2月29日(木)発売予定のPlayStation®5用ソフトウェア『FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)』は、2020年4月に発売された『FINAL FANTASY VII REMAKE』から続く「FINAL FANTASY VII REMAKE」プロジェクト三部作の第2作目。魔晄都市ミッドガルを脱出したクラウドたちは、広大なフィールドを舞台にした新たな旅に出る。
本作のメディア向けイベントにて、ゲーム序盤のチャプター2をプレイすることができたので、そのレビューをお届けしよう。また、北瀬佳範プロデューサーと浜口直樹ディレクター、そして野村哲也クリエイティブ・ディレクターへのインタビューも紹介する。
※本記事のゲームプレイ画面はパフォーマンスモードでキャプチャーしたものです。
【試遊レビュー】ワールドマップ「グラスランドエリア」でわかる探索要素の膨大さ
今回プレイしたチャプター2は、カームの宿屋から始まる。部屋を出ようとすると新要素のカードゲーム「クイーンズ・ブラッド」のスターターキットが手に入り、街の中にいるカードゲームプレイヤーと対戦することが可能に。私は最初のチュートリアルだけプレイしたが、人によっては街から出ずに長時間カードゲームに明け暮れるかもしれない。
街の中では、スキルブックや武器アップグレードといった強化要素も解放される。スキルブックは、パーティレベルを上げて獲得したスキルポイントを消費し、キャラクターごとのスキルツリーからスキルやアビリティを習得していくシステムだ。今作の新たなバトル要素である連携アビリティや連携アクションもここで追加でき、キャラクターとパーティの強さに直結するものとなっている。
武器アップグレードは、装備している武器に武器スキルをセットし、バトル中の付与効果を追加するシステム。セットする武器スキルをオートで設定する機能もあるので、まずはオート設定の方針だけでも決めておくとよさそうだ。
街の中で別行動をしている仲間との会話で、好感度が変化するイベントも確認できた。選択肢によって好感度が変わり、この積み重ねが先々のゴールドソーサーでのゴンドラデートにつながるのだろう。お目当ての相手がいるのなら、会話選択肢は慎重に選ばなければ……。
その後は神羅兵の襲撃イベントを経て街の外へ。グラスランドエリアのワールドマップへ出たときの開放的な演出は鳥肌もので、いよいよ広い世界の冒険が始まるかと思うとワクワクしてくる。原作をプレイしたときも興奮したが、四半世紀以上の時を経て、あの感動をさらなるゲーム体験で味わえたことがうれしい。
チャドリーのワールドレポート
チャプター2のメインストーリーで大きな目的となるのが、グラスランドエリアの湿地帯を抜けてミスリルマインへ向かうことだ。しかし、湿地帯には凶暴なミドガルズオルムが潜んでおり、これを突破する手段として一行はチョコボを調達することになる。
チョコボを取り扱うグリン牧場の協力でチョコボを手に入れたとき、前作でも登場したチャドリーが現れ、世界を知るためにエリアのデータを集めたいと依頼してきた。これが今作の探索要素「ワールドレポート」の始まりだ。ワールドレポートには「通信塔」「討伐拠点」「召喚獣クリスタル」「ライフスポット」「エンシェントマター」といった項目があり、これらを達成していくことでチャドリーのマテリア開発が進むほか、バトルシミュレーターがアップデートされていく。
【通信塔】
各地の通信塔を起動することで、その周辺に新たな調査依頼が発生する。ワールドマップ画面の未到達地域は霧がかかったようになっているが、調査依頼ポイントがマークされることで向かうべき場所が明らかになるので、探索の足がかりとなる要素といえる。
【討伐拠点】
調査対象地域にいる指定のモンスターを倒すことが目的。バトルでは制限時間内での討伐など3つのミッションが提示され、達成すると追加のパーティ経験値を獲得できる。
【召喚獣クリスタル】
タイミングを合わせたボタン入力のお手本を見たあと、ガイド表示なしのボタン入力に成功することで、召喚獣クリスタルに秘められた情報を解析できる。解析したクリスタルが多いほど、バトルシミュレーターで戦う召喚獣が弱体化し、勝利報酬の召喚獣マテリアを獲得しやすくなる。
【ライフスポット】
ライフストリームの泉を見つけて調査する依頼。簡単なボタン入力で解析でき、ライフストリームに秘められたその土地の情報を得られる。また、すべてのライフスポットを解析すると、ワールドマップにシークレットエネミー討伐拠点が現れ、今回はケツァルコアトルを倒してレアな素材アイテムを入手することができた。
【エンシェントマター】
古代のお宝をめぐる、連続したショートエピソードが展開される。前作でたびたび衝突したベグ盗賊団が登場し、彼らが見つけたお宝を手に入れるため何度も戦うことになる。ベグ盗賊団の面々は相変わらずコミカルだが、戦闘能力が高くなかなかに手強い。エンシェントマターの手掛かりを探すエピソードは、この先のエリアでも続くことになりそうだ。
