
PlayStation®5ダウンロード専用タイトル『Dreams of Another』は、「破壊なくして創造はない」という哲学的なテーマを掲げた、新感覚の探索型アクションゲーム。PlayStation®3で発売されたインディーゲーム『PixelJunk Eden』を手掛けたディレクターであり、マルチメディア・アーティストでもあるBaiyon氏の最新作だ。テレビなどのモニターで遊ぶ通常モードに加えて、PlayStation®VR2で遊ぶVRモードにも対応している。
CHECK POINT①
破壊によって創造される夢の世界を探索しよう
本作では、「パジャマの男」と「彷徨う軍人」というふたりのキャラクターが、不思議な夢の世界を旅する物語が描かれる。最大の特徴は、物体や地形を点の集合で表現するポイントレンダリングによって構築される世界だ。夢の世界では「抽象化」と呼ばれる現象が進行しており、家や椅子などのオブジェクトをはじめ、床や階段といった地形そのものが無数の粒子となって散らばっている。原型がわからないモノや、なんとなくわかるモノなどが混然一体となって広がっている空間はとても曖昧で不安を覚えるものの、どこか幻想的でもある。


物体や地形が粒子と化す抽象化の影響を受けたエリアにいると、プレイヤーが操作するパジャマの男の存在も不安定になり、会話や移動が困難な状態になってしまう。しかし、粒子を銃で撃つとそれらを「具体化」させ、元の姿に戻すことができる。散らばっていた粒子のひとつひとつが細かいチップのような形となり、それらが集まって物体や地形を構成していくさまも、また幻想的だ。

抽象化の影響であやふやだった世界が、まるで筆を塗り重ねた油絵のような世界へと変化するため、ひとつの場所でふたつの景色を楽しめるのが面白い。具体化によって確かなものとなった地形を普通に移動して、元に戻った物体を調べることもできる。多くのFPSやTPSでは銃を撃つことによって敵を倒したりオブジェクトを”破壊”したりするのが普通だが、本作では銃を撃つことで世界を”創造”できるというわけだ。


“銃を撃つ”という操作から、激しい銃撃戦が繰り広げられるFPSやTPSを想像する人がいるかもしれない。しかし、本作は幻想的な雰囲気と抒情的な物語を楽しむことに重きを置いた探索型アクションであり、シビアなキャラコントロールやエイムなどが求められることはない。FPSやTPSは苦手だという人も、この幻想的な夢の世界へ気軽に飛び込もう。

CHECK POINT②
プレイフィールの異なるふたつのVRモードを搭載
本作にはモニターで遊ぶ通常モードだけでなく、PS VR2で遊ぶVRモードが用意されているのも大きな魅力だ。通常モードは三人称視点のみだが、VRモードではDualSense® ワイヤレスコントローラーといった通常のコントローラーで遊ぶ三人称視点と、PlayStation VR2 Sense®コントローラーで遊ぶ一人称視点が選択できる。


本当に夢の世界を訪れたような感覚が味わえる一人称視点
一人称視点はプレイヤーが操作するパジャマの男の視界がプレイヤー自身の視界となるため、より高い没入感が味わえるのがポイントとなる。視界いっぱいに粒子が広がっている景色の中を歩いていると、まるで本当に夢の世界を訪れたような感覚に。現実ではありえない景色へ飛び込むことができるのは、VRならではの醍醐味だろう。PS VR2の4K HDRディスプレイによって、散らばった粒子や具体化によって元の姿になったオブジェクトを構成するチップのひとつひとつまでも確認することができ、臨場感もアップしているように感じられる。

銃の狙いを定める操作をPlayStation VR2 Senseコントローラーを持った手を動かして実際に行なうのも、一人称視点の特徴だ。直感的な操作によって臨場感がさらにアップするのはもちろん、素早く狙いをつけられるのはうれしい。地面に落ちているアイテムは近づくだけで入手でき、実際に手を伸ばしたり視線を下げたりする必要がないのも快適だった。一人称視点は、本作の世界にどっぷりと浸りたい人にオススメの視点だ。

