「インディーズゲームは数が多すぎて、どれを選んでいいかわからない」「実際にプレイした感想を知りたい」──そんなあなたのために、いま絶対に遊んでおきたいゲームを厳選レビュー! 2019年~2020年5月までに発売されたPlayStation®4のインディーズゲームの中から、オススメのゲーム15本をテーマ別にレビュー! (全3回連載)
【第1回】さまざまなアワードを受賞! ゲーマーも太鼓判を押すのはこのゲーム!
第1回のテーマは「お墨付きインディーズゲーム」。「Independent Games Festival」「DICEアワード」「Game Developers Choice Awards」など権威ある賞を獲得し、世界的にヒットした名作ゲームを厳選してご紹介しよう。
海を舞台にしたオープンワールドサバイバル『Subnautica サブノーティカ』、ガチョウになってやりたい放題暴れる『Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~』、痛みを伴う青春ストーリー『ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)』、難関を突破する達成感が気持ちいい2Dアクション『Celeste』、往年のPCゲームを彷彿とさせる謎解きミステリー『Return of the Obra Dinn』など、ジャンルもテイストもさまざま。あれこれ遊び比べて、ぜひお気に入りのタイトルを見つけてほしい。
Subnautica サブノーティカ
未知の海洋をたったひとりで生き延びるオープンワールドサバイバル
本作は、巨大宇宙船の墜落によって謎の海洋惑星にたったひとりで放り出されてしまったプレイヤーが、海のド真ん中で生き延び、探索に挑むオープンワールドサバイバルゲーム。インディーズタイトルだが全世界で500万本のセールスをあげ、数々のゲームアワードも受賞している大人気作品だ。冒険の舞台は、プレイヤーの目の前に見渡す限り広がる青い海! 未知の大洋を泳ぎ回って見たこともない生物を捕らえて自給自足し、海底に散らばる資源を集めながら生存の道を探っていく、冒険心をくすぐる海中でのサバイバル生活が楽しめる。
プレイヤーの最初の拠点は、生き延びるために最低限の設備が搭載された小さな脱出ポッド。加えて、生き残るための知識を伝え、生物や素材の多彩な情報を分析・記録するPDAも与えられている。脱出ポッドには捕らえた海洋生物の調理や、さまざまな装備が開発できるアイテム製造機「ファブリケーター」が設置されているので、まずはPDAを頼りに海に飛び込んで役立ちそうなものを集めて装備を整えることが重要だ。危険な大型生物はもちろん、空腹や乾きにも注意しつつ海中を泳ぎ、徐々に行動範囲を広げていく“手探り感”たっぷりの探索がたまらない。
多彩なクラフト要素も搭載! 自分だけの海底基地も建設できる!
ほとんど素潜り状態から始まるサバイバルも、装備が整うに従って少しずつ快適に。そこから先は本作ならではの豊富なクラフト要素の出番だ。ファブリケーターで開発できる「スキャナー」で宇宙船の機材の破片を調べれば、大型生物を退けられる武器や、移動力の高い小型潜水艇が作れるようになり、より危険な海域も探索可能に。さらに「ビルダー」という装備を入手すれば、複数の部屋や通路からなる海中基地も建設できる。建設には多くの素材が必要だが、多彩な設備が設置できて構造も自由自在。安心できるマイホームをゼロから作り上げる楽しさを味わえる。
美しさと恐ろしさの両方が存在する未知の海中を恐る恐る探っていく序盤と、整えた装備で広大な海域を移動し、自分だけの拠点づくりを楽しんでいく中盤以降。行ける場所が広がるたびに新たな驚きが待つ海で、遊ぶ人ごとに異なるサバイバル生活を堪能できる自由度の高さが、本作の最大の魅力だ。基本の「サバイバル」に加え、難易度が異なる「フリーダム」&「ハードコア」、クラフト要素を徹底的に楽しめる「クリエイティブ」と4種類のゲームモードを選べるので、サバイバル系ゲームが初めての人やクラフト系ゲームファンもぜひ遊んでみてほしい。
【こんな人におすすめ!】
●探索ゲーム好き&アイテムを集めて新たなモノを作りだすクラフト系ゲームファン
●海や水棲生物が見せる多彩な表情を堪能したい、水族館やダイビングが好きな人
・発売元:PLAYISM
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー
・発売日:好評発売中 (2020年3月19日)
・価格:パッケージ版 希望小売価格 4,280円+税
ダウンロード版 販売価格 3,000円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)
『Subnautica サブノーティカ』をPS Storeで購入する
Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~
ゆかいなガチョウになって、住民たちにいたずら三昧!