各地で発生するクエストやミニゲーム
チャドリーのワールドレポートは探索要素のメインとなるものだが、ワールドマップにはほかにもたくさんのサイドコンテンツが用意されている。「EXTRA」として提示されるクエストは、さまざまなNPCの依頼をこなしていくというもの。そのキャラクターの背景を深く理解できるようになると同時に、仲間の好感度アップを含めた報酬が手に入る。
チョコボに乗ってタイムアタックに挑戦する「ダッシュ・デ・チョコボ」や、イタズラ好きなモーグリの子供たちを家に戻す「モーグリ・コープ」といったミニゲームも確認できた。豊富な探索にミニゲームのチャレンジ要素まで加わり、やり込みの沼の入り口がそこかしこに待ち受けている。
ミドガルズオルムとのボスバトル
試遊時間のほとんどをワールドマップ探索に費やしたあと、チャプター2のボスであるミドガルズオルムとのバトルに向かった。原作のミドガルズオルムは序盤でまともに戦っても勝ち目がなく、戦闘を避けるように進んでいったはずだが、『REBIRTH』では倒すべきボスとして戦うことになる。
探索しまくってパーティが強化されていたからか、全滅することなく1回で倒せたが、飲み込み攻撃で一時的にふたりだけで戦う場面もあり、手強い敵には違いない。迫力のカットシーンも加わり、スリリングな戦闘を楽しめた。
今回の試遊では、7時間近くプレイしてチャプター2をクリアした。メインストーリーの大まかな行程としては「チョコボを手に入れて湿地帯のミドガルズオルム」を倒すだけなので、もっと短時間でクリアできたはずだ。しかし、膨大な探索要素を遊んでいると、あっという間に時間が過ぎていき、それでもワールドレポートのコンプリートには届かなかった。
しかも、これはグラスランドエリアだけのことで、先のエリアにはまだまだ多くの探索が待っているはず。序盤のエリアを触っただけでもわかる大ボリュームのコンテンツに、やり込みプレイヤーのうれしい悲鳴が聞こえてきそうだ。
【インタビュー①】北瀬氏&浜口氏が語る、ワールドマップに詰め込んだ遊びへのこだわり
北瀬 佳範(きたせ よしのり)
株式会社スクウェア・エニックス 第一開発事業本部長
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』プロデューサー
1966年生まれ。アニメーションの制作会社を経て、スクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには『V』から参加。『VI』では初のディレクターを務め、以降、多数のシリーズ作でディレクターやプロデューサーとして制作を統括する。
浜口 直樹(はまぐち なおき)
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ディレクター
2003年にスクウェア・エニックスに入社し、『FINAL FANTASY XII』の制作にプログラマーとして参加する。その後、「FINAL FANTASY XIII」シリーズ、スマホアプリ『MOBIUS FINAL FANTASY』など、数々の制作に携わる。『FINAL FANTASY VII REMAKE』では、共同ディレクターとしてチームを牽引。
──『REBIRTH』では前作から冒険の世界が大きく広がります。ワールド探索を中心としたプレイ体験の見どころをお聞かせください。
北瀬:原作でも、ミッドガルの陰鬱な暗い都市を冒険したあとで、ワールドマップに出たときの解放感や「RPGが戻ってきた」という感覚があったと思います。今回の『REBIRTH』はミッドガル脱出後の冒険になりますので、その解放感を味わってほしいと思うと同時に、「FF」的なストーリーをしっかりと語る部分と、ワールドの自由探索の部分とが両立している面を注目して欲しいと思っています。従来のゲームは、ストーリーを語る部分とオープンワールド風のゲーム部分との食い合わせがうまくいっていなかったものも多い印象ですが、今回は骨太のストーリーを楽しませつつ、いろいろな探索要素もハイブリッドに楽しめるデザインに挑戦し、そのバランスをうまく実現できたと思っています。
浜口:当初から思い描いていたゲームのイメージは達成できたと思います。ただ、北瀬が言うように、「FF」のようなストーリーが主軸になるゲームは、オープンワールドとの食い合わせが悪い印象を持たれていますし、どんな落としどころにすればいいのか、われわれも常々考えています。そこから今回の設計をするとき、メインストーリーのゲーム体験は前作どおりでいいと思いました。つまり、ワールドマップの探索を全くしないまま次の目的地に行ったとしても、前作と同じようにストーリーを楽しめることを前提にしています。その間でワールドマップを自由に探索できるようにして、たくさん用意したサイドコンテンツをプレイするかどうかは、みなさんの自由という考え方です。
