PS5™『Horizon Forbidden West: 焦熱の海辺』で実現したリアルすぎる雲の風景。その開発秘話に迫る!

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PS5™『Horizon Forbidden West: 焦熱の海辺』で実現したリアルすぎる雲の風景。その開発秘話に迫る!

※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。

「Horizon」シリーズの世界は広大かつ雄大で、緑豊かな風景と、どこまでも続く空が広がります。Guerrillaのチームがこの世界を作り始めたとき、さまざまな専門の開発者が、どうやって命を吹き込むかを模索しました。Guerrillaの環境制作を担当するチームは、空に本物のような雲を浮かべることでこれを実現しようとしました。

『Horizon Forbidden West』でこの表現はさらに進化し、「焦熱の海辺」でアーロイはいままでになく、息を呑むほどリアルな空を旅することになります。

リアルな雲の制作

「地平線と言えば、大海原のような広大な空間や途方もなく遠くで雲や太陽が弧を描いて沈むような光景を思い浮かべますよね」と、GuerrillaのプリンシパルFXアーティストのAndrew Schneiderは述べます。「オープンワールドゲームは、開発者にも地平線と同じように果てしない難題を突きつけます──それは、”プレイヤーが終わりのない世界にいるように感じるにはどうしたらいいのか?”ということです」

この困難な問いかけを技術的課題としてひとつひとつ落とし込んでいきました。

2010年代初頭、長編映画やアニメVFXは、”ボリュメトリックレンダリング”を使って雲を作るのが一般的でした。しかし、高精細な映像をゲームというインタラクティブなフレームレートでレンダリングするには時間がかかりすぎるという問題がありました。しかし、開発者たちはこの技術が実現できれば大きな革新をもたらすポテンシャルがあることを認識していました。

ハードウェアの進化により、制作状況も変わり始めました。PlayStation®4が開発の中心だった2015年、AndrewはGuerrillaのプリンシパルテックプログラマーのNathan Vosと手を組みました。彼らは、『Horizon Zero Dawn』で登場した、非常に効率的なオープンワールド用ボリュメトリック雲描写システムを共同で開発しました。複雑に入り組んだ雲は、アーロイの世界を希望に満ちた美しいものとして彩りました。また、時間帯による変化やリアルなアニメーションにも対応しており、生命が溢れ、まるで呼吸をしているかのような世界を作り出したのです。

このことは『Horizon Forbidden West』の開発を進めるための土台になりました。

さらなる進化

ビデオゲームにおいて、雲は雰囲気を伝えるのに役立ちます。豊かな緑、澄んだ水、ごつごつとした崖に加え、「Horizon」シリーズの雲は世界に感情を刻み込みます。これを実現するためにも、雲は”アーロイの頭上高くにある白いもやもやしたもの”以上のものでなければいけませんでした。必要だったのは、動き、多様性、そしてメリハリです。

「着想を得るため、19世紀の画家、アルバート・ビアスタットのようなルミニズム運動に参加した芸術家を調べました。こういった芸術家は雲とその下にある地面との相互作用を熟知していて、光とディテールを使って空間を生み出し、ダイナミックな風景画を描きました。

シエラネバダ山脈を通過する嵐(1870)- アルバート・ビアスタット

「この効果を3Dで実現するために、雲をモデル化する方法を開発しなければいけませんでした。『Horizon Zero Dawn』の開発時には、雲の風景を作り出すさまざまな方法を探りました。そこで出てきたのが”ボクセル”です。ボクセルとは、ボリュメトリックな3Dの雲を作れるブロックのことです。私たちは実際に雲のシミュレーターを作り、3次元の“ボクセル”データをリアルタイムでレンダリングする実験を行ないました」

「ですが、この技術を使用するのは時期尚早でした」とAndrewは振り返ります。「ハードウェアとソフトウェアの能力が、うまくかみ合わなかったのです。そこで当時の私たちは、可能な限り高品質でありながら、シミュレーションよりもモデリングに注力するようなレンダリング効率の高い方法で雲をモデル化することに落ち着きました」

解決策は、個別の雲の形を作るのではなく、決まった形の雲のレイヤーを描くことでした。ですが、『Horizon Forbidden West』で飛行型の機械獣に乗って空を旅できるようになり、それに対応するためにはこのプロセスを拡張する必要がありました。

『Horizon Forbidden West』では、AndrewとNathanは『Horizon Zero Dawn』で使われたベースシステムのレンダリングクオリティをアップグレードし、プレイヤーが飛び抜けられる、低高度で発生する新たな霧のような雲に対応するようにしました。これにより、不穏な竜巻の中で雷が光る大嵐を発生させるなど、プレイヤーを圧倒するような雰囲気を作り出すことができました。そして今では、雲にはそれぞれの個性を作り出すことができ、雷鳴を轟かせて緊張感のある雰囲気を作り出せるようになりました。

次なる挑戦

次のステップは「焦熱の海辺」向けにこのシステムを進化させることでした。この拡張コンテンツに向けて、ワールド内でのさまざまな技術的改善に加え、チームはボクセルテクノロジーを使って雲の表現をさらなる高みへと押し上げました。

