『真・三國無双 ORIGINS』プレイレビュー! 濃密なドラマと大規模戦場が拓くシリーズの新境地【特集第2回】

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『真・三國無双 ORIGINS』プレイレビュー! 濃密なドラマと大規模戦場が拓くシリーズの新境地【特集第2回】

タクティカルアクション「真・三國無双」シリーズの最新作として1月17日(金)発売予定のPlayStation®5用ソフトウェア『真・三國無双 ORIGINS』。シリーズの”原点回帰”を謳い、圧倒的な戦場の臨場感と一騎当千の爽快アクションを、オリジナル主人公「名もなき英雄」の視点で体験できる。

特集第2回では本作のプレイレビューをお届けする。濃密に描かれる「三国志」ドラマと英傑たちの魅力、大規模戦場で繰り広げられる爽快かつ戦術的なバトルアクションなど、従来のシリーズ作品から一新された見どころを紹介しよう。

これまでの特集記事はこちら

『真・三國無双 ORIGINS』で歩む「三国志」の世界──物語重視の進行や大軍団戦など注目要素を総まとめ【特集第1回】

「黄巾の乱」から「赤壁の戦い」までを濃密に描く物語

本作の物語は「黄巾の乱」に始まり、前半のクライマックスといえる「赤壁の戦い」までが描かれる。これまでの「真・三國無双」シリーズ経験者からすれば、三国時代の終焉や「五丈原の戦い」までは描かないのか? と思うかもしれない。しかし、エンディングまでプレイしてボリューム不足を感じることはなかった。この限られた期間の情勢と、英傑たちの信念や人物像が、じっくりとていねいに、ドラマチックに描かれていたからだ。

物語の冒頭、主人公はある寒村を訪れる。悪徳官吏が理不尽な搾取で民を苦しめており、主人公はそこで出会った”髯の偉丈夫”(のちに再会したとき関羽だとわかる)とともに官吏軍と戦う。多勢の官吏軍を相手に苦戦するが、これを助けたのは張角が率いる黄巾党だった。そして救われた村の若者は張角に呼応し、黄巾党の列に加わっていく……。この冒頭では、悪政と飢饉で乱れた世の中を正そうと立ち上がった民衆と、その受け皿となった黄巾党の背景がしっかりと描かれていた。

しかし歴史のとおり、太平の世を目指す象徴だった黄巾党は、さらなる弱者から搾取を繰り返す集団へと変貌する。漢王朝による黄巾討伐の命のもとに集う英傑たち。主人公はそこで曹操、孫堅、劉備、それぞれの武将たちと絆を深めていき、ついに張角を討ち取る。

これまでの「真・三國無双」シリーズを含めた「三国志」がテーマの作品は、「黄巾の乱」を壮大な物語の序章としてサラッと扱うことが多い。しかし本作は全5章で構成される物語の1章分を費やして、黄巾党の成り立ちと悲哀、討伐軍の武将それぞれのスタンスを描いており、ここまで手厚く扱っている作品も珍しい。エンディングを迎える「赤壁の戦い」まで、「三国志」に詳しい方は熱いドラマにより没入でき、「三国志」初心者は歴史背景や登場人物を深く知ることができるだろう。

すべての英傑が魅力的。プレイヤーは陣営選択時に苦悩する!?

主人公は旅の武芸者。過去の記憶を失っているが武器の扱いは体が覚えており、数々の戦場で卓越した腕を振るう。決まった主に仕えていないぶん、さまざまな勢力と戦場をともにして交流を深めることができる。そんな自由な時期を経て、曹操、孫堅、劉備の中から支えるべき主を決める時がくるのだが、その選択は非常に悩ましい。

それまでの交流イベントで描かれる英傑は誰もが魅力的で、配下の武将たちも全員に思い入れが生まれているし、彼らも主人公を大いに認めて全力で口説いてくる。私は序盤から行動をともにすることが多かった劉備陣営を支えようと考え、結果そのとおりにするのだが、決断するまで本当に悩み抜いた。助力する陣営をひとつに絞れば、絆を深めてきたほかの陣営と敵対することになるのだから。

魅力的に描かれる人物は3陣営の武将たちだけではない。歴史の波に飲み込まれ、退場していった者たちもそうだ。張角は、狂信者を率いて「黄巾の乱」を起こした妖術使いのように描かれることも多いが、本作では太平の世を築くことを信じた傑物だった。

