HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』プロデューサーインタビュー! 不朽の名作をリメイクする難しさ、今こそプレイしてほしい本作の魅力を語る

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HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』プロデューサーインタビュー! 不朽の名作をリメイクする難しさ、今こそプレイしてほしい本作の魅力を語る

「ドラゴンクエスト」は言わずもがな、絶大な人気を誇り、ゲーム業界に大きな影響を与えたシリーズのひとつ。JRPGタイトルをプレイしたことがある方は誰しもが、少なからずこのシリーズの恩恵を受けているはずです。

そのすべての原点がまさに『ドラゴンクエストI』と『ドラゴンクエストII』です。

このふたつの作品が、想像力豊かな街であふれる広大な世界を舞台に、あらゆる種類のモンスターと戦う壮大な冒険へとプレイヤーを誘い、魅了した……ほかに類を見ない体験でした。

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』プロデューサーインタビュー! 不朽の名作をリメイクする難しさ、今こそプレイしてほしい本作の魅力を語る

これらの名作が、この度HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』として復活を遂げ、初めてPlayStation ®コンソールでお楽しみいただけることとなります。さらに、今作はただのレトロゲームのリメイクではありません──原作の魅力はそのままに、新鮮で遊びやすい体験をお届けするべく新たな機能を携えて、フルリメイクされ進化した姿で登場します。

『OCTOPATH TRAVELER』などで賞賛されたHD-2Dのグラフィック手法を用いて息を呑むような美しさのグラフィックに生まれ変わっただけでなく、さらには新規コンテンツやゲームプレイの改善、目的地マーカーやオートバトル機能などの便利機能なども加わります。

簡単にまとめると、RPG史上最高とも言えるふたつの作品が、さらにパワーアップして帰ってくるということです! RPGが好きな方はぜひプレイしてみてください!

これらのアップグレードにはどのような背景があるのか、HD-2Dリメイク版『ドラゴンクエストI&II』プロデューサーの早坂将昭氏にお話を伺いました。

PS Blog:『ドラゴンクエストI & II』のHD2Dリメイク版制作を決めた理由についてお聞かせください。

早坂氏:『ドラゴンクエストI』(以下『DQI』)、『ドラゴンクエストII』(以下『DQII』)、「ドラゴンクエストIII」(以下『DQIII』)は移植やリマスターは多く発売されているものの、フルリメイクは長らく作られていませんでした。『OCTOPATH TRAVELER』によってHD-2Dというグラフィック手法が生まれたわけですが、このHD-2Dというのはそのタイトルがレトロであればあるほどに真価を発揮します。「ドラゴンクエスト」(以下「DQ」)の最もレトロな、そして原点である「ロト三部作」にはこの表現がぴったりだろう、というところで満を持してリメイク版を制作するにいたりました。

PS Blog:二本のリメイク版をひとつのパッケージとして収録しようと決められたのは、どのような理由からでしょうか。

早坂氏:これはプロデュース観点での意味合いが大きいですね。『DQI』と『DQII』それぞれを別個で発売するとなった場合、そのゲームボリュームに見合う値付けや、それによるお客様からの見え方、発売間隔の考慮など、考えることがとても多かったんです。あとは2本1セットとして制作したほうが、ロト三部作としての完結をより早く皆さんにお届けできたから、というのも大きな理由です。全部別で作るとそれだけ時間が掛かってしまいますからね。

PS Blog:これらのゲームを再構築するにあたり、ビジュアルスタイルとしてHD-2Dを採用することが適切だと考えた理由をお聞かせください。

早坂氏:前述のとおり、HD-2Dはそのタイトルがレトロであればあるほど真価を発揮します。それは自分が『OCTOPATH TRAVELER』の立ち上げから携わり、HD-2Dがどのように生まれて、どのように世の中に受け入れられていったか、という過程を見て学んだことです。さらに同じスクウェア・エニックスの浅野チームで、HD-2Dリメイクの1作目である『ライブ・ア・ライブ』がとてもいい評価を得ていたこともあり、そこは自信を持って取り組みました。

PS Blog:本タイトルは、非常に美しく仕上がっていますね。2Dの世界を、視覚的に魅力ある3Dへと変換させのは、とても難しい作業だったのではないかと想像しますが、その挑戦にどのようなアプローチで臨まれたのでしょうか。

早坂氏:平面を立体にするという点において、最も苦労したのはマップ構造です。今回のリメイクでは、タウンでの各建物の配置だったり、ダンジョンでの階段の位置や道順、構造について、ほぼ原作通りを維持しています(真上から見たマップをぜひ原作と比較してみてほしいです!)というのも、ビジュアルは大きく変わっているにせよ、やはり原作を遊んだひとたちには「あそこにアレがあったような気がする……やっぱりあった!」という、思い出の追体験をしてほしかったんです。2Dである原作で作られたものを、3Dにしながらも同じ構造を保つというのはレベルデザインの腕が試されるところなのですが、そこはマップチームとプランナーチームがとてもいい仕事をしてくれたことで、今回の狙いを実現させることが出来ました。

