『バンセンナイツ』プレイレビュー! カルト教団への潜入を描いたダークでスリリングなアドベンチャー

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『バンセンナイツ』プレイレビュー! カルト教団への潜入を描いたダークでスリリングなアドベンチャー

好評配信中のPlayStation®5/PlayStation®4用ダウンロード専用ソフトウェア『バンセンナイツ』は、1980年代のアメリカのとある町に現れた謎多きカルト教団への潜入劇を描くインタラクティブ・アドベンチャーだ。プレイヤーは潜入捜査員のボルダーとなり、ほかの教団メンバーに怪しまれないよう立ち回りながら教団の秘密を探りだしていく。

小説家のNico Saraintaris氏とアーティストのFernando Martinez Ruppel氏が所属する開発スタジオ、LCB Game Studioが開発した本作は、「ピクセルパルプ」と名付けられたシリーズ作品のひとつ。このシリーズでは先に『モスメン 1966』『ヴァーニーレイク』の2作品が送り出されており、『バンセンナイツ』では他の2つのシリーズ作品の導入部を体験版のような形でプレイできる。

『モスメン 1966』は、アメリカ東部の都市伝説として知られる謎の生物・モスマンをモチーフに、若いカップルやガソリンスタンドのオーナーなど、複数の視点を通じて謎のクリーチャーが跋扈する町に起きる怪事件を描く内容。そして『ヴァーニーレイク』は、ジミー、ダグ、クリスティーンの3人の子どもたちが、1954年の夏休みにヴァーニーレイクでヴァンパイアと遭遇したことから始まる不気味な事件をつづった作品となっている。どちらも、基本的なゲームシステムは『バンセンナイツ』とほぼ共通。また両作品に登場する超常現象研究家のルー・ヒルは『バンセンナイツ』にも登場しており、シリーズ3作のつながりを示す存在にもなっている。

『バンセンナイツ』のほかにこの『モスメン 1966』『ヴァーニーレイク』を含むシリーズ3作を収録した『ザ・ピクセルパルプ・コレクション』も配信中。いずれの作品もすべて、日本語を含む多言語対応でプレイ可能だ。

CHECK POINT①
パルプ・マガジンや往年のPCゲームをモチーフにした潜入捜査劇

本作の舞台、トルネード・アレイはさびれた郊外の雰囲気を感じさせるアメリカの町。主人公である捜査官のボルダーは、「バンセンナイツ」を名乗ってこの町で勢力を広げる狂信的な教団に、身分を隠してたったひとりで潜入中の男だ。

元自動車セールスマンのトニーが率いるバンセンナイツは、この地を襲う風速117m以上にも及ぶ巨大な竜巻と、スーパーチャージャー搭載のフォード・シエラにオカルティックな信仰を向ける不気味な集団だ。ボルダーは、先に教団に接触して消息を絶った友人クプラを探し、教団が裏で行なっている違法な行為や、その影響力を調べるために潜入。トニーをはじめとする教団の主要なメンバーからある程度の信用を得た状況から、物語は始まっていく。

本作で真っ先に目を引くのが、独特のダークなグラフィックだ。モチーフになっているのは、20世紀半ばのアメリカなどで怪奇ものやSF、探偵ものなどの大衆小説を掲載して幅広い層から人気を集めた「パルプ・マガジン(パルプ・フィクション)」と呼ばれる雑誌群のイラストと、80年代のPCゲーム。陰影の濃い、粗いドット絵風に描かれたビジュアルは、ひと目見ただけでもかなりのインパクトを感じさせる。

独特なビジュアルと同時に、サウンド面では往年のPCゲームで用いられたような、ノイズ感の強めな内蔵音源風のサウンドを採用。要所で流れるBGMや効果音のざらついた音色は、本作のダークな雰囲気を盛り上げてくれる。

CHECK POINT②
選択肢を選んでバンセンナイツの隠された謎に迫れ!

ゲームの進行はいわゆるビジュアルノベル形式で、プレイヤーがストーリー進行中に現れる選択肢から好きなものを選ぶことで物語は進んでいく。物語全体は10章に分かれており、進行のテンポはかなり速め。特定の場面でプレイできるミニゲームにハマったりしなければ、2時間もあれば物語の最後までたどり着くことができるだろう。

選択肢によっては選んだとたんにゲームオーバーになるものもあるが、その場合もリトライを選べば直前の選択肢からやり直せるので、完全に詰まってしまうようなことはない。一部にはミニゲームをクリアしなければならない場面もあるが、特に難しいものではないので、多くの人はつまずくことなくストーリーをクリアできるはずだ。

システム上ユニークな要素では、ボルダーの選択(行動)によって信頼度が変化する人物が存在することがあげられる。信頼度が存在する人物は、画面右上に表示されるその人物のアイコンの下に7段階のゲージが表示され、彼らとのやり取りに応じてそれが増減する。信頼度に応じて、彼らの態度や会話中に得られる情報が変化するので、本作のすべてを解き明かしたい場合は気を配っておく必要がある。場合によってはいきなり刺されたりすることも……!?

