ナンバリング最新作として6月22日(木)発売予定のPlayStation®5用ソフトウェア『FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)』。「FINAL FANTASY」シリーズ初の本格アクションRPGとなり、主人公クライヴはさまざまな召喚獣の力を駆使して、過酷な運命を切り拓いていく。
本作のメディアツアーが行なわれ、召喚獣アクションや召喚獣合戦といったバトルアクションの一端をプレイすることができた。そこで体験したレビューを、開発スタッフへのインタビューと合わせて紹介しよう。
※今回のバージョンはメディア体験用の特別版であり、リリース時のものとは異なる場合があります。
※画面はメディア体験用の特別版であり、リリース時のものとは異なる場合があります。
吉田プロデューサーによるプレゼンテーション
試遊に先立ち、吉田直樹プロデューサーが本作のプレゼンテーションを行なった。世界観やキャラクター、新たなバトルシステムなど、ゲームの柱となる部分が紹介された。
『FINAL FANTASY XVI』とは
日本のメディアの皆さんはご存知かと思いますが、「FINAL FANTASY」シリーズは35年という長い歴史を持つRPGフランチャイズです。今回は正式ナンバータイトル「16」という形でお届けします。ただ、「FINAL FANTASY」シリーズはユニークなところがあって、世界観、キャラクター、物語というものが、各ナンバーすべて独立しています。「FF」フランチャイズをご存知ない若い方は、「漫画でいうと16巻目?」「1からやらないとわからないよね?」ということが最近けっこうありますので、単独で遊べるということをまず伝えておきたいです。
『FINAL FANTASY XVI』の4つの柱
『FINAL FANTASY XVI』は、4つの大きな柱を掲げて制作してきました。
そのひとつがストーリーです。RPGシリーズとして、世界中のファンの皆さんは特にストーリーに期待してもらっていると思います。今回は非常に長いボリュームになりますが、徹底的に描き切ることを目標にここまでやってきました。主要ストーリーのカットシーンだけで、おそらく11時間以上。とんでもない物量を仕上げてきました。すべてリアルタイムで描き切っておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
キャラクターの掘り下げも、非常に重くやってきました。長い物語、広大な世界観というと、設定が難しいところはありますが、どちらかというとキャラクターの群像劇的なところにフォーカスを置いて、その身を召喚獣に変身させるというドミナントたちそれぞれの主義や価値観のぶつかり合いを、しっかりと描いています。
「FINAL FANTASY」シリーズのグラフィックには世界中のファンの方々、メディアの皆さん、ゲーマーの皆さんは期待されていると思います。今回はグラフィックに関しても、PS5に特化して制作してきました。ただ、われわれは画づくりが地味なもので(笑)、細かいところを見てもらえるとクオリティの高さをご理解いただけると思います。ぜひじっくりと見てもらえるとうれしいです。
今回、なにより注目していただきたいのは、エンカウントからコマンドを使って戦うコマンドシステムをいっさい取り入れず、いろいろな世代のゲーマーの皆さんに遊んでいただけるように、フルリアルタイムアクションにこだわったところです。単純に主人公クライヴのアクションだけでなく、召喚獣バトルという恐ろしいコストをかけた大規模ボスバトルも多数作ってきましたので、ぜひご注目ください。
こうした要素を、今回はPS5というハードウェアを使って制作してきました。ゲーム体験、ストーリー、バトル、演出、それらがすべてロードなし、ジェットコースターのようにつながっていく最大級のド級アクションを目指して作りました。PS5の性能に徹底して集約することで最適化を施し、ここまでやってきました。
冒険の舞台ヴァリスゼア
今回の物語の中には、5つの国家と、ひとつの不可侵条約で守られた「クリスタル自治領」が出てきます。
ロザリア公国
最初はロザリア公国というところが舞台になり、ここは主人公クライヴ・ロズフィールドの生まれ故郷です。歴史を重んじる、かつ公明正大な支配者が統治している地域になっています。いわゆるゴシックファンタジーが詰まっている感じで、歴史と由緒ある土地です。
ザンブレク皇国