世界の有名ゲーム開発者の投票で決定される「DICEアワード」で、ゲーム・オブ・ザ・イヤーとインディーゲーム賞の2冠を達成し、大きな話題を呼んだ「ドタバタアクション・ステルス・サンドボックス・ガチョウシミュレーター(?)」。プレイヤーの目的は、平和な町にひょっこり現れた1羽のガチョウとなって住人たちにいろいろないたずらを仕掛けて、町にちょっとした混乱を巻き起こすこと。まるで絵本のような、ほのぼのとしたグラフィックで描かれた世界の中で、ガチョウになってやりたい放題できるユニークな内容となっている。
ガチョウであるプレイヤーができる行動は、ペタペタと音を立てて歩いたり、泳いだり、かがんだり、「ガァ」と鳴いたり、バサバサ羽ばたいたり、クチバシでものをくわえて持ち運んだり動かしたりすること。つまり、本物のガチョウができることと大体同じだ。ゲーム中では行なうべきことが「ToDoリスト」として表示され、それに従って住民たちにちょっかいを出し、うまくいたずらが成功すれば新しいエリアに進める仕組み。ガチョウのアクションだけでなく、住民たちの行動パターンを利用するパズル要素の強いいたずらもたくさん用意されている。
頭をひねっていたずら達成! 住民たちのリアクションも楽しい!
「ToDoリスト」のいたずらには、特定のアイテムを集めるものから、決まったタイミングで設備を動かすものまでさまざまな目標があり、クリアまでの手順もプレイヤー次第でいろいろなやり方を選べる。例えば「ショッピングをする」では、店番のおばさんの目を盗んで複数の店の商品を買い物カゴに入れるのだが、正面から行っても高確率でジャマされてしまう。何度も挑戦して強引に必要なものをカゴに入れてもいいが、目標とは違うアイテムを離れた場所まで運んでおばさんに拾いに行かせ、そのスキに一気に商品をカゴに入れるスマートな手もアリだ。
ほかにも、別のいたずらをすることでガチョウでは届かない場所にあるアイテムを住民に取らせる、といった想像力が問われるお題も多い。住民の行動や周囲のアイテムをしっかり確認することで、「これを動かせば、こういう行動をするのでは?」と閃く、いわば“いたずら脳”が問われるゲーム性は、プレイしていてついつい感心させられる。また、いたずらに引っかかった住民のリアクションがとてもユーモラスなおかげで、成功したときの“してやったり感”もひとしお。見た目の可愛さに癒されつつも、しっかり頭を捻らされる完成度の高さをぜひ体験しよう。
【こんな人におすすめ!】
●想像力や閃きが問われる、一風変わったパズルゲームが遊びたい人
●かわいいグラフィックやユーモラスなアクションが好きな人
・発売元:Panic,Inc.
