『龍が如く 維新! 極』インタビュー! 龍が如くスタジオ代表/制作総指揮・横山昌義氏が"極"ならではの見どころを語る!【特集第3回】

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『龍が如く 維新! 極』インタビュー! 龍が如くスタジオ代表/制作総指揮・横山昌義氏が"極"ならではの見どころを語る!【特集第3回】

2014年に発売された「龍が如く」シリーズの歴史スピンオフ『龍が如く 維新!』。幕末を舞台に、坂本龍馬の新たな伝説を描いたあの名作が、”極”クオリティで復活! 好評発売中のPlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『龍が如く 維新! 極』は、オリジナル版からあらゆる面で進化を遂げたフルリメイク作品。グラフィックが美しくなったうえ、一部キャストが刷新され、新たなサブストーリーやコンテンツも追加されている。

特集第3回では、セガ「龍が如くスタジオ」代表であり、制作総指揮を務める横山昌義氏へのインタビューを実施。開発の裏側、”極”ならではの見どころについて語っていただいた。

セガ
龍が如くスタジオ代表/制作総指揮

横山 昌義(よこやま まさよし)

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海外からの要望を受け、開発がスタート

──『龍が如く 維新! 極』は、「龍が如く」シリーズの作品を”極”クオリティで蘇らせたフルリメイク作品です。これまでにも『龍が如く 極』『龍が如く 極2』がリリースされていますが、第3弾として『龍が如く 維新!』を選んだのはなぜでしょうか。

実を言えば、『龍が如く 維新! 極』は「”極”の3作目を作ろう」という出発点から始まったわけではありません。近年、「龍が如く」シリーズはグローバル展開を広げています。この数年でシリーズ旧作が280万本近く売れ行きを伸ばしましたが、その多くは海外で購入されました。その一方で、まだ海外のユーザーに届いてないタイトルもあります。ひとつが『龍が如く 見参!』、そしてもうひとつが『龍が如く 維新!』。特に『維新!』は、海外のユーザーから発売を望む声が多かったため、リクエストに応えようという話になりました。尊王攘夷などの用語や土佐藩独自の身分制度を英語で表現できるか、という懸念もありましたが、歴史を知らなくても楽しめるストーリーだと判断したのと、ローカライズチームから「海外のユーザーにも十分伝わります」と太鼓判を押され、制作に踏み切ることにしました。

この時点では、ゲーム内容は変えず、ただ英語に翻訳した海外版を発売するつもりでした。ですが、「龍が如くスタジオ」では同時期にUnreal Engineの研究をしていたんです。Unreal Engineは太陽光、自然光のライティングに優れているエンジンです。それに対して「龍が如く」シリーズで使用している「ドラゴンエンジン」は夜の繁華街に特化したエンジンですが、『龍が如く 維新!』は昼間のシーンが多いんです。試しにUnreal Engineで作ってみたところ、グラフィックがとても美しくなったため、日本版の発売も検討するようになったんです。

そうなると、2014年にはできなかったことにも挑戦したくなります。まず、実現したかったのは、隊士カードをメインストーリーでも使えるようにすること。実はこれが、ゲームを一から作り直すくらい大変なんです。敵のパラメータ、ボスの強さ、バトルのAIなどすべて作り替えることになりますから。

ここまで新しくするなら、日本でも発売したくなりますよね。せっかくなら一部キャストも変更して、『龍が如く0 誓いの場所』『龍が如く6 命の詩。』『龍が如く7 光と闇の行方』に登場したキャラを含めてオールスターキャストにしようという話になっていきました。こういった分岐や積み重ねを経て、最後に”極”と名付けることにしたんです。

──そもそも海外で「龍が如く」の人気に火がついたのはなぜでしょう。マルチプラットフォーム化・多言語化を進めたからでしょうか。

正直に言うと、『龍が如く0』以前は翻訳やカルチャライズに本腰を入れていませんでした。「日本が舞台で、登場人物はほぼ日本人。しかも裏社会を描いたゲームだから、海外でプレイするのはジャパンカルチャー好きのニッチな層だけだろう」と勝手に思い込んでいたんです。ですが、『龍が如く0』からきちんとレギュレーションを作り、親分の表記などもルールを決めて、わかりにくいところにはフォローを入れるなどしっかりカルチャライズしたところ、徐々に海外での売上が伸びていったんです。普通のことを普通にやったら、評価されるようになったということです。

──海外でもようやく正当に評価されるようになったわけですね。日本では2014年に『龍が如く 維新!』が発売されましたが、当時の反響はいかがでしたか?

