PS5™/PS4®『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』のサイドクエストが伝えるテーマや心情とは?

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PS5™/PS4®『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』のサイドクエストが伝えるテーマや心情とは?

※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は、2022年に発売されたゲームのなかで最もスリリングな戦いや感動を与えてくれたもののひとつです。本編はもちろん、“託されし想い”(”サイドクエスト“の別名)にも、記憶に残る瞬間やキャラクターがありました。ただ、ゲーム開発をするうえで、これらのサイドクエストを実装することは困難なものだったようです。

開発元のサンタモニカスタジオは、キャラクターたちの物語を際立たせるような、たとえ小さくとも心に残るストーリーを持つ、ユニークなサイドクエストを作ることを目標にしました。これらのクエストによって、主人公のクレイトスだけでなく、かつて冷酷だった戦神がオリュンポスでの旅を終えてから見つけ出した彼の仲間、味方、そして家族の人間性を深堀することができます。

私たちは、リードプレイヤーインベストメントデザイナーのAnthony DiMento氏と、リードライターのRich Gaubert氏に、ゲームのなかでも特に記憶に残るサイドクエストの実装についてお話を聞きました。

大局的な視点で

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』のサイドクエストは、北欧神話の世界を掘り下げるだけでなく、キャラクターたちや彼らの旅から生まれる壮大なテーマをより広げられるよう設計されています。

「今作では、サイドクエストに求めるものがはっきりしていました。多くの開発者がサイドクエストを通して物語や世界観やその伝承を豊かに説明したいと考えると思います」とGaubert氏は語ります。「確かにそういった目的もありますが、それを最終的な目的にはしたくありませんでした。サイドクエストの主な目的はキャラクターやテーマにあり、メインストーリー、そしてサイドクエストの物語がピースとなって、ゲームの全体図が見えるようにすることでした。伝承や世界観の構築はキャラクターを掘り下げたことによる副産物で、その逆ではありません。プレイヤーはキャラクターに感情移入をするものです。もしサイドクエストがキャラクターを軸にしていないと、些末なことに埋もれてしまいがちなのです」

本作品の最初の“託されし想い”である「アースガルズの回し者」は、それがもっとも顕著に表れています。このクエストでは、オーディンに認められるためにミーミルが行なった過去の過ちに、クレイトス、アトレウス、ミーミルが立ち向かいます。ミーミルはオーディンに資源を与えるために掘削機を建設するようスヴァルトアルフヘイムのドワーフを説得したのですが、この掘削機によって周囲は汚染され、スヴァルトアルフヘイムからは資源がなくなり、多くの犠牲が払われました。ミーミルはこの損害をもとに戻して土地を癒やし、罪の意識を晴らそうとしています。

この“託されし想い”は、ミーミルの過去を掘り下げ、オーディンへの深い憎しみの理由を明らかにするだけでなく、過去と向き合うというより幅広いテーマも反映しています。そしてこのテーマは、クレイトス自身が苦しんできたことでもあります。この“託されし想い”の中心人物はクレイトスではありませんが、このサイドクエストを進めるなかで、サンタモニカスタジオのチームは、冷酷な主に仕えていた頃の過ちを正すミーミルを助けるかつての戦神に、新たな光を投げかけることができました。個人の責任や悔恨といった、ふたりのキャラクターに通じるより幅広いテーマに触れることができたのです。

「テーマに狙いを定め、脇役を主人公の鏡として登場させることで、選択しなかった道は何なのか示したり、もしキャラクターがそのままでいたら何が起こるのかという警告をもたらしたりできるのです」とGaubert氏は続けます。「脇役は主人公の鏡です。この哲学は、メインの物語だけでなくサイドクエストにも通じていて、大局的に彼らの立ち位置を示しています」

変わらないもの

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』のサイドクエストを設計するにあたって、プレイヤーインベストメントチームは物語を作り始める前にいくつかの重要な要素を決めました。「いつどこでこのクエストが開放されるのか?」であったり、「物語を主導するキャラクターは、ラグナロクの前後で同じモチベーションを持っているのか?」といった疑問は、開発に不可欠な問いでした。

