10月8日(火)発売予定のPlayStation®5用ソフトウェア『SILENT HILL 2(サイレントヒル 2)』。本作は2001年にPlayStation®2で登場したサイコロジカルホラーのリメイク作品だ。主人公のジェイムスは亡き妻メアリーとの思い出の地である荒廃した街「サイレントヒル」を探索し、クリーチャーやさまざまな登場人物たちとの遭遇を通して、自身の過去の記憶と対峙していく。
本作はオリジナル版をベースにしながらも、現代の技術によってグラフィックスとサウンドを進化させることによって、さらに没入感のある体験が味わえる。探索エリアの拡張やキャラクターの肩越しの視点の導入、戦闘システムの刷新、新たなカットシーンの追加などにより、オリジナル版を遊んだことのある人だけでなく本作で初めて触れる人でも楽しめる作品として生まれ変わった。
8月8日(木)にメディア向けイベント「『SILENT HILL 2』Tokyo Media Premiere」が開催され、本作の世界最速試遊、開発陣へのQAセッション、インタビューが実施された。会場は特徴的な霧を連想させるスチームが漂い、赤い照明が緊張感を呼び起こす、『SILENT HILL 2』の世界観をイメージしたつくりに。試遊ではゲームの冒頭からレッドピラミッドシング戦までをプレイすることができた。
この記事では、イベントで語られた本作のポイント解説と試遊レビューをお届けする。QAセッションとインタビューの模様については以下の記事をご覧いただきたい。
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『SILENT HILL 2』を特徴づける9つのポイント
試遊に先駆けて、会場のステージにはコナミデジタルエンタテインメントの岡本基氏(「SILENT HILL」シリーズプロデューサー)と、オリジナル版の開発に携わっていた山岡晃氏(作曲家)、伊藤暢達氏(コンセプトアーティスト)、そしてリメイクを手掛けたポーランドのデベロッパーであるBloober TeamのMateusz Lenart氏(クリエイティブディレクター)、Maciej Głomb氏(リードプロデューサー)の5人が登壇。岡本氏から、リメイクにあたってのポイントがあらためて語られた。
①4Kで描かれる霧の街
サイレントヒルの街を緻密かつ美麗に再設計。写実的に再現したことに加えて、新しい建物などのロケーションが追加された。
②感情に訴えかけるカットシーン
最新のフェイシャルモーションキャプチャにより、目元や口元のわずかな動きも捉え、オリジナル版以上に登場人物の感情を掘り下げて表現している。
③感性を刺激する立体的な音
背後にいるクリーチャーの存在まで感じられる3D音響がプレイヤーを取り囲む。場所によってさまざまな顔を見せる音は、まるでジェイムスと同じ場にいるかのような臨場感と没入感ある恐怖をもたらす。
④没入感の高い肩越し視点
オリジナル版のカメラは見下ろし視点だったが、本作ではキャラクターの目線に近い肩越し視点に変更された。没入感が高まり、死角への”見えない恐怖”と、脅威が徐々に迫ってくる”見える恐怖”が強まる。
⑤緊迫感のある戦闘
アクションにドッジ(避ける)が追加され、攻撃をギリギリで回避するという緊迫感が生まれる。射撃にはエイム(狙う)システムを採用。再構築されたアクションによって戦闘が現代風にアレンジされた。
⑥クリーチャーの追加や再配置
地面や壁を這い回り四方から襲い来るスパイダーマネキンの追加や、既存のクリーチャーの再配置により、予期せぬ危険がプレイヤーを恐怖へと駆り立てる。
⑦探索エリアの拡張
本作では探索エリアが拡張され、窓枠を飛び越えたり隙間を通り抜けたりといったトラバーサル(移動)アクションも追加。周囲を注意深く観察すると、思わぬ道が開けることもある。
⑧観察力を試される謎解き
オリジナル版にあったパズルの見直しはもちろん、ひと筋縄ではいかない新たな謎解きが追加された。ただのギミックとして解くだけでなく、細かく練られた設定からストーリーが垣間見えることもある。
⑨新解釈によるエンディングを追加
オリジナル版にあった既存のエンディングに加えて、新解釈による全く新しいエンディングが追加されている。
【試遊レビュー】霧の街を歩む”体験”が、より美しく鮮明に描かれる
心細さと陰鬱さの増した公衆トイレから始まる物語
ゲームは、サイレントヒルの街への入り口となる展望台にある、薄暗い公衆トイレからスタート。主人公のジェイムスが鏡で自分を見つめながら、亡くなったはずの妻から届いた手紙の内容を回想するシーンから幕を開ける。オリジナル版では公衆トイレの中で回想が終わってジェイムスを操作することができたが、リメイク版では公衆トイレを出て展望台から湖を見つめながら回想を終え、そこからジェイムスを操作できるようになっていた。
