
忘れがたいストーリーとキャラクターたち、破天荒なバトル、そして名物ミニゲーム──「龍が如く」シリーズが高い人気を誇るのには、確かな理由があります。
2026年2月12日(木)にPlayStation®5で発売される『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』、2005年にPlayStation®2で発売された初代『龍が如く』から始まったシリーズ20周年を記念して、シリーズを誰よりもよく知る開発者の皆さんと、この節目を振り返ることにしました。
今回、「龍が如くスタジオ」代表の横山昌義氏、シリーズチーフプロデューサーの阪本寛之氏、シリーズチーフディレクターの堀井亮佑氏にお話を伺い、シリーズ20周年を迎えた思いや、軌跡、そして新作の『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』(以下 『龍が如く 極3』)について語っていただきました。
※映像は英語版です。
スタジオでは、この節目をどのように祝っていますか。
横山:20周年という節目を“成人”に見立てて、人が産まれてから大人になるまでの歴史を振り返るかのように、「龍が如く」というものの歴史が振り返れるイベントや特別映像などを多く企画しています。
現在開催中の「冠婚葬祭展」や、12月8日(月)以降も多くの施策を計画しております。「龍が如く」というものが多くの方の記憶に残り続けるよう、ファンの方々と共に2026年の12月7日(火)までお祝いしていけたらと思っています。
シリーズやスタジオが現在に至るまでを振り返ってみて、フランチャイズが始まった当初と比べて最も誇りに思う点は何でしょうか。
横山:他人に「龍が如く」が好きだと言えるようになったということですかね(笑)。かつては「「龍が如く」が好きなんです」と大っぴらに言えないというか、知名度やイメージ含めて言い出し難いところもあったのではないかと思います。
シリーズ当初は、開発スタッフでも「親には言えてない」とか「彼女には(関わっていることを)内緒にしている」というような話を聞いていたのですが、10年くらい経ったあたりから、「「龍が如く」の開発に携わっている」ということを誇らしく話してくれるスタッフも増えました。それが理由で結婚を相手方のご両親に許されたというようなスタッフもいて、随分と世の中でのプレゼンスが変わったのだなと実感しました。
今ではRGGスタジオというひとつのブランドが確立しつつあるのかと思いますが、これからもスタッフ・関係者・出演者・ファンの方々含めて皆様の誇りとなる存在であれるように大切に育んでいきたいと思います。
※映像は英語版です。
2005年以降、シリーズは大きく進化してきましたが、近年の作品は開発の姿勢にどのような影響を与えていますか。常に“自分たちのやり方”を貫いていると言えますか、それとも現在のトレンドから影響を受けることもありますか。
横山:直接的にトレンドを意識することはありませんが、そもそも自分自身が20年前とは身を置いている環境が違いますので、自ずとクリエイティブも変わっているのだと思います。その象徴として海外のカルチャーとの接触は大きいと思っています。
YouTubeやNetflixなどの配信サービスの勃興により、シリーズの始まった2005年と比べて、世界中にあるさまざまなカルチャーに日常的に接触するようになりました。開発スタジオもかつては90%男性、99%日本人という構成だったのが、今では1割以上外国籍のスタッフが働いており、男女比率も半々に近づいてきています。
これが20年という時間がもたらした劇的な変化だったりもしますが、こうした環境の変化こそが自然とアウトプットにも影響を与えているのだと思います。きっとこれからもこうした変化を受け入れながら、今の自分たちを信じてクリエイティブを続けていくことになるのかと思います。
シリーズは非常に安定した発売サイクルで、素早い開発でも高品質を維持しているという評価も得ています。どのようにしてこの開発ペースと品質を両立しているのでしょうか。
阪本:これは長年シリーズ開発を続けて会得できたワークフローのおかげだと思います。クオリティを上げながらも無駄な作業はなるべく排除し、常に最適なアプローチで開発することを開発メンバーは美徳としています。このクオリティとボリューム、そして時間とコストに対しての意識が強いからこそ、実現できていると思います。