重要なのは、クエストに挑むタイミングやペースをプレイヤーに任せることで、『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の世界をダイナミックかつまるで実在する世界かのように感じさせることでした。

「世界がつながっていて、生きていると感じるようなものにしたいと思いました」とDiMento氏は言います。「サイドクエストが開放されたときすぐに取り組まなかったり、メインストーリーが終わってから取り組み始めたことを後悔させるようなことは、絶対に避けたいと思いました。ただ皆さんに、遊んでもらい、タイミング問わず楽しんでもらえるようにしたかったのです」

ですが、このゲームデザインではパーティーを離脱するキャラクターといった難しい変数を考慮する必要がありました。

「『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』では、過去のシリーズよりも多くのキャラクターが登場しますが、その多くは物語で出てくる場面が限られています。そのため、私たちは“変わらないもの”を探し始めましたサイドクエストを可能にする手助けとなってくれる、頼りになるキャラクターたちです。大きな課題のひとつでしたが、解決するのはワクワクしました。「アースガルズの回し者」は、これがうまくいくか確かめる最初のテストでした。私は不変的なキャラクターを求めてライターと相談し、彼らはこの提案に同意してくれました。序盤で彼を置いていく場面がありますが、その後探索が可能なときはつねに彼が一緒にいるよう、シナリオを書き直しました」

メインストーリーを終えた方なら、メインストーリー中、またはその後にプレイできる”託されし想い”を作るのに、さらに複雑な要素を考慮しなければいけなかったことにお気づきでしょう。サイドクエストは、不変性を考慮しなければいけないだけでなく、複数のキャラクターがクレイトスと一緒に行動し、その状況が興味深いものにならなければいけないのです。

良い例が感動的な“託されし想い”、「鎖の重み」です。このサイドクエストでは、罪のないものを犠牲にしてまで主神に取り入ろうとしたミーミルの別の過去の過ちに焦点を当てます。このサイドクエストでは、”リングバーク”というクジラのような生き物が捕らえられています。ミーミルは、リングバークの脂身を取り出してオーディンのために油を作った後、自分自身でこの生物を殺すか、解放して主神の怒りを買うかという難しい決断をする代わりに、リングバークが最終的に死ぬことで問題が解決することを望みながら、何世紀も鎖で繋いだままにしたのです。サイドクエストの道中、一行はリングバークがまだ生きていて、果てしない苦しみに虐げられていることを知ります。そしてクレイトス達は、この生物に残された時間を自由に過ごせるようにと、助けることを決意するのです。

この“託されし想い”は、クレイトスやミーミルだけでなく、フレイヤやアトレウスのようなほかのキャラクターにとっても核心をつくものになります。

「このクエストはキャラクター全員の過去を反映したものだったので、とても豊かなものとなりました」とGaubert氏は言います。「ミーミルとクレイトスは、文字通り囚われの身だったのでわかりやすいと思います。ですが、これは心を蝕む結婚の後、長い間ミズガルズに囚われていたフレイヤの過去を反映したものでもあります。そしてこれはアトレウスについても当てはまることです。家族が押し付けた役割に囚われ、逃げ出したいと切に願っていたのですから」

このクエストは、いつ、誰とともにとりかかっても問題ないよう、全員にとって意味のあるテーマを設定し、キャラクターたちをさらに奥深く理解できるよう、デザインされています。

キャラクターの成長を見せる

サイドクエストは、その名の通り“寄り道”なため、クエストを請け負うことがクレイトスの性格を損ねないよう考慮しなければなりませんでした。彼は、前作を通してストイックな現実主義者からより子育てに気を使い思いやりのある父親へと徐々に変わっていきます。クレイトスは前作『ゴッド・オブ・ウォー』で成長を遂げましたが、ただ親切のためだけにどんな依頼でも引き受けるのは彼らしくないとチームは理解していました。