世界最大の宗教国家です。教皇が国を治め、神への信仰心があり、都市の背後に見える山のようなものがザンブレク公国の所有する超巨大マザークリスタルです。文化的にも、かなり進んだ国です。光の召喚獣バハムートを抱えている国でもあります。
ウォールード王国
ロザリア公国とザンブレク皇国は風の大陸という土地にありますが、ウォールード王国は海を挟んだ灰の大陸という場所にある戦闘国家です。長らく戦乱が続いていましたが、現在の国王となっているバルナバスの台頭によって一気に統一され、現在は武力で世界に覇を唱えようとしています。特徴的なのは、人類だけではなく、オークなどのデミヒューマンも数多くいて、それが軍勢を組んでいます。
ダルメキア共和国
砂漠にある国で、5つの州の代表による共和制で成り立っています。商業に長け、世界中の交易の中心地でもあります。山ひとつそのものが超巨大なマザークリスタルになっており、その豊富な資源を活用して世界の富を集めつつ、世界の覇を狙っています。砂漠地帯ではありますが、オアシスのような雰囲気もありますし、けっこう明るいイメージも持っています。
鉄王国
非常に古く、数千年の歴史を持ち、クリスタル至上主義を掲げた過激な宗教を信仰しているような国です。火山そのものが国になっています。クリスタルには青いイメージがありますが、『FINAL FANTASY XVI』の世界では、さまざまな色や形のクリスタルがあり、この地域では巨大な火山がマザークリスタルになっています。
クリスタル自治領
どこの国にも属さない、世界最大のマザークリスタルを抱えている都市です。どこかの国が支配しているというわけではなくて、それぞれの国が不可侵条約を結んで、このクリスタルの恩恵は各国が平等に受ける……とはいいつつ、明らかに戦乱に巻き込まれそうな設定になっています。
『FINAL FANTASY XVI』はオープンワールドではないので、すべての地域が地続きでつながっているわけではありませんが、ワールドマップを介してロードなしに一瞬で、それら物語の舞台に飛び込んでいけます。スケールの大きなフィールドも4つくらい用意しており、そういった場所には探索要素もあります。オープンワールドでないのは、ストーリーによって場所を決め打ちすることで散漫にならず、その地域を描き込むための作り方だと理解していただけるとうれしいです。この世界をオープンワールドで作ろうとすると、あと10年くらいいただかなければならないので、今回は物語にフォーカスするということもあり、このように選択しました。
召喚獣を宿す者「ドミナント」
物語の中心的立ち位置になるのが、召喚獣をその身に宿し、自身が召喚獣に変身するドミナントという存在です。召喚獣のサイズもさまざまで、大多数は20メートルを超え、120メートルの召喚獣もいます。スケールの違った召喚獣どうしの激突をゲームデザインにしっかりと盛り込み、遊びを毎回変えるということをやっていますので、ボスバトルにぜひご期待ください。
ドミナントは召喚獣ごとにひとり存在し、英雄や王のように祀られていることもあれば、ただの兵器として戦いを強要されることもあるなど、国によってドミナントの扱いはさまざまです。召喚獣は現代における核兵器のようなもので、お互いが直接的な戦争をしないための抑止力。召喚獣どうしが激突すると、大陸や世界が滅んでしまいます。世界をエネルギーで満たすマザークリスタルは、現代で言うと石油を産出する油田。そのエネルギーが枯渇してきてしまったことにより、禁断の召喚獣どうしの戦いが始まってしまうといったところが物語の序盤設定になっています。
召喚獣の力を宿したドミナントたちの悲哀、悲劇、彼ら自身が人として目指すもの、そうした価値観のぶつかり合いが今回のドラマの本筋です。
クライヴ・ロズフィールド
本作のストーリーでは、主人公クライヴの生涯を追っています。少年期から描かれ、青年期を経て、壮年期まで戦っていく。どういった人生の流転があるのかは、ひとつの大きなポイントです。ほとんどはクライヴの視点で描かれます。もちろん「一方そのころ……」ということもありますが、基本的にはクライヴにフォーカスして物語を作っています。
クライヴはドミナントとして生まれることを期待されていましたが、彼には召喚獣が宿らず、悲劇的な少年期を送っています。とある事件によって弟を失ってしまい、その復讐のためだけに生きています。クライヴには、子どものころから付き従っているトルガルという優しい狼がパートナーとしています。トルガルの活躍もゲーム中に手厚く語っているので、そのあたりも注目してください。