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アクション/ファミリー/パズル
・発売日:好評配信中 (2019年12月16日)
・価格:ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)
『Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~』をPS Storeで購入する
ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)
田舎町で起きる不可解な事件。行き場のない若者たちの青春ストーリー
大学を中退し、ペンシルバニア州の田舎町ポッサム・スプリングに帰ってきた20歳のメイ。久しぶりに再会した旧友とバンド練習をしたり、自転車をふたり乗りしたり、パーティーで吐くまで飲んだり。仕事もない彼女は、故郷での日々を刹那的に過ごしていた。だが、地元の友人たちは仕事や家庭の事情などの悩みを抱え、昔のままではいられない。かつては炭鉱業で栄えていた町も廃れ、懐かしいショッピングモールは閑散とし、行きつけのパスタ店も潰れている。そんな中、旧友の失踪、路上で片腕が発見される事件など、不穏な出来事が発生し……。
『ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)』は、インディーズスタジオInfinite Fallが制作した2Dアドベンチャーゲーム。町を探索しながら人々と会話するオーソドックスなシステムだが、ジャンプして電線や屋根の上を歩いたり、ベース演奏や万引き(!)、車破壊(!?)などメイの行動とシンクロしたミニゲームを遊んだりできる。キャラクターはネコやクマなど動物の姿をしているが、行き場のない若者たちの心情をリアルに描き出し、「Independent Games Festival 2018」でグランプリに輝くなど、世界各国でさまざまなアワードを獲得した名作だ。
リアルな会話から浮かび上がる、それぞれの事情
物語は、すべてメイたちの会話で構成されている。悪友は帰郷したメイに「大学行って死ねばよかったのに」とキツいジョークをかまし、町の女性は「安定した仕事につきたい」と切実な思いを漏らす。こうした会話の生々しさが、この作品の魅力のひとつ。しかも何気ない軽口を交わすうちに、メイが大学を辞めた理由や彼女の過去、仲間が抱える事情もうっすらと浮かび上がってくる。特に胸に刺さるのは、親友ビーとの会話だ。高校時代に病気で母親を亡くし、大学進学を断念して家業を手伝うビーに対し、正論をぶつけるメイ。そのやりとりはヒリヒリするほど痛く、苦しい。彼女を筆頭に、閉塞感の漂う町で暮らす若者たちの姿、そのやりきれない思いが克明に描き出されている。
大人になりきれない人、大人にならざるを得ない環境に置かれた人、なんとか前に進もうとあがく人。このゲームは、モラトリアムまっただなかの世代、もしくは当時の痛みを追体験したい世代におすすめの1本だ。終盤に向けて物語は思わぬ方向へと転がっていくため、考察をめぐらせるのも楽しい。1周しただけでは友人たちの事情をすべて知ることはできないため、最低2周はプレイすることをおすすめしたい。
【こんな人におすすめ!】
●青春時代の痛みやもどかしさを追体験したい人
●海外ドラマのような軽妙な会話を楽しみたい人
・発売元:PLAYISM
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー
・発売日:好評配信中 (2019年3月28日)
・価格:ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
『ナイト・イン・ザ・ウッズ (Night in the Woods)』をPS Storeで購入する
Celeste
難所だらけの山の頂上を目指す、傑作の呼び声高い2Dアクション
カナダのMatt Makes Gamesが開発した『Celeste(セレステ)』は、「The Game Awards 2018」にて「Best Independent Game」に輝いた、傑作の呼び声高い2Dアクションゲームだ。プレイヤーは心の闇と戦う少女マデリンを操り、セレステ山の頂上を目指していく。その道のりは高難度シーンの連続でありながら奥深く、突破したときの達成感が世界中のゲーマーを魅了。また、「Game Developers Choice Awards 2019」で「オーディオ部門(Best Audio)」を受賞しており、透明感あふれる生ピアノとキャッチーなシンセビートが奏でるオリジナルBGMも高く評価されている。
使うアクションは、「ジャンプ」「エアダッシュ」「のぼる」の3つだけ。2Dアクションゲームとしてはオーソドックスなスタイルだが、操作を誤ったり判断が遅れたりすると、深い谷や鋭いトゲの餌食に。体力制ではないため、マデリンは1回のミスですぐに死んでしまう。しかも、セレステ山の各ステージはギミックが巧妙に配置された難所だらけ。一瞬の判断力と正確な操作が求められ、それを乗り越えたときの達成感が大きな魅力となっている。
瞬時&無限のリトライでストレス知らず! 失敗を糧に試練を乗り越えろ!
そんな超高難度アクションなら、クリアできずに途中で挫折しそうだが、本作は諦めずに続けられるような設計がなされている。各ステージはいくつものセクションで構成されており、ミスした場合は瞬時に復活し、そのセクションの初期位置からリトライ可能だ。さらに復活回数が無限で、リトライするテンポもスピーディでストレスなし。サクサク死んで、サクサク続けられる。結果、エンディングまでの総死亡回数が1,000を超えることも珍しくないが、これは諦めずに挑み続けた自慢の数字。ゲーム内メッセージも言っている。「デス数は勲章」だと!
