あの名作がリマスターで甦る──。2025年1月16日(木)にPlayStation®5/PlayStation®4で発売予定の『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』は、2010年にPlayStation®3で発売された『テイルズ オブ グレイセス エフ』のリマスター作品だ。「テイルズ オブ」シリーズでも人気の高い名作が、美しく、遊びやすくなって登場する。
その試遊会がメディア向けに開催され、メインストーリーの一部を追加機能とともに体験することができた。本作のプロデューサーを務める石川結貴氏へのインタビューとあわせて紹介しよう。
「テイルズ オブ」シリーズ30周年に向けたリマスタープロジェクトが始動
試遊に先立ち、石川プロデューサーより本作の概要とリマスター版の特徴が説明された。1995年12月に第1作が発売された「テイルズ オブ」シリーズは、今年12月から30周年記念イヤーに突入する。シリーズ30周年を盛り上げるさまざまな施策が予定されるなか、過去の作品を現行機で復活させるリマスタープロジェクトが始動。そこでまず発表されたのが今回の『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』だ。
『テイルズ オブ グレイセス』は2009年に発売され、翌2010年にはPS3への移植および続章「未来への系譜編」を追加した『テイルズ オブ グレイセス エフ』が発売。「忘れられない想いがある。守りたい人たちがいる。だから、強く、優しくなれる」をキャッチコピーに、世界をめぐる壮大な旅とキャラクタードラマ、そして魅力的なアクションバトルで高い人気を得た。
物語は幼年期編、青年期編、未来への系譜編という3段階で構成される。シリーズでも3つの時代をまたぐ物語はほかになく、本作の大きな特徴となっている。「テイルズ オブ」シリーズでキャラクターたちの会話劇はチャットやスキットなどと呼ばれるなか、本作における呼称は「グルーヴィーチャット」。ウェストアップのSDキャラによるかわいらしい表現は、登場人物たちの個性や関係性を示しながらストーリーの幕間を彩る。
バトルシステムも高く評価されている。キャラクターそれぞれが2通りのスタイルを切り替えながら戦う「スタイルシフトリニアモーションバトル」や、敵の攻撃をジャスト回避して「チェインキャパ(CC)」を回復する「アラウンドステップ」は、現代のアクションゲームにも通ずるバトルシステムだ。
リマスター版はグラフィックが向上、解像度はPS5版が3840×2160、PS4 Proは2560×1440、PS4は1920×1080となり、PlayStation®版においてフレームレートはすべて60fpsで動作する。キャラクターや背景の描写は色鮮やかに、細かいテクスチャーも美しくなっており、世界への没入感を高めてくれる。
より遊びやすく楽しめる機能も多数追加される。オートセーブやイベントスキップ、ボス戦などのイベントバトルを除く敵エンカウントのオン/オフ切り替えのほか、メインシナリオの目的地を方角と残り距離で示す目的地アイコン、ゲーム進行によって消滅する可能性がある時限イベントを見つけやすくする砂時計アイコンなどは、効率的な時短プレイが可能だ。
オリジナル版ではクリア後の要素として解放される「グレードショップ」は、ゲーム1周目開始時から利用できる。すべての項目を購入できる「GRADE」も最初から所持しており、一部の効果はゲーム中にオン/オフを切り替えられる。また、オリジナル版で配信されたDLCを80種類以上収録し、追加アイテムや追加衣装に加え、シーズン限定配信された「記念日チャット」には英語音声も追加される。
リマスター版の特徴や追加機能、収録DLCは公式サイトで公開されているので、詳しく知りたい方はチェックしておこう。
【試遊レビュー】今もなお色褪せない軽快かつ戦略的なバトルアクション
試遊では青年期編序盤の一部をプレイすることができた。シチュエーションとしてはリチャードが王座に就いたのち、主人公のアスベルが故郷ラントに帰還するまでの流れだ。
プレイしてあらためて感じたのは、本作のバトルの面白さ。「スタイルシフトリニアモーションバトル」は、ひとりのキャラクターが2通りのバトルスタイルを使い分けるシステムであり、アスベルなら抜刀状態と納刀状態をスタイルシフトで切り替えることになる。パーティーメンバー4人は操作キャラクターを瞬時に切り替えられ、それぞれが異なるスタイルを持っているため、攻撃アクションのバリエーションは非常に多い。スピーディに展開する戦いのなかで、どのキャラクターのどのスタイルが敵に対して効果的かを探るのも楽しい。
もうひとつの注目システムが「アラウンドステップ」だ。ガードボタンを押しながら右スティックを倒した方向に回避するアクションとなっており、敵のガード不能攻撃もこれを使って被弾を防ぐ。敵の攻撃の振り方によって回避方法が変わり、横振りならバックステップで、縦振りなら左右から回り込むようなステップで回避する。はじめのうちは攻撃のコンボをつなぎたい意識が強すぎてうまく回避できなかったが、敵のモーションを注視していつでもステップできるように準備しながら戦っていると、見違えるほど安定するようになった。
「アラウンドステップ」で際どい回避を決めたり即反撃に移ったりすると、めちゃめちゃ気持ちいいうえにCCが回復する恩恵を受けられる。CCは攻撃を続けるスタミナのようなものであり、通常はコンボを叩き込んでCCが切れたらゲージの回復待ちになる。しかし、「アラウンドステップ」のCC回復を組み込むことで、より長くアクションを続けられるというわけだ。
攻撃スタイルの使い分けや回避が重要な立ち回りは、近年のアクションゲームでも採用している作品が多くあり、それに近い感覚で楽しめた。プレイヤースキルが戦略に直結するシステムを15年前に確立していたのだから、今も本作の最たる特徴として語られているのもうなずける。
追加機能「目的地アイコン」が便利すぎる!
