※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
ゲーム制作において、特に人気シリーズの続編を制作する際には、イノベーションは極めて重要です。開発チームにとって、前作に対するファンの想いと新しい体験との間でバランスを取りながら、プレイヤーに驚いてもらえるようなゲームプレイを生み出すことが重要な課題となります。2018年に発売された『ゴッド・オブ・ウォー』開発スタジオのサンタモニカスタジオは、このプロセスを熟知している開発チームのひとつです。
『ゴッド・オブ・ウォー』の続編『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は、11月9日(水)に発売されます。この新作では、クレイトスの頼もしい武器「リヴァイアサン」や「ブレイズ・オブ・カオス」や、さまざまな使い方ができる盾、新たな神話上の怪物との対決など、前作で高い評価を得た戦闘がさらにパワーアップしています。
今回は『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の発売に先立ち、PlayStation Studiosとサードパーティスタジオの才能あるゲーム開発者の皆さんに『ゴッド・オブ・ウォー』の印象的な戦闘を振り返ってもらいました。リヴァイアサンの爽快な斧投げ攻撃から臨場感あふれるカメラワークまで、さまざまなポイントに言及しながら近接戦闘に命を吹き込むにはどうすればよいかを語っていただきます。
– Ted Fishman サッカーパンチ リードコンバットデザイナー
「『ゴッド・オブ・ウォー』は、大いに刺激を受けた作品です。アクションゲームのさまざまな要素を融合し、新たなスタンダードを確立したこのゲームは、『Ghost of Tsushima』の戦闘アクションに大きな影響を与えました。
たとえば、『Ghost of Tsushima』で防御や受け流しができない攻撃の際に表示される青と赤の光は、『ゴッド・オブ・ウォー』でプレイヤーに必要なアクションを促す黄と赤のリング状のサインから考案されました。
また、『Ghost of Tsushima』で決闘相手を追跡して島中を転戦する伝承「小次郎の六本刀」は、『ゴッド・オブ・ウォー』の「ヴァルキュリア」のゲームデザインが大きなヒントとなっています。各決闘者が独自の技を持っていますが、最後の決闘ではヴァルキュリアのように、それまで一騎打ちしてきたの相手のさまざまな技がすべて取り込まれます。最後のヴァルキュリアである「シグルーン」には何度もやられましたし、『Ghost of Tsushima』の「小次郎」には、シグルーンと同じように多くのプレイヤーを倒してもらいたいと密かに思っています」
– 徳田優也 カプコン ディレクター
「『モンスターハンター:ワールド』では、移動速度と攻撃速度が遅く、重い武器を使用すると、攻撃をモンスターに当てるのが難しくなります。私たちが戦闘をデザインするときに重要視しているのは、動作が遅いというストレスを、ターゲットに命中したときの達成感に変える仕組みを作ることです。
そのための方法はいろいろありますが、重みがあるからこそ、命中したときの満足感がある必殺技を用意することが重要です。しかしそれ以上に重要なのは、命中させるために必要なポジションをプレイヤーが的確に取れる、動きのオプションを用意することでしょう。たとえば、攻撃のために数歩近づく、攻撃の後に一歩下がるなど、小さなことです。
『ゴッド・オブ・ウォー』の戦闘はシンプルですが、奥深さがあります。相手の攻撃に適切に対応することで自分の攻撃がより効果的になるなど、アクションゲームの基本が丁寧に実装されています。遠距離でも投擲物や矢で狙えたり、素手やスパルタンレイジモードに切り替えられたりと、できることは多岐にわたります。
さらに、相手が気絶したときなど、敵の状態に応じて強力な攻撃に切り替えることができます。コントロールできることは増えていませんが、リアクションが変わるので、プレイヤーが飽きないような作りになっています。丁寧な仕事ぶりには驚くばかりです」
– Christian Wohlwend ノーティードッグ プリンシパルゲームデザイナー
「『The Last of Us Part II』では、前作で「ジョエル」が戦闘する際の重みやインパクトはそのままに、19歳になった「エリー」のアクションをリアルかつ忠実に再現することが課題でした。そのため、タイトなカメラワーク、カメラの揺れ、コントローラーの振動、幾何学的な血のエフェクトなど、さまざまなテクニックを駆使しています。「The Last of Us」シリーズに求められる重量感、インパクト、残虐性を実現するためには、このような総合的な体験が必要なのです。
『ゴッド・オブ・ウォー』では、異なるアプローチを取っていますが、これらの体験が同様に考慮されています。大きな違いは、カメラワークのアプローチです。『ゴッド・オブ・ウォー』では、カメラを引いて戦闘空間をより広く見渡せるようになっています。これにより、複数のターゲットを認識しやすくなっています。また、カメラの揺れをかなり減らしています。このことで見た目のインパクトは弱くなりますが、ターゲットの視認性が大幅に向上して、ゲームプレイが円滑になります。
