PlayStation®VR2専用タイトル『C-Smash VRS』は、2001年にセガが発売したスポーツアクション『コズミックスマッシュ』をVRで再構築したものだ。『コズミックスマッシュ』を一言で表わすと、「スカッシュ風のブロック崩し」。壁に囲まれたインドアテニスのスカッシュのようにボールを打ち、ターゲットとなるブロックに当てて消していく。『C-Smash VRS』では、VR空間に飛び込んで自らラケットを振ってプレイする、体感型のVRスポーツを楽しめる。
開発を手掛けるのは、VRのパイオニアであるイギリスのインディースタジオWolf & Wood。デザイナーにCory Schmitz氏(『Rez Infinite』『Sound Shapes』など)、音楽はケン・イシイ氏(『Rez Infinite』など)やDanalogue氏(『The Comet is Coming』『Soccer 96』など)といった国際的なアーティストも参加しており、洗練された未来的なビジュアルと没入感のあるサウンドを作り出している。
CHECK POINT ①
スカッシュとブロック崩しが融合したVRアクティビティ
本作のプレイ方法はシンプルで直感的。PlayStation VR2 Sense®コントローラーを握った手を振れば、ゲーム内でも同じ動作でラケットをスイングし、ボールを打ち返すことができる。トリガーを引くとラケットにパワーが溜まり、強烈なパワースマッシュを放つことも可能。左右の移動はスティックを使って行なうが、咄嗟の反応で足が動いてしまうこともあるので、プレイエリアは広めに取った方がいいだろう。ラケットを握る手は利き手に合わせて選ぶことができ、また立ってプレイするか、椅子に座ってプレイするかも選べる。
ステージにはターゲットとなるブロックが浮かんでおり、これらを狙い打って消していく。ボードの奥にあるブロックは正面から打っても守られてしまうが、天井や床、横の壁で跳ね返らせることで、ボードをかいくぐってブロックに命中させられる。ショットしたボールが何度も跳ね返りながら複数のブロックを消すこともあり、このあたりがスカッシュとブロック崩しが融合したゲーム性である所以だ。
ソロプレイのジャーニーモードで宇宙と時の果てへと旅しよう
本作の世界観は未来的な宇宙空間がイメージされており、ソロプレイ用のジャーニーモードでは惑星軌道を旅するようにステージをクリアしていく。各ステージは『コズミックスマッシュ』を思わせる、ミニマルでスタイリッシュな雰囲気。部屋の窓からは宇宙船が飛び交う様子が見え、観客がいるステージもある。
ジャーニーモードは、禅モードとチャレンジモードのどちらかを選んでプレイする。各ステージには制限時間が設定されており、時間内にクリアすると余剰分がボーナスタイムとして繰り越される。ボーナスタイムを含めた持ちタイムがなくなってしまうと失敗になるのだが、禅モードがリスタートできるのに対し、チャレンジモードの場合は失敗するとそこで終了。気軽に遊ぶか、上達した腕を試すべくストイックに挑むかを選べるようになっている。
また、ジャーニーモードを始める際はステージルートを選択する。選択したルートの先ではアップグレードアイテムを入手できるため、一度クリアしたステージにルート違いで再び訪れることもある。クリアしたステージがそれで終わりではなく、繰り返し遊べる仕組みだ。ひとつのステージのプレイ時間は短く、クリアしていくテンポも良いため、ルート違いを攻略していくのも苦にならず楽しめた。
CHECK POINT ②
ラリーで汗をかき、心が没入していく新しい感覚
実際に体を動かしてプレイする本作では、スイングの強さやラケットの角度がショットに反映され、本当にスカッシュをしているようなリアルな体験ができる。しかも、そのリアルさはシビアすぎず、バックハンドやショートバウンドをすくい上げるような現実では難しいショットでも強く鋭く打てる。宇宙船内の低重力下という影響もあるのか、ホップするように伸びのあるボールは我ながら惚れ惚れする。もちろん、届かなかったりタイミングが違いすぎたりすれば空振りするし、ラケットのガット部分に当たったボールは力なく飛んだりもするのだけれど、ほとんどの場面で鋭いショットを気持ち良く打つことができる。
爽快なショットを簡単に打てる一方で、ステージ攻略のポイントになるのはコントロールの部分だ。ボードの隙間を狙うときや、残りひとつになった小さなブロックを狙うときなど、強さや角度を変えて工夫しているつもりでも、なぜか当たってくれずにヤキモキする。
ところが調子に乗ってくると、自分でも驚くほどズバズバ命中させることもある。これがトップアスリートの言う”ゾーンに入る”というやつか!?
