夏休みの訪れとともに発売され、約1カ月が経ったPlayStation®Vita用ソフト『7’scarlet』。本格的なミステリーと繊細な恋愛描写で、多くの支持を集めている本作ですが、本編だけでは読み解けない疑問を持たれた方も多いはず。そこでゲームに登場する建比良(たてひら)ソウスケを演じた声優の沢城千春さんが、プレイヤーの皆さんからいただいた疑問をシナリオも担当されているディレクター金沢十三男さんに直接聞いてくれる夢の企画が実現! 題して『セブスカ』謎解決プロジェクト・回答編をお届けします♪
沢城千春さん×金沢十三男さん『セブスカ』謎解決プロジェクト・回答編
沢城千春さん(以下、沢城):今日はよろしくお願いします。さっそくですが、いっぱい質問が来ていますね! すごい!! 皆さんありがとうございます。
金沢十三男さん(以下、金沢):ありがとうございます。僕は質問すべてにちゃんと答えるつもりでいますので、千春君、どんどん聞いてくださいね。
沢城:さっそく質問していきたいと思います。「奥音里のモデルになった町や場所などがありましたら、教えてください。」という質問がたくさん来ていますね! 僕も知りたいです、これは。
金沢:じつは、初期の設定では実在の町を舞台にしようと考えていて、それが”軽井沢”だったんです。ゲームにもその名残があって、例えば目抜き通りは軽井沢銀座商店街をイメージしています。軽井沢にはオープニングムービーに使用された映像の取材にも行っています。
沢城:オープニングは、イメージがどんどん膨らんで「すごい! 何度も見たい!」って思いました。もしかして、あの山道は碓氷峠ですか?
金沢:そうです。僕には軽井沢を舞台にゲームを作りたいという夢があるんですけれど、なぜかいつもゲーム会社さんからは「架空の町にしませんか?」と言われてしまうんです(笑)。この作品もそうで、どうせ架空の町にするなら、森や川に囲まれた三日月型の巨大な密室を作り上げてしまおう、と思ったんです。
沢城:もしかして風厘館にもモデルってあったりするんですか?
金沢:イメージモデルは存在するんですけど、カフェやロビーの位置関係などは僕が考えています。背景担当の方に口頭でイメージを伝えたのですが、それを120%くらいに膨らませて仕上げてもらえたので、大きな修正もなくスムーズに出来上がっていったのを覚えていますね。
沢城:他には「登場人物の名前の由来が知りたいです。」という質問が来ています。
金沢:僕がつけた仮の名前があったんですけど、うちのスタッフに乙女ゲームっぽくないと言われて。なので、アイディアファクトリーさんに依頼してつけていただきました。
沢城:じゃあ、最初は”タケシ”とか”サブロー”とか……。
金沢:そうではないですけどね(笑)。僕が付けた名前は全部漢字だったんですけど、アイディアファクトリーさんから上がってきた名前はカタカナだったので、なるほど、と思いました。もともと日本神話をモチーフにつけたいというのがあったので、その辺も上手に配置して頂けました。名前の関係性もプレイヤーのみなさんに気づいてもらえたみたいなのでよかったです。
沢城:苗字は難しい漢字ですけれど、名前のカタカナが覚えやすくて、一プレイヤーとしても「いいな」って思いました。
金沢:そうなんです! 下の名前だけで呼んでもらいやすいかなって。ただ、警官にはこだわりがあって、絶対に”ヤス”をつけてください!! と熱望しました。僕がリスペクトしている作品へのオマージュなんですけど、警官はみんなから気軽にヤスと呼ばれるキャラにしたかったので(笑)。
※ここからはゲームのネタバレ要素を含みます。プレイ前の方はお気をつけください※
沢城さん演じるソウスケのとんでもない秘密が明らかに!?
沢城:僕が演じたソウスケさんについてですが「本編に出てくる資格以外の資格がありましたら教えてください」とのことです!
沢城さん演じるソウスケ。
金沢:64種類全部はさすがに考えていません(笑)。ただ、ソウスケの資格の数にはこだわりがあって、コンピュータでよく使うbit数から取りました。ちなみに”ボイラー技士”の資格を持っているのだけは確定しています。
沢城:同じく登場人物についてですが、「ユヅキとユキの関係について」。知りたい方が結構いらっしゃいますね。これは僕もわからないです。
金沢:気付かれている方も多いと思いますが、彼らは異母兄弟という設定なんです。ゲーム中ではあえて言ってないんですけどね。さらに言ってしまうと、ユキの母親は叢雲家に対する反骨心から、わざとユヅキと似た名前をつけているんですよ。
沢城:……はあ、すごい!! ユヅキ、ユキ……なるほど……! そういう設定があったんですね。
金沢:同じくトアとユアについても、彼らは双子なので、似通った音の名前をつけているんです。
沢城:続いての質問ですが「風厘館にあった猫のお面について」。疑問に持たれている方がけっこういらっしゃるみたいです。
金沢:じつは、僕としては犯人探しがそこまで重要ではないと考えていたので、そのままの姿で出していたんですが、ある日スタッフに「犯人を隠しませんか?」と言われて(笑)。
確かにその方がソウスケ編での密室劇が立ちますよね。だったら、ちょっと不気味なお面にしようと。
沢城:そうだったんですね。
金沢:ただお面ならなんでもいい訳じゃないので、いろいろと考えて最終的に猫にしました。奥音里には、猫を守り神として信仰している文化があります。だから風厘館に飾ってある。お面がなくなっていることに気づく描写も、選択肢によっては読み取れるようになっています。
沢城:なるほど、そういうことだったんだ……すごく細かい設定!