ストーリーは、あらゆる出来事がボルダーの一人称視点で描かれていく奥深い構成。最初はいまいち状況がつかみにくいが、ボルダーが抱えている事情や友人クプラとの関係性、バンセンナイツの思想に対する印象など、さまざまな情報が少しずつ明らかになっていくことで、次第にボルダーに感情移入していけるはずだ。トニーらバンセンナイツのメンバーもそれぞれに過去を持っており、それらも興味深い。

ゲーム全体がダークな雰囲気であることもあって、とっつきにくさを感じる人も多そうな本作のストーリー。しかし、別の選択肢を選ぶことで物語の別の側面が見えてくると少しずつプレイの没入感が高まり、つい繰り返しプレイしてしまう。高速なメッセージスキップや、物語途中でのセーブなどもありストレスなく周回プレイができるので、初回で投げ出さずに繰り返し遊んでみてほしい。

CHECK POINT③
ちょっとクセのあるミニゲームやパズル要素も登場!

ゲーム中のさまざまな場所で登場するミニゲームも、本作のストーリーに彩りを加えるユニークな要素だ。バンセンナイツが崇拝するフォード・シエラを操るレース風ゲームなどストーリー展開上プレイが必須なものから、酒場で好きに遊べるダーツや変わり種のソリティアまで、複数のものが用意されている。そのいくつかを紹介しておこう。

バンセンナイツのメンバーが誘ってくる<十字架の道>ソリティア。山札から配られる手札と、あらかじめ場に出された5枚のカードを任意に組み合わせて、次に山札からめくられるカードより大きな数字を作って片付けていくちょっと複雑なソリティアだ。特殊な条件を満たすと場札を補充する権利が得られるルールがあるなど、かなり奥が深い。

ハリケーンが迫るハイウェイで行なわれる、バンセンナイツの「祓魔」の儀式。十字架型に並ぶ5台の車を選択肢で動かし、対向車をかわして進むというルールだ。時間の経過に従って対向車が近づいてくるので、急ぎつつも焦らず正確に必要な選択肢を選んでかわしていく。迫る対向車を示すマークをきちんと把握しておくのが重要。

仲間のクルマのトランクを、左右のロックピックを動かして開けるミニゲーム。ミスをすると車内で寝ている仲間に気づかれてゲームオーバーになってしまうので注意。基本的に本作ではミニゲームのチュートリアルやヒントなどがほとんどないため、手探りで正解を引き当てる必要がある。セーブはなるべくこまめにしておくのがおすすめだ。

懐かしのアクションゲームを思わせる、格闘シーン風のミニゲーム。時間経過に合わせて左右から迫ってくる敵を、向いている方向に放つパンチと、背後に攻撃するキックの選択肢を選んで撃退していく。敵の位置に合わせてタイミングよく攻撃を出すのに加えて、キックを放つと自動的に背後方向に振り向いた状態になることも意識しておくといい。

ほかにもいくつかのミニゲームやパズル的な要素がゲーム中には登場する。制限時間内に選択肢でキャラクターを操作するタイプのものはちょっと戸惑うかもしれないが、プレイヤーの反射神経を問うようなものではないので、落ち着いてプレイすれば問題ないはず。数回リトライを繰り返して慣れれば誰でもクリアできるので、あきらめずに挑戦しよう。

ダークな海外コミックを彷彿とさせるビジュアルと、孤独で危険な潜入捜査に挑む男の奥深いストーリーを堪能できる『バンセンナイツ』。ほかのアドベンチャーゲームでは味わえない、大人向けの独自の雰囲気が楽しめる作品なので、アドベンチャーゲームファンはぜひチェックしてみよう。

『バンセンナイツ』プレイ動画

『バンセンナイツ』プレイレビュー! カルト教団への潜入を描いたダークでスリリングなアドベンチャー

バンセンナイツ

・発売元:コーラス・ワールドワイド
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー
・発売日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 単体版 1,320円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 ザ・ピクセルパルプ・コレクション 3,410円(税込)
・プレイ人数:1人
・レーティング:IARC 16+(16才以上対象)

※ダウンロード専用タイトル


『バンセンナイツ』公式サイトはこちら

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※IARC(the International Age Rating Coalition)は、世界のゲーム評価機関により管理される国際年齢評価連合です。

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