『SAO アリシゼーション リコリス』をレビュー。RPGとしての魅力は?【特集第2回/電撃PS】

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『SAO アリシゼーション リコリス』をレビュー。RPGとしての魅力は?【特集第2回/電撃PS】

川原礫先生原作の人気小説「ソードアート・オンライン」の《アリシゼーション》編の世界観をもとに、新たなオリジナルストーリーが描かれる『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』。電撃PlayStation編集部による特集企画第2回は、本作のレビューを掲載。ストーリーやバトル、探索など多岐にわたる魅力を紹介していこう。

本作の開発は、「SAO」ゲームシリーズの過去作にあたる『ホロウ・リアリゼーション』などを手掛けたアクリア。そのため本作のゲーム性は、連携をつなげるバトルや奥深い育成・収集要素など、基本的には『ホロウ・リアリゼーション』のものに近い。過去作と比べてアクション性が高くなっているが、銃撃がメインの『フェイタル・バレット』とはゲーム性が根本的に異なる。

《アンダーワールド》の新たな一面が描かれるオリジナルストーリー

本作のストーリーは、原作小説・アニメの《アリシゼーション》編と途中までは共通。基本的な世界観についてはストーリー中で解説されるので、原作を知らなくても楽しめるようになっている。ただし細かい設定については、可能ならゲームオリジナルストーリーに分岐するまでの物語を収録した原作小説9~14巻、またはアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」の第1~24話までチェックしておくのがオススメだ。

原作小説・アニメとの共通部分であるストーリー序盤であっても、ゲームオリジナルヒロインであるメディナが絡むシーンが随所に挿入され、のちのオリジナル展開に向けた伏線が描かれる。とくに修剣士学院の学園生活でのメディナの出番は多く、ユージオと並ぶキリトのパートナーといった存在感だ。とある理由から功名に対してあせりを見せながらも、キリトやユージオたちと共闘を重ねていく。

メディナは下級貴族出身で、複雑な背景を持ったヒロイン。《アンダーワールド》の住人らしく身分制度の呪縛に強く捕らわれており、自分の生家である《オルティナノス家》の名誉を取り戻すため、ときに逸った行動に出ることもある。そのため、キリトたちと敵対するようなシーンも……。

とくに中盤以降では、意外性のある展開でメディナの隠れた一面が明らかになっていく。メディナの魅力が描かれていく切り口は、従来のゲームシリーズのヒロインとは異なる新鮮なものと言えるだろう。過去作のゲームオリジナルキャラクターと比べても、ゲームオリジナルストーリーに深く関わってくるため、その行動と目的には強く興味を惹かれるはずだ。

メインストーリーはメディナやアリス、ユージオなど、《アンダーワールド》の住人が中心となって進んでいく。アスナやリーファなどの原作キャラクターは、主にサブイベントでの出番が多く、そこでエピソードが掘り下げられる。原作・アニメであればありえない組み合わせのキャラクターたちが織り成す多彩なサブイベントの数々は、原作ファン必見と言えるだろう。また一部のサブイベントには、ゲームシリーズ過去作をプレイしていることでより楽しめるものも存在するので、ゲームシリーズファンはそちらも要チェックだ。

北帝国以外の地域が描かれることで、より細部まで《アンダーワールド》の世界を知ることができるのもうれしいポイント。アニメで省略されたザッカリアの街並みが3Dで再現されるのも、本作ならでは! ストーリーを進めると各地域に足を踏み入れることになるが、そこに生きる住人たちとの交流や、ときにはその地域の権力者と出会うこともあり、より世界観に深みが増している。

また、本作のフィールドは立体的なつくりとなっており、そのぶん複雑ではあるが、〇ボタンを押せば写真のように目的地へのルートが明示される点が親切。このルートに忠実に進めば、迷うことはないだろう。

ちなみに、《闇の領域(ダークテリトリー)》の住人も、原作・アニメの《人界大戦》編ほどではないが登場する。

ハイスピードかつ戦略的なアクション!

本作のバトルでは、《ソードスキル》を連続で繰り出し、連携をつなげるのが重要となる。通常攻撃だけでは効果的にダメージを与えられないため、ややテクニカルな印象はあるが、味方と操作を切り替えながら連携をつなげたり、素早い《ソードスキル》を起点に連携を組むことを優先したりと、バトルのコツをつかむにつれて大ダメージを狙うのがおもしろくなっていく。

なお《ソードスキル》にはスキルランクが存在し、ランク1→ランク2→ランク3と順番に繰り出すことで連携がつながる。タイミングよく《ソードスキル》を繰り出すことでスキルランクを問わずに連携を組むことも可能なので、慣れてきたら狙ってみるのもいいだろう。

9種類存在する武器種は、それぞれ得意な間合いや攻撃速度などが異なるが、基本的な操作感覚は大きく変わらないので、気軽に切り替えてOK。個人的には、攻撃範囲に優れる大剣や、単体へのダメージ効率のいい弓がオススメの武器種だ。レアな武器を運よく入手できたらその武器種に切り替える、というのももちろんアリ。

《アリシゼーション》編ならではの《神聖術》は、いわゆる“魔法”のようなアクション。発動に溜め時間が必要でバトル中に多用はしにくいため、基本的には攻撃の起点として活用するか、スキを見て距離をとってから使うことになる。ややリスクはあるものの、攻撃や防御強化など多彩な効果があり、戦術に幅が出るのがおもしろい!

奥深く、自由度の高いカスタイズ要素

ゲーム序盤ではできることは少ないものの、ゲームオリジナルストーリーに分岐するアドミニストレータ戦のあとからは、パーティー編制など多くの要素が解放。立ち回りの選択肢も増え、自由度が一気に増すため、そこまでが本作のチュートリアルといえそうだ。

フィールド上で強力な魔獣との戦いとなる“討伐クエスト”や宝箱などで、レアな武器やアクセサリーを収集していくのも楽しい。能力がランダムで、運しだいで序盤から強力な装備が入手できるなど、ハクスラ的な楽しさが十分に味わえる。

本作のストーリーの主人公はキリトだが、アバターとして主人公キャラクターの見た目をクリエイト可能。過去作とほぼ同等のキャラクタークリエイトが可能で、顔や髪など一般的な項目はもちろん、身長や体格、女性キャラクターの場合は胸の大きさまで変更できる。十分な数のパーツが用意されており、幅広いキャラクタークリエイトが可能だ。

原作・アニメと分岐する意欲的なストーリーが描かれる本作。新たな《アリシゼーション》編の物語は、原作ファンであれば必見だ。《アンダーワールド》の世界観を再現したシステムも、収集や育成が楽しい、RPGとしての魅力にあふれた奥深いものだ。『SAO』ファンならずとも、やり込みがいのあるRPGを求めるゲームファンは、ぜひ一度この世界に足を踏み入れてみてほしい!


SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris (ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス)

・発売元:バンダイナムコエンターテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:RPG
・発売日:2020年7月9日(木)予定
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 7,600円+税
    パッケージ版 初回限定生産版 希望小売価格 10,980円+税
    ダウンロード版 通常版 販売価格 8,360円(税込)
    ダウンロード版 デラックスエディション 販売価格 12,980円(税込)
・プレイ人数:1人(オンライン時:1~4人)
・CERO:C(15才以上対象)


PS.Blogの『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』記事はこちら


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©2017 川原礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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