なお、オリジナル版のセリフは英語吹替のみの日本語字幕だったが、リメイク版では日本語吹替が収録され、ゲーム開始前に選択することができた。
ジェイムスを操作できるようになったあとは、車に置いてある地図を入手するのが通常の流れだが、公衆トイレに戻って中を観察してみる。内部の広さはオリジナル版とさほど変わらないものの、壁や床の汚れや落書きなどが細部まで表現され、便器も汚くなっていた。これから始まるジェイムスの過酷な旅路を暗示するような心細さと陰鬱さが増しているように感じられた。
肩越し視点への変更により、本当にこの世界にいるような没入感を味わえる
ゲームをプレイしてまず感じたのは、肩越し視点への変更がもたらす没入感だ。見下ろし視点だったオリジナル版では映画を見ているような感覚を味わえたが、肩越し視点のリメイク版はジェイムスの目線に近いため、その旅路を”体験する”という感覚がより強くなっている。右アナログスティックでカメラを操作し、細部まで描き込まれた景色を自由に眺めることができるのもうれしい。今回の試遊では3Dオーディオ対応のヘッドフォンを着けてプレイしていたこともあり、揺れる木々の葉音やジェイムスの足音などをリアルに感じることができたのも、より深い没入感が得られた理由だろう。
濃くなっていく霧がジェイムスとプレイヤーの心を覆っていく
オリジナル版では展望台の時点で『SILENT HILL 2』の特徴となる霧が漂っていたが、リメイク版では展望台には霧がかかっておらず、街へと近づくにつれて徐々に霧が濃くなるようになっている。ジェイムスの心境を象徴すると同時に、プレイヤーの不安を呼び起こすような演出となっていたのが印象的だった。街へ到着する頃には霧が周囲を完全に覆い、数メートル先の状況すら把握できない状態に。何が潜んでいるのかわからない、白い闇へと向かって歩いていく緊張感はかなりのものだ。クリーチャーの接近を知らせるラジオのノイズが、オリジナル版よりも頼もしく感じるかもしれない。
最初に訪れるサイレントヒルの東地区は、入手した地図を見た限りではオリジナル版とあまり変わらないのだが、実際に足を運んでみると、民家、アパート、商店といった建物の外観が大きく変化していて驚いた。椅子や植木鉢、出しっぱなしのゴミ袋など、生活の営みの痕跡が細部まで表現され、霧に覆われたサイレントヒルの街並みをリアルに感じることができるのも、リメイク版の醍醐味のひとつだ。ただ、最初に入手できる武器である木材の入手場所がオリジナル版とは異なっていたため、戸惑いながら恐ろしい霧の街をさまようことになった。これはオリジナル版をプレイしたことのある人にとっては大きなサプライズとなるだろう。
侵入できる建物が増えたことにより、探索の楽しみとボリュームがアップ
街を探索していると、侵入できる建物がオリジナル版よりも増えていることに驚く。なかには、窓ガラスを木材で叩き割らないと侵入できない場所も。建物の内部には回復アイテムや弾薬などが置いてあることもあるので、生き抜くうえで探索の重要性が増しているのと同時に、発見できたときのうれしさはひとしおだ。もちろん内部には敵が潜んでいることもあるため、気は抜けないのだが。
オリジナル版では東地区から序盤の見せ場となる大きなアパートまでの道のりは、少し単調だった印象もあったが、リメイク版ではアパートに到着するまでに、さまざまな建物を探索したり、数々のパズルを解いたりする必要があるようになっている。探索できる場所の拡張は、充実した体験とボリュームの増加にもつながっていた。
アクション性、迫力、緊張感が大きく増した戦闘
リメイク版での大きな変化は、クリーチャーとの戦闘でも味わえる。操作は、R2ボタンで近接攻撃、L2ボタンを押しっぱなしで銃を構えてR2ボタンで射撃、○ボタンで回避となっていた。銃を構えている間は右アナログスティックで狙いを定めることができ、敵の頭部や手足などを自由に狙い撃つことができる。回避する際は左アナログスティックと組み合わせることで、避ける方向を選択できるようになっていた。
オリジナル版では序盤の敵は一方的に殴り続けることができたのだが、リメイク版ではこちらの攻撃の合間に反撃してくることもある。敵をよく観察して反撃を回避し、その隙に再び攻撃を叩き込むといったスリルを味わえるのが面白い。肩越し視点になったことによって、おぞましいクリーチャーの姿がオリジナル版よりもはっきり確認できるのも、戦闘の迫力のアップにつながっていた。こちらの視界の外へと逃げるような挙動をするクリーチャーもおり、戦闘中に隠れた敵におびえる恐怖体験も味わえる。
