※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
「FINAL FANTASY」シリーズのナンバリング最新作を開発するのは、まるで綱渡りのような作業でしょう。ファンは「FINAL FANTASY」らしさを期待している一方で、シリーズの伝統にひねりを加え、さらにそれを発展させるような要素を求めています。
しかし、そんな“伝統”にも始まりはあります──チョコボやモーグリ、召喚獣、お馴染みのジョブクラスやアビリティなど、「FINAL FANTASY」シリーズを象徴する多くの要素は、シリーズに存在しなかった時期があるのです。伝統と革新の微妙なバランスを取るのはつねに難しいことですが、長年のシリーズで初めてメニューコマンドの戦闘を完全に排除し、リアルタイム戦闘を採用した「『FINAL FANTASY XVI』(以下『FFXVI』)は、特に挑戦的だといえるでしょう。
アクティブタイムバトルからリアルタイムアクションへ
「FINAL FANTASY」シリーズでは、『FINAL FANTASY IV』でATB(アクティブタイムバトル)というシステムが導入されたのを皮切りに、アクションゲームの要素が進化してきました。ATBにより、プレイヤーは敵と味方の行動順を考え、素早く対応しなければならなくなり、戦闘におけるプレッシャーが増加しました。コマンド入力にどれだけ時間がかかっても敵の攻撃は続くので、重要な判断に迷うと代償を払うことになるのです。(ATBの起源を知りたい方は、現在PlayStation®で発売中の「ファイナルファンタジー ピクセルリマスター」シリーズをプレイしてみてください)
『FINAL FANTASY IV』(左)と『FINAL FANTASY XII』(右)
その後のナンバリングタイトルのほとんどでもATBがシステムの基礎となっています。『FINAL FANTASY XII』ではポジショニングを重視したオープンフィールド戦闘が、『FINAL FANTASY XIII』ではその場で役割を交代するダイナミックな戦闘が、ATBで築かれたコンセプトの多くを受け継いでいます。また、『FINAL FANTASY XV』では、一般的なメニューコマンドの多くをボタンへと移行し、戦闘をアクションに特化した方向へシフトさせました。
『FINAL FANTASY XV』(左)と『FINAL FANTASY VII』(右)
しかし『FINAL FANTASY VII REMAKE』を筆頭に、現代の「FINAL FANTASY」シリーズの多くは、メニューコマンドとアクションのハイブリッドなゲームプレイを採用しています。最新作『FFXVI』のアクションRPG化は、シリーズの”本質”にどのような影響を及ぼすのか、多くのファンが注目しています。そこで今回は、既存のファンを満足させながらシリーズを進化させるために、どう『FFXVI』の開発を進めてきたのか、プロデューサーの吉田直樹氏とディレクターの髙井浩氏にお話を伺いました。
アクションとドラマで描かれる素晴らしい物語
吉田氏にとって、「FINAL FANTASY」シリーズへの愛は、第一作目から始まりました。
吉田氏:僕は今回特にシリーズの原点である、「ファイナルファンタジーI」から、自分がいただいたインスピレーションをぶつけたつもりです。「ファイナルファンタジーI」を発売日に購入し、プレイしたその時、オープニング画面が出ず「?」と思っていたその後、キャラクターが橋を渡った際に表示されるタイトルロゴ。「ビデオゲームというのは、こんなにも映画的演出ができるものなんだ」と感じました。今回はその原点に戻り、まさに超大作映画をその手で”プレイする”ということを目標に作ってきた最新のファイナルファンタジーです。
僕たち自身もターンベースのゲームで育ち、ターンベースのゲームも大好きなのですが、今回リアルタイムアクションのバトルを選択したことには、ふたつの大きな理由があります。理由のひとつ目は単純で、開発に関わるメンバーの大部分がゲーマーであり、近頃遊んでいる多くのゲームがアクションベースのゲームだったからです。自分たちがより多くプレイし、挑戦意欲を掻き立てるのが、リアルタイムアクションというシステムだったのです。また、もうひとつの理由は、現在の世界市場で多くの人、多くの世代のゲーマーに受け入れられているのが、短時間でゲーム体験がわかりやすく、展開の早いアクションベースのゲームである、ということです。
これに最高のストーリーを組み合わせることで、しっかり『ファイナルファンタジー』を表現できると考え、今回はリアルタイムアクションに挑戦させていただきました。もちろん、アクションが苦手だ、という方や、ターンベースの方が……という方でも、100%以上お楽しみいただけるよう、さまざまな工夫をご用意しましたので、ぜひプレイしていただけると嬉しいです!
