※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
皆さん、冒険の準備はできていますか? PC版『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』がついに発売され、とてもワクワクしています!
Iron Galaxy StudiosによってPC用に最適化された『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』と『アンチャーテッド 古代神の秘宝』。以前、そのPC版ならではの機能やスペックについて皆さんにお伝えしました。
このシリーズが初めての方も、これまでいくつもの危険な冒険を乗り越えてきた熟年の冒険家の方も、PC版『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』が発売される今こそ、この作品がシリーズをどのように成長させてきたか振り返る絶好の機会です。今回はNaughty Dogが「アンチャーテッド」シリーズのゲームプレイには欠かせない要素をどのように開発してきたのか、その詳細を掘り下げていきます。
高みを目指しましょう!
シリーズで初めてPlayStation®︎ 4用ソフトとして発売された『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』をきっかけに、開発チームはゲームをさらに進化させるポイントを見出しました。クライミングの要素は次世代機で進化したとてもいい例のひとつです。『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、「ネイサン・ドレイク」の動作を圧巻のアニメーションで描きながら、これまでプレイヤーが体験したことのない操作を可能にしました。
「『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では、クライミングにもっと奥深さを与えたいと思い、リアルさを追求しました」と、アニメーションディレクターのJeremy Yates氏は説明します。
開発初期に屋内のクライミングジムへ行き、インストラクターから何度かレッスンを受けたのが役に立ちました。この試みが『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』の新たなクライミングシステムを構築する上でとても意義のあるものになったのです。開発チームは、実体験とバランス感覚や重心の置き方などを理解するためのビジュアル資料を参考に、クライミングのひとつひとつの動作がどれだけ慎重に考えられているかも理解することができました。
「初めて自分でウォールクライミングをしたとき、足にどれだけの体重がかかるかすぐに気付きました。それがゲーム内のアニメーションに反映されています」と、リードゲームデザイナーのEmilia Schatz氏は言います。
クライミングのシステムを確立するために、スタミナバーを入れたり、プレイヤーが自由にルートを選んでクライミングできるようにしたりと、さまざまな“ルート”を試行錯誤しました。とても楽しいアイデアも出ましたが、クライミングがゲーム全体のなかでどのような役割を果たすかを考慮する必要がありました。
「一歩間違えると、危うくシステムが複雑になり過ぎてしまうところでした。私たちが大切にしていることは、クライミングシステムを他の要素といい具合に調整することです。クライミングの要素だけを突き詰めるとクライミングはもっと楽しくなったかもしれませんが、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』はクライミングゲームではないことを念頭におかなければなりませんでした」とSchatz氏は語ります。
余分なシステムを取っ払うことで、本当に注力するべきものが明確になりました――クライミングを活用して『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のネイサン・ドレイクや『アンチャーテッド 古代神の秘宝』で登場する「クロエ・フレイザー」とプレイヤーを結びつけることです。それは「アンチャーテッド」シリーズ史上これまでにない、自由度の高いクライミングをプレイヤーに提供することを意味していました。
リーチシステム
「私たちは、プレイヤーにネイトが手を伸ばす緻密でアナログな操作を体験できるようにしたかったのです。そこからリーチシステムが生まれました」とYates氏は説明します。
『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のリーチシステムでは、単純に決められたルートを順番に進んでいくよりも自由度高く遊べるようになってます。プレイヤーは、コントローラーの左アナログスティックを使ってネイトが手を伸ばす距離と角度を操作できます。動作を滑らかでリアルに見せるために、裏側ではネイトが取りうる動きを実現するために“輪”を巧みに使ったシステムを組み込んでいます。それぞれの動作を表現するために、たくさんのアニメーションが必要になっています。
「すべての姿勢をデザインし、アニメーションを作るのは大変な仕事でした。次に、各姿勢から、ベースとハンドホールド位置の差分をとり、さらにその位置ごとに特定のアニメーションが存在することもあったのです」とYates氏は続けます。
現実の岩壁をゲームがしっかりと表現するために、モーションキャプチャーの段階で調整可能なクライミングウォールを作り、パルクールアスリートであるJesse La Flair氏がネイトのあらゆる動作を実演する姿をキャプチャーしました。
「私たちはシステム内の輪を再現して、輪と同じ位置にあらかじめネジ穴を開けておくことでホールドの位置を簡単に調節できるようにしました。Jesseには考え得る限りすべてのパターンを登ってもらいました」とYates氏は説明します。これによりネイトの動作をよりリアルにすることができたと加えました。
プリンシパルプログラマーのRyan Broner氏は、リーチシステムの滑らかな動きを実現し、クライミングシステムが正常に動作するために尽力したひとりです。
「『アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス』からの大きな変化は、2カ所を同時に掴むことができることと、その位置がどんなに離れていても問題ないことです」とBroner氏が語ります。これは上半身を自然な方向に進ませるために作業が必要なことを意味しており、さらにチームがクライミングジムで学んだ通り、足のことも考慮する必要がありました。