「龍が如く」シリーズは、その時代性を色濃く反映し、多くの作品が発売年と同じ年を舞台にしていることで知られていますが、その設定が難しく感じられたタイトル、あるいは逆に有利に働いたタイトルはありましたか。
阪本:神室町のような歓楽街も、20年前と今では全く様子が異なっています。そのため、現代劇であるナンバリング作については、最新の状況はどんな様子かをリサーチして制作するため、同じような苦労があります。逆にスピンオフ作は、ある程度空想で制作するので自由が効きやすいと思っています。
『龍が如く7 光と闇の行方』で実質的に“バトンを受け継いだ”一番ですが、ファンの皆さんからここまで支持されると予想していましたか。長年シリーズを牽引してきた桐生から主人公を交代するのは、少し不安もあったのではないでしょうか。
阪本:私自身、実は不安はありませんでした。主人公が一番に変わったとしても、物語を終えたころには、きっと好きになっていると思っていました。過去作の登場人物にしても、そのパーソナリティに深く感情移入できれば、誰もが主人公として成り立つ、そんな強さがこのゲームにはあると思っています。
シリーズには印象的なミニゲームが数多く登場しますが、それらはどのようなクリエイティブな工程を経て形になっていくのでしょうか。
堀井:シリーズの肝はドラマになるので、物語で描きたいコンセプトや、それに適する舞台を決めるところから、基本的に「龍が如く」シリーズのプロジェクトはスタートします。そのうえで、舞台や作品コンセプトに合うサイドコンテンツを練っていきます。
『龍が如く7 光と闇の行方』でしたら春日の“成り上がり体験”が肝なので“会社経営”、『龍が如く8』ならハワイなのでリゾート体験として“ドンドコ島”というように、そのコンテンツを入れることで「コンセプトや舞台をより深く体験できるようにするもの」を考えて入れる、というのを決定軸にしています。
具体的な進め方としては、それぞれまず“こういう感じのもの”というコンセプト、そのミニゲームに求めるものや入れたいニュアンスなどをこちらからミニゲーム担当者たちに提示し、具体的な形にしてもらいつつ毎週のようにトライ&エラーしていく形で制作を進めています。
大事なのは“「龍が如く」らしいユーモア”で、例えば会社経営の株主総会の必殺技を土下座にする、とか、ドンドコ島にキャバクラをたくさんたてられる、とか、そういったクスっとできるユーモアをきちんと各所に詰め込むことを重視しています。その辺りはかなり細かく具体的に指示を出したりしますね。
クラブセガ内には象徴的なアーケードゲームが多数収録されていますが、どのタイトルを登場させるかという議論は、開発のどの段階から始まるのでしょうか。
堀井:スタジオの技術責任者である伊東がレトロゲームの造詣が深いこともあり、彼中心でラインナップの検討を進めてもらっています。昔のタイトルを扱うことになるので、ただ単に好きなものをなんでも入れられるわけではなく、移植の難易度だったり、版権だったり、それぞれのタイトルにさまざまな問題や課題があります。それらを考慮したうえで、期間的にも技術的にも権利的にも突破できそうで、かつ我々が今の人たちに遊んでほしいと思える、好きな作品を選んでいるという形ですね。
僕も含めレトロゲーム好きが多いので、僕らが「久々にやりたい!」と思えるような、愛とリスペクトがある作品を選ぶことを一番大事にしています。
※映像は英語版です。
『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』は、原作を“極”仕様で再構築し、新規コンテンツも多数追加した作品として発表されています。ここまで大幅な再構築を行う判断は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。また、このアプローチは、今後の過去作リメイクにおける理想的な形だとお考えでしょうか。
横山:まず今後過去作リメイクをするかどうかも現時点では確定しているわけではありません。常に龍が如くスタジオでは「今プレイして面白いもの」を考えて制作しています。その為に必要なことはすべてやるというスタンスであることは今後も変わらないと思います。
『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝Dark Ties』でもその方針は貫かれています。さらに言えば今作は今後のシリーズの進む方向性が分かるような大きな仕掛けも入っていますので、過去に『龍が如く3』を楽しまれた方もぜひ遊んでいただきたいです。
