本日よりPlayStation®Storeにて予約が開始された『野狗子: Slitterhead』。本作はBokeh Game Studioが生み出した新たなアクションアドベンチャーです。人間に憑依して戦う独自のシステムや、アジアを舞台とした世界観を制作スタッフが解説するとともに、クリエイティブディレクターの外山圭一郎氏によるメッセージをお届けします。
新たなスタジオから生まれた作品で描きたかった世界
2020年末にゲームクリエイター・外山圭一郎が独立して立ち上げた新会社Bokeh Game Studio(ボーカゲームスタジオ)の発表から4年。記念すべき第一作『野狗子: Slitterhead』がいよいよ発売となります。
PlayStation®.Blogをご覧の皆さんにはご説明不要かもしれませんが、外山圭一郎はこれまで『SILENT HILL』『SIREN』『GRAVITY DAZE』などを制作してきたクリエイターです。SIE時代の『SIREN』や『GRAVITY DAZE』のファンの方々であれば、その続編的なものを期待してしまうかもしれません。ですが、これまでの外山作品と同様に『野狗子: Slitterhead』もまた新たな世界を創り出すことに挑戦しています。
開発初期の段階で全スタッフと共有していたテーマはふたつ──ひとつは“オリジナルIPの創造”。もうひとつは“独自性を重視したタイトル制作”でした。これらを基に外山が描く世界観やゲームシステムをひとつずつ形にしていきました。外山と共通言語を話せる昔からのスタッフはもちろん、彼の作品に触れてきた若い世代が加わり、豊富な経験と新しい才能から生まれた作品がこの『野狗子: Slitterhead』です。
いろいろとご説明したいことはありますが、まだまだゲームの概要が伝わっていないと思いますので、改めて本作のポイントをご紹介します。
▶1990年代の猥雑なアジアの街並みと香港映画へのエキゾチシズム、青年誌コミックの“SFバイオレンスアクション”の系譜をミックスしたアクションアドベンチャー。
▶人間の脳を食べ、人間に擬態している“野狗子(やくし)”と呼ばれる怪物が暗躍している架空の街“九龍”が舞台。
▶プレイヤーは記憶と肉体を失った“憑鬼(ひょうき)”であり、唯一覚えていることが、野狗子を殲滅させるという意志のみ。
▶“憑鬼”は人間に憑依することで、この世界での行動や戦闘が可能となる。
▶憑依した人間の血や精神力を駆使することで“凝血武器での戦闘”、“特殊スキル発動”、“高速移動”、“ワイヤーアクション”など、多彩なアクションが楽しめる。
本作独自の世界観やシステムに最初は戸惑うかもしれませんが、ミッションを進めることで“憑鬼”の力を理解し、自由に扱えるようになっていきます。
憑依を使ったアクションとアドベンチャー
“野狗子”とのバトルでは、人間に憑依し、人間の血から作り出す武器で対抗します。ですが圧倒的な力をもつ“野狗子”の前に人間はあまりにも非力です。これまでのアクションゲームと異なり、ひとりのキャラクターでギリギリまで戦うのではなく、体力の少ない人間から別の人間に切り替え、人間を乗り換えることで的を絞らせずに攻撃を仕掛けるといった憑依を中心とした戦略が必要となります。バトルの際、その場にいる人間たちをいかに有効活用するかを考えることが大切です。そこには命の大切さを説く時間はありません。人間を単なるリソースとして捉えるという禁断のカタルシスを味わえてしまいますが、街ゆく一般人を上手く操り怪物にとどめを刺せるゲームも今までになかったのではないでしょうか。
ボタン連打で繰り出せる多段攻撃や、キャラクター固有のスキル攻撃、敵の攻撃をディフレクトして隙を作るなど格好いいアクション要素も豊富ですし、ミッション形式で進むゲーム内では街を歩き回り“野狗子”を探し出したり、アジトである建物内に潜入したりして敵に気づかれないよう捜索をするなど、さまざまなアドベンチャー要素も盛り込まれています。
特別な力をもった“稀少体”
人間のなかには“憑鬼”とのシンクロが強いものが存在し、彼らは“稀少体”と呼ばれています。一般の人間と異なり、強靭な肉体と能力を備えている彼らを仲間にしていくことでストーリーや新たなミッションが紐解かれていきます。
“稀少体”は普通のゲームでいうところのヒーローではありますが、実際は“憑鬼”によって戦いに巻き込まれていく一番の犠牲者なのかもしれません。幾度となく“野狗子”と戦うことでその存在は怪物同様に知れ渡ってしまう危険があります。彼らにも普段の生活があり、戦わなければ一般の人々と何ら変わりはありません。それゆえ、“稀少体”が戦う際には素顔を隠して臨むのですが、この世界には都合のいい組織が用意してくれた恰好いい戦闘スーツなどはありません。ヘルメットや仮面、衣服や袋などで顔を隠し戦います。
彼らは絵に描いたような生粋のヒーローではありません。ストーリーを進めることで、それぞれの悩みや葛藤が見えてきたり、人間臭いドラマが展開したり、逆に多くを語らない謎のキャラクターがいたりとさまざまな人物が登場します。彼らのバックストーリーも推察しながらプレイすると、この世界をより深く堪能できると思います。
なお強靭な“稀少体”といえども、強敵に出会い先に進めない場合があるかもしれません。そんなときはゲーム内で基本ステータスを強化したり各スキルをパワーアップしたりすることが可能です。アクションが苦手な人も、じっくりプレイすることでクリアを目指してください。
