレナ人の混成パーティで、彼らがこの重い背景がある世界でどのように生きていくのかが描かれます。その結果、成長だったり和解だったりといろいろな顛末があります。そういったもののなかで生き方を選び、それを通しての成長や絆の大事さを感じ取ってもらいたいですね。

とはいえ、重い背景でのドラマを通して暗くて重い気持ちにさせる狙いで作った作品ではありません。何かしらの気づきや、考えを持つきっかけになってくれたらという想いを込めています。メインシナリオはキャラクターの魅力を十分に引き出す、奇をてらわずに「テイルズ オブ」シリーズというRPGとしての深みのある体験を味わっていただけるのではないでしょうか。

また、本作がアンサーを提示する意図はありませんが、制作してきたこの5年の間には、分断された社会の姿が現実社会でもクローズアップされることが多い印象がありました。多くのユーザーさんたちもそれらに対してどこか他人事ではない、誰もが何かしらの側面でマイノリティのような感覚を抱いて生活されている、そんな時代になったと思います。

そういった部分に対して、共感や考えさせられる要素はありつつも、同時に純粋にゲームをプレイすることで気持ちよさだったり、開放感だったり、爽快感だったりを提供し、明日への前向きな期待や勇気、ワクワクする気持ちになってもらえたらと思っています。そのためには、このアクションRPGという気軽な爽快さとじっくり物語に向き合える体験というのは、とてもマッチしているのではないでしょうか。

――たしかにプレイをしながら「これは現実世界のあれに重ねているのかな?」と考えさせられる場面も多かったです。とはいえ、そこを説教臭くなく、キャラクターの魅力に載せて描いているところがグッときました。

富澤:そのあたり、この作品は独特の抑制のきいた語り口を持っているかもしれませんね。メインシナリオだけによらず、作品全体を通してキャラクターやパーティの魅力がじわじわと炙り出されるような構造を持っているので、ぜひ皆さんにはサブクエストなども含めて隅々まで楽しんでもらいたいです。

――そんなシナリオですが、今回は社内で制作されたのでしょうか? シリーズでは外部のライターさんが参加されるケースもありましたが。

富澤:社内と社外のライターがコラボしたような形ですね。より新鮮なアイデアを取り入れていくことも必要なので、初期に社外のライターさんを含めて検討しながら原案を作り、社内のスタッフを中心にゲームの要件に合わせてさらなるアレンジをしていった形です。これまでよりもシナリオ作りという部分も時間をかけていますね。

先ほども言ったように“シナリオが先か、システムが先か”という議論は常にあり、シナリオとして訴えたいことと、ゲームとしてやりたいことを、どのように最後まで突き合わせ続けられるかという課題がどうしてもあります。

――そういった意味では、シナリオの内容がタイトルにも大きく影響していると思います。もし可能でしたら「こんなことを意識して遊ぶと、より楽しめるよ」というヒントをいただけますでしょうか?

富澤:この“ARISE”という単語は、じつは2016年から開発コードとして使われていました。それこそ開発者たちの“精神性の台座”みたいなものですね。この単語には“新たに起き上がる、立ち上がる”というような意味合いがあります。

『ベルセリア』を制作したあとに、よりシリーズを一段階上げて新生する覚悟をもって臨んでいる作品にピッタリかなと。ただ、最初に誰から出てきた言葉だったかは判然としませんが、スタッフの中から自然と出てきた言葉であったと記憶しています。

もちろん、正式にタイトルを決める際には、これだけ歴史があるシリーズですから自分たちの想いだけでは通りません。それこそ略称をかぶらないようにするべきかという議論もありましたし、また、世界中をターゲットにすると考えると、なおさら針の穴を突くようなリサーチが必要です。

当然何十、何百と世界中のマーケティング担当がリサーチして、どんなタイトルがいいのかというのを決めていくのですが、ずっと消えずに“ARISE”という単語は残り続けていましたね。結果的にさまざまな案を踏まえつつも「やっぱりこれだよね!」と満場一致で決まりました。今考えると、プロジェクトメンバー全員が、この力強いタイトルに気持ちを乗せて作っていたからなのかと感じています。

結果的にこのタイトルは作品内においても、苦境に立たされたキャラクターたちが立ち上がっていくというシナリオともリンクして、中身を表すという意味でもマッチしていると思いますので、自信をもって推していきたいです。

なお、ファンのみなさんからは「シリーズの略し方である『TO●』の表記だと、『テイルズ オブ ジ アビス』の『TOA』と被るよね?」という意見もいただきました。でも「それでもこの思いを伝えたい」「みなさんにその経緯を説明してでもこれで行きたい」「このブランドを新生させたい!」というチームの総意でもあります。

――となると、プレイするときはあらゆる面で新生させるんだというスタッフの想いと、キャラクターたちの逆境から立ち上がっていく生き様に注目して遊ぶと、より楽しめるということでしょうか?