本作ではオリジナル版にはなかった便利機能が追加されている。「目的地アイコン」もそのひとつだ。カスタムで機能をオンにすると、メインストーリーの次の目的地がフィールド画面上にアイコンで示される。このとき、方角とともに残り距離を表示してくれるのが親切なポイントだ。
フィールド画面は見下ろし型で、カメラのズームや回転はできないため、プレイヤーは目に見える範囲の地形情報しか得られない。例えば南北の分かれ道に立ち、「目的地アイコン」が北を示していたとする。アイコンが北を示しているからその方向に向かっても、実際は南へ向かう道が目的地につながっているならば、「目的地アイコン」がプレイヤーをミスリードしてしまうことになる。しかし、北へ向かったときに残り距離が増えていくので、「こっちに進んでも目的地にたどり着かないのか」と引き返すことができるわけだ。今回の試遊はゲームの途中から、町や拠点の位置関係を知らない状態でプレイを始めたため、この機能はとても役に立った。
かつてRPGのマップは、いくつもの行き止まりのなかから正解を見つけ出すように探索していたし、プレイヤーもそれに慣れ親しんでいた。ところが今はゲームでもタイムパフォーマンスを重視する時代で、旨味のない寄り道は好まないプレイスタイルのユーザーも増えてきた。たくさんの名作が遊びやすくする機能を導入してリマスターする例にもれず、本作も考え得る便利機能が詰め込まれている印象だ。同時に、機能のオン/オフを任意で切り替え、オリジナル版と同じ環境で遊べるようにしているところも心憎い。
「グレードショップ」の機能も最初から使い放題!
試遊範囲が終わったあと、ゲーム開始の状態からも体験させてもらった。お目当ては初期解放されている「グレードショップ」の項目選択だ。「グレードショップ」はシリーズおなじみのクリア後要素であり、獲得経験値やアイテム入手確率を倍増させて育成の限界までやり込んだり、クリティカル率を上げてバトルを簡単にしたりと、やりたい放題に遊べる項目がそろっている。また、本来は項目の購入に必要な「GRADE」をせっせと貯める必要があるが、リマスター版ではすべて買い占められる額が用意されており、1周目のゲーム開始からどの項目も使いたい放題だ。
試しにゲームプレイが有利になる項目をすべて有効にして始めてみたところ、想像以上に強くてサクサクすぎるほどに進行していく。バトルでいえば、CCを増量して手数が増えるうえにクリティカルも出るのですぐに倒せるし、HPも上げているのでダメージを受けてもたいして気にならない。痛快だけれど簡単すぎて、ギリギリの体力で目的地を目指す緊張感や、死闘を繰り広げるはずのボスの強敵感も、ほとんど感じられなかった。一方で、バトルはサクッと終わらせて、ストーリーを早く進めたい方には合っているかもしれない。
いずれにしても、有利になる項目を全部入りにすると、とたんに難易度が下がってしまう。世界観に没入するには適度なゲームバランスも必要だから、「グレードショップ」の利用にはある種の自制心が求められるだろう。カスタムや追加機能の多くはオン/オフの切り替えができ、どれを利用するかはプレイヤーが任意で選べるようになっているから、製品版をプレイするときは、スリルとちょっとの不自由さを含めて、作品本来の楽しさを味わえる設定を見つけたい。
【インタビュー】筋金入りのシリーズファンがプロデューサーとして全力布教
試遊を終えたあと、プロデューサーの石川結貴氏に話をうかがうことができた。「テイルズ オブ」シリーズを愛するひとりのゲームユーザーが、バンダイナムコエンターテインメントに入社して開発チームの一員になり、ついにはプロデュース担当に。自らも夢中になった名作のリマスターを、どのようにして世に広めるのか──。
石川結貴
バンダイナムコエンターテインメント
『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』プロデューサー
──『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』が「テイルズ オブ」シリーズのリマスタープロジェクトに選ばれた理由を教えてください。
現行機で遊びづらい作品になっていたことや、オリジナル版の対応言語数が4言語しかなかったことなど、さまざまな要因があります。『グレイセス エフ』のリマスターを遊びたいという皆さんの声はわれわれに届いていましたし、技術的なことをいえば、リマスターするうえで比較的データを扱いやすかったこともありますが、なんといっても応援してくださる方がいたからこそ、成立したプロジェクトだと思っています。
──石川さんはオリジナル版を高校生のときにプレイされたそうですが、プレイヤーとして遊んだ当時、どのような印象を持ちましたか?
