PS4®販売台数1億台を目指し、ソフトの拡充、PS VRの普及、みんなで遊べるプレイスタイルを提案
「東京ゲームショウ2017」が開幕した9月21日(木)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE) ワールドワイド・スタジオ(WWS) プレジデント 吉田修平にインタビュー。SIEの新作タイトルや、発売から1年を迎えるPlayStation®VR(PS VR)の展望、PlayStation®4(PS4)のユーザー拡大に向けた新たな提案とは?
大きな存在感を発揮できたこの1年。今後のPS4®タイトルも続々制作中
――9月19日(火)に開催された『2017 PlayStation® Press Conference in Japan』では、『モンスターハンター:ワールド』をはじめとするPS4®ソフトの映像が多数公開され、ラインナップの充実を感じました。JAPANスタジオをはじめ、SIE WWSが制作するPS4®ソフトについてお聞かせください。
昨年から今年にかけてSIEは『人喰いの大鷲トリコ』『GRAVITY DAZE 2』『New みんなのGOLF』を発売し、年内には『グランツーリスモSPORT』『KNACK ふたりの英雄と古代兵団』を発売します。JAPANスタジオ以外からも『Horizon Zero Dawn』『アンチャーテッド 古代神の秘宝』が発売され、WWSとして存在感を発揮できたと考えています。もちろん今後も『ワンダと巨像』のリメイク版、『ゴッド・オブ・ウォー』『Detroit Become Human』『スパイダーマン』といったさまざまなタイトルが控えています。PlayStation VR(PS VR)でも『Bravo Team(ブラボーチーム)』『The Inpatient -闇の病棟-』『V!勇者のくせになまいきだR』を発売する予定です。
『Bravo Team(ブラボーチーム)』
『The Inpatient -闇の病棟-』
先日のカンファレンスでは発売日の近いタイトルにフォーカスされていたため、SIEのタイトルを物足りなく感じたかも知れません。ですが、もちろんWWSでも精力的に制作を進めていますのでご安心ください。今後もますます努力していきます。
――カンファレンスで扱われたタイトルでは、2018年上期発売予定のPS4®用ソフトウェア『Detroit Become Human』に期待が集まっています。吉田さんは、この作品のどのような点に注目していますか?
このゲームは、『HEAVY RAIN −心の軋むとき−』『BEYOND: Two Souls』を制作したQuantic Dreamの新作です。彼らは前2作で、ユーザーの選択によって結末が変わるインタラクティブ・ドラマをハイクオリティなグラフィックで描いてきました。『Detroit Become Human』には、彼らが培ってきた技術がすべて注ぎ込まれています。『BEYOND: Two Souls』で見られたリアルな演技、表情はさらに進化し、分岐の多いストーリー展開にも磨きがかかっています。一度プレイしただけでは遊びつくせず、何度でも楽しめます。
『Detroit Become Human』
ストーリーのテーマも今の時代に即しています。舞台は、アンドロイドが人間のような意識を持ってしまった近未来。そんな中、アンドロイドが、自らが置かれた環境、人間との関係性に疑問を持ち始めます。「その時、あなたはアンドロイドとしてどうしますか」「アンドロイドと人間の境界って何でしょう」と問いかけるようなお話です。何が正しいと一概に言えませんし、アンドロイドのほうがより人間的な感情を持っているように感じられることもあります。アンビバレントな感情を抱く、大人向けのエンタテインメントになっていると思います。
10月以降、PS VRは新価格に。ゲームに限らず、新たな映像表現も実現
――発売から1年を迎えるPS VRについてもおうかがいします。現時点での手ごたえ、今後のラインナップについてお聞かせください。
おかげさまでご好評をいただいております。日本では品薄が続き、ご迷惑をおかけしました。我々の見通しが甘く、十分な数をご提供できなかったことをお詫び申し上げます。10月14日以降、新価格でより多くの台数を提供する準備が整いつつありますので、手に取っていただきやすくなるでしょう。
コンテンツに関しては、初期の段階からVRの特性を理解したクリエイターが、その魅力を活かしたものを提示してくださり、とてもうれしいですね。VRを家庭で楽しめるようになるのを待っていたクリエイターが、その思いを一気に放出してくれたおかげだと思います。インディーディベロッパーのみなさまも、2作目、3作目と続けてVRコンテンツを開発しています。これまでの知見を蓄積しながら制作しているため、全体的なクオリティも底上げされています。
――吉田さんが注目しているVRコンテンツを教えてください。
SIE以外のタイトルでは、『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』『ACE COMBAT 7:SKIES UNKOWN』『The Elder Scrolls V:Skyrim VR』が、とても気になっています。
――ゲームではないVRコンテンツも増えています。
今年いちばん感心したのは『傷物語VR』です。3DポリゴンでVR空間を作るのかと思いきや、そうではありません。アニメの映像をそのまま活かし、3D空間の中にキャラクターを配置して、VR空間の中でプロジェクションマッピングの手法を使っています。とても新しい発想ですし、コンテンツの魅力を損なわない優れた表現方法だと思います。こうした表現が、ゲーム以外のクリエイターから出てきているのが面白いですよね。
『傷物語VR』
もうひとつ、我々が手掛けた『Joshua Bell VR Experience』も面白いですよ。バイオリニストとピアニストがふたりで演奏しているVR映像ですが、単なる360°パノラマ映像ではなくユーザーがある程度頭を動かせるのです。パノラマ映像とリアルタイムCGのハイブリッドのような表現をしていて、映像業界にも衝撃を与えました。今後は、こうした取り組みもますます増えていくのかなと思います。
グループ会社でも、ソニー・ミュージックエンタテインメントやソニー・ピクチャーズエンタテインメントのクリエイターが、VRに注目していると聞いています。実際にコンテンツを開発するにあたっては、ゲーム制作の手法が必要となるため、我々も協力したいと考えています。エンタテインメント業界とゲーム業界による共同プロジェクトが増えれば、新しい表現も生まれるでしょうし、これまでゲームに興味のなかった方もPS VRに関心を抱いていただけるのではないでしょうか。一緒に盛り上げていければいいですね。
――アミューズメント施設で楽しむロケーションベースのVRも人気です。こうした施設にコンテンツを提供することも考えていますか?
