好評発売中のPlayStation®4/PlayStation®Vita用ソフトウェア『ザンキゼロ』の魅力をお届けしていく特集第3回は、本作を手掛けたプロデューサーの寺澤善徳氏とクリエイティブディレクターの菅原隆行氏へのインタビューをお届け。発売後の反応や開発の裏話、今後の展望まで気になる内容をたっぷりお聞きしたのでぜひチェックしてみてください。
――『ザンキゼロ』の発売から3週間が経ちましたが、ユーザーさんの反応はいかがでしょうか。
寺澤善徳氏(以下、寺澤):「ストーリーの先が気になる」という反応が多いですね。一気にクリアしてくれたユーザーさんも多かったようです。
菅原隆行氏(以下、菅原):エンディングで感動したという感想を聞いて素直にうれしかったですね。最後のシーンは自分でもちょっと泣きそうになりながらシナリオを書いていたので、伝わってよかったです。
寺澤:すべてが絶賛というわけではないですが、温かい反応が多くてうれしいです。ただ操作やシステムに戸惑っているユーザーさんも多かったようなので、もう少しチュートリアルをしっかり作ればよかったかなという反省もあります。
菅原:アイテムが○ボタンの連打で拾えることなどは、「システムガイド」には入れてあってもチュートリアルにはなかったので……。アウトメンバーの存在に気付かないユーザーさんもいらっしゃったようなので、もう少しケアをすればよかったかなと思いました。
――物語を楽しみたいタイプの方だとわからないかもしれませんね。
菅原:ひとりひとりのキャラクターがそれぞれアイテムを管理するというゲームシステム自体も減ってきましたからね。最近は一括管理するタイプが主流ですし。
寺澤:『ザンキゼロ』は要素の多いゲームでもありますからね。ただ、かといって最初のチュートリアルを丁寧にしすぎても、それはそれで退屈になってしまうのでバランスが難しいです。
菅原:しかもサバイバル要素のあるゲームって、最初がいちばん難しかったりするんですよね。逆に快適になっていく過程が楽しい部分でもあるのですが。
寺澤:物語部分に期待して事前の情報を完全にシャットアウトして購入してくださったユーザーさんも多かったのかなと思います。そういう方はサバイバル部分に戸惑ってしまったかもしれませんね。
――事前の情報といえば、エクステンドマシンがアップデートされたときに「ステミスカイ」が遊べるようになることにビックリしました。ゲームの発売前にはまったく紹介されていませんでしたが、これはどういった理由で搭載しようと思ったのでしょうか?
菅原:「ステミスカイ」の設定自体は最初からストーリー上に存在していました。実際にプレイヤーが遊べるかどうかについては考えていなかったのですが、共同開発のランカースさんが「できました!」といきなり見せてこられて(笑)。
寺澤:そうそう。最初に見たときにはすでに完成していたんだよね。せっかくなので、そのまま入れることにしました。
――それはすごいですね。そういえば「サバイバルガイド」で見られるステミスカイの攻略が『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』(KADOKAWA)の文体に似ていますが、これはシナリオライターさんが作品のファンなのでしょうか?
菅原:その部分のテキストはシナリオライターではなく、ランカースのプランナーさんにお任せしています。作品のファンかどうかはわかりませんが、ゲーム雑誌っぽい雰囲気は狙っていると思いますよ。
――メインストーリーに関してもお聞かせください。予想以上に重いシナリオと後半からの予想外の展開に驚きました。もとの原案からストーリーの流れやキャラクターの設定は変わっていないのでしょうか?
菅原:本筋に関しては、いちばん最初に自分が作った起承転結からはあまり変わっていないです。逆に各キャラクターの詳しい過去は原案には書いていなかったため、設定などは途中で変えたりもしました。職業も何人か違いましたね。
――どういったところが変わったのでしょうか?