回復アイテムや弾薬には限りがあるので、ダメージを受けないようにうまく立ち回りたい。そんなこともあって、オリジナル版をプレイした際よりもハンドガンを多用していたのだが、無駄遣いが過ぎたのか、または探索が足りていなかったためか、序盤にも関わらず弾薬が不足しがちになり焦ってしまった。
知恵と観察を駆使するパズルの醍醐味
「SILENT HILL」シリーズの特徴であり、オリジナル版にもあったパズル要素は受け継がれ、新たなパズルも追加されていた。周囲を観察してヒントが記されたメモを探したり、ギミックに必要なアイテムを入手したりしながら、ジェイムスとプレイヤーはパズルに挑んでいく。入手した複数のアイテムを組み合わせ、ひとつのアイテムを作成しなければ解けないパズルもあるのは新しい体験だ。オリジナル版と同じパズルもあったが細部は変更されていたので、過去にプレイしたことがある人も新鮮な気持ちで楽しめるはず。パズルの難易度は戦闘などのアクション要素とは別に設定できるので、苦手な人は低く設定しておくこともできる。
※画像は英語版です。
序盤の見せ場となるふたつのアパートは構造を一新
屋外のマップとは異なり、序盤で訪れる「WOOD SIDE APARTMENT」と「BLUE CREEK APARTMENT」は、その構造がオリジナル版から大きく変化。物語の流れは同じであるものの、アイテムやパズルのある場所、敵の配置などは全く異なっているため、攻略も変わってくる。なかには、オブジェクトを動かして足場をつくったり、壁を近接攻撃で破壊したりすることで道が開ける場所もあった。アパート内部や各部屋のディテールが増したことによって、敵が隠れられる場所が増えたため、周囲の観察がより重要となった印象だ。
また、オリジナル版ではアパート内の各部屋へ入る際はロード画面が挿入されたが、リメイク版ではロードを挟むことなくシームレスに各部屋へ侵入できる。そのため、勢いよく走りながら部屋へ侵入したら、クリーチャーが待ち構えていて声をあげてしまったことも。アパート内の初見の場所は探索の歩みが自然に遅くなり、手に汗握る緊張感を満喫できる。
スリルに満ちたレッドピラミッドシングとの戦い
アパートの最後に立ちはだかる、通称”三角頭”ことレッドピラミッドシングとの戦闘も、リメイク版で大きな変化を遂げた要素のひとつだ。戦場は倉庫のような場所となり、オリジナル版よりも広さがアップ。大きな刃物を火花とともに引きずり、周囲のオブジェクトを破壊しながら近づいてくるレッドピラミッドシングの姿は恐怖以外の何物でもない。
特徴的な頭部の被りものは攻撃しても弾かれて効果があるのか不明だったため、銃で腕や足を狙い撃ってみるも、やはり効いているのかわからない。歩みや攻撃モーションは比較的緩やかなので、落ち着いていれば攻撃を回避したり距離を取ったりできるのだが、一撃のダメージが大きくスリルは満点。手を振りかざし、ジェイムスを掴み上げてきたときは心底驚いた。
今回の試遊は時間が限られていて駆け足となってしまったので、見逃している要素もきっとあるはずだ。本作が発売されたら、ぜひじっくりとサイレントヒルの街や建物内を探索してみたい。
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SILENT HILL 2(サイレントヒル 2)
・発売元:KONAMI
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:サイコロジカルホラー
・発売日:2024年10月8日(火)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 8,580円(税込)
ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,580円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デラックスエディション 9,790円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
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©Konami Digital Entertainment
※映像・画面は開発中のものです。
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