富澤:そうですね。『アライズ』には“心の黎明を告げるRPG”というジャンル名を付けています。キャラクターそれぞれが抱く葛藤に対してどのように向き合い、どんな夜明けを迎えることになるのかなど、そこにもイメージを重ねて付けましたのでご期待ください。

キャラクターたちが絵画の中に没入していくような表現にこだわった

――本作では岩本稔さんがキャラクターデザイン、アートディレクションを担当されています。岩本さんにデザイン面で伝えたことはどんなことでしょうか?

富澤:今回、岩本にキャラクターデザインとアートディレクションを一緒にお願いした理由としては、今まで以上に画面のなかに統一感を構築したいという思いがあったからです。また、新規の方や海外のユーザーさんも含めて「テイルズ オブ」シリーズが積み上げてきた、いわゆるセオリーを知らない方もたくさんいます。

そのため、新たに入りやすくするためにも、その統一感の再構築は作品に必要でした。さらに、クオリティアップした世界で、キャラクターたちが今まで以上に生き生きと冒険や生活をしているような感覚を味わってもらいたいと考えました。そこが根幹として一番強い願いですと、岩本には初期から伝えました。

もちろん「テイルズ オブ」シリーズらしい、キャラクターの尖った部分も出すことも大事でしたので、そこのバランスを取ることが岩本のミッションで、そこは何稿もデザインを重ねて苦労していましたね。また、キャラクターの等身を上げたことでモーションが変わり、ゲーム内でできるフィールドアクションもすべて改定したので、それに足るキャラクターデザインも重要でした。

そしてアトモスシェーダーを使った背景は、遠くに行けば行くほど絵画調になり抽象感が出る作りにしました。ただし、キャラクターや近景に関しては、しっかりとディティールを見せる表現にしています。

この絶妙で奇跡的なバランスにいたるまですごく苦労しましたが、Unreal Engine 4がもつリッチな光源表現などの効果がそこをうまくつないでくれた形です。まるでキャラクターが絵画のなかに自然と没入していくような表現は、本作のフィールド体験に独特な魅力を与えてくれていると思います。

――たしかに風景は何気なく撮影したスクリーンショットでも、額縁に入れて“映える”クオリティですよね。

富澤:そこは岩本をはじめ、ビジュアルチームが5年という長い開発期間の大半を、クオリティアップにこだわって作りつづけてくれたおかげだと思います。アトモスシェーダーの効果だけですべてが素晴らしいものになるわけではなく、その特性を生かした個々の背景の「デザイン」が緻密になされることによって初めて「絵になる風景」が生まれるのだと思います。

これは開発チームとしてのチャレンジであったし、個人的には当時岩本に伝えた“キャラクターと世界の整合性”という要求を、圧倒的に進化させた形で実現してくれたという手応えはあります。

――では次にキャラクターの魅力という部分でのアピールポイントを教えていただけますか?

富澤:パーティメンバー6人のキャラクターバランスで言えば、ダナ人とレナ人がパーティに混在しているというのが今回のパーティ設計のポイントです。キャラクターデザインでも、その人種の違いを感じさせたいということは岩本も熟慮してデザインしてくれました。レナ人にはレナの文化、ダナ人にはダナの歴史がある。それがデザインの大本にあります。

たとえばテュオハリムの護衛であるキサラは、ダナ人ですけどもレナ人の装備を支給されて近衛兵みたいな雰囲気を出すとか。そういった見た目が大きな世界観の設計図とリンクしています。これまでのデザインプロセスとは違っている。シナリオのなかで自然さを感じられるキャラクターが多いと思います。

そういう考え方をしたうえで「テイルズ オブ」シリーズらしい、キャラクターの個性やバランスをかけあわせて最終的なデザインを決めました。とくに主人公のアルフェンは、これまでのシリーズと比べても重厚な鎧を装備していて、最初に発表したときは「シリーズにこんなフルアーマーの主人公が出るのは初めてだ、新鮮だね」というご意見もたくさんいただいていました。