結果として、オープンワールド風な自由探索のゲーム体験と、たくさんのカットシーンとともにドラマティックなストーリーが展開される体験が、セパレートされた良いリズムで入ってきます。ある意味で、新しい「FF」のゲーム体験が実現できたと思っていますし、これがみなさんにどう届くか楽しみです。
──フィールドをデザインするうえで、こだわりや苦労したところがあればお聞かせください。
浜口:オープンワールドのゲームで世界規模の表現をしている作品はあまりなくて、多くはどこか特定の地域が舞台になっています。世界をリアルスケールで表現するのはまず無理ですが、『FFVII』という原作がある以上、世界スケールで移動させなくてはいけません。そのなかで今回は、ユーザーが世界の広さを感じて、それでいて現実的に作れる大きさというところにこだわりました。広いだけで中身がスカスカでもいけないので、しっかりとゲームコンテンツも用意して、開発期間を含めて実現できるように設計する。これには一番神経を使いました。
北瀬:浜口のコンセプトは随時聞いていたので、僕は安心して任せていました。ある程度ゲームが出来上がってきてテストプレイしたとき、僕がイメージしていたよりも、しっかりとしたワールドマップがあって、しっかりとコンテンツが詰まっていました。じつは、前作『REMAKE』の制作が終わった直後で『REBIRTH』のイメージがおぼろげにしかなかったころは、『FFX』のように、街とナギ平原くらいの広めのロケーションとが数珠つなぎに構成される程度のイメージでした。その想像を大きく上回り、広さを感じるワールドマップと、コンテンツも使い回しではない充実したものになっていました。
──ワールドレポートを進めることで新たなマテリアを入手できますが、例えばエリアのレポートをコンプリートすることで何か特別な報酬がもらえるようなことはありますか?
浜口:特別なコンプリート報酬はなく、そのエリアに設定されたマテリアをすべて手に入れられるようになります。ただ、ワールドレポートの中の「エンシェントマター」に関しては、グラスランドエリアだけで完結するものではなく、全エリアを通したストーリーが進んでいくことになります。
──ワールドレポートの討伐拠点で3つのミッションをクリアするとどのようなメリットがありますか?
浜口:まず、ゲームのコンテンツじたいがたくさんあって、ライトユーザーでも楽しめるものや、やり込みプレイをしたい方向けのものなど、コンテンツごとに位置付けを決めています。ワールドレポートのミッションは、クリアするとパーティ経験値を少しだけ獲得できます。最終的にすべてのパーティ経験値をマックスにして、スキルブックを最大まで成長させたい方は、成長要素の最後の詰めとして未クリアのミッションにもう一度チャレンジしてもらうような形になります。
──「パーティレベル」が上がる仕組みと効果について教えてください。
浜口:パーティレベルの基本的な役割は、スキルブックを進めるためにあります。パーティレベルが上がるほど、スキルブックを拡張できる範囲が広がっていくので、キャラクターをより強くできます。メインストーリーのボスを倒せば、それだけで5~6割のパーティ経験値を入手できるので、サイドコンテンツをプレイしないライトな遊び方でもある程度は勝手に育つようになっています。そのほかに、多くの方がプレイするであろうクエストをクリアしていくと2割加算されて、もっと強化したい方はワールドレポートと、そのやり込みミッションまでこなしていくことで、全解放できるというバランスです。
──全解放したときにスキルブックで獲得できるのは、どんな強化要素になるのでしょうか。
浜口:エンドコンテンツのボスに有効なスキルだったり、リミットレベル3だったり、派手で強いものを用意しています。パーティレベルを上げることでスキルブックが拡張されていきますが、スキルブックのスキルを解放するためのスキルポイントが必要で、こちらはプレイヤーのレベルが上がると必然的に増えていきます。また、スキルブック(収集用)を集めていくと追加でスキルポイントが入手できるので、レベルアップとスキルブック入手によるスキルポイントでスキルを習得しつつ、全スキルを習得するためにスキルポイントがもっと必要なら、クエストやエンドコンテンツで集めてもらうことになります。
ただ、クエストやエンドコンテンツまでプレイしなくて、通常の通しプレイをするだけでも、強力なスキルのマスまで一直線にスキルツリーを進めれば習得できなくはないです。もちろん、バランスよく強化したい方もいるでしょうから、今回の成長システムをスキルツリー形式にしているのは、強化の仕方を選びやすくするためです。
──ワールドレポートやなんでも屋クエストなど、そのエリアの探索要素をやり残してメインストーリーを進めたとして、それらの要素が消滅することはありますか?