「FINAL FANTASY」の精神
大人気作『ファイナルファンタジーXIV』のリブート版をプロデュースしたベテランプロデューサーでもある吉田氏は、「FINAL FANTASY」というシリーズが背負うファンからの期待感を意識しています。
吉田氏:映画的演出を盛り込み、遊び手を感動させるストーリーと、それを支えるバトルシステム。それを彩る最高のグラフィックスに情緒に訴えるゲームサウンド。これらが組み合わさり、また、毎回世界観もストーリーもキャラクターも異なり、常に挑戦を続けてきたからこそではないか、と感じています。生みの親でもある坂口氏が仰っているように、「その時のディレクターが、その時最高だと思ったゲームを作る。それがファイナルファンタジー」ですので、今回もチーム一丸となってそれに取り組んできました。進化はつねに挑戦とセットなのだとも考えています。
ただ、今回はシリーズの中でも久しぶりにFF1からの流れを汲む「ハイファンタジーをベースにする」という世界観、物語を作ってきましたので、FF7以降のシリーズに馴染みの深い方には、変わった雰囲気に感じられるかもしれません。ただし、プレイしていただければ、色々なところに「FF」が感じられるようにしてきましたし、メディアの皆さんの試遊からも、「これは間違いなくファイナルファンタジーだったよ!」と、たくさんのポジティブなフィードバックをいただきましたので、ゲーマーの皆さんの手でお確かめください!
これに髙井氏が見解を加えます。
髙井氏: 16作まで続くシリーズものでありながら、それぞれが完全に独立した世界観でありゲーム体験になっている点は独特なポイントだと思います。召喚獣の存在やシリーズ通して共通化されている魔法、チョコボやモーグリの存在などはファイナルファンタジーならではですし、作品ごとに趣向を変えているバトルシステムが存在する点もファイナルファンタジーらしさだと思っています。今作もまぎれもないファイナルファンタジーとして楽しんでいただけると思っています。
これまでのタイトルごとにその時代、その瞬間、最高のゲームを提供するという点でスタッフ一丸となって邁進していく事がファイナルファンタジーに携わる者の使命というような感じがいつの間にか浸透していると思います。これらに忠実であったことがプレイヤーの皆さんに長い間受け入れてもらえた理由ではないでしょうか。そして物語性、グラフィックス、ゲームシステム、これらをシリーズ内で型をつくらず常にチャレンジしていく意気込みが進化に繋がっていると思います。
当然と言っては何ですが自分はファイナルファンタジーシリーズを1作目からプレイしていますし、開発者としても何作かに関わってきました。この点からも何も影響を受けていないという事はありえません。無意識でも確実にインスピレーションは受けていると思っています。意識して取り入れている部分もありファイナルファンタジーVのアビリティシステムのカスタマイズ性という部分の楽しさをアクションRPGとして表現したいというのは最初から意識した部分になります。
『FFXVI』で最も「FINAL FANTASY」らしいと言えるのは、軍神や、G.F.(ガーディアン・フォース)など、シリーズを通してさまざまな名で呼ばれている召喚獣でしょう。髙井氏は、『FFXVI』における召喚獣の位置づけを説明してくれました。
髙井氏: 今作での作りこまれた世界観とそこに展開するストーリーラインの深みは、シリーズごとに築き上げてきた物語性という部分を裏切らないモノにしたいという考えからこだわってきました。そして物語、バトルシステムに大きくかかわる召喚獣というものにもシリーズならではのモンスターをピックアップしています。今作ではフルアクションでのバトルシステムを構築していますが、召喚獣という要素を通してアクションバトルでありながらファイナルファンタジーらしさを体験出来るゲームになっています。
※映像は英語版です。
ふさわしい後継作
開発チームの情熱や努力をもってしても、「FINAL FANTASY」を自分たちと同じ目線でみていないプレイヤーがいることを、チームは認識しています。
吉田氏:「ファイナルファンタジーシリーズは、世界観も、キャラクターも、ストーリーも、そしてバトルシステムも常に変化してきたゲームです。だからこそ、世界中のファンの皆さんが考える「ファイナルファンタジー」は、ファンの方それぞれに異なっているのが現状です(いちファンである僕の理想ですら人と異なるはず……)。ですので、「すべてにお応えするのは、現実的に不可能である」ということを明確に意識した上で、ディレクターの高井や前廣、開発チームが「作りたいもの、挑戦したいもの」を軸にしつつ、ファンの皆さんの期待感を目に見える表にして、それぞれにシステムやキャラクター、ストーリーの骨子などを当てはめて、客観視する、という個人作業はしました。どちらかと言えば、自身の安心感のためですが、常々こうした客観性は大切だと思っています。
髙井氏は、『FFXVI』が多くのファンに楽しんでもらえる作品だと考えています。
髙井氏:主人公クライヴの歩みを通して、今作の舞台であるヴァリスゼアという世界で生きる人々のそれぞれの想いというもの感じていただきたいです。クライヴ達の決断でも、それは人によって受け取り方は違うと思います。多種多様な思想が絡み合う今の時代だからこそ考えて、感じてもらえる部分があると思っています。ファイナルファンタジーXVIでは物語としても、見た目の表現からしても、描く必要性のある部分は正面から描いたゲームにしたつもりです。この点がシリーズを語る際、良い意味で皆さんの記憶に残っていただければうれしいですね。
PlayStation®5用ソフトウェア『FFXVI』は、本日6月22日(木)発売です。
『FINAL FANTASY XVI』をPS Storeで購入する
FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:アクションRPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,900円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 デラックスエディション 12,100円(税込)
ダウンロード版 販売価格 通常版 9,900円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 12,100円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
PS Blogの『FINAL FANTASY XVI』記事はこちら
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