このカメラのアプローチで減少したインパクトは、音声とアニメーションで補われています。命中したときの衝撃音は非常に大きく、クレイトスの斧からは、ただスパッと切れる音ではなく低音で始まって高域の残響音が残る暴力的な音が聞こえます。この音にさらに説得力を与えるのが、アニメーションのスタイルです。最初のスイングは大きな弧を描いて、そのあとに力強いフォロースルーがあります。敵のリアクションもダイナミックになっていて、大きなポーズ変更や宙返りなどの誇張が加わっています。また、『ゴッド・オブ・ウォー』では、相手に攻撃が命中すると命中時のポーズのまま、クレイトスと相手両方のフレームを短時間止める「ヒットストップ」という、さりげないながらも効果的なテクニックを採用しています。現実に忠実とは言えませんが、スイングのつながりを強調し、攻撃のフォロースルーで抵抗らしきものをシミュレートすることもできます。正直なところ、重みや衝撃をゲームで追求するという課題は主人公がスパルタの神であることで、かなり解決されるような気もしますね」
– Tymon Smektała Techland リードゲームデザイナー
「『ゴッド・オブ・ウォー』が成し遂げたことは驚異としか言いようがありません。Cory Barlog氏とサンタモニカスタジオ全体が、デザインプロセスに関して模範的と言えるほどオープンであるため、クレイトスの戦闘については既にいろいろなところで語られています。もちろん、「ストリートファイター」シリーズなどの格闘ゲームやベルトスクロールアクションゲームからヒントを得た巧妙な仕掛けもよるところも大きいのですが、『ゴッド・オブ・ウォー』の秘密は、絶え間ない努力と試行錯誤にあります。アクションとリアクションのをつなぐアニメーションは徹底して磨き上げられ、最高の状態に仕上がっています。『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』では、クレイトスという存在にふさわしい戦闘が楽しめると確信しています。
優れた戦闘システムの構築はつねに時間がかかるものですが、敵に攻撃を命中させて、その強力な攻撃に敵が反応するというフィードバックループに全神経を集中させなければ、最高のゲームを創り上げることはできません。『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』を制作している時も『ゴッド・オブ・ウォー』と同じく命中したときのアニメーションや武器のパラメータを微調整して違和感を消していきました」
– Adam Coriglione Insomniac Games シニアコンバットデザイナー
「「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズは他にはない物語と力強さをプレイヤーに与えてきました。『ゴッド・オブ・ウォー』では、このゲームがもともと持っていたすばらしい要素に忠実でありながら、ストーリーとシステムの刷新に成功しています。カメラが寄ることで、クレイトスの繰り出すダイナミックな攻撃に新たな視点が生まれ、それに伴って新たな武器とアビリティ、そして相棒が登場しました。また、さまざまな武器を組み合わせてコンボを決める革新的な戦闘システムが導入されたことで、「ゴッド・オブ・ウォー」の世界観はそのまま、戦闘をさらに進化させることができました」
– 佐藤盛正 カプコン ディレクター
「接近戦闘のデザインで鍵となるのは、緊張と解放に尽きると思っています。プレイヤーは、攻撃を繰り出すときは緊張を感じ、画面上のモーションから予兆やバランス感覚を感じることができるはずです。『バイオハザード ヴィレッジ』では、その緊張感を解きほぐし、攻撃が成功したときの開放感をアニメーションや特殊効果で表現することを目指しています。一般的な答えかもしれませんが、私がゲーム開発で重視しているのは、シンプルでメリハリのあるデザインです。
『ゴッド・オブ・ウォー』では、新しい武器である斧のリヴァイアサンの近接戦闘と遠距離攻撃の要素が高い次元で融合していて、感銘を受けました。このデザインは、アクションに対するふたつのアプローチを可能にしています。同じ武器で、離れた敵を倒すことも、近距離で強力な攻撃を繰り出すこともできるなんて、革命的な戦闘デザインだと感じました」
– Anna Marsh Firesprite アソシエートゲームディレクター
「私は「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズが大好きです。日本以外で開発されたゲームのなかで、戦闘の流れや攻撃性が断トツに優れていました。2018年に『ゴッド・オブ・ウォー』が登場したとき”リメイク”の試みが、あの愛着のある戦闘を台無しにしてしまうのではと心配していました。
その心配は杞憂に終わりました。三人称視点の戦闘は素晴らしく、歯ごたえのある体験でした。ゲームの序盤で、私が投げた斧で倒れた悪党が仲間のひとりにぶつかり、どちらとも空中に投げ出されたのですが、そのとき本当に嬉しく思いました。私の期待に応えてくれるゲームだと分かった瞬間だったからです」
– Leif Walter Torn Banner Studios デザインディレクター
「『Chivalry 2』の戦闘デザインは、プレイヤーに最高の体験をしてもらうことに主軸を置いています。武器のスイングアークやプレイヤーキャラクターの体勢を自在に操り、かわす、フェイントをかける、カウンターを打つなどの機能を駆使して、華麗なアクションを繰り出すことができます。
