『FINAL FANTASY VII REBIRTH』がPlayStation®5で発売開始、物語はミッドガルの外へ──。配信中の体験版、もしくは本編をご購入されてすでに外の世界への一歩を踏み出した方や、「State of Play」の放送をご覧になってその広さに驚いた方もいるでしょう。目の前に広がる景色に息を呑んだ方も少なくないのではないでしょうか。どこまでも広がる緻密で広々としたフィールドや街並み、デザインが一新されたキャラクターモデル、再創造された脅威と新たな敵、豊富なサイドコンテンツとミニゲーム。『FINAL FANTASY VII REBIRTH』には、実にたくさんの要素が詰め込まれています。
こうした刺激的な体験がPS5でどのように実現されたのか探るべく、前作『FINAL FANTASY VII REMAKE』の開発に携わった大部分のスタッフが参加しているという本作の開発チームに取材を試みました。今回は、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ディレクターの浜口直樹氏を迎え、開発スタジオがいかにして世界に命を吹き込んだのか、その取り組みを語っていただきます。
開発者の視点から、PS5のパワーや性能を初めて知ったときの印象はどのようなものでしたか?
SSDによるデータの読み込み速度が向上して必要なリソースが瞬時にロードできるようになったことで、ユーザーが待ち時間のないゲーム体験を実現するためにシステム設計にも大きな変化が必要だと感じました。実際に『FINAL FANTASY VII REBIRTH』では高速SSDを活用するために、グラフィックパイプラインやアセットのストリーミングシステムは前作から刷新しております。
『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』の開発から得た学びで、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』の開発に役立ったことはありますか?
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』を制作するうえで当初から気にしていたのはディスクサイズでした。『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』同様にシネマティックなロケーションも存在しつつも、さらにワールドマップを含めたときでも150G以内に収めることを必須条件にしていました(『INTERGRADE』は80G程度のディスクサイズ)。『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』でテクスチャ圧縮の“Oodle Kraken”(※1)と“Oodle Texture”(※2)の実用性を体験できていたのは今作のディスクサイズを計画するうえで非常に役に立ちました。PS5でSSDが搭載され読み込み速度は飛躍的に向上されましたが、読み込む元となるディスクサイズには限りがあるので、必要不可欠なテクノロジーだと言えます。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』はPS5のゲームとして作られました。このハードのパワーはグラフィックやゲームプレイにどう活かされていますか?
今作はワールドマップの密度感を実現するために、単発のスクリーンショットとしての見た目を上げるより、アセットの“物量”を達成することでワールドマップが多彩に感じてもらえるように設計をしました。そのためPS5 では独自のジオメトリパイプラインとして新たに “PrimitiveShader”が実装されており、今作では “ComputeShader”と組み合わせて、大量のアセットを描画できるようにレンダリングパイプラインを設計することで“物量”に対処しています。またその大量のアセットを瞬時にロードできるSSDとの組み合わせも非常にマッチしていました。
PS5のSSDの性能は、このゲームにどう活かされていますか?
PlayStation®4版の『FINAL FANTASY VII REMAKE』ではロード速度の制約から、あらかじめ先読みしておく必要があり、それがメモリ容量を圧迫し、アセットに妥協を強いられていました。本作ではシームレスなワールドを構築する必要があり、前作以上にメモリ使用量が厳しくなることがわかっていたため、ストリーミングすることが必要でした。『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』でわかっていた課題は、SSDが高速なため、ほとんどのケースで、読み込んだあとに利用可能とするためのメモリ展開するCPU処理に時間がかかる状態だということです。今作では可能な限り、メモリ展開にかかるCPU負荷がゼロとなるようにしており、メモリ配置されたレイアウトとなるファイルフォーマットを構築し、SSDの高速ロードに活かす設計にしました。特に今作の背景モデルレンダリングとストリーミングは新設計しており、遠くでは粗く、近くでは高精細なアセットをかなり細かな単位でロードするにあたって、PS5高速SSDの性能が多いに役に立ちました。
『FINAL FANTASY VII REMAKE』のキャラクターモデルも、PS5にアップグレードした『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』のキャラクターモデルも、どちらも印象的なビジュアルで鮮烈な印象が残っています。ハードがPS5に移行したことで、これまでの登場人物たちのデザインにさらなるディテールを追加することはできましたか?
クラウドをはじめ、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』に登場するキャラクターたちは、PS4世代を基準として制作していました。今作はPS5のスペックに合わせモデルの仕様変更を行ないメインとなるキャラクターは髪から衣装にいたるまですべてを作り直しています。一新されたキャラクターがゲーム中にアップで映った時に表情はもちろんですが、ディテールアップした髪の毛や肌にも注目してみてほしいです。細部の質感の向上を感じてもらえると思います。
また、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ではモデルやテクスチャ以外でも、シェーディングやアニメーション、ライティングも強化されています。それらを合わせた総合的なキャラクタービジュアルは『FINAL FANTASY VII REBIRTH』を大きく超えていますのでご期待ください。
同様に、シド、ケット・シー、ヴィンセントがパーティに加わり、冒険はますます賑やかになります。この3人のキャラクターを現代のテクノロジーで再創造するプロセスは、『FINAL FANTASY VII REMAKE』に登場していた面々と同じクリエイティブな手法を用いたのですか?