ジョシュア・ロズフィールド
火の召喚獣・フェニックス
クライヴが復讐の旅に出るきっかけとなるのが、弟のジョシュア・ロズフィールドです。ロザリア公国に生まれ、兄のクライヴではなく、弟のジョシュアにフェニックスの力が宿っていました。クライヴはジョシュアからフェニックスの祝福を得て、フェニックスの力の一部が使える状態でゲームがスタートします。
ジル・ワーリック
氷の召喚獣・シヴァ
今作のヒロインです。幼少の頃、クライヴやジョシュアと一緒に育っていくのですが、とある悲劇的なことがあり、シヴァの能力に途中から目覚めます。非常に強い女性ですし、過酷な運命も背負っているので、クライヴとともに運命に立ち向かっていく仲間として活躍してくれます。自分自身にも克服しなければならない運命があるので、ジルというキャラクターの物語もしっかりと描いています。
シドルファス・テラモーン
雷の召喚獣・ラムウ
「FF」シリーズおなじみのシドも、今作に登場します。シドルファスという名前で、雷の召喚獣ラムウを宿す、ドミナントのひとりとして登場します。彼の経歴はあまり詳しく言いませんが、いろいろな国を放浪している中で、世界の在り方、自分の理想を追い求め、独立組織を立ち上げて活動しているようなイメージです。旅の途中でクライヴと運命的な出会いを果たし、復讐に燃えるクライヴのよき理解者、導き手役として活躍してくれます。
フーゴ・クプカ
土の召喚獣・タイタン
ダルメキア共和国の軍事顧問をしている男。土の召喚獣タイタンのドミナントです。120メートル超えの召喚獣がいるとお話ししましたが、それがまさにタイタン。マップそのものと戦うようなバトルが待っています。もともとは一兵卒でしたが、軍事力すべてを司っており、その圧倒的な武力でクライヴを追い詰めてきます。
ベネディクタ・ハーマン
風の召喚獣・ガルーダ
ウォールード王国の諜報員のひとりです。本来、国に属する召喚獣は一体ですが、ドミナントを集めていくことがウォールード王国の野望でもあります。ベネディクタも過酷な運命や過去を背負っているので、序盤の物語の中心にもなってきます。
ディオン・ルサージュ
光の召喚獣・バハムート
宗教国家ザンブレクの王子であり、バハムートのドミナントであり、竜騎士の近衛隊長で民衆からの人気もある、すべてを持ち合わせたようなキャラクターです。彼もまたこの戦乱の世でいろいろな悩みを抱え、戦場に向かっていくことになります。
バルナバス・ザルム
闇の召喚獣・オーディン
ウォールード王国をたったひとり、わずか数年で制圧してしまったという、闇の召喚獣オーディンのドミナントです。何を考えているかよくわからないキャラクターで、序盤から暗躍しているような雰囲気で登場します。その思惑のようなところにも注目してください。
バトル
バトルシステムには、大きなふたつの要素があります。ひとつは主人公クライヴの生身のアクション。物語の展開上、進行していくごとに複数の召喚獣の能力を得ていきます。召喚獣ごとにあるアビリティによって、クライヴ本人のアクションがどんどん増えていきます。そこをカスタマイズして自分ならではのコンビネーションを作るなど、クライヴ自身のアクションがひとつの見どころになっています。
もうひとつが召喚獣合戦。召喚獣どうしがプレイアブルで激突するという、最大規模のバトルです。召喚獣ごとにバトルの内容は異なり、使い回しのシステムはいっさい用いていません。すべてオリジナルのユニークなバトル体験になっているので、この2大要素にご注目いただけるとうれしいです。
パーティーバトル
本作は主人公クライヴの物語であることと、アクションゲームということで、ファンの皆さんには「パーティーメンバーがいないのでは」との心配があったと思いますが、仲間たちとの旅路としてパーティーメンバーをご用意しています。ただ、今回はハードコアなアクションになっていることもあり、仲間たちはすべてAIによって自動的に動作するので、ある意味では安心してクライヴの操作に集中できるつくりになっています。道中、彼らとともに歩む移動において、会話は相当数用意しています。これは、ほぼメインストーリーと思っていただいていいです。今のシチュエーションやそれぞれの内面を語り合うので、そこにも注目です。
バディアクション