それに比べると、『ゴッド・オブ・ウォー』の戦闘は、力強さとダイナミックさを最優先した戦闘に仕上がっています。プレイヤーは、パワーファンタジーの世界でやりがいと自分の力強さを思う存分に体験できます。また、攻撃が敵に命中したときのリアクションやインパクトの細部に気が配られており、クレイトスの斧をプレイヤーの手の一部のように自然に操ることが可能です。アニメーションの反応や入力操作といったすべてのアクションに手応えが感じられ、ハリウッドの大作に匹敵する戦闘シーンを生み出しています。
また、『ゴッド・オブ・ウォー』はシングルプレイヤーゲームなので、旅のなかで装備を増やすことができます。そのため、プレイヤーはつねに新しい体験ができ、好みに応じた独自のプレイスタイルが楽しめます」
– David McMullen ゲリラ リードシステムデザイナー
「『ゴッド・オブ・ウォー』は偉業を成し遂げました。リヴァイアサンがビデオゲームに実装された武器において、最高の斧のひとつであることは誰もが知るところであり、そしてその理由を長々と論じることでしょう。しかし、私個人は“バディコンバット”の挙動に心を奪われました。
当初、このゲームは壮大な護衛任務のようなものではないかという懸念がありましたが、「アトレウス」は決してお荷物などではなく、戦闘体験を劇的に向上させる相棒として最高の形で機能しています。アトレウスが、戦闘システムの中核でこれほど活躍するとは思っていませんでした。決して受身ではなく、完全に自律していて、多数の敵に立ち向かったり、気をそらしたりと活躍しました。またエアジャグリングを通じて戦闘機能を高めてもくれました。唯一の不満は、ゲームを遊んだ後の数ヶ月間、すべての文章の最後に“BOY”を付けたくなる衝動が抑えられなかったことです」
– 西寛之 Team Ninja 戦闘デザイナー
「「仁王」シリーズでは、侍の戦いの“静”と“動”のコントラストを表現するために、プレイヤーと敵にスタミナバーを付け、攻防のタイミングを意識せざるを得ないゲームデザインを実装しました。また、攻撃後に気の躍動でスタミナを回復できるのは、「仁王」シリーズの近接戦闘の特徴です。
公平性やゲーム性の高さは「仁王」シリーズだけでなく、Team Ninjaがゲームの近接戦闘をデザインする際に最も重視しているポイントです。
『ゴッド・オブ・ウォー』では、アニメーションもサウンドエフェクトも非常に高いクオリティでしたが、カメラワークのすばらしさがそれらを凌駕していました。近接戦闘をデザインする場合、ビジュアルとゲームプレイの両方に同じインパクトを持たせるカメラの設定というところでジレンマが生じます。
しかし、『ゴッド・オブ・ウォー』のカメラはクレイトスに非常に近い位置にありながらも攻撃の迫力も失われず、敵の痛みも感じられるようになっていました。UIやエフェクトに工夫を凝らしながら、プレイヤーにカメラワークの不自然さを感じさせないようにしていたのです。アトレウスとのコンボ攻撃や、シリーズの定番であるQTE(クイックタイムイベント)もシームレスに実装されており、その完成度の高さには本当に驚きました。『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ではそれがどのように進化しているのか、とても楽しみです」
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は、2022年11月9日(水)にPlayStation®5とPlayStation®4で発売予定です。『ゴッド・オブ・ウォー』(2018)のストーリーを振り返りながら、クレイトスを通した北欧神話を体験しましょう!
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ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク
・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:アクション
・発売日:2022年11月9日(水)予定
・価格:PS5/PS4 ダウンロード版 販売価格 デジタルデラックスエディション 9,790円(税込)
PS5 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 8,690円(税込)
PS4 パッケージ版 希望小売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
ダウンロード版 販売価格 スタンダードエディション 7,590円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:Z(18才以上のみ対象)
©2022 Sony Interactive Entertainment LLC. God of War is a registered trademark of Sony Interactive Entertainment LLC and related companies in the U.S. and other countries.
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