菅原:ゼンは”真名橋(まなばし)ゼン”という名前で板前のキャラクターでした。リンコも受付嬢という設定でしたし。
寺澤:ミナモは最初は保育士さんのキャラクターでしたね。
菅原:保育士さんから警察官に変更したミナモは、過去の内容も結構変わりましたね。
――ゼンが板前だったことにビックリしたのですが、なぜ板前から農家になったのでしょうか?
菅原:たまたま見た他社さんのゲームに板前のキャラクターがいたんです(笑)。
寺澤:そうそう。被っちゃったから変更したんですよね。
菅原:ミナモの保育士も『ニューダンガンロンパV3』の春川魔姫と同じだったので変えましたね。結局、ほかにも何かしら被るキャラクターがいたのですが、キリがないので諦めました。もちろん変えた理由はそれだけではないですけどね。
――各キャラクターの過去の重さは大人のドラマを描くためだったり、ストーリーの引きを作るためにわざとやったのでしょうか。
寺澤:それは菅原の性癖だと思いますよ(苦笑)。
菅原:いやいや(苦笑)。大人のドラマやストーリーの引きはもちろんですが、ほかにも理由があって。最後までプレイした方にはなんとなく伝わるかもしれませんが、『ザンキゼロ』はどこか神話的なストーリーを描きたかったんです。重い過去を描こうと思ったのは、それが理由のひとつにあります。
――なるほど。
菅原:神話の物語ってすごく昼ドラっぽいじゃないですか(笑)。でも昼ドラって内容はかなりドロドロしているけど観たくなっちゃう魅力もあるんですよね。そういう昼ドラ的要素を入れてみたかったんです。
――メインシナリオの重さとエクステンドTVの掛け合いのギャップも独特ですね。
菅原:ミライとショウは規格外で好き勝手にやっているキャラクターですね。敵なのか味方なのかもわからない奇妙さや怖さがほしくて、あんな感じになってます。
寺澤:野沢さんと中尾さんが演じてくださったことで特別感のあるキャラクターになりました。
――ネタバレになりますが、○○○○の声優が○○○○さんということは最初から決まっていたのでしょうか。
寺澤:そうですね。最初はそちらのキャラクターとしてオファーしました。
――発売前と発売後でキャラクター人気は変わりましたか?
寺澤:ゼンは発売前から人気でしたが、発売後も人気が高いですね。あと意外だったのはユマですね。初期はもっと痩せていたのが菅原の要望でかなりぽっちゃりになったのですが、意外なほど人気になりました。こんなに受け入れてもらえるキャラクターになるとは予想外でした。
菅原:シナリオで好きになってくれた人も多いようでうれしいです。あとはキャラクターの幼年期のデザインが人気ですね。
寺澤:みんなかわいいよね。
菅原:残念ながら老年期のほうは人気が出ていないようです(苦笑)。
寺澤:マモルの老年期は格好いいんだけどね。逆にリョウはかわいそうなことに………(笑)。
――人気といえば、キャラクターの”お漏らし”も人気ですね(笑)。
寺澤:そうですね。SNSでもネタにしている人が多いです(笑)
菅原:お漏らし時のセリフを書いているときは、ここまで反応があるとは思いませんでした。
――エンディングのクレジットには小泉陽一朗さんや川嵜 暁さんなど「ダンガンロンパ」シリーズも手がけられたシナリオライターさんが名を連ねていましたが、章ごとに書き手が違うのでしょうか?
