ひとつの惑星の魂を見つけ出す──世界観の構築『SAROS』の楽曲制作に迫る

1 0
ひとつの惑星の魂を見つけ出す──世界観の構築『SAROS』の楽曲制作に迫る

『SAROS』オリジナルサウンドトラックを手掛けた作曲家が、HousemarqueのSFアクション大作を彩る、本作の楽曲制作の詳細を語る

『SAROS』のサウンドトラックは、ダークなシンセサイザー、ドローンメタル、加工されたボーカルに、壁のように押し寄せる激しく歪んだギターサウンドを織り交ぜ、まるで日蝕を呼び起こすかのような響きを生み出しています。本作の楽曲制作を担当した作曲家であり、プロデューサー、アーティストでもあるサム・スレイター氏にとって、このスコアを生み出すことは、単にアクションに添える音楽を制作する以上の意味を持っていました。それは、言うなればひとつの惑星の魂を見つけ出すことに他なりませんでした。

サウンドトラックの発売に合わせ、私たちは、惑星カルコサの音楽的アイデンティティの構築、ニティアを探すアルジュンの旅のための曲作り、そして空が引き裂かれるようなサウンドをどのように作り上げたのかについて、サム氏にお話しを伺いました。

PlayStation®.Blog:『SAROS』のサウンドトラックを「素晴らしくて、壮大で、ダークなパズル」と表現されていますが、クリエイティブな意味で初めてカルコサに足を踏み入れたとき、解かなければならないと感じた“パズル”は何でしたか?

サム・スレイター:どんなプロジェクトでもそうですが、特にビデオゲームのような巨大なプロジェクトでは、最初に解くべきパズルは「この楽曲の魂はどのようなものになるのか?」という問いです。

グレッグ・ラウデン(Housemarqueのクリエイティブ・ディレクター)、ジョー・トウェイツ(PlayStation Studios™ Creative Artsのミュージックリード)と私は、カルコサをしっかりと捉え、ひとつの場所として認識できるようにするための最初のテーマや質感のアイデアを探しながら、試行錯誤を重ねました。

私は作曲家として、世界観を構築するという考えから始めることが多いです。その世界がどのようなものなのかを知りたいんです。作曲家がゲーム制作に参加する段階では、ごく初期のテスト用ビジュアルはあるものの、完成したゲームが目の前にあるわけではありません。そのため、ひとつひとつのアイデアがその世界の一部になり得るのかどうかを、チーム全体で見極めていくことになります。

そのパズルが少しずつ積み重なり、“音楽”という時間を歪めるような驚異的な立体パズルへと姿を変えていきます。ただしそれは同時に、ゲーム内できちんと機能し、プレイヤーが先へ進めるよう支えるものでなければなりません。

あなたとグレッグ・ラウデン、Housemarqueのチームの間で、クリエイティブ面について最初にどのような話し合いがありましたか?

グレッグはメタルファンです。私もメタルファンです。私たちは似たような経験をたくさんしていて、この20年ほどの間に、きっと同じようなライブの場にも足を運んできたと思います。

ドローンメタルとダークなエレクトロニックミュージック、そしてそのふたつの世界の間にある緊張感というアイデアは、グレッグのものでした。一方は非常に有機的で、歪みが効いている、そしてもう一方は驚くほどクリーンですが、その電子音の高い忠実度が圧倒的なものになっていく。そのふたつをどうにかして融合させる必要があったのです。

私たちは長い時間をかけて、お互いに楽曲を送り合いました。グレッグと私はプレイリスト上で楽曲をやり取りしていて、その内容はかなり幅広いものになっていきました。それは、“存在しない世界の音楽的な魂”という、とにかく抽象的なものについて、共通言語をすり合わせていく作業だったのです。

サウンドデザインは、『SAROS』の体験を左右する非常に重要な要素になっています。スコアとサウンドデザインの関係について、どのように考えましたか?

