映画「グランツーリスモ」を制作するニール・ブロムカンプ監督に特別インタビュー!

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映画「グランツーリスモ」を制作するニール・ブロムカンプ監督に特別インタビュー!

※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。

2023年9月、全国の映画館で公開予定の「グランツーリスモ」。今回は、幸運にも監督を務めるSF映画の名匠ニール・ブロムカンプ監督にインタビューを行うことができました。伝説のリアルドライビングシミュレーターゲームを映画化したのか、サーキットでレースアクションを撮影するために考案した革新的なカメラワークとは、そして、過去のレース映画から得ることのできたインスピレーションについてお話を伺いました。

映画「グランツーリスモ」を制作するニール・ブロムカンプ監督に特別インタビュー!

PlayStation®.Blog:映画「グランツーリスモ」は、ご自身の脚本が原作でもなければ、ディストピアSFでもない、これまで監督してきた作品とは大きく異なる作品です。このプロジェクトに惹かれた理由を教えてください。

ニール・ブロムカンプ監督:実は、私がソニーに売りこんだディストピアSFの脚本がきっかけなんです。プリプロダクションが進むにつれて何かに取り組みたいという気持ちが強くなっていた私に、「グランツーリスモ」はどうかと持ち掛けられたのです。最初は、「ドライビングシミュレーターをどうやって映画にするんだ」と思いました。しかし、脚本を読み、個人的にも日産のR35GTRを3台所有していることもあって(日産とNISMOが大好きなんです)、車好きとしてすぐにこのプロジェクトに惹かれました。

私もキャリアを通してさまざまな形でビデオゲームに関わってきましたが、「グランツーリスモ」のように、ゲームをゲームとして扱っている映画には出会ったことがありませんでした。この映画は、登場人物のヤン・マーデンボローがゲームで運転を覚えた後、プロレーシングドライバーとして実際のドライバーたちと競い合うという実話に基づいています。とにかくすごい話です。

この映画に取り組もうと思ったのには、もうひとつ理由があります。私の作品はおっしゃる通りもっとダークでディストピアを描いたものが多いのですが、この映画はこれまでとは違った形で観客の感情を揺さぶることができると感じました。観客が高揚して劇場を後にするような映画を監督することなどこれまで考えもしなかった私にとって、この映画を監督することは本当に魅力的だったのです。

このようなIPに関わる仕事をするうえで、クリエイティブな課題や利点はありますか?

素晴らしかったのは、「我々は、こうあるべきだと考えます」と意見するような幹部がいなかったことです。すでに確立されている世界観や物語のIPを扱う場合、誰もが”こうあるべき”という先入観を持っています。しかし、「グランツーリスモ」シリーズは有名なIPながらも映画化する際の先入観がありませんでした。そのため、創造的な自由度が非常に高く、ひたすら制作に専念することができました。

確立された筋書きや世界観がないなかで、どのような方法でゲームをオマージュしたのですか? また、ゲームの中核をどのようにして映画に反映させたのか教えてください。

ひとつは、バーチャルで数々の伝説的なサーキットを体験した人間が、シミュレーションのなかで学んだことを現実に活かすまでの道のりを描いていることです。「グランツーリスモ」シリーズに登場するコース上のラインやマーカー、チェックポイント、レベルアップしたときのアワードなどのイメージを多用して、ゲームと映画を視覚的につなげようとしました。

さらに、ゲーム中の勝利のポーズを映画のなかで俳優たちに再現してもらうなど、小ネタもたくさん用意しています。また、カーマニアの方々にはたまらないクルマもたくさん登場します。できる限り興味深いクルマをあちこちに登場させるよう努めました。

登場するクルマのなかでも、個人的に好きなクルマを教えてください。

映画の冒頭に初代NSXが出てくるんですが、これは私にとって大きな存在ですね。あの車には愛着があります。

また、クルマ好きのために華やかなチョイスも取り入れています。例えば、1700馬力の4シーター”ケーニグセグ・ゲメラ”のような、まだ発売前の車。これはブガッティやロールスロイスのようなものですね。

公開されていた動画を見る限り、撮影の一部はゲーム内のチェイスビューを直接参考にしているように見えます。また、高速で走るクルマを撮影するためのかなり本格的な機材も垣間見ることができます。これらについて教えてください。

最終的には、映画館のスクリーンで観たらカッコイイと思える映像を目標にしてきました。そのためにFPVドローンにIMAXセンサー公認のカメラを搭載して撮影していますし、空中での高速ドローンワークも数多く使用しています。また、PursuitアームはR35GTRに装着することで、劇中のGT3カーについていけるようにしました。

そうやって、クルマとドローンでのダイナミックなアングルが完成しました。しかし、本作ではゲームをプレイする方にもお馴染みのカメラアングルを再現することにもこだわりました。三人称のチェイス視点を再現するために、クルマ全体がフレーム内に収まるカメラ配置ができるようなR1リグを作成しています。

ドライバーのPOV(コックピットビュー)を撮影するためには、スタントドライバーを後ろにもたれさせ、頭の位置にカメラを設置しました。このように、ゲームにちなんだ演出を盛り込むことも大切にしています。

「栄光のル・マンや「グラン・プリといった名作から、最近の「フォードvsフェラーリまで、モータースポーツのトラック内外のドラマを描いた映画には歴史があります。このジャンルの映画でインスピレーションを得た作品があれば教えてください。

「グランツーリスモ」で参考にしたと言える映画は、スティーブ・マックイーンの「栄光のル・マン」です。あの映画は正気じゃありません──どれだけのスピードが出ているのか、どれだけ危険なのか、そしてクルマの排気ガスさえも伝わってくる……。すごい映画ですよ。

「栄光のル・マン」の冒頭では、レース前に主役、悪役、時計など、それぞれを描くのに膨大な時間を費やしています。そしてその後、それらの間で急速にシーンが切り変わるようになります。私たちの映画でも主人公とその対戦相手との間で非常によく似たシーンがありますが、これはマックイーンの名作に直接影響を受けたされたものです。

私の作品では、たいてい誰かが爆発したり、遺伝的に変異した生き物が暴れたりします。レースやスポーツの映画を撮ることになるとは、1兆年経っても思いつかなかったでしょう。話している今でも驚いています。


『グランツーリスモ7』は、PlayStation®5およびPlayStation®4でプレイできるだけでなく、今年初めの無料アップデートにより、PlayStation®VR2にも対応しています。

映画「グランツーリスモ」は、2023年9月に劇場限定で公開予定です。

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