クライヴのところで少しご紹介したトルガルは、もちろん仲間ではありますが、システムとしては「バディ」という呼び方をしています。ほかのパーティーメンバーは、ストーリーによって入れ替わりがありますが、トルガルは大部分でクライヴについてきてくれて、ある程度の指示を直接出すこともできます。自分が敵を打ち上げるタイミングで噛みつきをさせるなど、テクニックに組み込むことができます。ただ、操作が複雑で追いつけないという方のために、トルガルの行動をすべてAIに任せる「オートトルガル」というアクセサリも用意しています。
アビリティ
クライヴの召喚獣アビリティは、召喚獣ごとにかなりの数を用意しています。どのアクションを習得するのか、どのアクションを鍛えていくのかは、プレイヤーの皆さん自身でカスタマイズ・強化することが可能です。召喚獣を手に入れるごとに能力の拡張が行なわれ、かつ多数の召喚獣アクションを習得・強化できます。
どれを習得していいのかわからないという方は、おすすめ習得を使っていただければ、今あるポイントを自動的に振り分けてくれます。もちろん、一度選択したら引き返せないのではなく、ワンボタンですべてリセットしてポイントに還元することが、いつでもできるようになっています。やり込み系の方は自分ならではのクライヴに育てていただき、おまかせでいいという方はどんどん活用してほしいと思います。
ストーリーフォーカス
今回はリアルタイムアクションに振り切ると同時に、ストーリーもしっかりと楽しんでもらいたい。アクションゲームが苦手な方にこそ、ワクワクドキドキして遊んでもらいたい。そこで、ストーリーフォーカスモードとアクションフォーカスモードという、ふたつのモードを用意しています。
ストーリーフォーカスモードでは、クライヴにいろいろなサポートアクセサリを付けることができ、それを付けたり外したりすることで自分好みのプレイスタイルを作り出せます。たとえば「オートスロー」は、攻撃を被弾する数フレーム前から急激にゲームスピードがスローになって、R1ボタンを押すだけでクライヴが自動的に超絶かっこよく避けてくれます。これを超越する「オートドッジ」というアクセサリは、自分が何も入力していない場合、すべての攻撃を自動的に避けてくれます。テンポの早い召喚獣アクションをすべてワンボタンで、AIがそのシチュエーションに最も適した能力を自動的に使ってくれる「オートアタック」もあります。
とにかくストーリーに集中したいという方も、「FF」が本格アクションになるなら自分の手でクリアするという方も、どちらにもフルで楽しんでもらえるようなサポートを用意しています。サポートを使用する違いとして、バトルにはアクションに応じたスコアがあり、サポートアクセサリを使わない方が評価は高くなります。
2023年6月22日(木)世界同時発売
6月22日(木)の世界同時発売に向けて、今はマスターアップ直前になっています。天変地異が起こらないかぎり、遅延する要素はありません(笑)。対応プラットフォームはPS5です。
PC版の対応について
先日の発言で少しお騒がせしてしまいましたが、PC版について触れておこうと思います。まず、PS5というプラットフォームで『FINAL FANTASY XVI』が半年間の時限独占になっているのは事実です。ただ、それとPC版が半年後に出るのは全く違う話です。明言しておきますが、半年後にPC版は出ません。
なぜなら、われわれは最高のゲーム体験をお届けするために、PS5というプラットフォームに時間とコストをかけて最適化してきました。もちろん1本でも多く、皆さんに遊んでいただくために、PC版はいずれ出したいです。ただ、PS5版が出てからPC版の最適化を始めたとして、半年では最適化しきれないので、半年という短いスパンでは出ません。いずれ発売したいですし、出すとは思いますが、今は時期を言える段階ではありません。
まずは世界最高のゲームをと思って作ってきた、PS5版を遊んでいただけるとうれしいです。もしも半年後にPC版が出たら、僕は会社を辞めてもいいです(笑)。「どうせ半年後にPC版が出るからPS5版は買わない」とおっしゃらずに、ぜひまずはPS5版を楽しんでいただければと思います。
【試遊レビュー】ハイテンポなバトルアクションは手触り抜群! 召喚獣の多彩な能力を使い分ける戦略性も楽しい!
プレゼンテーション終了後の試遊では、チュートリアルを含めたいくつかのシーンをプレイすることができた。クライヴはフェニックス、ガルーダ、タイタンという3つの召喚獣の力が解放された状態だったが、この試遊バージョンはメディア体験用の特別版であり、本来のゲーム進行とは異なる場合があることは覚えておいてほしい。
ストーリーフォーカスモードならアクション初心者でも大丈夫! 華麗な動きをお手本にするのもアリ!?
