『Goodbye Volcano High』プレイレビュー! 世界の滅亡が近づくとき、若者たちは何を決断するのか?

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『Goodbye Volcano High』プレイレビュー! 世界の滅亡が近づくとき、若者たちは何を決断するのか?

PlayStation®5/PlayStation®4ダウンロード専用タイトル『Goodbye Volcano High』は、ストーリー主導のシネマティック・アドベンチャーゲーム。擬人化した恐竜たちが暮らす世界を舞台に、主人公ファングの視点で高校生活最後の1年を描き、そのストーリーと結末はプレイヤーが選んだ選択肢によって変化する。

開発はカナダのモントリオールを拠点とするインディースタジオKo_op。高校卒業を控える若者たちの揺れ動く心の物語を、魅力的な手描きアートとオリジナルアニメーションとともに楽しめる。また、本作は音楽も重要な要素となっており、地元モントリオールのミュージシャンであるBrigitte Naggarが参加するサウンドトラックも見どころだ。

『Goodbye Volcano High』ストーリートレーラー

『Goodbye Volcano High』プレイレビュー! 世界の滅亡が近づくとき、若者たちは何を決断するのか?

CHECK POINT ①
高校生活最後の1年を過ごす若者たちの青春ストーリー

主人公のファングは、ボルケーノ高校に通う18歳の恐竜。今年卒業を迎えるが、卒業後の将来よりも自身のバンド「Worm Drama」がビッグになることのほうが気になっている。人付き合いがうまいタイプではなく、バンド活動に興味がない両親との関係も良好とはいえないようだが、バンドメンバーのリードとトリッシュのことは信頼している。バンドがオーディションに出られるチャンスをつかんだことで、新学期からウキウキだ。そんなバンドにすべてを懸けているファングのキャラクター像が、物語の冒頭からていねいに伝えられる。

新学期の初日、ファングはリードとトリッシュにオーディション出場が決定したことを意気揚々と話す。しかし、せっかくのチャンスにもかかわらず、ふたりの反応はファングが期待していたものと違った。それなりに喜んではいるものの、間近に迫るオーディション当日までに、いくつもの新曲をマスターする余裕はないという。リードは長年遊んでいる「L & L(Legends & Lore)」と呼ばれるテーブルトークRPGに夢中で、トリッシュは昆虫学にのめり込んでいる。ファングにとってはバンドこそがすべてであっても、ふたりにとっては好きなことのひとつにすぎない。学生バンドにおける熱量の違いはよく聞く話であり、本作の物語でもそれぞれの夢と友情をめぐる葛藤が描かれていくことになる。

そんななか、世間を揺るがす大きなニュースが報じられる。宇宙で小惑星が発見され、ファングたちが住む惑星に衝突する可能性があるという。小惑星の接近は事実であり、ここ最近続いている電波障害や停電はその影響らしい。もし本当に衝突すれば甚大な被害が予想され、世界が滅亡してしまうかもしれない。人々の心は乱れ、若者たちは将来を悲観した。こんなときに練習するのかと、バンドの士気も思うように上がらない。

ファングも不安に苛まれていったが、希望も生まれた。名前を明かさない誰かから届いた愛のメッセージ。真摯に向き合う相手の人柄がよかったのか、メッセージのやり取りをしているとファングの心は和らいでいく。世界が終わろうとしているとき、ファングに恋愛感情が芽生えはじめていた。

物語はプレイヤーが選択肢を選ぶことで進んでいく。練習に身が入らないメンバーを強い言葉で叱責するのか、あるいは機嫌を損なわないように妥協した言葉をかけるのか。愛のメッセージを送ってきた相手にどんな態度を取るのか。ほかにも多く登場するキャラクターたちとどんな関係を築いていくのか。それらの選択が物語の分岐に影響を与え、自分だけの結末に向かっていく。

また、選択やキャラクターとの関係によって、「キオク」や「フォト」の要素がアンロックされる。「キオク」は本編で語られないショートストーリーが読めるもので、特定のキャラクターとのつながりをより深く理解できるようになっている。

CHECK POINT ②
主人公ファングの美しい歌声が響くリズムセクション

バンドの練習やライブのシーンでは、楽曲に合わせたリズムアクションをプレイできる。左右と上方向から流れてくる光点に向けて左スティックを倒す操作と、△○×□のアイコンに対応する各ボタンを合わせる操作など、リズムアクションのプレイ方法としてシンプルでわかりやすいものとなっている。タイミングが完璧なら「Perfect」の評価を得られるが、その判定はシビア。もっとも、「Perfect」を取れなくても、また多少のミスがあったとしても、ストーリーの大筋に影響はないようだ。

このリズムアクション、演奏が楽しいだけでなく、楽曲と歌声がとにかくすばらしい。どことなく寂しい雰囲気があるのに聴き心地は爽やか。そして落ち着いたトーンで響く美しい歌声。英語の歌詞はきちんと理解できていないが、「青春」を感じさせる楽曲ばかりだ。こんな曲を現役高校生バンドが披露したら、たちまちファンになってしまうだろう。

リズムアクション中の背景映像も見どころが多い。スタジオ練習の映像はオフショットも収めてあり、さながらミュージックビデオのような仕上がりだ。ライブ中に息の合った演奏を見せる映像も、そこにいたるまでの葛藤やすれ違いがあったことを経験しているから、さらに感慨深い。ただし、楽曲に聴き入ったり背景映像に見入ったりすると、リズムアクションの操作に支障がでることもあるのだけれど……。

曲の一部は歌詞を選ぶことも可能!