じつはアルフェンは痛みを感じることができない設定なので、ケガをしても気づかないんです。だからこそああいった鎧に身を包んで旅を続けないといけないと。そういう設定からひとつひとつ考えながらデザインを起こしていますし、それを物語とリンクさせるために彼はゲーム中で何度か衣装をチェンジすることになります。

――ちなみに、発表されているキャラクターのイラストは正面からのもので、ゲーム中は背後から見るようになります。なかでもキサラの衣装が、正面と背面のギャップが大きな話題になっていましたが、そこはやはり狙っているのでしょうか?

富澤:キサラはテュオハリムを守る近衛兵という意味合い、立ち位置をしっかりデザインに落とし込みたいというのがありました。結果、女性キャラクターであそこまで鎧に身を包み、しかも巨大な盾を持つようなデザインはシリーズでも初めてだと思います。テュオハリムを守る盾になるという意思を、デザインからも感じていただけるのではないでしょうか。

ただ、うしろは若干スキがあるという(笑)。こうしたギャップをデザインの中に同時に表現するのはキャラクターづくりのひとつの手法ですが、これをパッとデザイン案として出してくる岩本はすごいなと感心しました。

――次は格段にクオリティが上がった印象を受ける3Dでの演出ですが、ufotableさんのアニメも変わらず採用されています。シーンごとの演出方法は、どのように選定していったのでしょうか?

富澤:今回は3D演出と2Dアニメ素材の使い方を、これまでのシリーズから変えたことも大きな特徴です。もちろん、意図なくやったわけではなく、スキットが3Dになった理由もあります。これは冒険をしているとき、キャラクターが変わらずにそこにいる実感を出したかったからなんです。

例えば初めてシリーズに触れる人にも、ゲームの全体の体験のなかで、キャラクターイメージの同一性を阻害しないようにするために、3Dでスキットを表現する方法を採用しました。コミック形式の独特な演出に加えて、背景付きで、さらに時間経過も含めてゲームで体験している状況そのままにスキットに自然に移行している感覚が得られることで、本当にその場にキャラクターたちが生きて存在していると感じられると思います。

これまでの2Dアニメーションで展開するスキット表現は、ある意味「テイルズ オブ」シリーズの伝統文化であり、個人的には歌舞伎や能の構成演出のようなものと解釈しています。ですが、今回はチャレンジとして統一性のある冒険演出をするため、3Dでの演出にチャレンジさせてもらいました。

結果的に3Dだからこそできる魅力的な演出、衣装の反映も含めて、そこにいるキャラクターの同一性を感じることができ、統一感の演出に強く寄与できたと思います。こちらは体験版でも見ることができるので、ぜひそこで確認していただきたいですね。

キャラクターを好きになる要素としてスキットはすごく大事だと思っていますし、キャラクターの魅力は変わらずに実感してもらえると思います。今回のスキットは漫画に近いレイアウトで、イベントムービーとのハイブリッド的な表現を生み出せたことで、可能性のある表現に着手できたなという手応えがあります。まだまだグレードアップの余地があると思いますし、今後も突き詰めたいフォーマットですね。コマのサイズやキャラを動かすのも自由ですし。

ちなみに、開発当初は演出家がいなくて途方に暮れていまして。実はこの表現だと、究極のところ何でもできてしまうんです。全画面にすればそのままイベントシーンにもなりえますから。どう落としどころを付けるのか、コミカルとシリアスで演出方法を変えるのかなど、単なる映像を作るより難しいんですね。そのため、開発の途中に漫画の編集部さんにお見せして、漫画的なコマ割りや表現をご教授いただきました。

――たしかにスキットはいわゆる漫画的な見せ方で、テンポよくページをめくるような感覚が新しかったです。一方でオープニングや劇中ではufotableさんのアニメも用意されていますが、こちらを残した理由はいかがですか?

