『SIGNALIS』プレイレビュー! ピクセルアートで描かれる恐怖と戦慄のSFサバイバルホラー

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『SIGNALIS』プレイレビュー! ピクセルアートで描かれる恐怖と戦慄のSFサバイバルホラー

PlayStation®4用ソフトウェア『SIGNALIS(シグナーリス)』は、墜落した宇宙船の乗員である主人公となって、荒廃した謎の施設でパートナーを探すサバイバルホラーアドベンチャーだ。突然フラッシュバックする悪夢のような記憶に苛まれながら、クリーチャーがうろつく施設でさまざまな仕掛けを解きながら探索を進める、恐怖と緊張感に満ちた冒険が描かれる。

特徴的なのは、ピクセルアート形式のグラフィックだ。一見レトロ調に見えるものの、よく見るとキャラクターの細やかな動きや光の明暗がきちんと表現され、探索の舞台となる薄暗い施設が醸し出すじっとりとした雰囲気をリアルに感じられる。また、随所で挿入されるアニメ調のカットシーンもダークSF的な雰囲気たっぷりで、こちらも大きな見どころといえるだろう。

CHECK POINT①
プレイヤーの考察で見え方も変わる? 謎に包まれたストーリー

本作の開発を手掛けたのはドイツのゲームスタジオであるrose-engine。プレイヤーが操作する主人公のエルスターは、「レプリカ」と呼ばれる人型のアンドロイドだ。彼女が、とある極寒の惑星に墜落した宇宙船のコールドスリープ設備で目を覚ますところから『SIGNALIS』の物語は始まる。

宇宙船には彼女のパートナーで、この世界での人類を指す「ゲシュタルト」であるアリアーネ・ヤンが同乗していた。しかし、エルスターが目覚めたとき船内に彼女の姿はなく、残されていたのは古ぼけた写真のみ。アリアーネを探して船外に出たエルスターが謎の施設を発見し、「黄衣ノ王」という本を手にしたところから探索は本格的に始まっていく。

主人公を取り巻く状況がほとんど説明されないまま不気味な場所での探索行に臨む、サイコホラー的な導入で始まる本作。探索中に入手できるメモなどからはエルスターたちが属する国家が高い科学力を持ち、人々を厳しく管理するディストピア的な体制であることがうかがえるが、具体的な世界の在りようが明示されることはない。

また、ゲーム中は随所でフラッシュバックのような現象が発生し、エルスターやほかの人物の記憶らしき映像が白昼夢のように映し出されることも。こうした断片的に得られる情報をどうつなぎ合わせ、主人公が置かれた状況をどう把握するか、その大部分がプレイヤーの想像力にゆだねられているのだ。物語や世界の謎を考察するのが好きなアドベンチャーゲームファンなら、たまらなく魅力的に感じられるストーリー展開といえるだろう。

CHECK POINT②
限られた物資を活用し、クリーチャーがはびこる施設を探索!

ゲームシステムは、俯瞰視点からキャラクターを操作する、いわゆる見下ろし型の画面で探索を行なう過去の名作サバイバルホラーにインスパイアされたもの。左スティックで移動、×ボタンで調査、□ボタンでアイテム画面呼び出し、〇ボタンで走るといった基本操作に加え、武器を装備すると銃を撃つなどの攻撃アクションが繰り出せる。こうしたアクションを使い、さほど広くない部屋や廊下から構成されるマップを探索していく。なおアイテム画面は、方向キーで無線を使ったりメモなどを見たりする画面や、マップ表示画面に切り替え可能。困ったときはマップを開くといい。

調べられるものがある場所は、近づくことでカーソルが表示される親切設計。各種のメモや書類、本などを見落とさないよう、各部屋をくまなく調べていこう。拾えるアイテムはハイライト表示こそされないが、あれば比較的目立つので、少し注意していればそう見落とすことはないはずだ。

注意したいのは、本作では一度に持てるアイテムが6つまでという制限がある点。幸い、セーブポイントにアイテム保管ボックスがあり、不要なアイテムは預けておける。だが、初めてのマップで欲張って消費アイテムを回収しすぎて、キーアイテムを発見しても持てないといった失敗もありがち。なるべくアイテム枠をあけておくよう気を付けよう。