新たに登場するキャラクターたちも基本的に同じプロセスで作成されていますが、そのフローは『FINAL FANTASY VII REMAKE』より洗練されたと言えます。とくに『FINAL FANTASY VII REBIRTH』は前作から開発チームの大部分のスタッフがそのままスライドして開発が継続できているため、開発経験が積みあがった状態で制作開始することが可能となり、新しく登場するシド、ケット・シー、ヴィンセント達も質感向上や細部の作り込みまでできました。プレイ中にはそういったキャラクターたちをよく見ていただけると嬉しく思います。
PS5の開発者は、4Kグラフィックを優先する“グラフィックモード”と、60fpsの滑らかなアクションを優先する“パフォーマンスモード”のいずれかでゲームを楽しむオプションをプレイヤーに用意しています。『FINAL FANTASY VII REBIRTH』に期待できること、そしてこのふたつのオプションの導入に踏み切った理由を教えてください。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』においても、4K グラフィックを重視する“グラフィックモード”と、60FPSを重視する“パフォーマンスモード”が用意されており、オプションからユーザーが自由に選択できるようになっています。両モードの選択はPS5タイトルでのユーザーのトレンドになっている面もありますので、今作としても対応が必須だと考えました。
ハプティックフィードバックやアダプティブトリガーなど、DualSense® ワイヤレスコントローラーのユニークな機能は、より深くゲームに没入することを可能にします。こうした機能をどのように本作に取り入れましたか?
バトルのようなアクション性の強いパートやカットシーンなどのシネマティックな演出の強いパートでは、ハプティックフィードバックやアダプティブトリガーを積極的に利用しているので、グラフィックから伝わる演出が、コントローラーから直接シンクロしてくれます。また、それだけではなく今作はミニゲームが多く制作されているため、ミニゲームごとにDualSense ワイヤレスコントローラー機能の活用を企画しています。ハプティックフィードバックやアダプティブトリガーだけではなく、モーションセンサー、内蔵マイク、タッチパッドなど幅広く体験することができます。
※映像は英語版です。
3Dオーディオはどのように活用されましたか?
今作ではTempest 3Dオーディオをフルに活用しています。フィールドにおけるボイス、効果音、BGMの大部分を各オブジェクトおよびキャラクターから発音させて、カメラからの距離や空間等の状況に応じて音をさまざまに変化させています。3Dオーディオならではの上下に対しても積極的に対応していて、上の空間に別の音を専用で配置し上下が感じられるような工夫もしています。フィールド上空で飛び回る新羅のヘリ、グラスランドの広大なマップでのさまざまな環境音、ゴールドソーサーでの上空に配置したBGM等、3Dオーディオによる臨場感と没入感を是非体験して頂ければと思います。また最近のSDKバージョンアップによりDolby Atmosでの出力にも対応していますので、ヘッドフォン以外にもサウンドバーやスピーカーシステム等対応機器をお持ちの方はこちらの出力でもお楽しみ頂ければと思います。
『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』にはフォトモードが用意されていましたが、この機能は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』にも再登場するのでしょうか? その場合、変更点はありますか?
もちろん、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』でもフォトモードは実装されています。今作ではフォトフレーム機能を追加実装しておりますので、好きなフレームをお気に入りのショットの上に設定することが可能になりました。また、フォトモード自体がゲームの世界観に組み込まれており、フォーカスと呼ばれる写真愛好家のキャラクターが登場してクラウドにワールドマップのフォトスポットでの撮影を依頼してくるサイドコンテンツが用意されています。依頼を達成していくことでフォトモードの機能が追加されたりしますので、そちらにも期待してもらいたいです。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』で、PS5のパワーによって実現したことが凝縮されていると思う特別なシーンや場所、瞬間はありますか?
正直なところ、どのシーンもPS5の性能がないと実現できないほどPS5の性能を使い切っているのですが……。それでもあえて挙げるとすれば、街のロケーションでしょうか。町はアセットの密度も高くなりつつも、大量のNPCを配置する必要があります。街中のNPCの生活感は非常にこだわって作っているポイントですので、PS5の性能を十分に感じてもらえると思います。個人的にはジュノンのルーファウス社長就任パレード時におけるジュノンの街の表現はお気に入りですので、ぜひゲームで体験してみてほしいです。
ほかのPS5ゲームで印象に残っている作品はありますか? 開発者目線から見て、その作品はPS5の機能をどのように活用していると感じましたか?
『Marvel’s Spider-Man 2』は2023年に発売されたタイトルのなかで最もPS5の性能を感じさせられる作品でした。SSDを活用することでスパイダーマンのウェブ・スイングやウォールランの移動速度を速くすることが可能になり、爽快感の向上を感じられました。また、ファストトラベルは圧巻で、MAP画面を経由して全く待ち時間を感じさせない設定は感動を覚えるくらいでした。開発者目線から見てもPS5の高速SSDがなければ実現できないゲームだったと感じさせられました。
※映像は英語版です。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』は、PS5で発売中です。
※1 Oodle Krakenは、RAD Game Tools が開発したデータ圧縮技術で、ビジュアル クオリティを損なうことなく、ビデオゲームアセットのサイズを縮小し、ローディング時間を改善するように特化して、設計されています。高度なアルゴリズムを利用することで、テクスチャ、メッシュ、その他のゲームデータを効率的に圧縮します。
※2 Oodle Texture は、一方で、テクスチャ圧縮に特化した Oodle のコンポーネントです。革新的な技術を採用し、ビジュアルの忠実度を保ちながらテクスチャのファイルサイズを縮小することで、ゲーム開発者はゲームのビジュアルの豊かさを損なうことなく、パフォーマンスとストレージ要件を最適化することができます。
FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:RPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Standard Edition 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 11,501円(税込)
・CERO:C(15才以上対象)
PS Blogの『FINAL FANTASY VII REBIRTH』記事はこちら
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』公式サイトはこちら
『FINAL FANTASY VII REMAKE』公式X(旧Twitter)はこちら
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© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO
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