富澤:3D演出の幅は大きく広がったとはいえ、先ほどの歌舞伎の話ではありませんが「キャラクターたちを2Dアニメで見たい!」という声があることもわかっています。だからこそカットシーンのなかでハイライトを抽出して、2Dアニメだから感じられる魅力をそこで表現しています。もちろん、オープニングアニメもそうですね。

今回3Dモデルのクオリティがものすごくあがったので「お互いがんばりましょう」という形で、開発チームのなかで発破をかけるわけじゃないですけど、ufotableさんに負けないように3D演出側もがんばっていった感じです。ufotableさんはまさに至高の域に達していますからね。

「テイルズ オブ」シリーズがアニメを採用してきた歴史と、ゲームが3D化していった進化の歴史が、25周年タイトルの『アライズ』にはある意味含まれているんです。当然その関係性は時代とともに変わっていくわけですが、お互いの進化を止める必要はないと思ます。

雑な例えかもしれませんが“歌舞伎の世界をもっと広げるためにスーパー歌舞伎をやればいい”という発想で考えています。これは勝手な考えかもしれませんが(苦笑)。ひとつひとつの表現においてお互いが限界を決めず、お互いのよさをせめぎあって高めあうことが、今後の作品でも大切だと考えています。

行動の選択肢を増やすことでスピーディーなバトルを演出

――「テイルズ オブ」シリーズといえば、キャラクターを操作しての爽快なアクションが支持されている作品です。今回のバトルはどんな部分に力を入れ、どんな遊び方をしてほしいと考えていますか?

富澤:今回のバトルは間口を広くしたいと考えました。「テイルズ オブ」シリーズとしてのやり込みと、コンボなどを中心にしたバトル設計のやり込みの両方を満たすためのバランスが開発の課題でした。そこで直感的なアクションを強化し、今までよりレスポンスをアップしています。

そして重視したのが、アクションが途切れないように取りうる選択肢を増やしたことです。たとえばこれまで術技のゲージがなくなったらガードや距離をとってゲージが溜まるまで待つ、というようにヒット&アウェイ的に選択肢が限られていた状況に対して、本作ではさまざまな攻撃的行動の選択肢を組み合わせることでゲージがどんどんと回復し、結果的に途切れずより良いコンボ攻撃を続けることができるという、プレイヤーにアグレッシブなアクションを促す設計を行なっています。

回避をうまく行なうことで敵の隙をついて反撃できるシステムも同様で、避けて回り込むという行動も自分の積極的なアクションのひとつとして活用できるわけです。バトル中に見るべきはゲージよりも自分と敵の行動の反応であり、よりスピーディーで爽快感のあるアクションが生まれた背景にはそういう思想があります。

――これまでのシリーズ概念を変えた設計ですよね。術技を出し惜しみするのではなく、どんどん使えるのが爽快感で楽しいと感じました。

富澤:HPを回復したり、サポートアクションの「ブーストアタック」を使ったりすればグンと回復するなど、AGの回復事項がたくさん用意されていますので、積極的に戦うことが絶え間ないアクションを出せることにつながるのです。この気持ちよさはプレイしていただければわかってもらえると思います。

――そういったアクション性が増したことで、ストーリーを重視して楽しみたいアクションが苦手な層には、体験版ではボス戦の難易度が高い印象でした。このあたりのバランスはいかがでしょうか?

富澤:体験版のボスは少し強く設定されているので、そういう風に感じられる方が多かったかもしれません。製品版ではチュートリアルがしっかり用意され、回避など肝となる敵への対処方法を学習しながら戦っていく流れを設計していますのでご安心を。

また、どんな方でも爽快に戦えるように用意したのがブーストアタックです。これを使うとコンボがカンタンにつながるようになります。ガチャ押しプレイの場合、これまではTPがなくなったら術技が出せず、そこで動きが止まってしまうわけです。

本作ではその待つ間にブーストアタックを使って別のキャラに行動してもらうと、その間にAGが回復するので操作が戻ったらまた自在に術技を出すことができます。そこはシンプルに設計しているので、このリズムさえ覚えていただければ、バトルはガンガン戦えますしコンボがつながります。

ですので、けっしてボス戦で立ち行かなくなることはないと思います。ブーストアタックの特性効果を考えると、より有利に戦えますよ。今回はこの特性効果を含めて、パーティ全体で戦える設計になっているのも特徴です。あとは、体験版にはなかった要素として各キャラクターに多様な追加スキルが用意されていますので、これらを獲得していくことでバトルはさらに優位に、かつ戦略の幅も広がります。スキルパネルの解放順は多くはプレイヤーさんの選択にゆだねられていますので、ぜひご自分の欲しい能力を目当てに、発売後はぜひさまざまな戦い方を開拓してみてください。