董卓は、幼い皇帝を擁して政治の実権を握り、悪逆非道を極めた人物として知られる。本作でも大悪党然として振る舞うが、その行動理念は弱肉強食の乱世を生き抜くうえで現実的であり、いっさいのブレがない優れたリーダーでもあった。

すべての英傑に共通しているのは、確固たる信念を持ち、行動として貫いていること。その生き様はとても恰好よくて、張角や董卓にも仕えてみたいと思ってしまったほどだ。こうした体験ができるのは、従来のシリーズ作品のように多数のプレイアブル武将を使い分けるのではなく、どの勢力にも属さないオリジナル主人公の視点で物語に没入するからだろう。

爽快感と達成感を得られる進化した無双アクション

「真・三國無双」シリーズが標榜してきたのは、大量の敵を相手に無双する一騎当千の爽快アクションだ。通常攻撃と強攻撃のコンボで吹き飛ばし、必殺の「無双乱舞」で戦場を一掃する。そんなシンプル操作で誰でも手軽に爽快感を味わえる要素は残しつつ、本作では戦術と立ち回りを駆使して達成感を得られるバトルアクションに昇華した。

通常攻撃と強攻撃のコンボで敵を蹴散らせるのは従来シリーズと同様だが、それは一般兵が相手の場合。名のある武将や部隊長クラスの敵は「外功」という気を纏っており、これがあるうちは決定的なダメージを与えることができない。「外功」を削るには、敵の攻撃後の隙を狙うほか、武器ごとに装備した攻撃技「武芸」や、敵の攻撃をタイミングよくガードする「弾き返し」などを駆使する必要がある。「外功」をすべて削ると敵は大きく怯み、「収撃」で大ダメージを与えたりとどめを刺したりするチャンスが生まれる。

敵武将は「外功」による堅さだけでなく、行動もしっかりと強いため、ガードや回避も使いこなす必要がある。さらに、通常の攻撃はガードで「弾き返し」ができるが、黄色い光の予兆を伴う攻撃は「発勁」の効果を持つ武芸で崩す、白く光る攻撃は強攻撃や武芸で崩す、そして赤く光る攻撃は回避に専念するなど、敵の行動によって対応を選ばなくてはならない。

こうして書き並べると複雑で難しそうに感じるかもしれないが、慣れてくるとテンポよく対応して気持ちよく戦えるのが本作の面白いところ。コンボや武芸でガンガン攻めつつ、敵の攻撃に合わせた「弾き返し」で怯みを奪い、さらに畳みかけるといったように、メリハリの利いたアクションが醍醐味だ。「弾き返し」もシビアなジャストガードではなく意外と猶予はあるし、主人公のスキル強化によって受け付け時間を拡大することもできる。「このゲームはボタン連打だけでは勝てないから、きちんと立ち回ろう」という意識を持てば、すぐに慣れるはずで、本作ならではの達成感と爽快感のあるバトルを楽しめるだろう。

ちなみに、一部の大ボスはとてつもない強さを持ち、とくに呂布との決戦は本作屈指の難所といえる。アクションゲームに不慣れなプレイヤーはかなり苦戦すると思われるが、難易度はいつでも変更できるので、自分の腕前に合わせて設定しよう。

「無双乱舞」や随行武将のアクションは強力無比!

「無双乱舞」は広範囲の敵を一網打尽にする、文字どおりの無双アクションだ。敵に攻撃したり敵から攻撃を受けたりして増える「無双ゲージ」が一定まで溜まると発動できる。さらに、無双ゲージを2段階まで溜めると「武神覚醒」を発動でき、この状態ではすべての被ダメージを無効化し、通常攻撃と強攻撃の範囲が拡大、本来は「闘気」を消費する武芸も無双ゲージを使って繰り出せるようになり、最後は超強力な「真・無双乱舞」で締めるという爽快極まりないものだ。

また、ステージによっては味方の武将が「随行武将」として同行し、その圧倒的な力を使うことができる。「交代ゲージ」が最大まで溜まると随行武将に操作を切り替えられ、彼らの個性的かつ強力なアクションを堪能できるが、一定時間経過すると操作が主人公に戻るため、ここぞという場面で使いたい。交代ゲージが一定以上溜まり、主人公と随行武将が黄色いラインで結ばれている時は、無双ゲージを消費せずに「激・無双乱舞」を繰り出せる。主人公と随行武将が連携して放つ必殺攻撃であり、その演出も含めてテンションが爆上がりだ。