まさにそこが面白いところです。私は特別な区別はしていません。銃声や、水滴の落ちる部屋の音にこだわり、その選択に、私がスコアに向き合うのと同じくらいの熱量を注ぐ人たちがいます。

ゲーム制作の素晴らしいところのひとつは、ひとつのオーディオエンジン、つまりプレイヤーとして耳に入ってくる情報を管理するひとつのシステムを扱っているという点です。そのため私は、音楽とサウンドデザインを別のものだとは考えていません。

サウンドデザインチームと音楽チームは、常に対話を重ねていました。「そちらのためにスペースを空けておきましょうか?」「こちらのためにスペースを空けてもらえますか?」といったようなやり取りをする感じです。あるとき、雨が降る環境音のあるステージについて話し合ったことがあります。ゲーム内での位置づけとしては、音楽で何かを予感させたくなるような場面でした。しかし私は、一歩引いてみようと思いました。環境音だけで、音楽ができることをすべて担えると感じたからです。

リードトラックである「Sun is Forever」は、ニティアのテーマとして生まれました。物語のなかでは不在でありながら、感情面では核となる人物のために音楽を書くにあたって、どのようなアプローチを取りましたか?

私は、彼女が不在だとは思っていません。彼女は中心的な存在としてあって、ただ遠く離れているだけです。

セイレーンの歌みたいにはしたくありませんでした。彼女はアルジュンを誘い込む存在ではありません。この場合では、そこにはどこか母性的な性質があります。曲には謎めいた雰囲気を持たせたいと思いましたが、それをあからさまにはしたくありませんでした。まるでその声が「ここで私に会えれば、すべて大丈夫」と語りかけているように感じられるものにしたかったのです。

だからこそ、ギターが入ってくることで、そのアイデアが台無しになるか、あるいは決定づけられることになります。あのギターが入ってくる瞬間には、非常に大きなカタルシスを感じます。ニティアの声を押しのけるギターは、ゲーム内では日蝕と完全に同義の存在です。つまり、まるで日蝕がニティアを追い出すかのように感じられるのです。

この楽曲には、一方に愛と切望、もう一方に腐敗と怒りというコントラストがあります。そのコントラストこそが、スコア全体の核心だったのでしょうか?

私は、音楽におけるコントラストが大好きです。そして、こういう矛盾こそが物語や世界観を魅力的なものにすると考えています。『SAROS』はいろいろな点で、ラブストーリーと言えます。アルジュンが魅力的なヒーローであるのは、突き詰めれば、彼自身が腐敗に蝕まれているからなのです。

人間らしさは、矛盾から生まれます。それはスコア全体を通じて描かれています。日蝕は劣化や増幅、そして限界を超えて押し進められる状態を表しています。カルコサの、いわゆる“通常側”にあるすべてのものは、ある種の高精細さを見据えていますが、それも日蝕そのものによって破壊され得るものでもあります。

日蝕に飲み込まれ、腐敗していくように聞こえる音楽を、どのように作り出したのでしょうか?

Housemarqueは常に、日蝕は世界があふれ出すような感じでなければならない、と言っていました。オーバードライブ(温かみがあり、ざらついた歪みを生み出すオーディオエフェクト)は、その優れた音響的メタファーです。なぜなら、オーバードライブとは文字どおり、波形が回路の限界を超えてあふれ出す現象だからです。

しかし個人的には、日蝕を最も特徴づけているのは、日蝕が起こっていない世界で耳にするすべてのメロディが、音階のちょうど半分だけずらされることだと思っています。

世界はその場にとどまったままオーバードライブされますが、すべてのメロディはスケール上で6半音分、上がるか下がります。脳は依然として世界の基準となる音を聴き取っていて、低く響くドローン音が帰るべき場所を示してくれます。それなのに、その帰る場所はすでに破壊されているのです。突然、これまで2~30分聞いていたメロディが、まったく別の場所にあるように感じられるのです。

プレイヤーに「あれ、転調したな」などと考えてほしいわけではありません。しかし、私の仕事がうまくいったなら、その感覚がプレイヤーにも伝わって、突然世界がおかしくなったと感じてもらえるはずです。

『SAROS』には、素晴らしいボス戦があります。記憶に残る強烈さがありながら、同時にプレイヤーを支えるボス戦の音楽を作るにあたって、どのようなアプローチを取りましたか?