金沢:さらに言うと、猫は死に敏感な生き物だと言われているので、本編中でも猫は屍者にだけ寄っていっているんですよ。トアはもちろん、月読にも。特典冊子の「奥音里ガイドブック」では少し触れさせていただいているんですけど、作品に登場する生き物にはそれぞれ深い意味があるんです。
沢城:猫といえばトアくんですが、「トアの楽曲について」の質問も多数いただいています! まずは「LOVE SICK」について伺いたいと思います!
金沢:僕は、恋って病のようなものだと思っているんです。そんな思いが込められた意味のある歌詞になっています。あと、本編でお蔵入りになったとしている”幻の身ぐるみバージョン”と言われている方は、本編でしか聴けません! サントラにも未収録となっていますので、ぜひゲームをプレイして聴いていただきたいです。
沢城:ゲームでしか聴けないなんて、本当にレアですね! ちなみに最後にでてくる「スターリー」がBGMだった理由を教えてください。
金沢:あのシーンはプレイヤーさんの想像に頼りたかったんです。森久保さんに歌ってもらって「スターリー」にしっかり骨格を与えるより、あえて歌声をなくしてあの体育館の空気を想像してもらおうと。あのシーンではプレイヤーさんも観客と同じで、固唾をのんでトアを見つめていたはずなので。ちなみに同じ楽曲のお話で言えば、オープニング曲の歌詞には攻略キャラ全員の名前が入っているんですよ。
沢城:感想を拝見すると気づいている方もいたみたいで、すごいですよね。僕が演じたソウスケさんは組み込むの、難しかったんじゃないですか?(笑)
金沢:そうですね(笑)。ソウスケだけはフレーズが分かれていますけど、ちゃんと入っています。探してみてください。
さらにディープな話が盛りだくさん! 気になるこの後の展開も……
沢城:すごい話がいっぱい聞けて、驚きの連続です。そして次の質問なんですが「幽霊事件の真相について聞きたい」という声もありました。
金沢:これも特に説明する必要がないと思ったので、あえて描かなかったものの一つですね。じつはこれ、十二年前の奥音里で起こった事件で、イチコを羽交い絞めにしていた犯人は屍者です。イチコもヒノも記憶が操作されていたりするので、はっきり思い出せない部分ではあるんですけど。ここは、千春くんは収録していないところだよね?
沢城:そうなんですよ。僕が演じたソウスケさんのところにはなかったんです。ゲームの冒頭で説明されていたのとは、ちょっと違う感じなんですね。
金沢:ソウスケは、この一連の事件の探偵役として活躍していますから。ハナテ編までプレイするとわかると思うんですけれど、オープニングムービーですでにこの物語の終わり方を宣言しているんです。作品が終わってみるとこのゲーム自体がひとつの”だまし絵”のように、みなさんの目に映るようにしました。
沢城:うわあ……それを聞いてしまうと、今すぐゲームをやり直したくなっちゃいますね!
金沢:108個あるTIPSで、細かい部分を補完してありますが、小さい仕掛けをたくさん仕込んでいるのでなかなか1回のプレイでは気づかないことも多いと思いますよ。
沢城:こんな壮大なお話だったなんて!! なんだか自分がちっぽけに思えてきた……(笑)。
金沢:そんなことないでしょ(笑)。いろいろ考えて作りましたけど、何も考えずにまっさらな気持ちでゲームを楽しんでいただけるのが一番うれしいことですから。
沢城:最後の質問なんですが『7’scarlet』のタイトルの由来についてです。僕は登場人物7人と、赤い血をイメージしているのかな? って思いました。
金沢:まあそうですね(笑)。
沢城:おっ! 正解ですか!? みなさんいろいろ考えていてすごいなって思ったんですけど……! 僕も、まじまじとタイトルについて考える機会があまりなかったので、新鮮です。
金沢:言ってしまえば「みなさんのご想像にお任せします」が答えです。幾通りも考えられると思うんです。紫姓草の赤とか、血とか、七不思議とか。でも、タイトルの意味は遊んで頂いた方がその答えを定義してくれるといいなと思っています。
沢城:こうして話を伺うと、みなさんのこだわりがたっぷりつまった作品ですね。そういえば気になる『7’scarlet』の続編については……。
金沢:構想はあるのですが、本編に全力を注いで、ちょっと今疲れているのが正直なところです(笑)。まずは本編を、余すところなく楽しんでいただけたらうれしいですね。
沢城:それはそうですよね、これだけの大作を手掛けられたんですから。金沢さんの復活を、みなさんと一緒に待ちたいと思います!
金沢:公式TwitterやドラマCDなどの仕掛けも作品と連動していますので、ゲームが終わった後で楽しんでいただけたらうれしいと思います。もし続編がでることになったら千春くん、またよろしくお願いしますね。
沢城:はい! ぜひ!! またよろしくお願いします!
いかがでしたでしょうか。お2人は皆さんからの質問すべてに目を通してくださり、真摯に答えてくださいました。たくさんのコメントや、Twitterでのつぶやきどうもありがとうございました。まだまた暑い日が続きますが、『セブスカ』はまさにそんな季節にぴったりの作品です。1度プレイしただけではわからないこともたくさんありますし、何周もプレイできるようになっていますので、ぜひ何回も遊んでみてくださいね!!
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7’scarlet (セブンスカーレット)
・発売元:アイディアファクトリー
・ブランド:オトメイト
・フォーマット:PlayStation®Vita
・ジャンル:女性向け恋愛アドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:通常版 希望小売価格 6,300円+税
限定版 希望小売価格 8,300円+税
ダウンロード版 販売価格 6,264円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)
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