PS Blog:HD-2D版『ドラゴンクエスト III そして伝説へ…』のあとに、こちらのタイトルを発売することにされた理由についてお聞かせください。

早坂氏:『I』『II』『III』それぞれで考えたときに、システムも含めてもっとも完成度が高いのは『DQIII』だと思っています。また『DQIII』は日本国内においては社会現象を起こしたタイトルでもあり、「まずはその『DQIII』を入口として、ロト三部作のリメイクを進めたい」という堀井さんとの協議から今回のリメイク制作がスタートしたんです。なので、『III』→『I』→『II』の順番で遊んでもらいたいというのは企画当初から決まっていました

PS Blog:本作を楽しむためには、『ドラゴンクエスト III そして伝説へ…』を事前にプレイしておいた方がよいのでしょうか。

早坂氏:『I』『II』『III』はそれぞれ独立した物語になっているので、もちろん『DQIII』未プレイでも楽しんでいただくことは可能です。しかし今回のリメイクでは『III』→『I』→『II』を通した、時系列としてのロトの物語というのを新たに描いており、この順番で遊んでいただいてこそビックリしていただけるような展開を用意していることもあり、ぜひHD-2D版は『III』→『I』→『II』の順番で遊んでいただきたいですし、開発者としてもそれをオススメしたいと思っています!

PS Blog:『ドラゴンクエストI』と『ドラゴンクエストII』が、長い年月を経ても、今なお名作として評価されている理由について、お考えをお聞かせください。

早坂氏:約40年続く「ドラゴンクエスト」シリーズの原点、ひいてはJRPGの原点という功績がとても大きいのではないのでしょうか。他のIPにも言えることですが、やはり自分が好きになったシリーズの最初のタイトルっていつかは触ってみたくなるものですし、しかも「DQ」はその後の多くのJRPGに影響を与えたパイオニア的なタイトルです。そういったきっかけから実際に『DQI』と『DQII』に触れてみて、いろいろなJRPGの面影を感じられるところに、名作としての風格を感じるのではないかと思います。

PS Blog:日本やアメリカ以外の地域においては、今回初めて「DQI」と「DQII」をプレイするという人も多いのではないかと思います。RPGファンにとって、このゲームのどんなところが魅力なのでしょうか。

早坂氏:ここ最近、多くのRPGがアクションを採用していますが、このリメイクは原作を尊重し、クラシックなコマンドバトルRPGスタイルとなっています。エンカウントもシンボルではなくランダムです。こういったタイトルは今では逆に珍しいので、おそらく1周回って新鮮に見えるんじゃないかなと。多くのJRPGに影響を与えた、JRPGを語るうえで外すことのできないタイトルという点もそうですが、今だからこそ触って面白い、というゲームになってくれると信じています。

PS Blog:本タイトルの開発に着手された際、最も重視された点についてお聞かせください。

早坂氏:前作HD-2D版『DQIII』のときは「可能な限り原作から変えず、+αの追加のみにする」というコンセプトだったのですが、本作は「原作から思いっきり変える。ただし根っこは変えない」というコンセプトで取り組んでおり、その”変える”の意識をとても重視していました。とはいえ、変えすぎると別物になってしまいますし、それでいて変化幅を抑えたら「それなら原作を遊べば良い」になってしまうので、その塩梅の見定めは特に注意をしていたのですが、最終的にはとてもいい形で着地できたのではないかなと思います。

PS Blog:現代のプレイヤーに合わせ、本タイトルをより遊びやすくするために、どのような工夫が施されているのでしょうか。

早坂氏:『DQIII』の時点でプレイアビリティの向上のためかなりテコ入れをしています。オートセーブ、全滅後の即時復帰、行き先ガイド、目的地マーカー、難易度選択、敵の弱点表示、UI操作系統の改善などなどですね。本作ではさらに”べんりボタン”のようなショートカットキーの実装も行って、かゆいところに手が届くようになっており、現代ゲームとしてふさわしい遊びやすさになっていると思います。

PS Blog:両タイトルに新たなシナリオが含まれていますが、なぜそれらを追加しようとお考えになられたのか、理由をお聞かせください。

早坂氏:原作は当然『I』→『II』→『III』の順番での発売になりますが、今回は前述のとおり『III』→『I』→『II』での発売です。その原作の『DQIII』では「実は『DQI』と繋がりがあった」というシナリオギミックによって物凄いインパクトを与えていましたが、今回はそれは使えません。なのでそれに変わる新しい展開と、せっかく『III』→『I』→『II』というロト三部作として時系列にそった順の発売になるので、それを活かして新たなシナリオを用意しようとなった次第です。

PS Blog:追加されたストーリーの要素について、プレイヤーが楽しみにすべきポイントを、ネタバレがない範囲でお聞かせください。

早坂氏:”ロトの物語の大団円”というフレーズでどうでしょうか。前作の『ドラゴンクエスト III そして伝説へ…』で新たに追加された謎を含めた伏線はもちろん、原作で全く語られていなかった部分、原作ファンの方々がきっと気になっていたであろう部分、誰も想像していないだろう展開含めていろいろ盛り込んでいますので、きっと色々ビックリしてもらえることと思います。早く発売後の皆さんの感想が読みたいです!