トリガーを押してから放つパワースマッシュは、ひとつのステージで限られた回数しか使えないが、これで最後のブロックを消せたときはテンションもマックス! 「パワースマッシュ・フィニッシュ」というボーナスも入り、達成感をさらに高めてくれる。また、PS VR2 Senseコントローラーにはアダプティブトリガー機能があり、パワースマッシュ前にトリガーを押すときの抵抗によって、力を溜めている感覚になれるのも楽しい。
リズミカルなラリーとテクノサウンドに乗せられるトランス体験
本作の簡単で直感的なショットシステムにより、ブロックに当たらずともラリーそのものが気持ち良い。主張しすぎないテクノサウンドも上質で、どんどん没入していく感覚は、ちょっとしたトランス体験だ。次々と新しいステージに進むテンポの良さも手伝い、やめ時が見つからない。
気がつけば汗びっしょりになっていた。2メートル四方程度のプレイエリア内での動きとはいえ、夢中になっていると自然と腰を落として足を開き、腕を振りまくっていたのだから当然だ。運動不足の解消法を探している方にもおすすめ。ちなみにプレイした翌日、腕が筋肉痛になりました(笑)。
CHECK POINT ③
マルチプレイは勝っても負けても楽しい
本作はオンラインマルチプレイに対応しており、ほかのプレイヤーとの対戦を楽しめる。タイトル名の『C-Smash VRS』にある「VRS」は、VRとVersus(対戦)から生まれた造語だという。ソロプレイでジャーニーモードに没頭するのも楽しいけれど、プレイヤーどうしで競い合うVersusモードこそが本作の醍醐味なのかもしれないと感じた。
VSモードにはいくつもの対戦形式があるので、以下に紹介していこう。
「ファイアウォール」はステージの中間に壁があり、プレイヤーはそれぞれのサイドから、自分のボールで壁のターゲットを狙っていく。壁のターゲットは表裏一体になっており、ヒットさせたプレイヤー側のカラーに変わるが、その後に奪い返すことができる。制限時間に達した時点で、多くのカラーを占めているプレイヤーが勝利となるルールだ。また、多くのターゲットを自分のカラーにしているほど壁は遠ざかり、カラーが少ないプレイヤーは近距離でのラリーを強いられるという要素も。取っては取り返す打ち合いが続く、スリリングな展開を楽しめた。
「ヘッド・トゥ・ヘッド」は、それぞれのプレイヤーの背後に分割されたターゲットがあり、相手のターゲットを消しつつ自分のターゲットを守るという対戦形式。ターゲットがたくさん残っている序盤は広い範囲をカバーしなければならないが、ターゲットが残り少ない終盤は守りやすくもなるため、ターゲットを狙い打つコントロールはもちろん、相手に打ち負けないラリー力が求められる。
ミスショットのような緩いボールにタイミングが合わず、及び腰になって抜かれてしまう場面もあったけれど、パワースマッシュを打ち返す高速ラリーはテンション爆上がり。プレイヤーどうしのラリーは、シンプルに面白い!
続いては「クイックショット」。ラリーをしながら、ステージ中間に出現する小さなターゲットを相手よりも先に打ち抜いていくルールだ。前述の「ヘッド・トゥ・ヘッド」は強打を交えて相手の背後を抜く戦いだったが、こちらは完全にコントロール重視。パワーを抑えてでも、小さなターゲットを打ち抜く正確さが求められる。
コントロールに自信がないプレイヤーどうしの対戦だと、いつまでたっても終わらないように見えるが、そこは心配ご無用。互いに当てられないままラリーが続くと、少しずつターゲットが大きくなっていくため、大雑把なコントロールでもやがて当たる。こうなると、ちょっと恥ずかしい。きっと相手も苦笑いをしていたはずだ。
「ボディーショット」は、個人的に一番楽しかった対戦形式。名前のとおり、相手の体にボールをぶつけることが目的なのだが、ボールをふたつ使うこと、そして極端に幅が狭いステージで対戦することにより、カオス感が漂うところが面白い。
ふたつのボールがほぼ同時のタイミングで飛んでくることもあり、ほかのモードにはないペースでスイングが続く。終始忙しく、落ち着ける暇がない。また、ステージの幅が狭いということは、横壁に打ちつける跳ね返りが激しくなるということ。これが2連続で飛んでくると、もうお手上げだ。こんなハチャメチャな展開が頻発するから、ボールをぶつけ合うルールであっても殺伐とした感じはいっさいない。底抜けな面白さを楽しめるので、かなりおすすめ!
Versusモードでは、一度マッチングした相手と、各種対戦が終わったあと何度も再戦を続けられる。対戦形式もその都度変えられるので、ひとりの相手と長く遊ぶことができた。その中では勝つこともあれば負けることもあったけれど、どちらの結果になってもひたすらに面白かった。これはわかりやすいルールの中で、一緒に体を動かしているのが楽しかったからで、現実のスポーツと全く同じだ。
カジュアルなVRスポーツを楽しめる本作は、無料の体験版も配信されている。PS VR2を持っている方はとにかく試してみてほしい。
『C-Smash VRS』プレイ動画
C-Smash VRS
・発売元:RapidEyeMovers Ltd.
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:リズムアクション、スポーツ
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 4,070円(税込)
・プレイ人数:1人(オンライン時:2人)
・レーティング:IARC 3+(3才以上対象)
※IARC(the International Age Rating Coalition)は、世界のゲーム評価機関により管理される国際年齢評価連合です。
※ダウンロード専用タイトル
※PlayStation VR2専用
『C-Smash VRS Demo』をPS Storeでダウンロードする
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