浜口:ワールドマップの充実したサイドコンテンツは今作の魅力ですが、「FF」の一番の魅力は王道のストーリーです。メインストーリーを進めることで、サイドコンテンツをプレイできなくなるかもしれないという心理が働くと、純粋にストーリーを楽しめなくなる方もいると思います。そこで私が最初にチームに宣言したのは、「すべてのサイドコンテンツは絶対にプレイ機会を損失させない」ということでした。
ストーリーが進んで退場するキャラクターがいると、関連するクエストが消滅するケースがほかのゲームでよくありますが、本作の場合は別の代理人が登場して進めてくれるなど、どんな形でも必ずクリアできるようになっています。これは今作のこだわりのひとつです。
──それを聞いて安心しました。では、未消化のクエストがある状態でメインストーリーのエンディングを迎えた場合はどうなるでしょうか。
浜口:前作同様にチャプターを選択してやり直すことができて、前回のプレイ状況を引き継ぐか、最初からやり直すかを選べるようになっています。前回のプレイ状況を引き継ぐことで、やり残したコンテンツだけをプレイすることができます。
──ファストトラベルするときの「徒歩」と「チョコボ」にはどんな違いがありますか?
浜口:ファストトラベルの行き先が街の入り口だったとして、街の中に用事があるなら徒歩のほうが歩きやすいし、街の外を探索したいなら移動が速いチョコボが便利なので、ファストトラベル先の状態を選べるようになっています。これはチョコボだけでなく、移動手段が増えれば選択肢も増えていきます。
オープンワールド形式のゲームは、自由度が高い一方で誘導性が低いので、何をしていいのかわからないというユーザーもいます。今作はそこをていねいに作っていて、やるべきものは必ず提示して、やればやるほど詳細にわかるようになっているので、きちんとわかった上で選んでもらうという設計です。ライトなユーザーほど、ゲームに入りやすいようにと意識しています。
──今回はグラスランドエリアをプレイしましたが、この先のワールドエリアでも同じようなボリュームのサイドコンテンツをプレイできると考えてよろしいでしょうか。
浜口:そのとおりです。さらに広いエリアもありますし、今回遊んでもらったのはチャプター2で訪れたグラスランドエリアであって、ストーリーが進むと別のコンテンツが追加されたりします。サイドコンテンツのボリュームは本当にたくさんありますが、「FF」はストーリーを楽しむユーザーが多いので、どれくらい遊んでもらえるか楽しみにしています。
北瀬:ワールドレポートはコンテンツのクリア状況が見えるので、そこを埋めたくなる誘惑があると思いますね(笑)。
──『FINAL FANTASY VII REBIRTH』でミッドガルを歩くことはできますか?