「『Horizon Zero Dawn』および『Horizon Forbidden West』向けに開発した雲描写システムは、3Dオブジェクトとして雲を保存するのではなく、限定的な2D情報から3Dの雲を作る指示を出していたので高速でした。PlayStation®5は、より大きなデータセットを扱えます。なので、『Horizon Forbidden West』が完成した後、自分たちの目指す品質にさらに近づけるため、プレイヤーが高精細な雲の中を飛び抜けられるような、ボクセル雲のレンダリングをするプロトタイプを作り始めました」

プレイヤーが地上にいるときと、空高く飛んでいるとき、どちらにおいてもパフォーマンスとクオリティのバランスを取るのは、野心的な挑戦でした。ですが、プロトタイプがうまく動き、低高度でも高高度でも濃密でダイナミックな結果を生み出してくれました。これは、努力と、PS5のパワーによる賜物です。

ですが、雲ひとつを生み出すところから雲の風景全体を作るまでには、長い道のりがあります。

Andrewは”フランケンクラウドスケープ”と呼ぶものを作りました。これは、大きな雲を構成して地形のように空を風景として扱えるようにするものです。その結果として、雲の風景は背景要素と探索できる環境の両方として機能するようになりました。

「焦熱の海辺」でこれを動かすために、Guerrillaのストライクチームが雲の中を飛ぶ課題に取り組みました。これには、パフォーマンスとクオリティの真価が問われました。AndrewはNathanとチームを組み、シニアプリンシパルテックプログラマーのHugh Malanを呼び寄せました。

彼らが遭遇した最初のハードルは、大量のボリュメトリックなボクセルデータをどう扱うか、というとても技術的に難しい問題でした。

「Hughと私は、課題ごとに役割を分担して取り組みました。私は、低解像度のボクセルデータを取り込み、レンダリング中にディテールを加える方法を開発しました。その間、Hughはメモリ読み込みを高速にするためのデータ圧縮に取り組みました。これらのプロセス両方があって、ボリュメトリックなボクセル雲のレンダリングは飛躍的に速くなりました」

「ですが、それでも速度が足りませんでした」とAndrewは振り返ります。「このプロセスで一番苦労したのは、かなり複雑な雲のライティングを計算する部分です。これを回避するために、Nathanはレンダリング時間を、スタンダードモードでも、高フレームレートモードでも機能するような速度まで短縮する方法を開発しました」

「これは、最適化したことにより良いビジュアルが得られた、という珍しい状況でした。雲から雲へとかかる影を遥かに長い距離で投影することができ、リアルさが増しました。この時点で、ボリュメトリックな雲を、隣り合わせでもレンダリングする方法ができていました」

ふたつ目の課題は、バランスでした。「クオリティとパフォーマンスのバランスを取るのに、リアルタイムグラフィックエンジニアが細かい操作を必要とする面がありました」とAndrewは続けます。「通常、プロセッシングにおいてクオリティを実現するために、それなりの”代償”が生まれます。なので、雲のクオリティを向上させる際には、その代償が現在の雲描写システムのものと同じかそれ以下になるように調整する必要がありました」

このバランスを調整するために、シニアプリンシパルテックプログラマー兼グラフィックエンジニアのJames McLarenは、PlayStation®のハードウェア上で、コードが低いレベルでどのように動作するか、チームが理解できるよう手助けしました。彼の専門知識により、PS5向けのコードを最適化し、ハードウェアのスペックをフル活用できるようになったのです。「Jamesの貢献は、開発の初期段階に欠かせませんでした。Guerrillaが制作の限界を突破する力となりました」とAndrewは振り返ります。

最終的に、すべてのピースが積み重なり、地上と同じように精細で多様な雲の風景のなかを、サンウイングの背に乗って、舞い上がり、飛び回れる、感動の体験を作りあげることができました。

「焦熱の海辺」で待ち受けるもの

「焦熱の海辺」に向かう間、アーロイはおなじみの機械獣や仲間に出会います。ですが、世界を旅する新たな方法も発見することでしょう。

「メインのゲームプレイとは切り離して、この体験自体に喜びを感じ、楽しめるようなものにすることは重要でした。雲は、単に没入感を生み出す光景だけではなく、それ自体が探索できる環境です。プレイヤーは、雲の中のトンネルや洞窟を探索でき、ほかにも飛ぶことが楽しくなるサプライズに出会えると思います」とAndrewは言います。

「最高なのは、時間帯によって、雲の表情が全く違うものになることです。一日が進むにつれ、光のクオリティや方向が変わり、雲を構成する一部が隠れたり現れたりして、その都度旅の感覚が変わります。

もちろん、ネタバレはしたくないのですが――ちょっとした雷ならば、怖がらないでほしいですね」

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Horizon Forbidden West (ホライゾン フォービドゥン ウエスト)

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:オープンワールド・アクションRPG
・発売日:好評発売中
・価格:PS5/PS4 ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 9,790円(税込)
    PS5 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
    PS4 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)

※PS4版を購入した方は、追加料金なしでPS5ダウンロード版へアップグレードすることができます。
※PS4パッケージ版をお持ちの方は、PS5ダウンロード版をダウンロードしたりプレイしたりするには、その都度ディスクをPS5本体に挿入する必要があります。PS4パッケージ版をお持ちの方でも、ディスクドライブを搭載していないPS5デジタル・エディションの場合はPS5ダウンロード版を入手することはできません。


PS Blogの『Horizon Forbidden West』記事はこちら


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