1997年発売のオリジナル『FINAL FANTASY VII』からのキャラクターや、モンスターなどを最新のゲーム機で一新した『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下『REBIRTH』)が、目を見張るような輝きを放っているのは間違いありません。現代のゲーム機は、25年以上前に生成されたカットシーンでさえ及ばなかったレベルのリアリなゲームプレイで、私たちに象徴的なキャラクターたちと世界を返してくれました。私たちはスクウェア・エニックスに、約30年にわたる技術の進歩がもたらした変化について、数字を計算し、洞察を共有してもらいました。今回は、メインキャラクターモデラー兼リードキャラクターアーティストの鈴木大氏が、いくつかのキャラクター、モンスター、武器などを通して解説してくれました。
キャラクターデザイン – クラウド・ストライフ
クラウドのポリゴン数比較
『FINAL FANTASY VII』(バトル用モデル) | 約900ポリゴン |
『FINAL FANTASY VII REMAKE』(以下『REMAKE』) | 約110,000ポリゴン |
『REBIRTH』 | 約220,000ポリゴン |
鈴木氏:クラウドといえば大きな剣と特徴的なヘアスタイルを思い浮かべる人も多いと思います。そのため『REMAKE』でのキャラクター性を表現する手段として髪の毛には特に力をいれる必要がありました。髪の毛は総ポリゴンの実に半分を占める非常に高い優先度で作成しています。『REBIRTH』ではハードがPlayStation®5に変わり、『REMAKE』よりも使えるポリゴン数が増えています。
毛並みを表現する – レッドXIIIとケット・シー
レッドXIIIのポリゴン数比較
『FINAL FANTASY VII』(バトル用モデル) | 約900ポリゴン |
『REBIRTH』 | 約120,000ポリゴン |
ケット・シー&デブモーグリのポリゴン数比較
『FINAL FANTASY VII』(ケット・シー&デブモーグリ) | 約900ポリゴン |
『REBIRTH』 ケット・シー | 約100,000ポリゴン |
『REBIRTH』 デブモーグリ | 約230,000ポリゴン |
鈴木氏:レッドXIIIやケット・シー達の全身もヘアカードをたくさん配置して表現しています。毛並みは彼らの個性のひとつなので、ヘアカードもただ生やしていくのではなく毛の流れにもこだわる必要がありました。オリジナルの角ばっている見た目も可愛らしいのですが、新しいケット・シーたちは触ってみたくなりませんか?
キャラクターの表情
鈴木氏:ポリゴンは外見だけでなくキャラクターの内面を描くためにも必要です。フェイシャルアニメーションで感情表現をする際、顔の変形は総頂点数に大きな影響をうけます。オリジナル版のキャラクターたちは無表情でしたが『REMAKE』や『REBIRTH』では表情によってキャラクターの心情がより強く伝わるようになりました。
武器 – バスターソード
バスターソードのポリゴン数比較
『FINAL FANTASY VII』 | 約50~100ポリゴン |
『REBIRTH』 | 約8,000ポリゴン |
鈴木氏:武器もディテールが増えたことでポリゴン数が増えています。シンプルなデザインのバスターソードですが、マテリア穴の周辺や、グリップに巻いているレザーなどでその多くを使用しています。また武器につけるマテリアも武器側にメッシュが仕込んであり、8,000ポリゴンのうちマテリア2個分の部分には、約1,000ポリゴンが使われています。
モンスター – ミドガルズオルム
ミドガルズオルムのポリゴン数比較
『FINAL FANTASY VII』(ボスモンスター級) | 約3,000ポリゴン |
『REBIRTH』 | 約260,000ポリゴン |
鈴木氏:次にモンスターのモデリングを見て見ると、たとえばミドガルズオルムの無数のトゲは尾の先にいたるまですべてがモデリングされています。オリジナル版にはなかったトゲで、これがあることでシルエットがより禍々しいものなっています。大きな尻尾で薙ぎ払われたとき、トゲの部分でより大きなダメージを受ける……そういった印象をプレイヤーに持ってもらう大事な役割を担っています。
スケールの差 – カードキーから戦艦まで
最大ポリゴンと最小ポリゴン
鈴木氏:さてそれでは『REBIRTH』のキャラクターたちのなかで何が一番ポリゴン数を使用していなくて、どれが一番ポリゴン数を使用しているのでしょうか? 自分もすべてのデータを把握しているわけではないのですが、すくなくともこちらのデータは数字として大きく外れていないはずです。
最小 | 12ポリゴン |
最大 | 約2,300,000ポリゴン |
最小はダミーモデルとして使用しているボックスでした。ゲーム中は見えないデータです。これを除くと、ちっちゃなメモとかカードキーあたりが最小になりそうな気がします。
最大はスカーレットの乗る戦艦ゲルニカです。カットシーンで使用されるものなのですが、内装を背景としてではなくすべて含めたキャラクター扱いにする必要があったためこれだけ大きな数値になっています。
今回はオリジナル版と『REBIRTH』のポリゴン数の違いに焦点をあててみましたがいかがでしたでしょうか? ポリゴン数は数値で比較を出せるため比較的わかりやすいと思います。ゲーム開発ではNormalMapのベイク用にもっとハイモデルな、それこそ1千万ポリゴンを超えるものを作成することはよくあることなのですが、いずれはそれもゲーム中に無理なく動くハードが登場するのでしょうか? それが手放しに良いことなのかどうかはまったくわかりませんが、今後のハードの進化には期待したいと思います。
FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:RPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Standard Edition 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 11,501円(税込)
・CERO:C(15才以上対象)
PS Blogの『FINAL FANTASY VII REBIRTH』記事はこちら
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』公式サイトはこちら
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© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO
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