最初にプレイしたのは、ザンブレク皇国にある砦を舞台とするシーン。砦はウォールード王国に属するベネディクタの部隊に襲撃されたようで、クライヴはトルガルとシドルファスとともに潜入し、ベネディクタを追うことになる。
今回のプレイではストーリーフォーカスモードが適用されており、サポートアクセサリ「《オートスロー》の指輪」「《オートトルガル》の指輪」が装備されていたほか、「《オートアタック》の指輪」「《オートドッジ》の指輪」「《オートポーション》の指輪」も所持している。これらがどの程度サポートしてくれるのか、まずは試してみることにした。
「オートスロー」は被弾する直前にゲームスピードがスローになり、ゲージ表示中にR1ボタンの入力に成功すれば敵の攻撃を回避できる。アクセサリを装備していない場合は通常のゲームスピードの中で回避しなければならないが、スローになることで被弾の危険が確実にわかり、回避に対処できる。また、テンポのメリハリがあり、かつ自分の操作で回避している感覚を味わえるのもいい。
「オートドッジ」も試してみたところ、こちらは操作をなにもしなくても自動で回避してくれる。クライヴの攻撃モーション中など回避できないタイミングもあるようだが、倒されるまで被弾を続けることはなさそう。アクションが本当に苦手なプレイヤーでも、バトルに勝てないストレスとは無縁になるだろう。また、「オートポーション」はクライヴのHPが一定以下になったとき、所持しているポーションを自動的に使用してくれるものだが、「オートドッジ」を装備しているなら「オートポーション」に装備枠を割く必要はないかもしれない。
「オートアタック」は□ボタンひとつを使うだけで、剣と魔法の使い分けも、召喚獣アビリティの発動も召喚獣の切り替えも、すべて自動で行ない攻撃してくれる。また、バディであるトルガルへの指示操作を自動で行なう「オートトルガル」の効果も併せ持つ。攻撃操作は□ボタンの連打だけで、しかも効率的かつ華麗にダメージを与えてくれる。アクションが苦手なプレイヤーを強力にサポートするのはもちろん、そのコンビネーションを自分のプレイスキル向上に役立てるのもよさそうだ。
アクションが苦手なプレイヤーでも、「オートドッジ」と「オートアタック」を装備すればストレスなく戦える。敵の強さは変わらないため、一般的なイージーモードにありがちな味気のない見た目にならないのもいい。非常に面白いシステムになっているので、アクションが得意なプレイヤーも一度試す価値はある。
召喚獣の力を駆使する戦略的かつ本格的アクション
砦での戦いに話を戻そう。ベネディクタのもとにたどり着くまでの道中では、ウォールード兵との戦闘が幾度となく発生する。クライヴの攻撃は□ボタンの剣と△ボタンの魔法射撃を基本とし、タメ攻撃やジャンプ攻撃、コンボ攻撃や特殊技などのアクションに派生させつつ、そこに強力な召喚獣アビリティを組み込んでいく。召喚獣アビリティは再発動にクールタイムを要するが、ほかの召喚獣に切り替えることでアビリティを次々と放つといったやりくりも可能だ。
召喚獣アビリティには「フィート」と呼ばれる特殊アクションがあり、フェニックスは瞬時に間合いを詰める「フェニックスシフト」、ガルーダはワイヤーを飛ばして引き倒す「ガルーダエンプレイス」、タイタンは岩の腕でガードする「タイタンブロック」を使える。
こうした召喚獣の力はそれぞれに特徴があり、アクションの手触りが変わるところも面白い。敵や状況に合わせて召喚獣を使い分けられるようになってからが、本作のバトルの真骨頂だ。
また、一部の敵にはHPゲージとは別にウィルゲージがあり、攻撃を加えてウィルゲージを削りきるとテイクダウンを取れる。テイクダウン中は敵の動きが止まり、与えるダメージが最大1.5倍にアップするため、敵のHPを大きく減らすチャンスだ。
攻撃アクションの楽しさにのめり込んでいく一方で、敵の攻撃を回避することに慣れるのは時間がかかった。集団戦で死角から飛んでくる攻撃や、隊長クラスの特殊攻撃を回避するのは、バトルテンポの早さもあってなかなかに難しく、回避の意識はつねに持っておく必要がある。そんな本格的なバトルアクションだからこそ、攻撃で気持ちよくなるのはもちろん、的確な回避を交えた立ち回りができるともっと気持ちよくなれるのだ。
バトル中もドラマティックな演出が満載!