おかげさまで、高い評価をいただきました。特に開発チーム内の評価はシリーズ屈指でした。武器を強化したり、バトルダンジョンに何度もチャレンジしたりと、RPG要素に初めて挑戦できたからでしょう。スピンオフだからこそ、これまでのシリーズとは違うことにもチャレンジしやすかったんです。

ただ、ナンバリングタイトルほどはヒットせず、それが歯がゆくもありました。ですから『龍が如く 維新! 極』は、海外に届けるだけでなく、日本で再評価されたいという気持ちもあるんです。もう一度チャレンジする機会ができてよかったなと思います。

──『龍が如く 維新!』はPS4本体と同時発売でしたが、その点はいかがでしたか?

PS4版でしかできないこともたくさんあったので、作りがいがありました。ただ、PlayStation®3版とPS4版のマルチプラットフォームだったので、演算処理などはPS3をベースにしています。当時としては最上位クラスのグラフィック表現だと思っていましたが、今回の『龍が如く 維新! 極』と見比べると圧倒的な差がありますね。

俳優によって異なる役へのアプローチ、その違いが生む面白さ

──『龍が如く 維新!』を”極”クオリティにするうえで、もっとも大切にされたことを教えてください。

実は、”極”とタイトルにつけているのは日本版だけなんです。このタイトルに落ち着くまでにも、紆余曲折ありました。というのも、『龍が如く 極』『龍が如く 極2』はどちらも追加シナリオを収録しているんですね。ですが、今回はシナリオを追加していないため、”極”と名乗っていいのか葛藤があったんです。

追加シナリオを入れなかった最大の理由は、オリジナル版をそのまま海外にデリバリーしたかったからです。これまで”極”化した2作品は、オリジナル版をプレイした方に向け、究極のファン目線で作ったタイトルでした。でも、今回はコンセプトが違います。『龍が如く 維新!』をプレイしていない方をターゲットにしているので、いきなり本編の裏側を見せるのもおかしいですよね。社内では「”極”とは何か」という議論もありましたし、僕自身も誤解を生みたくないので”極”と名付けていいものか悩みました。

でも、”極”というと、食料品でも何でも最上級の商品、本当に凄いものに対してつける言葉ですよね。そういったこともあり”極”と名乗ろうという結論になりました。

──グラフィックに関しては、Unreal Engineの採用により太陽光の表現がリッチになったという話がありました。確かに、日本家屋から屋外に出た時の明暗のコントラストが際立っていますね。

当時の建物は電気が通っていなかったので、自然光をいかに取り込むかを重視した作りでした。そのため、欄間や格子窓のようなものがあるんです。『龍が如く 維新!』ではそういった光を誤魔化しながら表現していましたが、Unreal Engineでは物理的に太陽光が差し込むさまを描くことができます。電気がない時代の建造物を、一番美しく描けるエンジンだと思います。

──『龍が如く 維新! 極』では一部のキャストが変更されていますが、音声収録はどのように行なわれたのでしょうか。先日公開された「龍が如くスタジオ」メイキング映像では、通常のシリーズ作品はモーションキャプチャーを行なってから音声を収録し、音に合わせてフェイシャルキャプチャーを行なうそうです。リメイク作品では、どのような作業になるのでしょう。

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モーションは9年前に撮影したものを使い、追加キャストの音声はイチから録りました。これが凄まじく大変でしたね。ふだんは「オンリー録り」といって、声優さんが台本を読み、音声を個別に収録しています。ですが、リメイク作品はフェイシャルのアニメーションがすでにできあがっていますよね。つまり、映像に合わせて音声を収録する「アフレコ」になるんです。音声を録りながら、映像と合っているか確認するため、いつも以上に時間がかかります。

例えば、『龍が如く 維新!』では高橋克典さんが武市半平太を演じていましたが、『龍が如く 維新! 極』では中野英雄さんに演じていただくことになりました。つまり、高橋さんの演技の尺に合わせて、中野さんが演じなければならないんです。ふたりとも演技の質や間が違うので、どう合わせるかが苦労のしどころ。そこはもう、役者さんの技量頼みですね。