PS Blog:新要素を取り入れるにあたり、オリジナル版の魅力を保ちつつ、違和感なく見せるのに、どのようなご苦労がありましたか。

早坂氏:「原作から思い切り変えつつ、とはいえ壊してしまわないように」というバランスを常に意識して開発していなければいけなかったので、そこはずっと悩みながらやっていましたね。ただ我々には堀井さんがいてくれて、常に相談しながら進めていったので、一歩一歩着実に開発を進めることができました。

PS Blog:『ドラゴンクエストII』に、新たにサマルトリアの王女が仲間として加えられた理由についてお聞かせください』

早坂氏:商品としての目玉を用意したかったからですね。これまでの「DQ」ナンバリング作品のリメイクでも新職業や新仲間を用意することが多く、それらが喜ばれていたという知見もあり、前作『DQIII』では新職業として”まもの使い”を追加しました。今回はそれの続編となるわけで、そのまもの使いに匹敵するような目玉の新要素を用意しなければ、と考えて生まれたアイデアがサマルトリアの王女でした。原作にも登場しており、主人公と同じロトの血を受け継ぐものとして「いつか仲間になるのでは」とファンの間でまことしやかに囁かれていた彼女なので、これ以上にふさわしいキャラはいないと思います。

PS Blog:HD-2D版『ドラゴンクエスト III そして伝説へ…』から得た学びには、どのようなものがありましたでしょうか。また、その学びは、本タイトルの開発にどのように活かされたのか、お聞かせください。

早坂氏:リメイクタイトルは、十人十色の”こうしてほしい”という意見があるというのを『DQIII』で学びましたね。原作が有名であればあるほど、各々が期待している内容やベストと思う内容は異なります。これはユーザー意見だけではなく、開発側でもそうです。そしてそれらすべてに答えることは物理的に難しく、時間的な制約や仕様的な制限を含めながら、お客様たちが一番喜んでくれるであろうベストを模索していくことが必要になります。今回の『DQI&IIリメイク』は『DQIIIリメイク』のときよりも原作からの変化幅が大きいことも有り、そういった”さまざまな意見の取捨選択”の難易度は格段に上がりましたが、それでも「きっとこれが一番多くの人に喜んでもらえる最善手のはず」という姿勢を常にもって、開発に取り組んでいました。

PS Blog:HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の開発において、最も困難だった点についてお聞かせください。

早坂氏:これはもうシナリオですね。RPG制作において、シナリオはすべての根幹になります。マップ、キャラクタードット絵、そのほかの仕様などはそこから生まれる枝葉になるので、シナリオが決まらなければ何も開発が進みません。なので、そのシナリオに手を加えれば加えるほどリメイク難易度は比例して上がっていくことになるのですが、本作はまさにシナリオの大幅強化を行っていますので、堀井さんとの協議や調整を含めてかなりの時間を割いたこともあり、苦労したところと言えますね。

PS Blog:どのようにして、その最大の難所を克服されたのでしょうか。

早坂氏:社内外を含めて、頼れるメンバーが途中からたくさん参加して助けてくれたことでなんとかなりました。彼らがいなかったら、今でも完成していなかったと思います。ゲームに限らずどんなプロジェクトもそうだと思いますが、やっぱり最後は各メンバーの力量に全てが掛かってくるので。本当にメンバー全員に感謝です!

PS Blog:ファンの方々がHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』をプレイするなかで、特に楽しんで発見していただきたい点についてお聞かせください。

早坂氏:詳細はまだ話せませんが、今回の新シナリオは、原作を知っているか知らないかに関わらず、多くの「DQ」ファンに刺さる内容になっているのではないかと思います。なのでとにかくそれを楽しんでほしいですね。そして『DQIIIリメイク』のときもそうでしたが、『DQI&II』も数多くの有名なセリフやイベント、有名なキャラが登場します。メインシナリオを楽しむかたわらで、そういった”元ネタ”探しなんかもぜひやってみてくださいね!

「DQ」シリーズの原点であり、JRPGの原点でもある本作を、ぜひ楽しんでください! そしてロトの物語の完結を、ぜひその目で見届けてもらえればと思います!

早坂さん、たくさんの質問に答えていただいきありがとうございました! さて皆さんの頭に浮かんでいる質問を当てましょう──「それで一体いつから遊べるの!?」でしょうか?

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』は10月30日(木)の発売に向け、現在予約受付中です。皆さんにこの2タイトルをプレイしていただくのを楽しみにしています!


ドラゴンクエストI&II

・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:RPG
・発売日:2025年10月30日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 7,678円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 7,678円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)


PS Blogの『ドラゴンクエストI&II』記事はこちら


『ドラゴンクエストI&II』公式サイトはこちら

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