砦内部の礼拝堂では、ベネディクタが仕向けたチラーダ&スパルナとの戦闘に。この中ボス戦ではクイック・タイム・イベント的なボタン入力演出が発生。ゲージ表示中にR1ボタンを入力して敵の滑空攻撃を回避し、続けざまにゲージ表示中に□ボタンを入力して敵を斬り落とす。迫力のカメラワークで見せる演出は、最高にかっこいい! ちなみに、ボタン入力の時間的な猶予はかなりあった。
砦の屋上に出たクライヴは、ついにベネディクタと対峙する。召喚獣ガルーダの力を発現したベネディクタは強敵であり、緊張感たっぷりのバトルが展開。その中でもドラマティックな演出が随所に加わり、否が応でも盛り上がる。会話の内容を細かく伝えることはできないが、ベネディクタのキャラクター性もしっかりと感じ取ることができる、とても濃いボスバトルを楽しめた。
クライヴ対ガルーダからイフリート対ガルーダへ!
場所を変えた次のシーンでは、クライヴが召喚獣ガルーダと対決。これまでは人間どうしのサイズ感で戦っていたが、今回は巨大サイズの召喚獣を相手にすることになる。しかも戦闘の足場が狭く距離を取ることができないため、その迫力に圧倒される。
一度は倒したかに思えたガルーダに捕まり、握り潰されそうになるクライヴだったが、ここで覚醒して炎の召喚獣イフリートに姿を変える。今度はイフリート対ガルーダの召喚獣合戦だ。
イフリートの攻撃方法は、殴る、火球を放つ、突進するという3種類が基本。巨大サイズゆえに重厚感のある動きになっているが、突進や回避では驚くほどの俊敏さを見せ、重いのに速いという野性的な力強さは、操作しながらワクワクしてしまう。さらに、空中に浮く巨岩を飛び移りながらガルーダを捕らえたり、吹き飛ばされた腕が瞬時に再生したり、マウントパンチで殴り倒したりと、イフリートの超パワーをひたすら見せつけられるのがまた楽しい。
この召喚獣合戦は公開中のトレーラー「REVENGE」にも映し出されているが、映像で見るのと実際にプレイするのでは受ける印象がまるで違う。じつに痛快で、こんなにも振り切ったバトルを体験できるとは思っていなかった。
今回の試遊バージョンはプレイ時間にして1時間ほどのボリュームだったが、内容はとても濃密だった。とくに召喚獣合戦は何度遊んでも飽きず、体験会の時間が許すかぎり繰り返しプレイさせてもらった。本格アクションRPGとなった『FINAL FANTASY XVI』の中でも、極めてユニークな要素。ほかの召喚獣とのバトルではどんな体験が待っているのか、今から楽しみだ。
【開発スタッフインタビュー】
吉田直樹
プロデューサー
髙井浩
メインディレクター
鈴木良太
コンバットディレクター
──「FINAL FANTASY」シリーズにおいて、召喚獣はいつも特別で圧倒的な存在でした。本作では召喚獣合戦でプレイヤー自身が操作できますが、召喚獣の特別感や圧倒的な力を感じられるように留意したことはありますか?
高井:今作のゲームプレイはストーリー展開と非常にリンクしています。召喚獣合戦もそこから乖離することはないため、その時のシチュエーションや各ドミナントの心情が、見た目にもプレイ感にも影響が出るよう作成しています。さらにシチュエーションに関しては同じ場面は一切ないですし、その時々で操作方法すら変わります(もちろん初見プレイで難しくなるようなことにはならないよう細かく調整しています)。序盤を例に挙げると、クライヴなどはイフリートの力を使いこなせないので操作感を重く、アニメーションも重いものを再生していますが、ストーリーが進めば軽快な操作感になっていく、といったような変化をつけています。ですので、同じ体験のない臨場感が表現できていると思っています。
──「FINAL FANTASY」シリーズ作品に登場した召喚獣の種類は膨大です。本作では召喚獣がドミナントと密接につながっていることもあり、数を絞る必要があったと思いますが、どのように選択していったのでしょうか。
吉田:召喚獣については、企画立案の際にフォーカスすることを決めていたので、「FINAL FANTASY」全シリーズを通じて、もっとも認知度の高いであろう、逆に言えば誰もが知っている召喚獣を選びました。皆さんがこれまでのシリーズで思い描いてきたそれぞれの召喚獣のイメージが、PS5の力によってどのように描かれ再現されているのか、ぜひ確かめていただけるとうれしいです!
