ユーザーとクリエイターとのコミュニケーションをさらに深めたい──SIE 吉田修平インタビュー
「東京ゲームショウ2018」開催中の9月21日(金)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE) ワールドワイド・スタジオ(WWS) プレジデント 吉田修平にインタビューを実施。「PlayStation® LineUp Tour」で発表された新作の見どころ、そしてPlayStation®4やPlayStation®VRの今後のソフトウェア施策について話を聞いた。
ソフトはますます充実。国内外の注目タイトルがPS4に続々登場!
──9月10日(月)に開催した「PlayStation® LineUp Tour」では、非常に多くのPS4、PS VRタイトルの映像が公開されました。ユーザーを招待してのイベントでしたが、反響はいかがでしたか?
ユーザーをお招きしてこうしたイベントを東京ゲームショウの前に開くのは、国内においては初めてでした。クリエイターが次から次へと登壇するこれまでのようなプレスカンファレンスとはまた違い、若者向けのクラブイベントのようで楽しかったですね。来場者アンケートでも「良かった」「とても良かった」という声が97%を占めました。「また開催してほしい」という声もたくさんいただいています。ユーザーエンゲージメントを深めるという意義もあったと思います。
──サードパーティーを含め、ソフトも大変充実していました。
サードパーティーの新タイトルについては会場で初めて知ったので、とても驚きました。『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』(グランディング)はとても面白そうです。『JUDGE EYES:死神の遺言』(セガゲームス)は新作ではありますが、「龍が如く」シリーズと設定がつながっているような雰囲気もあって楽しみです。木村拓哉さんがドラマ『HERO』で演じた役に通じるものもあり、ぜひプレイしたいですね。『Project Awakening』(サイゲームス)も、最初に映像を見た時は海外製ゲームかと思いました。クオリティの高さが魅力ですね。
──SIEのゲームについてはいかがでしょう。
ラインアップの充実を感じていただけたのではないでしょうか。新たに『みんなのGOLF VR』も発表し、世界中から大きな反響をいただきました。
「東京ゲームショウ2018」では、『Days Gone』(デイズ・ゴーン)を大々的に打ち出しています。試遊台を14台も設けるほどの大きな展開です。オープンワールドの過酷な環境を生き延びるふたつのモードを試遊できますが、「フリーカーモード」は特におすすめです。ある場所に行くと数百体ものフリーカーの大集団がいて、自分が持っているツール、周囲の地形を使って倒していくんです。どこからどう攻めてもいいので、狭い場所に爆弾を仕掛けて一気に仕留めるなどプレイヤー次第でさまざまな工夫ができます。キャラクターはすべてAIで動いているので、敵に気づかれないようにまずは周りを見て、この地形を使って……と作戦を考えて戦うのが楽しいんです。難しくて一度では成功しないので、少しずつフリーカーを減らしていくのですが、「もう一度!」「やられた、もう一度!」と何度もアタックしたくなります。本編とは違う横道にそれる遊びですが、ぜひ楽しんでいただきたいです。ほかにも、寄り道して楽しむ要素がたくさん用意されています。
『Days Gone』
日本語版のトレーラーを初公開した『Dreams Universe』(ドリームズ ユニバース)も、ぜひ注目していただきたいタイトルです。「リトルビッグプラネット」シリーズを開発したMedia Molecule(メディアモレキュール)の新作で、ゲームを自由に作ることができるんです。「リトルビッグプラネット」シリーズでは2Dアクションゲームのステージを自由に作ることができましたが、今回はどんなゲームでも作れてしまうツール群です。プロに匹敵するほど高いクオリティの映像、アニメーション、音楽を作ることができます。ゲームを作らなくとも「アニメだけ作ろう」「作曲だけしよう」「3Dのモデリングだけしよう」という用途でも使えます。しかも、作ったものはみんなにシェアできます。我々としては「10年間続くサービスにするぞ!」という意気込みです。
『Dreams Universe』TGSトレーラー
『アッシュと魔法の筆』の日本語版トレーラーも新たに公開しました。日本版のタイトル、とても素敵ですよね。こちらは、心温まる3Dアクションゲーム。絵を描くことが好きな少年が、魔法の筆を使っていじめっ子から逃げながら壁にモンスターの絵を描くと、そのモンスターが動き出して助けてくれるという内容です。絵を描くパートの自由度が高く、その部分だけでも楽しめます。親子で一緒に遊び、絵を描くところをお子さんがプレイするのも楽しいでしょう。とてもチャーミングなゲームだと思います。
『アッシュと魔法の筆』TGSトレーラー
PS VRは、より規模が大きく、よりゲーム性の深いタイトルが急増
──PS VRは、遊びごたえのあるタイトルが増えています。
その点は意識しています。PS VRが登場したばかりの頃は、VRの体験そのものが新しいため、いろいろなアクティビティを楽しんでほしいと考えていました。開発チームとしてもいろいろなアイデアを試し、どのような体験を創造できるか探し、発見することが重要でした。そのため、小規模なVRゲームを幅広く作ってきたのです。