通常モードとは違う感覚や操作を楽しめる三人称視点
VRモードの三人称視点では、パジャマの男を俯瞰的に操作することになる。「それなら通常モードと変わらないのでは?」と思うかもしれないが、実際にプレイしてみると、大きく違うことに気づくだろう。パジャマの男を後方から眺めながらゲームを進めるという構図自体は通常モードと変わらないものの、夢の世界がプレイヤーの視界いっぱいに広がっているのは一人称視点と同じ。VRモードでは物体や地形などの立体感も強く味わえるため、まるで精巧なジオラマの中でパジャマの男を操作しているような感覚を味わえる。

操作は基本的に通常モードと同じだが、VRモードの三人称視点では銃の狙いをアイトラッキングによって行なうのが大きな違いだ。プレイヤーの顔がどこを向いていようとも、パジャマの男はプレイヤーが実際に見ている場所を射撃する。通常モードだけでなくほかのVRゲームでもあまり行なわない操作のため、最初のうちは戸惑ってしまったが、慣れてくると狙いがとてもスピーディになり、快適に粒子を撃ち抜けるようになった。また、ヘッドセットを装着した頭を動かすだけで、カメラを操作することなく周囲の状況が確認できる。VRゲームではおなじみの操作ではあるものの、これも通常モードとの大きな違いだろう。

VRモードの一人称視点や三人称視点では、通常モードとは異なるプレイフィールで夢の世界を探索できる。すでに本作を通常モードで遊んだことがあるという人も、ぜひ一度VRモードでプレイしてみよう。
CHECK POINT③
不思議なキャラやモノたちとの会話によって紡がれる抒情的な物語
本作の物語は、あやふやな夢の世界とリンクするかのように掴みどころがなく、独特のテンポで描かれていく。ゲーム自体は、抽象化に侵された夢の世界を具体化し、探索することによって進行する。パジャマ男と行動をともにする彷徨う軍人は、この過程を「夢の世界で行なう自分探しの旅かも?」と考えてはいるものの、具体的な目的などは明かされないままで物語が進んでいく。

登場するキャラクターは、子供や老人、ピエロ、天使、そしてしゃべるモグラなど、一見すると脈絡がない。さらに、各シーンは断片的に描かれるうえに、展開が唐突に終わったりメインメニュー画面に戻ったりすることが多々あるため、いったい何が起こっているのかと不安に思うこともあった。メインメニュー画面はベッドで眠っている男の姿が描かれていることもあり、夢の世界であることを強く実感させられる。しかし、ゲームを進めていくと「さっきのはこういうことだったのか」と膝を打つことも。バラバラだったピースが次第につながっていき、心の中のモヤモヤが解消されるカタルシスを味わえる。


また、夢の世界では、具体化した建物のドアやポスト、椅子、花、雑草など、さまざまなモノが一方的に語り掛けてくる。その多くは物語に直接関係はないものの、思わず考えさせられる哲学的なものだったり、クスっと笑ってしまうユニークなものだったりと、内容はさまざまだ。
夢の世界とはいったい何なのか? そしてパジャマの男や彷徨う軍人は何者なのか……? 急ぐ必要も焦る必要もない。モノの言葉に耳を傾けながら、夢の世界の冒険をまったりと心穏やかに楽しもう。

Dreams of Another
・発売元:キュー・ゲームス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:アクションゲーム、アドベンチャーゲーム
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 通常版 3,960円(税込)
ダウンロード版 販売価格 スペシャルバンドル 4,620円(税込)
・プレイ人数:1人
・レーティング:IARC 3+(3才以上対象)
※ダウンロード専用タイトル
※PlayStation VR2対応
PS Blogの『Dreams of Another』記事はこちら
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※IARC(the International Age Rating Coalition)は、世界のゲーム評価機関により管理される国際年齢評価連合です









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