──召喚獣のアートデザインについて、本作独自の考え方や表現があればお聞かせください。
高井:今回の召喚獣の選定は、われわれが「FINAL FANTASY」シリーズで代表的と考えるものをピックアップしています。そのうえで、デザインラインも奇をてらわず直球と思える姿にしています。このゲームでは召喚獣同士が戦うということが最初から決まっていましたから、この点がまず独自性が高いと思っており、15mから100mを超える召喚獣同士が戦ってリアリティがあること、その時のシチュエーションにも見た目の説得力があること、違和感を持たれないことを念頭にデザインしてもらいました。
──プレゼンテーションではロケーションの細かい作り込みにも注目してほしいとおっしゃっていましたが、本作で目指したグラフィックのこだわりをお聞かせください。
高井:各キャラクターや召喚獣の作りこみはもちろんですが、それらが存在するヴァリスゼア各地の配置物の多さや細かいオブジェクトの作りこみに注目していただきたいです。また今作独自の空気感が感じてもらえると思うので、この点はじっくりご覧になっていただきたいです。あとはグラフィックとは若干異なってしまうかもしれませんが、巨大な召喚獣のぶつかり合いを表現するために、スケール感と背景の違和感のなさには注意したので、召喚獣を操作したり巨大な敵と戦う時には、少し気にして見てもらえるとうれしいです。
──難易度の選択ではなく、アクセサリの付け替えでアクション機能をカスタマイズするのは、とてもユニークだと感じました。それらの機能を持たせたモードを選択する方法も可能だったと思いますが、なぜアクセサリの付け替えという方法にしたのでしょうか。
高井:まずモード選択的なもので一括で行なってしまうと、結局のところ簡単か難しいか、ということにしかならないと思っています。今作はアクション部分に力を入れて制作していますが、人によって楽しみ方は千差万別だと思います。「自分は攻撃だけ頑張りたい」とか「回避が苦手だけど、少しはこの部分も楽しみたい」とか「とにかくストーリーに集中したいので、面倒なことはやりたくない」とか。これらの要求を叶えるには選択式のシステムで解消するのがいいと思いました。かつ3つの装備枠の中で、各アクションに役立つ装備アクセとサポートアクセの取捨選択を模索する装備の工夫というゲーム性も待たせることができると思っています。
──サポートアクセサリを付けず、手動アクションでうまく戦えるとスコア(評価)が上がるとの説明がありました。スコアが高いことでどのような恩恵がありますか? また、「自分の腕でアクションを楽しみたい」という以外に、サポートアクセサリを利用しないことのメリットのような要素はありますか?
高井:スコア(評価)に関してですが、これらは本編プレイには関係ない特別なモード(アーケードモード)でのみ表示されます。基本的には『FINAL FANTASY XVI』において、スコアは誰もが必要としているものではないですし、ゲームクリアにおいて要求されるものでもない、という考えでいます。スコアはあくまでもアクション上級プレイヤーが競い合う指針でしかありません(このスコアでPS5リーダーボードで順位を競えたりします)。アーケードモードではスコアに関しても最終リザルトが表示されますが、サポートアクセを装備しないとボーナスが加算されるので、スコアを稼ぎたい人は外したほうがいい、という形になります。
──サポートアクセサリを外したときのバトルは、想像していたよりもハードなアクションでした。バトルデザインのコンセプトと、完成形にたどり着くまでの苦労などがあればお聞かせください。
鈴木:『FINAL FANTASY XVI』は召喚獣をフィーチャーした作品になっているので、アクションパートも召喚獣の能力を軸としたバトルデザインにしています。ストーリーを進めていく過程で、さまざまな召喚獣の力を習得していきますので、習得したそれぞれの召喚獣の力を使って戦闘を行なった時に戦術が大きく変化するようにしました。今回の試遊会のバージョンでは、フェニックスとガルーダとタイタンを公開させていただきましたが、例えばガルーダであれば「アクションの操作における手先の器用さが召喚獣の強さに反映される」形としていて、タイタンは「ユーザーの反射神経が召喚獣の強さに反映される」形としています。それぞれの召喚獣に異なるコンセプトを設けています。ストーリーを進めていき、新しい召喚獣の力を習得するたびに、新しい遊びが提供されます。
またその上で、それぞれの召喚獣の戦術の幅を広げるためのアビリティも用意しました。このアビリティにも、それぞれ異なる特色をつけており、使用用途や特色が被らないように、そしてプレイスタイルや好みによって、ユーザーごとに装備アビリティの内容が大きく変わるように設計しました。つまり、装備アビリティに正解がないようにしています。アビリティの異なる魅力をしっかり感じてもらい、どれを装備するかを悩んでもらうこと、ここに一番苦労しました。開発終盤のブラッシュアップのターンで全体バランスを整え、開発チーム内で集計を取った結果、使用されている召喚獣とアビリティがバラついていたので、最終的にはいい感じに仕上げられたと思っています。