オリジナル版『龍が如く3』のプレイヤーは、『龍が如く 極3』でどのようなことを期待できますか。またどのような違いがありますか。同様に、シリーズを未経験のプレイヤーは何を期待できるでしょうか。
堀井:おそらく皆さんが想像している以上に、この『龍が如く 極3』は原作の『龍が如く3』から、ゲームとしては大きく変化・進化しています。ストーリーの骨子は当然変わりませんが、追加シーンや追加キャラクター、追加音声なども多数搭載していますし、“アサガオライフ”や“ツッパリの龍”などの大きなサイドコンテンツの登場で、ゲームデザインやシーケンスの流れ、ゲームサイクル構造も大きく変わっています。
純粋に“RGGスタジオの新作”という視点で遊んでいただける作品になっていますので、初めての方はもちろん、原作を遊んだ方でも、新作同様のフレッシュな面白さを感じていただけると思います。
『龍が如く 極3』の物語は、シリーズ未経験のプレイヤーでも、作品単体で楽しむことができますか。
堀井:もちろんです。過去作のストーリーの振り返り機能もありますし、前提知識がなくても入っていけることを意識してデザインしていますので、ぜひ遊んでいただければ嬉しいです。
とはいえ、過去作をプレイいただいたほうがキャラへの愛やストーリーの没入感が増すのも事実ではありますので(笑)。『龍が如く 極3』発売までに『龍が如く0 誓いの場所』『龍が如く 極』『龍が如く 極2』を、お時間ありましたらぜひ遊んでみてくださるとうれしいです。
20周年を迎えての感想と抱負
堀井:20年も続くとは思っていなかったですし、自分の人生の約半分を龍が如く作りに費やすことになるとも思っていませんでした。毎回「これで最後になってもいい」という気持ちで、後先考えず全力を出し切ってきたんですが、それがよかったんだろうな、と今振り返ってみると思います。
エンタテイメントにはいつか必ず終わりがやってきます。それがいつになるかは分かりませんが、少なくとも自分はこれからも「続けたい」という守りの姿勢にはならず「これで最後でも悔いなし」という攻めの気持ちで「龍が如く」に向き合っていきたいと思っています。
これからも、キャラクターへの愛情と作品への誇りをしっかりと持って、自分たちらしく進んでいきたいですね。
阪本:気が付くと20年も経ったのか、というのが正直な感想です。
毎作毎作、常に全力で制作に挑んでいたので、過去作に浸っている時間はほぼ無かったと思います。「龍が如く」IPをこれからもっと発展させるためには、我々も進化が必要だと思っています。これからもチャレンジは続けていきたいと思います。
横山:感慨深い、ということは実は特段ありません。この20年間、常に前をみて日々ゲーム作りに取り組んでいますので、個人的にはあまり過去を振り返らないんです。
そんななかシリーズ20周年ということでさまざまなイベントを行なうなかで、ある意味第三者的にファンの方と同じような目線で「龍が如く」の歴史を振り返れたことで、この作品の持つ魅力を改めて感じることもできました。ここで得た教訓や感情をまた今日から新しい物づくりに反映していければと思います。
『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』は2月12日(木)にPS5で発売。再びスリリングなあの街に戻れる日も目前です。しかし、「今すぐアクションを味わいたい」という方は、ぜひPlayStation®Plusにご加入ください。『龍が如く7外伝 名を消した男』をはじめ、シリーズ作品の一部をお楽しみいただけます。
龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties
・発売元:セガ
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:2026年2月12日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 8,990円(税込)
ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,990円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デラックスエディション 11,440円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
©SEGA









コメントに参加する
コメントを投稿するコメントを投稿する前に