浜口:今作に関しては、クラウドたちがミッドガルに戻ることはありません。ワールドマップを探索しているとき、ミッドガルを外から見ることはできますが。
──今作でパーティに加入するケット・シーについて、バトルアクションの特徴と、どのようなプレイフィールを得られるかお聞かせください。
浜口:原作では運の要素が求められることが多いキャラクターだったので、アビリティにしてもリミット技にしても、運の要素を少し入れています。かわいらしいキャラクターということで手遊び感の多さも狙っていて、かなり特徴的なプレイフィールになると思います。
──最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
浜口:すでに完成して、2月29日の発売を迎えるだけとなっています。非常にいい出来になりました。早くみなさんに遊んでもらうのが楽しみです。ぜひ期待していてください。
北瀬:「FF」らしい骨太なストーリーを楽しみながらも、サイドコンテンツが非常に豊富です。ストーリーとゲームプレイが充実した作品で、しかも完成度が高いので、みなさんにぜひ遊んでいただきたいです。
【インタビュー②】世界の謎を考察するファンの姿は野村氏の大きな楽しみに
野村 哲也(のむら てつや)
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』クリエイティブ・ディレクター
1991年にスクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには『V』から参加し、『VII』ではキャラクターデザインを担当する。また、ディズニーとの共演作品である「KINGDOM HEARTS」シリーズでもキャラクターデザインをはじめ、ゲームデザイン、ディレクターを担当するなど、数々の作品で中心的役割を担う。『FINAL FANTASY VII REMAKE』ではディレクターとして参加。
──三部構成の第2作目となる本作の位置づけと、どのようなゲーム体験ができるかあらためてお聞かせください。
野村:三部作の区切りとしては、2作目からワールドマップの広い世界に向けて旅立ち、ゲーム性も大きく変わるだろうということで、1作目の『REMAKE』はミッドガルまでとしていました。今作は、広い世界で自由な旅が可能になり、探索を重視した作りになっています。その意味で『REMAKE』が長い前フリになっていて、人物の背景や世界の構造、新たなバトルシステムなどに触れてもらい、『FFVII』のリメイクシリーズはこういうものだと紹介しつつ、いわゆるRPGとしての冒険が始まるのが今回の『REBIRTH』という立て付けと言えるかもしれません。
──構想から開発まで、最も苦労したり悩んだりしたのはどんなところでしょうか。
野村:ストーリーに関しては完結までの描き方が『REMAKE』の時点で決まっていましたが、ワールドマップをどう描くかは課題として持ち続けていました。ただ広いだけで、そこに遊びがなければ意味がありませんし、ワールドマップがある意味を持たせた形で遊べるものに構築できるか。それを課題としながら『REMAKE』の終わりまで走り続けていたので、今作は「ワールドマップをどうするか」を起点として企画が進んでいきました。原作でもミッドガルを出たときの解放感や世界の広がりを感じたと思うので、そこは大事にしたいと思いました。
──テーマソング発表記念トレーラーでは、ザックスがビッグスやマリン、エアリスと出会うシーンが映し出されており、ファンの間で並行世界説などさまざまな考察がされています。『REMAKE』の終盤から示唆されていた謎や世界の構造は『REBIRTH』で明らかにされるのでしょうか。
野村:ある程度というか、大体わかるようになると思います。前作ならフィーラー、今作ならザックスという、オリジナルになかった要素が入ると、オリジナルの流れのままストーリーは進みながらも「何かが違う」と感じ、この世界の運命が謎めいたものになります。原作『FFVII』のファンで『REMAKE』から続けてプレイする方、『REMAKE』で初めて『FFVII』に触れた方、『REBIRTH』で初めて触れる方、さまざまな入り方があると思いますが、そのすべてが等しく同じ謎に直面して、答えはまだ誰も知らない。そういうことをやりたかったので、原作にない要素を入れました。その謎は『REBIRTH』でほぼ明らかになりますが、最終的にどこへ向かうのかという興味は最後まで引っ張りたいと思っています。
──ファンの考察を見てどのように感じますか? なかなか鋭いとか、面白いことを考えるなとか、いろいろな思いがあるのではないでしょうか。
野村:考察は見ますし、まさにそんな思いですね。こちらの想定しているものに肉薄している考察もあれば、全く想定していなかった面白い考察もあります。さすがにここで当たり外れは言いませんが、ぜひ考察を続けて楽しんでほしいと思います。たぶん、みなさんの考察はスタッフの中で自分が一番見ていると思います。考察を見て「ここって、ちゃんとフォローできているよね?」と鳥山(※)に聞いたりもしています(笑)。
※Co.ディレクターの鳥山求氏。
──テーマソング「No Promises to Keep」の制作において、作曲した植松伸夫さんとどのようなやり取りがありましたか?