これらは、条件を満たせばボタンひとつで発動でき、ド派手な演出とともに戦局を一変させる効果を持つ。「真・三國無双」シリーズらしい爽快感を突き詰めたシステムとなっており、理屈抜きにひたすら楽しい。

数千単位の兵士が激突する大規模戦場の臨場感

前述したバトルアクションが目の前の敵と戦う局地的な要素だとすれば、ここから紹介するのは戦場全体の大局的な要素。本作はPS5のマシンスペックを活かし、シリーズ史上最大規模の兵士が入り乱れる戦場表現を実現している。ステージによっては大軍団どうしが激突する戦場もあり、その様子は身震いするほどの大迫力だ。

しかも、単純に大量の兵士を描写しているわけではなく、個人単位あるいは軍団単位で戦術的に思考し、戦局が目まぐるしく変化する。出撃前の軍議では自軍の基本方針が提示されるが、いざ戦闘が始まれば想定外の出来事はつきもの。イベントが発生して勝利条件が変わったり、討ち取られれば敗北となる自軍大将が突如ピンチに陥ったりと、プレイヤーはその都度、状況に合わせて判断し、自軍を勝利に導いていく。

戦局を左右する軍団の「士気」

軍団どうしの戦いで重要なのが「士気」だ。士気は敵武将の撃破や拠点の制圧などによって上昇し、士気が高いと兵士が強化されて戦いを有利に進められる。主人公から遠い位置にいる味方がピンチに陥った時、救援に駆けつけるまで時間がかかるが、士気が高ければ味方部隊それぞれが有利に戦えるため、士気を上げる行動は味方の軍団全体を間接的に支援していることになる。

もっとも、士気を高めて維持するのは、そう簡単ではない。士気が変化する契機は敵味方とも同じであり、味方武将が敗走したり拠点が制圧されたりすれば、自軍の士気が下がってしまう。体力が減った武将がいれば救援に向かわなくてはならず、それが同時多発的に起これば大変だ。一方の味方をひとまず回復させて(窮地に陥った味方に主人公が近づくと体力を回復させる)、目の前の敵を全滅させていなくても、次の戦域へ急いで向かうといったように、瞬時の判断と神足の行動が必要になる。てんやわんやの状況に焦ったり、不用意に突出した味方に呆れたりもするが、この危機を凌ぎきったときの充足感は格別だ。

敵武将との「一騎討ち」

戦場によっては、敵武将が主人公に「一騎討ち」を申し出ることがある。一騎討ちは独自のルールで行なわれ、自分と相手の優劣を示すゲージを優勢でいっぱいにすれば勝利になり、制限時間内に決着がつかない場合は引き分けとなる。勝利した効果は、自軍の士気の大幅アップだ。

敵味方の兵士が周りを取り囲んで逃げ場はなし、相手以外の兵士が横槍を入れてくることもない。敵軍の重要な地位にいる名のある武将とのタイマンだ。一騎討ちを受けるコマンドが表示されるので、無視して通常の戦闘を続けられるのかもしれないが、すべて受け入れた。士気が上がる効果もいいが、何よりそのシチュエーションが熱すぎるからだ。

護衛兵による「戦法」の発動

本作は、プレイヤーに従い戦場をともにする護衛兵システムが復活。護衛兵には「戦法」の発動を指示し、矢の雨を降らせたり槍を構えて突撃させたりすることが可能だ。各戦法は発動と再発動までにチャージする時間が必要で乱発することはできず、また護衛兵が倒れて人数が足りないと発動そのものができなくなるが、敵の集団を切り崩す効果はかなり高い。

護衛兵の最大人数や新しい戦法は、メインシナリオとは別に発生する「任務」の報酬などで増えていくため、「任務」発生時は積極的に挑んだほうがよさそうだ。

大軍団が繰り出す「大戦法」

圧倒的な数の兵士が集まって生まれる大軍団は、「大戦法」を繰り出すことがある。複数の部隊が次々と槍で突撃してきたり、投石機が火弾を発射してきたりと、大戦法は戦局を大きく動かす威力を持つ。そのダイナミックな光景は一見の価値ありだが、受けると主人公や自軍の損害は甚大だ。制限時間内に一定数の兵士を倒す、指揮している武将を倒すなどの阻止条件があり、最優先で取り組むべきことになるだろう。なお、大戦法は自軍が発動する場合もあり、制限時間いっぱいまで、大戦法を指揮する味方武将を守ることが発動条件となる。

主人公ひとりの活躍で大規模戦場を制圧できるか!?