――ブーストアタックの特性はキャラクターにいわゆる“ロール”的な役割を与え、パーティ全員で戦う感じがとても楽しいですね。

富澤:今回のパーティは6人で、バトルに参加できるのは最大4人となります。ですが、ブーストアタックは控えのメンバーでも出せますし、交代もいつでも可能です。ロール的な役割を強く意識した理由は、本作のアクション性の向上も含めてキャラクターのバトル上の個性をより強化したいという狙いからです。

ブーストアタックの使いどころがわかってくると、ブーストゲージの溜まり方がどんどん気になるんですね。そうすると、次第にそのキャラクターを操作してみたくなると思います。これまで以上に主人公以外のキャラクター操作にも興味をもっていただけるのかなと。そんな深みにも自然に至っていただける作りにしているつもりです。

最初は難しいと感じても、直感的にプレイしながらコツに気づいてもらえると思います。いろいろトライしながら、最終的に6人が集まるころには自然と使いこなせるようになっているはずです。“本作なりのパーティバトルのやり込み”をしてほしいというメッセージでもあります。

――バトルでは協力技である「ブーストストライク」も重要なポジションになるシステムです。これは威力もさることながら、たとえば「動きを止める、息の根止める」「コチコチ、ハンマー」のように、セリフの掛け合いのテンポ感と演出が洗練されていて、とても気持ちよく遊べるように作られている印象を受けました。

富澤:ブーストストライクのキャラクターの組み合わせは、しっかり楽しめるように設計しています。体験版では3つしか収録していませんが、製品版ではその数はグッと増え、シリーズファンにはおなじみの技や、キャラクターの関係性を感じてもらえるものなどを多数用意しています。本編ではぜひ楽しみにしていただきたいです。

――バトルは新しい要素が多いですが、そのほかにも称号での成長や料理といったシリーズでおなじみの要素もしっかり用意されています。これらの本作ならではの魅力を教えてください。

富澤:称号はスキルパネルに紐づけたのが大きなポイントです。本作のバトルでは、スキルを習得しての強化が非常に重要となります。称号を得て開放されたパネルを見ると、あれもこれも欲しいとなるはずです。称号の獲得が自身の強化になると知ると、どんどん集めたくなると思います。

この称号を得るにはクエストをこなしたり、さまざまなゲーム内やり込みを達成したりする必要があります。たとえばキサラの個性に紐づいた釣りですね。当然釣りに関係した称号もあります。とはいえ、メインストーリーだけを楽しみたいという方もいるので、そういった称号の獲得がプレイを阻害するものではないバランスにはしています。

よりよく戦いたいと感じたら、自然に称号を集めたくなるデザインです。なお、スキルの解放に使うSPは、これまでのシリーズにあったバトルリザルトでのグレードの代わりに手に入ります。いい戦闘結果を残せれば、それだけSPを得るチャンスが増えるわけです。より華麗に戦いたいという欲求を直感的に紐づけました。

スキルをどんどん開放して、よりダイレクトにバトルを楽しむというサイクルを楽しんでいただけたらと思います。あとは連戦したときの評価ボーナスも、キャラクターの成長を早めてくれますのでどんどん戦ってほしいと思います。ちなみに、SPはバトル以外でもクエストの報酬でも大量に手に入りますのでバトルを突き詰めるのは苦手だという方も地道に集めていけると思います。

――クエストのSP獲得も、称号獲得と合わせてけっこう大事ですよね。あとは料理についてはいかがでしょうか?

富澤:料理はシリーズ定番の要素で、本作でも戦闘や移動中に役立つさまざまなバフ効果を得られます。料理を行なうタイミングは主に野営ですが、これは旅のなかで仲間たちが和気あいあいとする時間が定期的に訪れる、というような空気感で設定しました。

野営での料理は情緒というか気持ち的に盛り上がりますね。ときには特定のキャラクターとレシピで料理を行なうと、料理がうまい下手、辛い物好きや甘い物好きといった嗜好などがわかる、楽しいスキットも発生します。

料理の効果という実利もさることながら、スキット目的で新しいレシピを探す楽しみは、キャラクターの魅力をさらに引き出すための要素になります。今まで以上に料理を積極的に活用していただきたいですね。

――称号や料理を極めるごとにキャラの魅力が深堀りされるのがいいですね。ただ、コンプリートは相当大変ですよね?