また、探索中に避けて通れないのが、クリーチャーとの遭遇だ。施設内に現れるクリーチャーにはいくつかの種類がいるが、どれもレプリカが何らかの理由で変異したもので、走って音をたてたり、接近したりするとこちらに気づいてしつこく襲いかかってくる。対抗手段は、かわして逃げるか、入手した武器で攻撃して倒すかのどちらかだ。

武器には、ピストル、ショットガン、ライフルといった遠距離用武器と、スタンバトンなどの近距離用武器があり、アイテム画面で装備しておくことで攻撃が行なえる。銃の場合は構えて敵に狙いをつけ、赤いカーソルが出たところで射撃。銃はカーソルを合わせている時間に応じて狙いが精密になり、しっかり狙いを付けることで同じ攻撃でも威力を強化できる。近距離武器は敵が近くにいれば主人公が向いている方向に攻撃を繰り出せる仕組みだ。

一定ダメージを受けると敵はダウンするが、短時間で起き上がって再び迫ってくる。ダウン中に近づき、踏みつけてとどめを刺せば倒すことができる。ただし、本作のザコ敵は一度倒してもその場に死体が残り、しばらく時間を置くと復活する。襲われるたびにいちいち倒していると弾丸がもたないので、逃げるという選択も常に視野に入れておこう。

敵には複数の種類がいるが、基本的にどれも動きは遅く、周囲に十分なスペースさえあれば倒すのも逃げるのもそう難しくない。アクションが苦手でも、敵のせいで先に進めないということはまずないはずだ。倒さなければ先に進めないボスのような敵もいるが、武器弾薬と回復アイテムを十分用意すれば必ずクリアは可能。倒すのに手順が必要なものもいるが、逆にその手順に気が付けば勝利するのも簡単だ。距離をとって敵の行動パターンを観察し、攻略法を考えるのも楽しい。

CHECK POINT③
解けると気持ちいい! 挑戦しがいのある謎解きが続々登場! 

サバイバルホラーには欠かせない謎解き要素が充実している点も、本作の大きなポイント。アイテムを組み合わせてキーアイテムを作る、金庫を開けるためのナンバーを探すといった小さな謎から、大型の設備を動かすための論理パズル的なものまで謎のバリエーションも幅広く、手ごたえをしっかり感じられるものばかりだ。

好感が持てるのは、本作のSF的世界観にしっかり合致した謎が多いこと。一部には「なんでこんな仕掛けを……?」と思うものもなくはないが、理不尽さはあまり感じず、その存在を自然に受け入れられる謎解きが中心だ。特に、本作ならではの無線を使って解く謎解きは、少し意外なところで使う場面が用意されていて「あっ、ここで使うのか!」と気づく気持ちよさを味わえる。

ネタばれになってしまうため詳しくは語れないが、本作の謎解きで重要なのはマップをくまなく探索して、メモなどのヒントをしっかり集めることと、装置などの表示や動きをきちんと観察すること。一見ノーヒントのように見えても、装置に描かれた文字や拾えるマニュアルに必ずヒントが隠されており、そうした部分も見逃さないようにすれば必ず先は開ける。逆に、時にはヒントなしでプレイヤーのひらめきで解けてしまうケースもあったりして、それはそれで爽快だ。ぜひ、自分の手で謎を解いていく楽しさを味わってみてほしい。

重厚な世界観を背景に、薄暗い施設の中で描かれる静かな恐怖を体感できる『SIGNALIS』。どこか懐かしいながらも決して古さは感じさせない独特な雰囲気のグラフィック。さまざまな考察を楽しめる不思議な謎に満ちたストーリー。出来のよさを感じさせる謎解き要素。そして誰もが楽しめる適度な難易度と多彩な魅力と個性を持った作品だ。エンディングが複数あり、ストーリー考察を含めて繰り返しプレイしたくなるのもおすすめしたいポイント。ホラーゲームファン、アドベンチャーゲームファンはぜひプレイしてみてほしい作品だ。

『SIGNALIS』プレイ動画

『SIGNALIS』プレイレビュー! ピクセルアートで描かれる恐怖と戦慄のSFサバイバルホラー

SIGNALIS

・発売元:PLAYISM
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:2D+3Dサバイバルホラーゲーム
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 4,378円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・レーティング:CERO:C(15才以上対象)


『SIGNALIS』公式サイトはこちら

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