──おまかせアビリティは、いわゆる「最強装備」的な判断で習得・強化されるのでしょうか。それともシーンに応じて異なる結果になることもあるのでしょうか。
鈴木:おまかせアビリティは最強装備的な機能ではなく、その時にプレイヤーが習得しているすべてのアビリティの中から、さまざまなカスタマイズバリエーションでアビリティウィジェットにアビリティを自動設定する機能となります。おもに、メインメニューのアビリティ画面で「おすすめ習得」を活用するユーザーさん向けのサポート機能です。とにかく細かいことを考えず、これまでに習得してきたさまざまなアビリティを使い、多彩なアクションを楽しみたい、といった要望にお答えする機能となります。シーンに応じてアビリティカスタマイズの内容が固定化されるような機能ではありません。また、クライヴが習得するそれぞれのアビリティには上下関係はなく、ストーリー序盤で習得したアビリティがストーリー後半でもしっかりとバトルに活きるように調整しています。特定のアビリティの組み合わせが最強、といった形にはならないようにしています。
──クライヴは多くの召喚獣の力を身に付け、アビリティを習得できますが、同時にセットできるのは3つの召喚獣にアビリティが各2種類ずつということになるでしょうか。覚えたすべてを同時に使い分けるようなシステムを考えたことはありましたか?
高井:基本的には3つの召喚獣(フィート)にアビリティが各2種類ずつ、計6種類という認識が正しいです。覚えた召喚獣のアビリティやフィートのすべてをバトル中に使いこなす、といった形は最初から念頭にありませんでした。アクション部分を作りこむと決めた時点から、メニューを開いて切り替えるというような操作は画面が止まってしまうので考えませんでしたし、バトルことに装備アビリティを再セットして挑むことはしないで済むようにしています(できなくはないですけれど)。プレイヤーの皆さんが気に入ったアクションの組み合わせで戦っていただきたいという思いが強かったので、今回のような形を目指していました。
──最後にPS Blogの読者に向けてメッセージをお願いします。
吉田:6月22日(木)の全世界同時発売に向け、いよいよバトルシステムやその手触りなど、ゲーム体験の根幹に関わる情報を公開させていただきました。この先さらに、RPGとしての『FINAL FANTASY XVI』の情報についてもしっかりお伝えしていこうと思っていますので、ぜひ引き続き情報発信にご注目の上で、発売をお待ちいただけたらと思います!
高井:今回メディアの皆さんにプレイしていただき、感想も聞くことができて、ようやく少し手ごたえを感じることができました。現状では最適化とバグ処理を中心に、マスター前最後の追い込みをかけています。発売に向けて、この後もスタッフ一同、全力疾走していきますので、もう少しだけお持ちください!
鈴木:今回は、バトルパートの詳細を初めて公開させていただきました。『FINAL FANTASY XVI』のバトルは、フルアクションで構成しており、アクションゲームが苦手な方でも楽しめる「敷居の低さ」と、アクションゲームが得意な方でもやり込める「奥深さ」を実現しました。「FINAL FANTASY」シリーズのファンの皆さんの中には、アクションになったと聞いただけで身構えてしまうユーザーさんもいると思います。僕としては、むしろそのようなユーザーさんにこそぜひ遊んでいただけたらと思っています。アクションゲームが苦手な人でも楽しめるアクションRPG、それを体験できる作品に仕上がっていますので、『FINAL FANTASY XVI』がアクションゲームの面白さを知るきっかけになったらうれしいです。今後はRPGパートの詳細も公開していきますので、発売を楽しみにお待ちいただけたらと思います。
※今回のバージョンはメディア体験用の特別版であり、リリース時のものとは異なる場合があります。
※画面はメディア体験用の特別版であり、リリース時のものとは異なる場合があります。
FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:アクションRPG
・発売日:2023年6月22日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 9,900円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 デラックスエディション 12,100円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 コレクターズエディション 38,500円(税込)
ダウンロード版 販売価格 通常版 9,900円(税込)
ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 12,100円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)
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