大量の兵士が登場する大規模戦場では、味方と連動しながら攻め上がり、自軍の士気を上げていくことでクリアしやすくなる。戦場のイベントもたくさん見られるだろうし、大規模戦場の戦略性をもっとも楽しめる遊び方だと思う。

一方で、味方と足並みをそろえることは気にせず、主人公単独で突出する戦い方はどうか。当然、難易度は跳ね上がるが、絶対に無理ではないという手応えは感じられた。攻略の自由度が高い作品となっているので、プレイヤースキルに自信があれば腕試しするのも面白いだろう。

やり込みがいのある主人公の成長要素

主人公は「境地LV」がアップすることで、体力、攻撃力や防御力の基礎ステータスが成長する。境地LVは一般的なゲームで呼ぶところのキャラクターレベルにあたるが、その成長システムはなかなかユニークだ。

主人公が扱う武器は、剣、槍、手甲、飛圏、朴刀、棍、双戟、矛、偃月刀の9種類。最初に使えるのは剣だけだが、物語の進行や戦場でのアイテムドロップによって使える武器種が増えていく。各武器種には「習熟度」があり、使い込んで習熟度がアップすると新たな武芸などを習得し、同時に主人公の境地LVもアップ。つまり本作では、武器の習熟度を上げることで主人公のステータスも上がる仕組みとなっている。習熟度が低い武器種ほどアップしやすいため、さまざまな武器種を満遍なく使うほど成長は早い。

また、一定の境地LVに達すると新たなスキルパネルが解放。戦闘の成果や武将とのイベントで獲得できる「武功」を消費してスキルを習得することができる。スキルを習得すると、基礎ステータスの向上、特定条件下での攻撃力や防御力の上昇、特殊効果のある装備品や回復アイテムなどの携行品の枠を増やすといった、さまざまな恩恵を受けられる。

武器の習熟度を上げ、武功をたくさん稼ぐには、より多くの戦闘機会が必要だ。本作は「大陸地図」と呼ばれるマップを移動し、イベントポイントを調べることでゲームが進行していくが、メインシナリオ以外の戦場もたくさん出現する。メインシナリオに関連して出現する「任務」から、武将イベントによる「依頼」やランダムに出現する「突発戦」まで、戦場がなくなることはない。さらに、戦場で倒した敵がドロップする武器は、店売りの品を超える性能を持つことがある。同じ武器種、同じ武器レベルでも、付与効果が異なり、愛用のひと振りに出会えるかもしれない。

大陸地図は、やり込みの宝庫だ。メインシナリオの戦場へ向かうまえに、新しい発見がないか探索してみよう。また、主人公が失った記憶を取り戻す様を描くストーリーイベントも用意されており、こちらにも注目だ。

近年のシリーズ作品からシステムを一新し、原点回帰という名の新境地を楽しめる『真・三國無双 ORIGINS』。オリジナル主人公ひとりの視点で追う歴史物語は没入感があり遊びやすく、攻略しがいのあるバトルアクションや大規模戦場もとても面白かった。シリーズファンはもちろん、シリーズ初心者や「三国志」をこれから知りたい方にもおすすめしたい。

董卓軍と連合軍が激突する「汜水関の戦い」をプレイできる体験版が配信中!

体験版では、「汜水関の戦い」をプレイできる。「汜水関の戦い」は『三国志演義』に描かれた戦いがモチーフで、世を乱す董卓を討つため、各地の諸侯が連合して討伐軍を結成し、董卓が居座る都・洛陽を守る関所、汜水関を攻める内容となっている。一部、製品版とは展開・要素が異なり、最後には強敵との戦いが待ち受けている。武器は剣、偃月刀、朴刀、飛圏の4種から選択でき、武芸や宝玉、装飾品の変更のほか、難易度や各種設定も変更可能だ。

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真・三國無双 ORIGINS

・発売元:コーエーテクモゲームス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:タクティカルアクション
・発売日:2025年1月17日(金)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,680円(税込)
    パッケージ版 希望小売価格 TREASURE BOX 17,680円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 通常版 9,680円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe 12,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)


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