富澤:そうですね。料理に限らずこれ以外にもやり込みが用意されています。アクティビティ担当というわけではありませんが、テュオハリムならばアーティファクト、リンウェルだったらフクロウ集め、キサラだったら釣りなどですね。その遊びからもキャラクター性を感じていただきたいです。

今回はそのように、ゲーム体験全体を通してキャラクターを感じていくという設計思想が根元にあり、いわゆるイベントシーンやムービーだけでキャラクターを描くことが完結している作品にはしていません。それに関連した要素として、キャラクターの掛け合いはスキットだけでなく、ショートチャットというバトル中や移動中に会話が流れる演出を、圧倒的なボリュームで用意しています。

これを入れた理由としては、プレイヤーの操作を阻害して止めずに、冒険の中でキャラクターたちが生き生きと会話したり、今いる場所に対して反応したりする姿をお届けしたかったからです。キャラクターたちの会話や反応から、彼らが一緒に旅をしている感覚を味わっていただけます。

「テイルズ オブ」シリーズの新たなファミリーとして愛してほしい

――最後に発売を心待ちにしていたファンに向けて、そして本作で初めて「テイルズ オブ」シリーズに触れる方へそれぞれメッセージをお願いします。

富澤:まずはファンのみなさんには、長い時間をいただきお待たせしました。やっと発売を迎えることができ、ありがとうございます。お待たせしたぶん、さまざまな進化、チャレンジを込めた作品となりました。そこはぜひプレイしていただいて感じてもらいたいです。

今後も「テイルズ オブ」シリーズはより未来に、よりよい作品を作っていきたいという思いを持っています。ぜひプレイしたご意見をいただければ幸いです。また『アライズ』のキャラクターたちは、25周年で生まれた新たな「テイルズ オブ」シリーズのファミリーになります。

彼らも「テイルズ オブ」シリーズを盛り上げていってくれるキャラクターですし、そこに対する楽しみがギュッと詰まっている作品になりました。ぜひ安心してプレイしていただきたいです。また、アプリでのコラボ展開なども用意していますので、その魅力がさらにさまざまな形で広がっても行くでしょう。

そういった多方面の展開も含めて「テイルズ オブ」シリーズの魅力であり、本作もそのひとつとして存在している側面もあります。これからも広がっていく本シリーズを、ぜひ『アライズ』を通して楽しんでください。

また、体験版プレイした方たちには『テイルズ オブ ファンタジア』や『テイルズ オブデスティニー』以来だという方も多くいらっしゃいました。さらに、シリーズをなんとなく知っているけれども、今までなかなか入ることができなかった方も多いと思います。

たしかに25年の歴史があることは魅力でありますが、それゆえに新たに始めることへの敷居が高く感じてしまうのも事実です。ですが、『アライズ』は改めてシリーズへのエントリータイトルになることを目標に作った作品でもあります。シリーズが持つ魅力をなるべく敷居なく楽しんでいただけるように工夫しました。どんな方でも楽しんでいただける高品質なRPGに仕上がりましたので、ぜひひとりでも多くのRPGファンの皆さんにお届けできることを願っています。

こちらも要チェック!

シリーズ未体験者にこそ知ってほしい『Tales of ARISE』の魅力に迫る!【特集第1回/電撃PS】

Tales of ARISE (テイルズ オブ アライズ)

・発売元:バンダイナムコエンターテインメント
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:心の黎明を告げるRPG
・発売日:2021年9月9日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 8,778円(税込)
    パッケージ版 希望小売価格 Premium edition 12,980円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 通常版 8,778円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Deluxe Sound Edition 10,780円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Deluxe Costume Edition 12,650円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Ultimate Edition 14,300円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)

※PS4パッケージ版を購入された方は、追加費用なくPS5版へのアップグレードが可能です(PS5のディスクドライブがないデジタル・エディションにおいてはアップグレード不可となります)。
※PS StoreでPS5ダウンロード版を購入すると、PS4版を追加費用なしでダウンロードできます。
※PS StoreでPS4ダウンロード版を購入すると、PS5版を追加費用なしでダウンロードできます。


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『Tales of ARISE』公式サイトはこちら

『Tales of ARISE』公式Twitterはこちら

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Tales of Arise™ & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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