菅原:序盤や終盤など、本筋に関わる部分は自分がシナリオを書いています。中盤の章を4名のシナリオライターさんに分担してもらって、打ち合わせを元に書き上げてもらったシナリオをこちらで監修しました。またその4名には、キャラクターの絆イベントなどのテキストも担当してもらっています。
――システム面についてもお聞かせください。当初の仕様から変わった部分などがあればお聞かせください。
菅原:基本的には開発が進むごとに便利になっていきました。ただ、基本となるシステムは変わっていないですね。
寺澤:自動最強装備やソートなどは後から追加しました。ただ、ゲーム性をきちんと残すために、わざと便利にせずに制限をかけていることもあります。とはいえ、発売後の反応を見ると、もっと簡単にして欲しかったという意見も多いので次回作などがあればもっとベストなものをお届けしたいですね。
――エクステンドしたあとに装備を付け替えるのが大変という意見があるようですね。
菅原:もちろん開発中にも同じ意見は出ていました。ただプレイヤーのプレイスタイルによって変わってくる部分でもあって……。アウトメンバーに武器や防具を装備させないタイプで、パーティメンバーが倒れてしまったときに装備を落としてくれたほうがいい、という人もいるんです。交代メンバーが拾い直すだけで装備できるので。いろいろ検証した結果、今回は死亡時にはアイテムを落とすことにしました。
――ユーザーさんが気付いていない便利なテクニックなどあればお教えください。
菅原:スコアが足りないと感じる人はゼンにスキル”大地の恵み”を覚えさせたり、ゼンとソイネしたメンバーを使ってみてください。かなり変わりますよ。
寺澤:スコアはコンボを稼ぐのもいいですね。チャージ攻撃を最大までためるのではなく、1回ずつ当てることでどんどん伸ばすことができます。あとはボス戦に青年期で挑む人が多いようですが、幼年期や老年期でもじゅうぶん戦えるようなバランスにしているので、無理して調整しなくても大丈夫かなと思います。絆を上げてチャージ攻撃の威力を上げる戦法もありますし。
菅原:あとキャラクターの寿命を調整したいときはクリオネの暴走が有効ですね。寝ることを繰り返して寿命を迎えるよりも早いです。
寺澤:公式ツイッターで攻略情報を掲載しているので、そちらもご覧になってください。
――ダンジョン探索の謎解きがやや難しめに感じましたが、これはわざと歯ごたえのあるものを目指したのでしょうか?
寺澤:探索や謎解きは、RPGを作り慣れているランカースさんのノウハウが活きていると思います。わたし自身も難しいと感じますけどね(笑)。ただ、クリアしたときに達成感を得られることは間違いないのでがんばってクリアしてほしいです。
――発売後のインタビューということで物語のラストについてもお聞かせください。
菅原:エンディングはひとつの解釈だけじゃない形にしています。8人の物語としては関係ないので多くは語っていませんが、廃墟のなかには残った謎についてのヒントもちょっとあったりします。考察してみるのもおもしろいかもしれません。
――『ザンキゼロ』の続編や同じシステムを使った次回作、メディア展開の予定などはありますか?
寺澤:海外版については、すでに動いています。
菅原:個人的には同じシステムで違う世界観の続編を作ってみたいですね。いっそのこと、原点に戻って中世ファンタジー世界とか。
寺澤:アニメ化もやってみたいですね。きっと『ザンキゼロ』はアニメの世界も合うと思うんですよね。
――最後にすでに『ザンキゼロ』を楽しんでいるファンやこれから遊んでみようと思っている人にひとことお願いします。
菅原:夏の廃墟島が舞台なので、世界観的にも今の季節にプレイするのがピッタリのゲームだと思います。ぜひ手にとってみてください。
寺澤:手応えのあるゲームと引き込まれるストーリーの両方が楽しめる作品になっています。『ザンキゼロ』はじっくりプレイしてもらえるとうれしいです。よろしくお願いします。
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ザンキゼロ
・発売元:スパイク・チュンソフト
・フォーマット:PlayStation 4/PlayStation Vita
・ジャンル:ノンストップ残機サバイバルRPG
・発売日:好評発売中
・価格:PS4 パッケージ版 希望小売価格 7,200円+税
PS4 ダウンロード版 販売価格 7,776円(税込)
PS4 ダウンロード版 エクステンド-EDITION- 販売価格 9,936円(税込)
PS Vita パッケージ版 希望小売価格 6,800円+税
PS Vita ダウンロード版 販売価格 7,344円(税込)
PS Vita ダウンロード版 エクステンド-EDITION- 販売価格 9,504円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
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