月並みですが、「バトルが面白い!」というのが一番です。私は『テイルズ オブ ジ アビス』から遊び始めて、過去作品をちょっとずつ振り返りながら、『アビス』以降の新作を遊んできました。「『テイルズ オブ ヴェスペリア』でも完成度が高かったのに、これから先の新作はどうなるんだ!?」と思っていたところ、個人的にお気に入りだった『テイルズ オブ デスティニー』リメイク版で面白かった「チェインキャパ」システムを取り入れた新作で、かつ3Dでステップの概念もあって楽しめるのだから、その面白さに「何だ、これは!」となりました。
──そんな石川さんが今作のプロデューサーを担当するのは、どのような経緯があったのでしょうか。
私は2015年に入社して、最初は「ファミスタ」など他IPの担当でした。仕事は楽しかったですが、ずっと「テイルズ」が好きだと言い続けて入社して、なんならサッカー部だったのに……(笑)。その後は営業に異動して『テイルズ オブ ベルセリア』を売り込みつつ、2019年から晴れて「テイルズ オブ」チームに入ることができて、『テイルズ オブ アライズ』とDLC「Beyond the Dawn」のアシスタントプロデューサーをやらせていただきました。それから今回のリマスタープロジェクトにあたり、追加機能を含めて品質を上げていこうとなって、プロデューサーとして企画を進めることになりました。
──筋金入りのシリーズファンが、プロデューサーにまでなっていったわけですね。
好きなタイトルを挙げるとキリがないですが、『グレイセス』もそのひとつです。
追加機能の使い方もゲームバランスの判断もユーザーしだい
──PS5版とPS4版の違いは解像度だけでしょうか。
はい。解像度だけが異なっていて、フレームレートはどちらも60fps、ほかの機能も同じです。
──リマスター化するうえで苦労したことはありましたか?
目的地表示と時限イベントの管理は、元のフラグデータを見て適切に配置しなくてはいけないので、開発チームの皆さんがとくに気合を入れて作業してくれました。『グレイセス エフ』はバトルシステムに注目が集まりがちですが、「テイルズ オブ」シリーズらしいキャラクターエピソードが入っている作品でもあります。イベントをもれなく見てキャラクターたちのドラマを存分に楽しむと、作品をもっと好きになっていただけると思うので、ぜひ活用してほしいです。
──目的地表示は、方角と距離がセットになっているのがとても親切だと思いました。方角は合っていても道がつながっていないとき、距離が遠ざかっていれば正しいルートでないことがすぐにわかります。
そう言ってもらえると、開発メンバーが喜びます(笑)。ただ、目的地へのルートが明らかになっていると、寄り道の先にある宝箱を取り逃してしまうこともあります。逆に、目的地が明らかになっているからこそ、寄り道の存在もわかるので、残りHPと相談しながら寄り道の探索も楽しんでいただけたらと思います。
──近年、たくさんの名作が遊びやすい機能を追加してリマスターされています。本作も追加機能のトレンドと呼べるものを網羅している印象ですが、想定していた機能はすべて入れられましたか?