また、仲間になった“稀少体”はミッションに挑戦する際、メインとサブという形で任意で選択ができます。お気に入りの“稀少体”を育てたり、“稀少体”同士の組み合わせをいろいろ試したりしてみるのも本作の楽しみになっています。
混沌とした世界の群像劇
この世界では人間と怪物の戦いだけが描かれるわけではありません。“野狗子”と共存することを理想とする謎の組織や、怪物を殲滅するために“稀少体”にさえ牙をむく特殊部隊など、それぞれの思惑が絡み合った群像劇が展開していきます。
なぜ“野狗子”が生まれたのか、そして“憑鬼”の失った記憶とは? カットシーンで描かれていく物語に加え、インターミッション形式で“憑鬼”と“稀少体”の会話を重ねることで徐々に明かされていくこの世界の秘密。ストーリーに関してはプレイした人だけのお楽しみとしてあまり多くは語りませんが、特に後半、畳みかけるようにプレイヤーを襲うシナリオにもご期待ください。
ちりばめられた外山作品らしいエッセンス
まだまだ紹介しきれない本作の世界観やシステムには、これまでの外山作品に登場した要素がいくつも垣間見えます。例えば捜索時に、“野狗子”の視界を盗み見ることができる“鬼子眼(サイトジャック)”、物語とシステムに重要な影響をおよぼすタイムループの概念、そして必ず登場するナースの存在。さらにナースの名前が“リサ”という時点で、気になる人もいるかと思います。
過去の外山のコメントで「『SIREN』の再解釈も本作の起点」と答えているように、これまでの作品に共通するようなエッセンスがゲームのなかにいくつか存在しています。ただし、あくまでも『野狗子: Slitterhead』は新しいエンタテインメント作品です。そのうえで楽しんでもらえると、新しい発見に繋がるかもしれません。
世界の創造主たち
本作はクリエイティブディレクターの外山圭一郎、プロデューサーの佐藤一信、ゲームディレクターの大倉純也をはじめ内外のスタッフを含めてピーク時には60名から70名の規模で開発を進めていました。また、ゲストクリエイターにも積極的に参加していただきました。キャラクターデザイナーには「ブレス オブ ファイア」、「デビル メイ クライ」シリーズの吉川達哉氏、コンポーザーには『SILENT HILL』の楽曲を手掛けた山岡晃氏。両氏とも過去に外山と仕事をした仲間であり、この三人がタッグを組んだ作品は初となります。
昨今では大規模プロジェクトとは呼べない人数での開発ではありましたが、大ベテランから若手まで、仲間たちと全員の力を併せてゴールまで走り切った経験は忘れられないものとなりました。立ち上げのころにパンデミックが世界を襲い、これまでの開発スタイルからの変更を余儀なくされたのはどのスタジオも一緒だとは思いますが、オンラインを中心とした制作現場でモチベーションを保てたのは、スタッフ全員に“新しいものを創造する”という強い意志が憑依していたのだと思います。
本作はマスターアップし、じつはもうスタッフは新たなプロジェクトに向けて少しずつ準備を始めています。それをお伝えするのはもっと先のことになるとは思いますが、まずは『野狗子: Slitterhead』を楽しんでいただき、Bokeh Game Studioの今後の挑戦にもぜひご注目ください。
最後となりますが、クリエイティブディレクター・外山圭一郎からのメッセージをお届けいたします。11月8日(金)の発売までもうしばらくお待ちください!
私がゼロから創作する四つめの世界となる本作のメディア露出が始まったころから、皆様からのご期待に加えて、意外性への驚き……ある種の戸惑いのような、そういった声もたくさんいただきました。
それは、これまで私が新たなシリーズを立ち上げたときの反応に近しいもので、私の作品の核である独創性と新規性、それが本作でも揺らいでいないという実感を得て、安堵しました。
その後続けてきたプロモーションで理解が進んだかとは思うのですが、既存の何々のような……といった伝え方が難しい本作だからこそ、ぜひ、実際にプレイして、新たなゲーム体験の形を直接感じていただければと思います。
Bokeh Game Studio
CEO/クリエイティブディレクター
外山圭一郎
野狗子: Slitterhead
・発売元:Bokeh Game Studio
・フォーマット:PlayStation®5 / PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:2024年11月8日(金)予定
・価格:PS5 パッケージ版 希望小売価格 通常版 5,478円(税込)
PS5 パッケージ版 希望小売価格 マニアックエディション 8,778円(税込)
ダウンロード版 販売価格 通常版 5,478円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デラックスエディション 7,678円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:Z(18才以上のみ対象)
©2021 Bokeh Game Studio Inc.
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