「クレイトスの人格を丸くしたことで、サイドクエストを作ることができるようになったのです」とDiMento氏は言います。「過去の作品で眼光鋭い殺戮マシンだった彼には、このやり方は通用しなかったでしょう。ですが、これらのサイドクエストを引き受ける個人的な理由をクレイトスに与えることで、彼のストイックさを維持しました」

「一般的には、クレイトスが善行を行なう時は下心があります。そうでなければ、嘘っぽく感じるでしょう」とGaubertは続けます。「クレイトスがあまり利他的でなく、己の持つものを守ろうとするゲーム序盤では特にそうです。ですが、ゲームクリア後は、彼は報酬を目的とせずこれらのサイドクエストを引き受けていることが暗示されます。なので、最初からこのような動機を組み込んでおけば、メインストーリーで変化する彼の性格に対応するために別バージョンのセリフを書く必要が減らせます」

「砂漠の秘密」は、クレイトスが個人的な理由から善行を行なうサイドクエストのひとつです。アトレウスが痛みのうめき声を聞くことで始めるこのクエストでは、ハーヴグーヴァという生き物を巻きひげの牢獄から解放する冒険に出ます。「砂漠の秘密」は、「砂の歌」で完了する2パートに分かれたクエストの前半です。双方とも、クレイトスが父としてどれだけ成長したか、そして彼がアトレウスの個人的な価値観をどれだけ重んじるよう成長したかを確かめられます。

「踏みならされた道を外れ、サイドクエストを進むことを選択すると、クレイトスが成長していることがわかることでしょう。道中、プレイヤーとクレイトスの両方が気づく何かがあると思います」とDiMento氏は言います。「「砂漠の秘密」と「砂の歌」ではこのストーリーをアトレウスとともにこなすと、アトレウスはクレイトスになぜこの動物を助けるのかと問い続けます。そして、ミーミルの“こやつはお前さんと過ごしたかったんじゃよ”というセリフが来るのです」

このサイドクエストでは、クレイトスとアトレウスの関係がこの数年でどれだけ進化したかがうかがえるシーンもあります。クレイトスは過去から学び、人格的に成長できたため、息子について深い理解を示すだけでなく、アトレウスがお願いしなくても行動に移そうとする積極的な姿勢も見せているのです。クレイトスは最終的にハーヴグーヴァを助けますが、それは、そのことが息子にとって重要だとわかっていたうえ、アトレウスとともに時間を過ごしたかったからです。

チームワークの結晶

これらのサイドクエストを実装したサンタモニカスタジオの努力は、計り知れないものです。Gaubert氏は、ゲームにより命を吹き込み、キャラクターとともに物語を辿ることでゲームのテーマを際立たせることが、どれだけ素晴らしいかを強調しました。そしてDiMento氏が話してくれたように、これはすべて、すべてのチームの協力によるものです。

「スタジオの皆さんは、自分たちがしていることについて非常に高い目標を掲げています」とDiMento氏は言います。「素晴らしい仕事をしたいという欲求が、皆の原動力になっています。ここまで多くの部門を一緒にまとめあげてコンテンツを作り、しかも、メインストーリーとは少し違う方法でテーマを表現できるとういうこと、自分たちのチームワークを最大限活用できたことに、とても満足しています」

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は、PlayStation®5とPlayStation®4向けに発売中です。

※本記事で紹介しているGIFは英語版です。


ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®5 / PlayStation®4
・ジャンル:アクション
・発売日:好評発売中
・価格:PS5/PS4 ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 9,790円(税込)
    PS5 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
    PS4 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
      ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:Z(18才以上のみ対象)


PS Blogの『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』記事はこちら


『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』公式サイトはこちら

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©2022 Sony Interactive Entertainment LLC. God of War is a registered trademark of Sony Interactive Entertainment LLC and related companies in the U.S. and other countries.

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