劇中でファングが曲作りをしているシーンがあり、そこでは一部の歌詞を候補の中から選ぶことができる。1フレーズに3つの候補があり、選択するとファングが実際に歌う。その後、練習やライブで歌うシーンでは、選択した歌詞がそのまま使われているという仕組みだ。

楽曲はすべて英語のため日本語訳が表示されず、選択肢にある英語の歌詞の意味がきちんと理解できないのが悔しいところ。なんとなくの雰囲気だけで選んでしまったので、選択肢によってどんな意味が込められているのか、誰か教えてほしい。

CHECK POINT ③
バリエーション豊かなインタラクティブイベント

本作はストーリー主導のアドベンチャーゲームだが、インタラクティブイベントとしてプレイヤーが介入する場面がとても多い。会話の選択肢を選んだり、バンド演奏のリズムアクション操作をしたりするのはもちろん、ほかにもさまざまなイベントを楽しむことができる。

リードが大好きな「L & L」は、とくにボリュームの多いイベントだ。「L & L」は、いわゆるテーブルトークRPGで、リードはシナリオを作り、キャラクターも設定し、ゲームマスターでもある。ファングやトリッシュ、仲の良いクラスメイトが集まっては、リードの作った冒険ファンタジーの世界を楽しんでおり、その様子がたっぷり時間をかけてストーリーに組み込まれているのだ。

ファングたちは戦士や魔法使いなどのキャラクターとして振る舞い、ゲームマスターのリードの進行に従って冒険を進めていく。行き先を相談して決め、モンスターに遭遇すればダイスを振ってバトル。プレイヤーはそのたびに選択肢を選んだりダイスを振ったりするため、「L & L」中は別のゲームで遊んでいる気分になる。

インタラクティブイベントのバリエーションはまだまだあり、ファングがバンドのロゴやポスターを作っているシーンではグラフィックのデザインが可能。選んだデザインパターンを組み合わせることで、簡単に作成できる。作ったデザインはその後の劇中で使われるため、プレイヤーが考えるバンドのイメージをしっかりと表現したいところだ。

友人グループのひとりであるステラは、タロットカード占いが得意。ステラがセットした3枚のカードから1枚を選ぶと、ファングが知りたいことを占ってもらえる。もちろん、占いの結果がストーリーに影響するわけではなく、ステラ本人も「答えは出ないけどね。あくまでガイドだし、今大切なことがわかるだけ」「でも人生は誰にも、カードにも決められない」と言っている。……じつに深い。

選択肢を選ぶときも、ひとひねり加えられていることがある。選択肢の枠の形や大きさが違っていたり、選ぼうとした選択肢があちこち動いた末に消えてしまったりと、ファングの心情をユニークな形で表現している。

また、PS5版にはDualSense® ワイヤレスコントローラーのアダプティブトリガー機能を活用したインタラクションも。通常の選択肢は左スティックを倒す方向で選ぶが、とくに重要な選択肢はL2ボタンとR2ボタンを押しながら選ぶ必要があり、ボタンの抵抗が強くなっている。文字どおり、その選択をする際にファングの心に強い抵抗が生まれており、覚悟を持って決断しなければならないと感じられるはずだ。

本作は高校生活最後の1年、しかも小惑星の衝突によって世界が滅亡するかもしれないという状況において、ファングが友達や家族、意中の相手との関係を深めていく物語が描かれている。そこに秘められたテーマは、若者らしい心の成長や変化だ。

私のように卒業からずいぶん年月が過ぎてしまった身からすると、むず痒くなるような気持ちや仕舞ったはずの記憶を思い出すこともあるのだが、ファングと仲間たちの姿に清々しい思いを感じることができた。本作をプレイすることで、大人になって忘れていることを見つめ直すきっかけになるかもしれない。初見プレイでは相手に忖度した選択肢を選びすぎた気がするので、次はもっと正直に物語を進めて、どんな結末を迎えるのかも見てみようと思う。

『Goodbye Volcano High』プレイ動画

『Goodbye Volcano High』プレイレビュー! 世界の滅亡が近づくとき、若者たちは何を決断するのか?

Goodbye Volcano High

・発売元:KO-OP MODE INC.
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アドベンチャー
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 3,080円(税込)
・プレイ人数:1人
・レーティング:IARC 12+(12才以上対象)

※IARC(the International Age Rating Coalition)は、世界のゲーム評価機関により管理される国際年齢評価連合です。
※ダウンロード専用タイトル


PS Blogの『Goodbye Volcano High』記事はこちら


『Goodbye Volcano High』公式サイトはこちら(海外サイト)

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