──フェイシャルアニメーションを調整することもあるのでしょうか。

どうにもならない時は、一部修正することもあります。ただ、フェイシャルアニメーションの調整をしないほうが効率はいいので、できるだけ演技を合わせていただきました。

──役者さんとしては、自分の間ではない演技を求められるわけですよね。

役者としてはなかなかアプローチしづらいですし、フラストレーションも溜まりますよね。尺を合わせることを意識しすぎると、自分では納得いかない演技になることもありますし、会心の演技ができても尺が合わなくてリテイクになることも。オンリー録りであれば1日で終わる分量でも、3日かかりました。しかも、収録は1日10時間以上ですから、大変な思いをさせてしまいました。

──キャスト変更により、特に面白くなったキャラクターはいますか?

全員ですね。その作品が面白くなるかどうか、6、7割はキャストの方の力にかかっています。『龍が如く0』の時に、三幹部役として小沢仁志さん、竹内力さん、中野英雄さんを起用したのも、彼らの知名度が高いからではありません。怖いんですよ、単純に。あの役に似合うから、ぜひとも出演していただきたかっただけなんです。逆に言えば、あの3人でなければ面白さが半減してしまうんですよね。

シナリオは文字で書いているだけだと面白くありません。誰が演じるかによって、面白さがまったく変わってくるんです。今回の『龍が如く 維新! 極』の武市半平太も、中野さんが演じたことで喜怒哀楽のポイントが変わりましたから。中野さんは台本を読み、「俺は、ここではまだ武市は怒らないと思う」と、高橋さんとはまた違ったアプローチをしてくるんですね。僕も、そういった役者さんの気持ちは尊重したい。その結果、同じシーンでもまったく違うものに仕上がりました。オリジナル版も100点ですが、今回の『極』も100点です。

ライトに楽しみたい人には、テンポよく戦える「乱舞」がおすすめ

──バトルに関しては、メインストーリーでも隊士カードを使えるようになったというのが大きな変更点です。バトルシステム全般の見どころについてお聞かせください。

隊士カードを本編に取り入れると、当然のことながらバランス崩壊を起こします。しかも、『龍が如く 維新!』には武器強化、自分自身のレベルアップもありますし、隊士カードをまったく使わなくてもクリアできるようにしたいとも思いました。そういった要素も含めて、バランスを調整するのが大変でした。この隊士カードがバトルにどう絡んでくるのかが、大きな見どころです。プレイヤーが隊士能力を使うのと同じように、ボスも新しいアクションが増えています。オリジナル版とは攻略法も変わってきますし、これまで以上に難しくなっていると思います。

──その一方で、レベルアップをして武器強化もすれば、アクションが苦手な人でも楽しめますね。

それがアクションRPGのいいところです。腕のある人は武器を強化しなくてもクリアできますし、アクションが苦手な人はコツコツ自分や武器を強化すればエンディングまでたどりつけます。隊士カードは、アクションが苦手な人をサポートする役割も果たしているんです。ナンバリングタイトルはストーリーを最後まで味わっていただきたいので、比較的簡単にクリアできるバランスを目指しています。『龍が如く 維新! 極』はそういうバランスではないものの、RPG要素を盛り込んだため、武器強化や隊士カード集めをすればクリアできるようになっています。

そのうえで、今回は有償DLCの『オールインワン・パック』の中に過去最高難易度の「維新!」を用意しています。ザコ敵でも4、5回攻撃を食らうとゲームオーバーになってしまいますし、腕のある人でも武器や自分を鍛えなければクリアできません。「維新!」でどこまでクリアできるのか、ぜひユーザーさんに配信してほしいですね。

──ちなみに、横山さんは「維新!」でクリアできますか?