コンテンツの提供に限らず、PS VRを使ったロケーションベースのエンタテインメントに取り組んでいます。すでにさまざまな企業からお話をいただき、ロケーションベースエンタテインメント事業準備室が主導で技術的なサポートも始めています。コニカミノルタさんの「VirtuaLink」や東京タワーにある「ONE PIECE: GRAND CRUISE」では、すでにPS VRが使用されています。初めてVRを体験する方々にPS VRに触れていただく良い機会なので、今後もこうした取り組みは検討していきたいと思います。
PS VR以外にも、バンダイナムコエンターテインメントさんの施設「VR ZONE」は素晴らしいですよね。「VRってどんなものだろう」と興味を抱いた方が、手軽にハイクオリティなVRを体験できます。PlayStation®発売当時の『鉄拳』もそうですが、アーケードで楽しんだものをご家庭でも楽しめるのがいいですよね。まずはアミューズメント施設でVRを体験していただき、ご家庭でも体験したい方がPS VRをご購入いただくような流れも、今後は期待できると思います。
他にも、さまざまな業界でVRが有効活用されています。建築、デザイン、トレーニング、医療、報道などの分野でも、VRの特性を活かした取り組みが始まっています。この1年で、VRが世の中に浸透していくのを実感しました。
PS4®のさらなる普及を目指し、みんなで楽しめる新たなプレイスタイルを提案
――PS VRだけでなく、スマートフォンやタブレットをコントローラーとして使う「PlayLink」(仮称)シリーズのような新しい遊びも提案しています。今後のPS4®ソフトの展開について教えてください。
「PlayLink」(仮称)シリーズは、今年から欧米を中心に展開するタイトル群です。PS4®は全世界で6,040万台以上販売されています。これからは1億台を目指し、幅広いユーザーにPS4®の楽しさをアピールしていく必要があります。それにあたり、リビングルームで友達や家族と一緒に楽しめるゲームをもっと増やしたいと考えました。とはいえ、DUALSHOCK®4(DS4)をたくさん用意するのは、大変という方もいらっしゃいます。そこで、すでにみなさんがお持ちのスマートフォンやタブレットをそのまま使っていただこうと考えました。スマホやタブレットをコントローラーとして使い、みんなで一緒に遊べるゲームを提供しようというプロジェクトが「PlayLink」(仮称)シリーズです。
欧米ではすでにパーティーゲームを配信しており、10月にはさらに3タイトルのリリースを予定しています。そのうちのひとつ、『Hidden Agenda ―死刑執行まで48時間―』を日本でも発売します。シナリオ分岐型のミステリーアドベンチャーで、複数のプレイヤーの投票でその後のストーリーが変わったり、相手を出し抜いたりしながら物語を進めていきます。
『Hidden Agenda ―死刑執行まで48時間―』
ひとりひとりがスマホを手にするため、あるユーザーにだけヒントが表示されたり、それぞれに違う指示が出されたり、相手を騙し合うようなゲームも作れるでしょう。DS4とは違うゲーム性を実現できます。欧米では、「PlayLink」(仮称)シリーズに興味を抱くサードパーティーにも、ゲームを制作してもらおうとしています。PS4®がより広く普及していくための施策として、意識的に取り組んでいます。
――PS4®タイトルの拡充、PS VRの普及、新たな遊び方の提案などといった施策により、ユーザー層のさらなる拡大を目指しているということですね。
そうですね。一家に1台PS4®を置いていただき、「ゲームって楽しいよね」とより多くの方々に感じていただきたいと願っています。そのためにも、複数人でワイワイ楽しめるゲームを意識して開発していきます。サードパーティーも含め、みんなで楽しめるゲームをプロモーションしていく考えです。
©Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Supermassive Games.
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©Sony interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
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