これは入れておきたいという機能は、全部入れたつもりでいます。そのうえで、ユーザーさんが任意でオン/オフできることがお伝えしたいポイントです。従来どおりの遊び方をしたい方もいるでしょうし、寄り道したり期間限定イベントを探したりなどといったこともRPGの面白さのひとつなので、そこはご提供できていると思います。
──リマスターの追加機能のトレンドは、やはり時短でしょうか。
時短はリマスターにかぎらず、新作でも求められる傾向にあります。「テイルズ オブ」シリーズはアクションバトルなので戦闘の時短はできませんが、エンカウントをオフにする機能がその役割になります。エンカウントをオフにする場合は、経験値2倍や経験値5倍を入れて、ボス戦で経験値を稼ぐような遊び方になると思います。個人的には、戦闘終了後の掛け合いは面白いものがたくさんあるので、ザコ戦もぜひ楽しんでいただきたいですが、プレイスタイルに応じて、機能をうまく使っていただければと思います。
──戦闘時字幕の表示は、今回の追加機能のひとつですね。
私はプレイヤーとして遊んでいた当時から、秘奥義のセリフをキャラクターと一緒に叫ぶことが好きなんです(笑)。字幕があれば、どんなセリフかきちんとわかって一緒に言えますし、詠唱系の秘奥義はかなり助かります。
──ほかには、DLCの英語ボイスも追加されています。
オリジナル版もメインイベントは英語ボイスがありましたが、今回はDLCのチャットで英語ボイスを新録しています。交通安全週間とかゴールデンウィークといった日本特有のイベントが、海外の方にどこまで伝わるかわかりませんが(笑)。
プロデューサーによる「グレードショップ」初期解放おすすめ3選
──本作はグレードショップが初期解放されていて、全項目を購入するためのGRADEも所持しています。1周目から解放するとより楽しく遊べるような、おすすめ項目があれば教えてください。
まずは「チェインキャパ+1」と「チェインキャパ+2」で、チェインキャパを増やすこと。ゲームバランスを大きく損なうことなく、アクションの手数を増やして、『グレイセス エフ』の面白さのひとつであるアクションをより楽しんでもらえると思います。
次は「HP+1000」です。シンプルに死ににくくなりますし、回復アイテムを使うためにメニューを開いてバトルのテンポが悪くなることも防げます。体力が増えるだけで攻撃力などは変わらないので、難易度をある程度維持しながら遊べるのもいいと思います。
最後は「アイテム所持数拡張」です。アイテム所持数の上限を解放するもので、例えば、ライフボトルは15個までしか持てないところを、それ以上持てるようになります。宝箱を開けたときにアイテムの所持上限に達して、「宝箱に戻しますか?」と言われると、無理にでも使ってから回収する強迫観念を感じることもありますが、その状況も生まれにくくなります。アイテムは持っていて損をすることはないので、活用すれば冒険をサクサク進められるようになると思います。
──本来「グレードショップ」はクリア後の要素ですが、これを最初から使うことは開発者視点でどのようにとらえていますか? 本当なら1周目は使わずに楽しんでほしいという思いもあるのでしょうか。
いいえ、ぜひ活用をおすすめしたいと思っています。オリジナル版をすでにプレイしたから時短で遊びたいという方もいれば、初プレイでもタイムパフォーマンス重視で遊びたい方もいると思いますので、積極的に使ってほしいです。ただ、そういう方々でも、始めてみたら楽しくなってきて、本来の遊び方でプレイしたいとき、あとからオフにすることができます。活用するかどうかは任意ですし、ゲームバランスが崩れたかの判断もみなさんに委ねることができたと思っているので、入手じたいは最初からしておくことをおすすめします。
──リマスターを待ち望んでいたファンと、これから初めて触れるプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
まずはオリジナル版を遊んだ方には、皆さんが15年も応援してくださったからこそ、こうしてリマスターの企画が成り立っているところがあります。15年来の応援に、あらためて感謝申し上げます。
『グレイセス』を遊んだことがなくても、「テイルズ オブ」シリーズが好きだという方に向けては、ぜひとも触れてほしい作品だと思っています。キャラクタードラマはもちろん、特徴的なバトルシステムが面白い作品であることを、今この時代に改めてお伝えできるのは、プロデューサーとしても、ひとりのファンとしてもうれしいです。プレイヤーとして遊んでいた当時、もっと布教したくてもその手段がなかったので、今それができることを本当にうれしく思います。ぜひお手に取って遊んでみてください。
テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター
・発売元:バンダイナムコエンターテインメント
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:守る強さを知るRPG
・発売日:2025年1月16日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 6,490円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 特装版 13,640円(税込)
ダウンロード版 販売価格 通常版 6,490円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デラックスエディション 8,910円(税込)
・プレイ人数:1人(バトルのみ最大オフライン4人プレイ対応)
・CERO:B(12才以上対象)
『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』公式サイトはこちら
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Tales of Graces™f Remastered & ©Bandai Namco Entertainment Inc. ©いのまたむつみ
※画面はPS5版の開発中のものです。
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