野村:『REMAKE』でもそうでしたが、今回も自分のやりたい曲の方向性がありまして、歌手はローレン・オルレッドさんでいきたいことも含めて、植松さんと野島さん(※)と直接対面で打ち合わせをしました。イメージしているものをいくつか見せたり、ローレンさんの歌を聞いてもらったり、やりたい方向性を伝えました。
※シナリオ担当の野島一成氏。
前作はクラウドをイメージしましたが、今作はエアリスのイメージです。最初に聴いた印象は「ああ、植松さんだな」という安心感(笑)。植松さんらしい曲に仕上がっていて、「FF」ファンの方は植松さんの曲に強い思い入れがあるでしょうし、この曲ならファンの方も喜んでくれると思いました。
出来上がった曲を聴いて1箇所だけお願いした部分がありますが、それはみなさんに本編で気付いていただきたいですね。
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』テーマソング発表記念トレーラー
──セフィロス、クラウド、ザックスが並ぶキービジュアルと同じ構図で、セフィロス、ティファ、エアリスが並ぶビジュアルも公開されています。この対比には特別な意味が込められているのでしょうか。
野村:先に作ったのはクラウドとザックスのビジュアルです。中央のセフィロスが運命を引き裂いて、真っ赤に染まっていくようなイメージをしていました。このビジュアルの方向性が決まったとき、これは立場的にティファとエアリスでもハマると思いました。ティファとエアリスもある意味でセフィロスによって運命を狂わされた人物であって、クラウドとザックスだけのことではないと思い、同時発注しました。
──本作のフィールドはかなり広大になるようですが、このスケール感や作り込みへの手応えをお聞かせください。
野村:この先が大変なことになるだろうとわかっていてもやってしまう、「FF」のいいところが出ていると思いました。これだけやったら、次作への期待も上がってしまうので、「これはやっちゃったな」と(笑)。そこがいいところで、「FF」らしい作り方をしたと思います。スタッフのやりたいことをどんどん盛り込んでいくバラエティ感は「FF」らしいです。
今後は飛空艇も出ればウエポンも出てくるわけで、『REBIRTH』でこれだけやったら次は相当の容量になるでしょうから、先々の怖さは感じますよね。プレイされる方は楽しみなところでも、作る側には怖さがあります(笑)。
──前作のセーブデータ特典として召喚マテリア「リヴァイアサン」「ラムウ」を入手できることが発表されています。前作をやり込んで強化したプレイヤーからすると、ステータスや所持品の引き継ぎがないことを物足りなく感じるかもしれませんが、このように決めた理由をお聞かせください。
野村:自分としては引き継ぎたい気持ちが強くて『REMAKE』のときから言ってはいましたが、『REBIRTH』から始める方もいることを想定すると、それはやらないほうがいいという意見に納得しました。三部作ではあっても、作品1本1本の仕立てにしたいという意見もあって、たしかに前作から引き継げる方と今作から入る方で、ゲームバランスの差も生じますから、多くの人に楽しんでもらうには、そのほうがいいかもしれないと考えました。
──新たなプレイアブルキャラクターはレッドXIII、ユフィ、ケット・シーの3人で、シドとヴィンセントはストーリー上の登場となるようですが、この違いはなぜでしょうか。
野村:今回は連携の要素が増えていて、3人増やすだけでもかなりの構成数になります。全員の組み合わせのバランスを見て、バグや不具合の検証も必要になるので、一気に全員増やすと工数がとんでもないことになって、ひとつひとつにかけられる労力が減るのは避けたかったです。シナリオ的にもシドとヴィンセントは後半に登場して、成長バランスが取りづらくなるので、そのふたりは次作にまわすことに決まっていました。
──発売日が近づいてきました。ユーザーに向けて自信のほどや意気込みをお願いします。
野村:このインタビューを読まれているタイミングで、みなさんの熱量はかなり上がっていると思いますし、もう少しで『REBIRTH』の世界に旅立つときがやってきます。今作は探索や探検を重視した部分があるので、いろいろなところに触れて体験していただきたいです。ストーリー的にも、感情をかなり揺さぶられるものが多く含まれています。ぜひご自身でプレイしてこの世界を感じてください。
FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:RPG
・発売日:2024年2月29日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,878円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 デラックスエディション 15,800円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 コレクターズエディション 49,800円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Standard Edition 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 Digital Deluxe Edition 11,501円(税込)
・CERO:C(15才以上対象)
PS Blogの『FINAL FANTASY VII REBIRTH』記事はこちら
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© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO
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