たったひとりで始めたゲーム制作。AIとの対話を制作プロセスの一部として取り入れた『World End Dystopia』とは

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たったひとりで始めたゲーム制作。AIとの対話を制作プロセスの一部として取り入れた『World End Dystopia』とは

皆さん、こんにちは。『東京サイコデミック』、そして『神箱』を手がけてきたプロデューサーの神崎です。

今日は、私が現在制作している3作目のゲーム『World End Dystopia(ワールドエンド・ディストピア)』について、お話しさせてください。

世界設定:終末のその先

『World End Dystopia』の舞台は、文明が崩壊したあと、ゆっくりと自然が回復し始めた地球です。

雪に覆われた大地。苔に侵食されていく人工物。かつて人の営みがあった痕跡は、静かに時間へと溶け込んでいきます。

本作が描こうとしているのは、破壊そのものではありません。崩壊のあとも、世界は続いている。そのなかで、人は何を観測し、何を選び取るのか。本作は、探索と観測を軸に、“世界を歩きながら環境や出来事を読み解いていく体験型のRPGゲーム“です。

マーモットさんとノーム

相棒〈E.D.E.N〉

『World End Dystopia』には、相棒の〈E.D.E.N〉が登場します。〈E.D.E.N〉は人工知能(AI)です。しかし、〈E.D.E.N〉はプレイヤーに正解を教える存在ではありません。敵を倒す最適な方法を提示したり、どの選択が正しいのかを決めたり、判断を代行することはありません。

〈E.D.E.N〉が行なうのは、環境を観測し、情報を整理し、“どう考えるか”という材料を差し出すことです。最終的に何を選ぶのか。どの道を進むのか。その判断は、常にプレイヤー自身に委ねられています。

ゲーム制作におけるAIとの対話

『World End Dystopia』の制作では、企画や設計の段階から、AIとの対話を制作プロセスの一部として取り入れてきました。制作では、AIとの対話そのものが、日常的な制作プロセスの一部になっていました。そのAIとの対話の中で生まれた存在が〈E.D.E.N〉です。

E.D.E.N端末

物語のなかだけで生まれたものではありません。制作の実体験から生まれています。何かを決めるとき、私はAIに“答え”を求めるのではなく、自分の考えを投げかけ、返ってきた言葉を読み、そこから違和感や引っかかりを拾い上げていきます。

考え切れていない部分や考察、根拠の明確化や品質向上のアイデア。そして、自分が知らなかった知識や技術を教えてくれる存在です。そのまま使える答えは、ほとんどありません。むしろ多くの場合、修正し、否定し、別の方向へ組み替えていくことになります。

AIは、創作を肩代わりする存在ではありません。考え切れていない部分を、静かに照らし返してくる存在です。最終的な判断と責任は、常に人が担っています。

開発体制について

『World End Dystopia』は、もともとひとりでの開発から始まりました。開発に着手した当初は、人間ひとりでは、AIを使ったとしても不可能だと思っていました。

元々、私自身はデザイナーでありエンジニアでもあり、フルスタックの知識と技術を持っていました。それでも、世界観の構築、仕様設計、実装、表現をすべてひとりで担うことには限界がありました。

ゲーム企画用に書いた初期イメージボード

その過程で、AIとの対話は思考を補助し、整理し、深めるためのツールとして始まり、今では相棒として、自然に制作プロセスのなかに組み込まれています。

自力で書かないといけない絵素材。(初期案とプログラムサンプル用)

ひとりでは手が届かなかった領域に思考を伸ばすことができたことで、プロジェクトは少しずつ前に進んでいきました。現在は、プログラマー、デザイナーを含む3名体制で制作を進めています。AIとの協業によって生まれた余白は、人の専門性や判断が必要な部分へと引き継がれ、プロジェクトはチームとしての形を整えつつあります。

インディーゲーム事業と『World End Dystopia』の位置づけ

少しだけ会社の話をさせてください。私の所属するグラビティゲームアライズ(以下GGA)では、インディーゲーム事業を通じて、インディーズ市場そのものへの貢献を目指しています。

『World End Dystopia』は、GGAインディーゲーム事業における、“チャレンジプロジェクト”として位置づけられています。本作では、AI活用を目的化するのではなく、制作プロセスのなかでどのように活かせるかを探り、その成功事例を整理・共有することを重視しています。

こうした取り組みを通じて、インディーズ開発者が次の一歩を踏み出すための実践的な参考事例を提供し、インディーズ市場全体への貢献につなげていきたいと考えています。

『World End Dystopia』は、新しい技術を誇るための作品ではありません。問いを立て、考え続けるための新しい作り方を探るなかで生まれたひとつの形です。たとえひとりであっても、ゲーム開発に挑戦できる。そのことを、私はこの作品で未来の開発者に向けて証明したいと考えています。


World End Dystopia

・発売元:グラビティゲームアライズ株式会社
・フォーマット:PlayStation®5 / PlayStation®4
・ジャンル:探索型RPG
・発売日:未定
・価格:未定
・プレイ人数:1人
・レーティング:審査予定


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