いえ、僕はEASYモードでプレイしています(笑)。僕は武器を鍛えたり、バトルダンジョンに入って素材集めたりしながら、コツコツ遊ぶのが大好きなタイプなんです。レベルをMAXまで上げていつでもクリアできる状態にしつつ、終わってしまうのがもったいなくて最後までクリアしないんですよね。

──バトルスタイルも4タイプありますが、すべての「型」を満遍なく強化しないとどうしても勝てない局面があります。とても面白いバランスになっていますね。

それも、『龍が如く 維新!』からバランス調整した部分です。オリジナル版は、素手で戦うイベント戦闘が2回ありますが、あとはひとつの型さえ極めていればクリアできました。でも、今回はボスによって使い分けないと勝てないのではないかと思います。

──横山さんが特におすすめのバトルスタイルは?

今回は「乱舞」ですね。短銃と刀を両方使うという、もっとも幕末らしさを感じる「型」だと思います。オリジナル版の「乱舞」は、手数は多いものの攻撃力がそれほど高くなかったのですが、今回はその点もバランス調整しています。腕のある方は「一刀」を使うことが多いのではないかと思いますが、「一刀」はモーションをわざと遅くしているんです。「乱舞」のほうがテンポよく戦えますし、ヒートアクションも出やすいんですよね。僕のようにライトに楽しみたい方には、おすすめの「型」です。

──プレイスポットやサブストーリーで注目すべきポイントを教えてください。

普通は新たに追加した要素をプッシュするのかもしれませんが、僕は連作のように楽しめる「お尋ね者」が好きなんです。どんどん別軸のストーリーが展開していくのが面白いなと思います。

ほかには「黒豹飛脚団」のサブストーリーも好きです。オリジナル版と変わらず、稲本潤一さん、槙野智章さん、星翔太さん、武田修宏さんが飛脚団を演じています。去年現役を引退した槙野さんは、会社を立ち上げたり監督を目指したりメディアに出演したりしていますよね。9年前は皆さん現役の選手でしたから、時代の流れも感じられるのではないかと思います。

国内外のファンに支えられ、納得のいく完成度に

──完成した『龍が如く 維新! 極』の満足度は、いかがでしょう。

僕としては納得のいくものになりました。発売を迎えた今は、不安より楽しみが勝っていますね。おそらく今回は、9年前のオリジナル版をプレイしていない新規のユーザーさんが多いのではないかと思います。リメイク作品なのでゲームシステムに少し古さを感じる人もいると思いますが、今のゲームとしてどう評価されるのか、僕自身も気になるところです。

今回は、海外からのリクエストに応えようという思いから開発がスタートしましたが、日本の方々も思っていた以上に楽しみにしていてくれたんだなと実感しています。昨年の東京ゲームショウでも、リメイク作品なので大々的に試遊台を出す予定はなかったんです。ですが、蓋を開けてみれば連日満員。ファンの皆さんに支えられて、発売にこぎつけることができたと思っています。皆さんが楽しんでくれるかどうかは僕らの責任ですが、面白いものになったのは間違いありません。

──先行体験会では、若いファンも多かったそうです。

東京ゲームショウで試遊してくださった方も含め、全体的に若返っているなと思いました。明らかに、オリジナル版はプレイしていないであろう年代の方も多かったですから。ただ、ファンが入れ替わっているという印象もありません。昔ながらのロイヤルユーザーに加えて、若いファンも増えていると感じます。

──どのような要因から、若いファンが増えたのでしょう。

「龍が如くスタジオ」では、小ネタも含めてとにかくTwitterの公式アカウントや龍スタTVなどで情報を出し続けています。スタジオのクリエイター以外にも、広報や宣伝、プロモーション担当が「龍が如く」をネタに情報を発信しているんです。Twitterで「龍が如く」と絡めて「今日は何の日」というネタを発信したり、TikTokとコラボしたりという活動をずっとやり続けています。

そもそも「龍が如く」シリーズは運営型のゲームではないので、次回作が出るまでに数年かかります。その間に忘れられたら終わりです。存在感が薄れないよう、とにかく情報を発信し続けてきたからこそ、若い人たちの話題にものぼるのではないかと思います。

──2023年発売予定『龍が如く7外伝 名を消した男』、2024年発売予定『龍が如く8』と、この先も新作が控えています。今後の展望をお聞かせください。

僕としては、もう気持ちは次のタイトルに向かっています。詳しい内容をいつ発表できるかわかりませんが、楽しみにしていただければと思います。

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龍が如く 維新! 極

・発売元:セガ
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 7,689円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 7,689円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 8,789円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)


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※画面はすべて開発中、PS5版のものです。

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