こうしたバリバリのアクション性が目立つ一方、じつはストーリー面も本作の魅力のひとつだ。マデリンが頂上を目指す理由は、個性的なキャラクターたちとの出会いやセレステ山での不思議な出来事とともに明らかになっていく。登山という苦行に挑むマデリンと、高難度アクションにもがくプレイヤー自身がリンクするような感覚を味わえると思うので、ぜひ注目してほしい。アクションに自信がなくても、無敵モードやステージスキップも設定できるアシスト機能があるので安心だ。
【こんな人におすすめ!】
●歯ごたえある高難度ステージに燃えるアクションゲーマー
●テンポ良くサクサク遊びたい人
・発売元:ハチノヨン
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アクション
・発売日:好評配信中 (2019年9月10日)
・価格:ダウンロード版 販売価格 2,200円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)
Return of the Obra Dinn
消息不明の商船で何が起きたのか。死者の残留思念から真実を探れ!
時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから喜望峰へと出港した。だが6ヵ月後、同船は突如消息を絶ってしまう。時は流れ、1807年10月14日、オブラ・ディン号は突然ファルマス港に姿を現わすが、帆は損傷し、60名の乗員乗客の姿も見えない。プレイヤーは東インド会社ロンドン本社所属の保険調査員として、この船で何が起きたのか真実を探ることとなる。
インディーズゲームアワード「Independent Games Festival 2019」でグランプリに輝いた『Return of the Obra Dinn』は、一人称視点のミステリーアドベンチャーゲーム。プレイヤーが手にするのは、不思議な懐中時計、そして乗員名簿や船内スケッチが挟まれた手記のみ。この懐中時計を死体の近くでかざすと、その人物がどのような最期を迎えたのか、死者の残留思念をたどることができる。それによってわかった事実を、手記の空白ページに書き留めるのがプレイヤーの使命だ。その人物は何者で、どのような形で死を遂げることになったのか。断片的な情報から名前と安否情報を割り出す、論理的な謎解きを堪能できる。
少ない手がかりから事実をたどり、論理的に謎を解き明かす
プレイヤーが乗船するのは、すべての事件が終わったあと。そのため、目撃者や容疑者など事件関係者に聞き込みをすることはできない。手がかりは、死の瞬間を捉えた静止画と死の間際の短い言葉のみ。そこから名前や死因、他殺であれば誰が殺害したのかを突き止め、手記を埋めていくことになる。例えば、ある女性が「夫に会わせて!」と叫んで死を迎えた場合、彼女が既婚者であり、夫も同じ船に乗っていると推理できる。そこで乗員名簿や船内スケッチを参照し、名字が同じふたりがいないか探し出せば、彼女の名前を特定できる……といった具合だ。死者の情報を3人分特定した段階で判定が下され、すべて正解なら安否情報が確定。ジグソーパズルを組み立てるように手記の空白をコツコツ埋める作業が楽しく、時間を忘れてプレイしてしまう。
少ないヒントから解答を導き出す硬派な謎解きは、1980年代のパソコンゲームのよう。1ビット調のグラフィックも、当時のゲームを彷彿とさせる。メモを取りながら時系列や人間関係を整理し、じっくり腰を据えて謎を解く。この懐かしい手触りは、当時を知る人はもちろん、若いゲームファンもクセになるはずだ。
【こんな人におすすめ!】
●ロジカルな推理を楽しみたい、謎解きミステリーファン
●80年代のPCゲームを彷彿とさせる、懐かしい世界に浸りたい人
・発売元:3909 LLC
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー
・発売日:好評配信中 (2019年10月18日)
・価格:ダウンロード版 販売価格 2,250円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
『Return of the Obra Dinn』をPS Storeで購入する
★インディーズゲーム セレクション【第2回】は5月26日(火)公開予定です。
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