多くのRPGファンにとって、坂口博信氏はお馴染みの存在です。「FINAL FANTASY」シリーズのナンバリングタイトル1作目から10作目を手掛けた坂口氏は親しみを持って“「FINAL FANTASY」の生みの親”として知られ、自身が立ち上げた開発会社Mistwalkerで、根強い人気を誇る作品、『ブルードラゴン』『ロストオデッセイ』『テラバトル』など多数の作品を生み出してきました。
坂口氏の最新作である『FANTASIAN Neo Dimension』は、Apple Arcadeで好評を博した『FANTASIAN』をPlayStation®5およびPlayStation®4のプレイヤーを含む、幅広いユーザー層に届けるためのタイトルとなります。本作には英語・日本語ボイス、追加の難易度設定などの新機能が実装されているほか、PS5版では4K画質にも対応しています。また、本作は坂口氏とSQUARE ENIXがおよそ20年ぶりにタッグを組むこととなった、記念すべき作品でもあります。
多次元を股にかけた冒険
ご存知でない方のために改めて説明すると、『FANTASIAN Neo Dimension』は主人公レオアが失われた記憶を取り戻すため、多次元を股にかけた冒険に繰り出すなか、世界に破滅をもたらす秘密を知っていくという物語です。
本作は150点以上の鮮やかで美麗な手作りジオラマを背景にしており、独特なアートスタイルをフィーチャーさせているほか、お馴染みのターン制バトルのメカニクスをより戦略的にしてひねりを加えています。また、本作の楽曲を担当したコンポーザーは「FINAL FANTASY」シリーズの楽曲を手掛けたことで知られる植松伸夫氏です。
このたび、『FANTASIAN Neo Dimension』が12月5日(木)に発売されることが「State of Play」で発表されました。発表前に本作のプロデューサー、坂口氏とのインタビューを行ない、本作の制作背景やファンの方々に期待してほしい部分についてのお話を聞かせていただきました。
※映像は英語版です。
プロデューサー、坂口博信氏のインタビュー
MistwalkerとSQUARE ENIXのパートナーシップはどのような経緯で実現したのでしょうか? また、本作で吉田直樹氏とタッグを組んだ経験についてもお聞かせください。
坂口氏:SQUARE ENIXと組むきっかけになったのは、5年ぐらい前にあった吉田さんとのインタビューでした。実は僕は大のMMORPGファンで、やり出すと止まらないので手を出していなかったのですが、インタビューに臨む前に彼のゲームを遊ばないと失礼にあたるなという気持ちがあったので、そんなきっかけで『FINAL FANTASY XIV』を遊ぶことになりました。ご存知の方も多いと思いますが、今やハードユーザーとして毎日どっぷり『FINAL FANTASY XIV』に浸かる日々を送っています。今朝も3時間ほど零式をやって参りました。そんな訳でそのあと、吉田さんと『FINAL FANTASY XIV』についていろいろと語ったり、食事をしたりするようになったのですが、そんななかでApple Arcadeで作った『FANTASIAN』をPCやコンシューマー機に広げていくという機会がやってきました。そこで吉田さんに相談したところ、「一緒にやりましょう」と彼が言ってくださったのが直接のきっかけです。
新バージョンとして展開される『FANTASIAN Neo Dimension』にはどのようなアプローチで臨んだのでしょうか? また、ファンの方々が本作をPS5で体験する際に期待して欲しい部分についてもお聞かせください。
坂口:手元にあったジオラマを見た際、「この上を歩きたいな」という感覚があったことが『FANTASIAN』を最初に作り出すきっかけとなりました。今の時代はCG全盛期ですが、ジオラマにしかない手作り感や人間の温もりみたいなものの上で冒険したいと考えたのがきっかけです。単純に3Dスキャンするだけでは実現できなかったので、なかなか苦労し、いろいろな方法を試したり工夫したりしてきたという経緯があります。PS5になったことでボイスが入ったというのはもちろん大きな変化なのですが、ジオラマの映像を4K化しているという部分も皆さんに楽しんでいただきたいと思います。もともと高精細で撮ってはいたのですが、オリジナル版ではそれを使用することが難しかったところ、今回PS5で4K映像を使うことができたので、より手作り感や職人さんの温もりを感じ、できれば大画面で冒険していただけたらと思っています。
坂口氏はこれまで数々の名作RPGを世に送り出してきましたが、それらの過去作では実現されなかったものの、『FANTASIAN Neo Dimension』での実現を目指した内容や要素などについてお聞かせください。
坂口:『FANTASIAN』は引退作でいいかなと思って作っていたのですが、ちょうどそのころ『FINAL FANTASY VI』に触れる機会があったので、自分の原点に近い作品を初心に戻って作ったところがあります。そういった経緯があってターン式バトルとなっていますし、RPGとして非常にオーソドックスな作りになっているのですが、「FINAL FANTASY」でも『FINAL FANTASY I』から『II』『III』『IV』『V』『VI』と進化させていったように、今回『FANTASIAN』でも“オーソドックスなRPGの進化”というものを自分なりにいろいろ試みていきました。例えば、本作のバトルはターン式でランダムエンカウントするオーソドックスなものとなっているのですが、ディメンジョンシステムがあるおかげでランダムエンカウントする敵といちいち戦うことなく、多数の敵を溜め込んでまとめて戦うことができます。また、それによりジオラマでの冒険をより自由に楽しめます。また、バトルでは魔法の軌道をコントロールできるのですが、意外とディメンジョンシステムと相性が良いシステムとなっています。敵をいっぱい溜め込むことで、軌道を工夫すればいっぺんに多数の敵をターゲットにすることができるのでちょっとした爽快感につながります。このように新鮮に感じるシステムづくりを心がけました。
スマートフォン向けに開発された本作をPS5でプレイすべきかどうか迷っているRPGファンの方々に向けて一言お願いします。
坂口: 『FANTASIAN』は最初Apple Arcadeでスマートフォン中心に遊ばれた作品なのですが、実はApple ArcadeはMacやApple TV経由で大画面とコントローラーでも遊べるようになっているので、最初から大画面・コンシューマー機で遊ぶようなゲームという想定で作りました。スマートフォン向け作品にするということで容量をどうしても減らさなければいけなかったので、4Kで撮ったジオラマの映像を使えずスケールダウンしたところもありましたが、今回PS5になったことで最初に考えていた通りになりました。しかも容量もふんだんに使えますから4K画像も使えますし、ボイスも入ります。最終形のディレクターズカットのような形で皆さんにお届けできるのを本当に嬉しく思っています。
本日9月25日(水)から予約受付開始
12月5日(木)に発売予定の『FANTASIAN Neo Dimension』の予約受付も開始しました。予約していただいたプレイヤーの皆さんは装備したキャラクターの経験値を上げるゲーム内アイテム、“ビブラの秘石”を特典として入手できます。オリジナル版のころから戦略的かつ歯応えのあるバトルで知られる本作においては役立つアイテムとなっています!
※本情報はState of Playで発表された内容となります。販売するタイトルは国・地域によって異なる場合があります。
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