その時期を過ぎると、開発チームもどうすれば面白い体験を提供できるかわかってきます。ユーザーも短いエクスペリエンスではなく、より長く遊べるゲームが欲しいと思うようになるでしょう。そういった予想を踏まえ、2年目、3年目ではより規模が大きい本格的なゲームを作ろうという戦略でここまで来ました。
この夏発売した『Firewall Zero Hour』(ファイアウォール・ゼロ・アワー)は、4vs4で戦うタクティカル FPSです。本格的なタクティカルシューターをすべてVRで楽しめるとあって、とても評判がいいタイトルです。このゲームを皮切りに、これから『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』『Déraciné(デラシネ)』『ライアン・マークス リベンジミッション』の発売も控えています。より深いゲーム性のあるタイトルが、今後も増えていくでしょう。
──PS VRのイチ押しタイトルを教えてください。
超イチ押しは『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』です。もともと『THE PLAYROOM VR』に収録された『ロボットレスキュー』というアクションゲームがあったのですが、その評判が非常に良かったんです。「これをフルゲームにしてほしい」という要望もたくさんいただきました。その声を受けて制作したのが、このゲームです。約2年間かけて26ステージというボリュームのある3DアクションをVRで作りました。画期的なタイトルですので、ぜひ多くの方に体験してほしいです。
『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』
もちろん、ほかのゲームも見逃せません。『Déraciné(デラシネ)』は、フロム・ソフトウェアの宮崎英高さんから「これを作りたいんです!」と提案されたVRゲームです。敵の背後からそっと近づいてバックスタブ(背後から刺す)するようなゲームかと思いきや、まったく違いました(笑)。ほのぼのとした少年少女たちのストーリーです。寄宿学校を舞台にした、昔の少女漫画のような雰囲気が魅力です。プレイヤーは妖精となって、少年少女たちからは見えないものの少しだけコミュニケーションを取っていきます。VRならではの存在感、キャラクターに認知された時のうれしさを感じていただけると思います。宮崎さんの作品ですから、ストーリーもただほのぼのしているだけではなく、ミステリアスな部分もあります。短時間ではその魅力がすべて伝わるようなものではないので、ぜひ発売後の本編を楽しみにしていただきたいです。
『Déraciné(デラシネ)』
『みんなのGOLF VR』も、大変大きな注目を集めています。VRヘッドセットをかぶった瞬間から、もう気持ちがいい。私もゴルフをやっていたことがありますが、ゴルフ場は緑がいっぱいで、コースに立っているだけで気分がいいんです。これはぜひPlayStation®Move モーションコントローラーを使ってプレイしていただきたいですね。モーションコントローラーが1本あれば遊べますから。スイングすると、ボールがとても気持ちよく飛んでいきます。私のようにゴルフがうまくない人でも、上手になったかのような体験を味わうことができます。しかもVRなので、キャディさんも目の前にいます。そのドキドキ感は、さながら『キャディレッスン』です(笑)。
『みんなのGOLF VR』
以上はJAPANスタジオのVRゲームですが、WWSのタイトルではロンドンのギャングになれる『ライアン・マークス リベンジミッション』もぜひプレイしていただきたいですね。『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』と経緯が似ていますが、このタイトルも『PlayStation®VR WORLDS』に収録された『The London Heist』(ロンドン ハイスト)というゲームがベースになっています。小規模なコンテンツだったものを、フルゲームにしたのが『ライアン・マークス リベンジミッション』です。イチ押しと言いつつ、すべておすすめです(笑)。
『ライアン・マークス リベンジミッション』
──先ほど吉田さんからあった「ユーザーエンゲージメント」という言葉は、SIE 織田博之さんのインタビューでもキーワードとして挙げられていました。WWSではソフトウェア開発を通じて、ユーザーとのエンゲージメントをどのように深めていく考えでしょうか。
我々開発チームは、ユーザーのみなさんと近い距離に位置しています。スタジオではコミュニティマネージャーを置き、ユーザーサポートを行なったり、みなさんの意見を聞いたりしています。開発中のゲームをユーザーの方々に見てもらい、体験してもらい、意見をもらい……と繰り返すなど、開発そのもののプロセスにもユーザーのみなさんに深く関わっていただいています。
発売後のユーザーコミュニケーションも重視しています。『Detroit: Become Human』を発売した時には、フランスの開発スタジオQuantic Dream(クアンティック・ドリーム)のスタッフが日本のユーザーと話をしたり、公式生放送「Jスタとあそぼう」に出演してユーザーの質問に答えてくれたりしました。こういった開発チームと直接コミュニケーションを取れる場も、さらに大切にしていきたいと考えています。私も時々出演していますので、ぜひ「Jスタとあそぼう」もご覧ください。
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