「私たちは足がただぶら下がっているのではなく、しっかりと足がかかる位置を探すようにしました」
「Ryanは、四肢と根本となる胴体、そしてそれらの連動にフルボディIK(フルボディ逆運動学)を取り入れてくれました。このおかげで、これまでよりもずっと自然なクライミングシステムを構築することができました」とYates氏は語ります。
クライミングに、より自然で多様な動きを取り入れたことで、ネイトが実際に進むルートがよりダイナミックに、そしてやりがいのあるものになりました。
「それにより、より自然な岩肌を作ることも可能になりました。以前から、クライミングでネイトの手が届く距離はかなり短いと思っていました」とSchatz氏は説明します。「『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では、ネイトがかなりの距離まで届くようになったため、岩肌の間隔を広げることができました。また、間隔が広がったことで、次につかむポイントが視覚的に必ずしも正確なルートを示さないようにすることができました。プレイヤーが試しながらネイトの手が届く範囲に慣れてもらうために、十分な間隔を空けてあるのです」
チームが活用したさまざまなツールのおかげで、クライミングルートが環境に自然に溶け込むようになっただけでなく、より複雑なルートも創り出すことができました。どのように登るのかを考える必要があるため、プレイヤーの探求心を刺激することができました。
「クライミングウォールをゲームへの反映する作業は自動的に行なわれました。ゲーム内で見えるものは、現実で設置されているものです背景担当のアーティストがバーチャルな壁を調製する必要はありませんでした」とYates氏は説明します。「リアルタイムで手がかりの位置を動かすことができました。手がかりを足すのはとても簡単だったので、私たちが“スイスチーズ”と呼んでいる手がかりがたくさんついた岩壁は、簡単に調整できました。プレイヤーが自力でルートを見つけられるようにしたかったのです」
岩場や老朽化した建物など、プレイヤーはさまざまな環境でのクライミングを体験することができます。プレイヤーにクライミングでさらに自由度を与えるのはハーケンです。ハーケンは自由度の高いクライミングシステムでの試行錯誤から生まれ、プレイヤーが解かなければいけないパズル要素となります。(ふたつのハーケンを同時に使う画像は以下の通りです)
プレイヤーが特定の壁に挑戦しているときに、タイミングと角度を合わせて、ハーケンを進みたい方向の壁に引っ掛けることが要求されます。
「自分でどう動いて、どこに掴める位置を設置するか考える試行錯誤を体験してほしかったのです。プレイヤーとして、“ネイトのハーケンをどこに設置すれば向こう側の岩壁に飛び移ることができるのか”などを考える感覚を大事にしました」とSchatz氏は語ります。「ハーケンはとてもクールな要素で、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』で実装されたリーチシステムがなければ実現できませんでした」
Naughty Dogが実装した素晴らしいアイデアと、実装まで至らなかったアイデアから学んださまざまな教訓を経て、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のクライミングシステムでは、これまでにないほど繊細でアナログな操作が可能になりました。この取り組みは、クロエ・フレイザーを主人公に繰り広げられる『アンチャーテッド 古代神の秘宝』にしっかりと引き継がれました。『アンチャーテッド 古代神の秘宝』では、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では後半で登場するハーケンを、冒険序盤から取り入れることができました。
「『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』の出来栄えには本当に満足しています。しかし、『アンチャーテッド 古代神の秘宝』ではさらに多くの要素を盛り込むことができ、本領を発揮することができました」とSchatz氏は語ります。
この機能の開発を通して、開発チームは大きく成長することができました。
「『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、動作のフィードバックが重要だと証明してくれました。『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では、スティックを倒すと何も掴むものがなくても体がその方向に動き始めます。そのフィードバックがあることによって、行きたい方向を自然な形で調整ができ、キャラクターとのつながりをより感じることができるのです」とBroner氏は語りました。
「私たちは“地に足が着いた感覚”を目指しています。これがうまくいくと、プレイヤーはよりキャラクターへの親近感が強くなり、キャラクターに感情移入しやすくなります」とSchatz氏は続けました。
リーチシステムから、ハーケン、そして動きの滑らかさとリアルさまで、クライミングシステムの全てが進化し、プレイヤーは「アンチャーテッド」のキャラクターに、より没頭することができるようになりました。長年のファンの皆さんには、この「アンチャーテッド」の本質的な部分をより深く理解していただけると思いますし、新しいファンの皆さんには、ネイトとクロエのクライミングや戦闘など、さまざまなことを体験していただけるのを楽しみにしています。
『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』はSteamとEpic Game Storeで好評発売中です。
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アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション
・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PC(Steam / Epic Games)
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:ダウンロード版 販売価格 5,390円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
PS Blogの『アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション』記事はこちら
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