【PGW 2017】アンドロイド「カーラ」、感情の覚醒!『Detroit Become Human』メディアセッションレポート

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【PGW 2017】アンドロイド「カーラ」、感情の覚醒!『Detroit Become Human』メディアセッションレポート

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2018年上期発売予定のPlayStation®4用ソフトウェア『Detroit Become Human』。アドベンチャーゲーム『BEYOND: Two Souls』や『HEAVY RAIN −心の軋むとき−』を世に送り出したフランスの開発会社Quantic Dream(クアンティック・ドリーム)が開発を進めているタイトルだ。

本作の舞台は、現在から20年ほど未来のデトロイト。人工知能が高度に発展を遂げた結果、人と同様に知性を持ち、外見上もほぼ見分けがつかないアンドロイドたちが溶け込む社会で、プレイヤーは複数のアンドロイドの視点からさまざまなエピソードを体験していくことになる。

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フランス・パリにて開催中の「Paris Games Week(パリゲームウィーク) 2017」に先駆けて実施されたメディア向けセッションでは、Quantic Dreamで本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるGuillaume de Fondaumière氏と、ディレクター/ライターであるDavid Cage氏によるプレゼンテーションが行なわれた。

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ディレクター/ライターのDavid Cage氏(写真左)と、エグゼクティブ・プロデューサーのGuillaume de Fondaumière氏(写真右)

なお、今回のセッションは、新たに公開されたゲームプレイトレーラーの内容が関係しているため、まだ見ていない方はチェックしておこう。

従順な機械から感情を持つ存在へ。女性アンドロイド「カーラ」の重要シーンのチャプターをデモプレイ

セッションの前半は、Guillaume de Fondaumière氏による実機デモプレイから。最新トレーラーに描かれる、女性型アンドロイド「カーラ」がメインとなるチャプターが披露された。

ちなみに、Quantic Dreamは2012年にPlayStation®3のテックデモとして「KARA」というショートムービーを公開している。この映像では製造中のアンドロイドが感情を持つ様子が描かれており、そのアンドロイドは「カーラ」と名付けられている。Guillaume de Fondaumière氏によれば、このショートムービーが『Detroit Become Human』の原点になっているという。

「”Kara” by Quantic Dream」はこちら

デモプレイのチャプターにおける「カーラ」は、トッドとアリスという親子が住む家の家政婦アンドロイド。食事や洗濯など、2人の生活の世話をしている。トッドはアンドロイドの普及によって仕事を追われたようで、自分も利用しているのにアンドロイドを憎み、ドラッグに溺れ、口汚い言葉を吐いては娘のアリスに当たり散らす最低な男だ。

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ある夕食の席、トッドのフラストレーションが爆発し、身の危険を感じて2階の自室に逃げたアリスを追いかけようとする。「カーラ」はアリスの様子を見に行こうとするが、マスターであるトッドに「動くな」と命令されれば従うことしかできない。しかし、ここで「カーラ」の内部で、人間の命令に服従するという絶対的プログラムの壁を壊そうとする演出が発生。プレイヤーがそれを肯定する選択をすることで壁は砕け散り、「カーラ」は自由に動けるようになった。

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アリスを追って部屋に入ると、ドアに鍵をかけるか、アリスといっしょに逃げるか、トッドに説得を試みるといった行動の選択肢が表示され、今回はドアに鍵をかける行動を選択。しかし、ドアをぶち破ってきたトッドに襲われ、短い時間制限がついたボタン入力で攻撃を防ぐ流れに。格闘に役立ちそうな道具を見つけられず、ボタン入力の失敗が続いた結果、カーラは破壊され、アリスも死亡してしまった。

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その後、Guillaume de Fondaumière氏は「最後が良くなかったので、もう一度やりましょう」と再プレイ。「カーラ」がプログラムの壁を破るシーンから再開し、まずはリビングでトッドの説得を試みる。トッドが聞く耳を持たないため、今度は2階のトッドの部屋で拳銃を入手してからアリスの部屋へ。前回と同じようにトッドと格闘する流れになったが、ボタン入力を成功させていった結果、もみ合いの中でトッドを射殺。アリスとともに町から逃げるという結末に変化した。

これまでの公開情報で、「カーラ」は逃亡者として紹介されており、デモプレイの事件が逃亡者となるきっかけなのかもしれない。人間を守るために感情が芽生え、不慮の事故で人間から追われることになったのなら、じつに皮肉だ。

なお、デモプレイ終了後にフローチャートを見ると、今回のルート以外にも膨大な数の分岐があった。このチャプターの結果が別のチャプターの展開にも影響するとのことで、プレイの数だけ展開が変化する、自分だけの物語を楽しむことができるという。

アンドロイドを通して人間の物語を描く。脚本家David Cage氏質疑応答レポート

デモプレイ終了後は、David Cage氏への質疑応答に。本作のコンセプトやキャラクターの詳細を聞くことができたので紹介していこう。

――『BEYOND: Two Souls』と『HEAVY RAIN −心の軋むとき−』に近いゲームシステムや、ストーリーのつながりはありますか?