ボス戦の音楽作りはとても難しいですが、それと同じくらい楽しいものでもあります。

音楽は、とてもシンプルにエネルギーを伝える必要があります。音楽を作っているときは、それがうまく機能しているかどうかを、かなり直感的に感じ取ることができます。なぜなら、うまくいっていれば終わってほしくないと思うからです。正しい方向に進んでいれば、そのアイデアと一体になって流れに乗っていけるのです。

プレイヤーのコメントのなかに、流れの感覚について言及しているものがありました。私自身もそれらの楽曲を作っているときに、同じ感覚を抱いていたので、とても嬉しかったです。うまくいけば、楽曲は自然に転がるように進んでいくのです。

すべてのボス戦には、そのステージのテーマやサウンドアイデンティティが反映されていて、それぞれに非日蝕バージョンと日蝕バージョンがあります。ボスは、まさにそのステージ自体のテーマ的なアイデアの集大成と言えます。同時に、音楽の言語は、プレイヤーにエネルギーを与え、先へ進ませるような形へと変化する必要があります。私のように、そのボスに別れを告げて次のステージに進むまでに、最低20回はそのボスと対峙することになるプレイヤーもいるでしょうからね。

ついにカルコサの旅を終え、そのサウンドトラックの余韻に浸るプレイヤーに、何を感じてほしいと思いますか?

本当に素晴らしい映画を観ると、エンドロールが流れたときに、「そういえば自分は映画館にいたんだ」と思い出す一瞬がありますよね。それは、構築された世界が非常に一貫性を持っているからです。そうした体験が生まれるのは、その映画に関わった一人ひとりが、自分の仕事をしっかりと果たしているからなのです。

ゲームは、一度で最後まで体験するには少し時間がかかります。それでも理想を言えば、エンドロールが流れたときに、プレイヤーが少しはっとして、自分はカルコサにいるわけではなかったのだと思い出してくれたらうれしいです。

私たちは、この世界をできるだけ一貫性があり、魅力的なものにしたいと考えています。優れた物語、優れたゲーム、優れた音楽、優れたサウンドデザイン、優れた演技、そのすべてが機能することで生まれる、魔法のような仕掛けを楽しんでもらえたらと思います。そして、ふとソファに戻ってきたときに、その種明かしの瞬間も楽しんでほしいですね。「うわ、すごい」と思ってもらえるような。

心からそう願っています。

サム・スレイター氏のインタビュー全編は、公式PlayStationポッドキャスト(英語)でお聴きいただけます。「SAROS オリジナルサウンドトラック」は、現在すべてのプラットフォームで配信中です。

する、ゲームプレイ重視のシングルプレイヤーアクションゲームの最新作。まさに、夢のチームによって実現した夢のプロジェクトです。ぜひお楽しみください!


SAROS

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:アクションシューティング
・発売日:2026年4月30日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 8,980円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,980円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 9,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)


PS Blogの『SAROS』記事はこちら


『SAROS』公式サイトはこちら

PS Storeで予約購入する

コメントに参加する

コメントを投稿する

コメントを投稿する前に

皆さんが会話を楽しめるように、思いやりのある親切なコメントをお願いします。 不適切なコメントを発見された場合は、PlayStationBlogModeration@sony.comまでご連絡ください。

1 コメント


    Loading More Comments

    コメントを残す

    お客様の生年月日を入力してください。

    Date of birth fields