開発が同じなのでゲームタイプは近いと言えますが、ストーリーはまったくの別物です。また、以前と同じことをやるつもりもありません。今回は、より大きな変化をもたらす作り方をしています。プレイヤーは同じ観客ではなく、それぞれの選択によって違った体験を楽しんでいただけます。

――これまでの作品に比べて、技術的に進化した部分はありますか?

本作専用のゲームエンジンを開発し、表現力や演出効果がアップしています。モーションキャプチャーの技術も進化して、より細かい部分までリアルに動かせるようになりました。

また、操作はシンプルで直感的なものを目指しました。これまでの作品には独特の操作が多く、慣れるまでに時間がかかることもあったので、今回は細かい動作もシンプルな操作で行ない、できるだけ物語に集中できるようにしました。

――なぜアンドロイドを主人公に選んだのでしょうか。

私は「シンギュラリティ」(機械やAIがやがて人間の能力を超える特異点)に強い興味を持っていました。そこで制作したショートムービーの「KARA」が反響を呼び、その物語を作ろうということになったのです。ただ、描きたいのはAIやアンドロイドでなく、私たち人間をメインテーマとしています。

――ショートムービーの「KARA」と本作の「カーラ」は、同じアンドロイドですか?

はい。同じアンドロイドです。

――なぜ映画ではなく、ゲームで表現しようと考えたのでしょうか。

映画は受け身で鑑賞するだけですが、ゲームは選択することで物語を変える体験ができるからです。その選択は善悪の違いという単純なものではなく、とても難しい決断を迫られる状況があります。そのときにどう考え、どんな選択をするか、プレイヤー自身に起こったものとして感じて、決断をしてほしいと思います。

――本作に込めたメッセージのようなことはありますか?

私から何かを伝えようとはしていません。さまざまな選択肢の中から、プレイヤー自身の思いを感じてほしいとは考えていますが、何かを感じても、何も感じなくてもかまいません。膨大な分岐で展開する中で1つのメッセージを伝えるのは難しいことであり、それが目的というわけでもありません。

――ストーリーはどのように考えられたのでしょうか。

普通のゲームのスクリプトとは異なり、さまざまな分岐の先にある展開まで考える必要があります。それに、分岐の選択肢にはプレイヤーがきちんと理由を感じられなければならず、その理由になるのは思いや感情です。物語の中でプレイヤーが「こうしたい」と強く感じる選択肢と展開を考えるのは簡単ではありませんでしたが、楽しく意欲的に取り組むことができました。

――今回のデモプレイを含めて、本作の物語はシリアスなシーンが多いように感じます。もっと雰囲気の異なる、リラックスしたようなシーンもありますか?

「マーカス」「コナー」「カーラ」という3人の主人公がいて、それぞれのトーンが異なります。シーンや展開、音楽に使い方によってトーンが変わり、もっと悲しいときもあれば、感動もあり、冒険心あふれるような場面もあります。3人のキャラクターでそれぞれ異なるトーンの物語をプレイしながら、大きな1つの物語を体験できるのです。

――「カーラ」はアンドロイドとしてのプログラムを打ち破っていましたが、彼女特有の能力なのでしょうか。

彼女にはほかの能力もありますが、それは今後お知らせしていく予定です。また、捜査官である「コナー」も、人類に反乱する組織を指揮する「マーカス」も、それぞれ独自の機能が備わっています。

――逃亡者の「カーラ」と捜査官の「コナー」が出会うなど、主人公同士が接触する場面もありますか?

最初は3人それぞれの物語が展開されますが、主人公同士が会うこともあります。1人のキャラクターの選択が、別のキャラクターに影響するので、ときには干渉することもあるかもしれません。

――「コナー」と「マーカス」が強い能力を持っているのに、それほど特別な存在ではない「カーラ」が主要な役割にいるのはなぜですか?

3人それぞれが大切な役割を担っていますが、あえて言うなら「カーラ」が愛を持ったキャラクターだからかもしれませんね。

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2018年上期の発売まで、どんな仕事が残っているかという質問に対してDavid Cage氏は、「最後のシーンに取り掛かっていますが、そのあとには全体のブラッシュアップが残っています。すべてを高いレベルで統一し、手を抜いたと思われたくない。これは最後まで続く、とても大事な作業です」と答えた。

現状でもゲームファンを驚かせるだけのクオリティを備えながら、さらなるブラッシュアップが続く『Detroit Become Human』。その完成が今から楽しみだ。

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Detroit Become Human

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アドベンチャー
・発売日:2018年上期予定
・価格:未定
・プレイ人数:1人
・CERO:審査予定

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『Detroit Become Human』公式サイトはこちら

©Sony interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.

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