『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』プレイレビュー! 奇怪な殺人事件にテーブルトークRPGスタイルで挑む!

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『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』プレイレビュー! 奇怪な殺人事件にテーブルトークRPGスタイルで挑む!

PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』は、プレイヤーが記憶喪失の刑事となり、殺人事件の謎を解いていくRPG。進行を司る「ゲームマスター」のような存在との対話を通じてさまざまな選択を行ない、ダイス(サイコロ)を使ったスキルチェックで行動の成否を判定するという、テーブルトークRPG(TRPG)をプレイしている感覚のゲームシステムが大きな特徴だ。

2019年に発売された『ディスコ エリジウム』は、「The Game Awards 2019」で「ベストRPG」を含む4部門のアワードを受賞し、その後も大小さまざまなアワードの受賞歴を持つなど、ユーザーからもメディアからも高い評価を受けた。2021年3月には、多数の新要素を追加した決定版『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』が登場。PS5とPS4で発売中の本作はその日本版で、音声は英語のみであるものの、テキストや字幕、UIはすべて日本語に対応している。

『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』ローンチトレーラー

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【STORY】

物語の舞台は、工業港の近くにある忘れられた街「マルティネーズ地区」。共産革命が失敗に終わって以降、この地区の人々は劣悪な環境下での生活を余儀なくされている。

窓は割れ、荷物が散乱したホテルの一室で目覚めた主人公は、自分の顔や名前など、すべての記憶を失っていた。周囲の人間の情報から、自分は殺人事件捜査に派遣された刑事で、前日まで泥酔していたことを知る。主人公は几帳面な性格の相棒「キム・キツラギ」警部補とともに、謎に包まれた殺人事件の解決に挑む──。

今回のレビューではネタバレを避けるため、具体的な例は序盤の内容のみに絞っているが、ここまでの紹介で興味をそそられた人は、今すぐこの記事を読むのをやめて、事件の謎に挑戦してほしい。

CHECK POINT①
ゲームシステムと対話するTRPGのようなプレイフィール

本作のジャンルは”RPG”ではあるものの、ファンタジーやSFなどの世界を冒険したり、道中でエンカウントする敵と戦い経験値やアイテムを得て成長したりするという、コンピュータゲームとして一般的な”RPG”とは大きく異なる。最初に紹介したように、本作の大きな特徴はTRPGのようなプレイフィールだ。

「TRPGってどんなゲームなの?」という方に向けて簡単に解説しよう。TRPGとは、紙や鉛筆、ダイスなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに従って遊ぶゲームのこと。システムに関する要素は、ゲーム機などのコンピュータではなく「ゲームマスター」と呼ばれる人間が担当する。

「ゲームマスター」は、プレイヤーが今いる街やダンジョンなどの状況を説明して選択を尋ねたり、ダイスによって探索や戦闘などの成否を判定したりしながら、ゲームを進行していく。TRPGをプレイしたことがなくても「ゲームマスター」の役割を本の文章が担当し、読者の選択によって物語の展開や結末が変わる「ゲームブック」を遊んだことのある人は、その感覚を思い出すとわかりやすいかもしれない。

本作では、この「ゲームマスター」をコンピュータが担当。ビジュアルによる直感的な状況説明に加えてテキストで細部の情報が明かされたり、行動の成否がダイスでチェックされたり、それらの口調がプレイヤー自身に語りかけてくるようだったりと、まるでTRPGをプレイしているような感覚を味わえる。

敵対する人物との戦闘はあるものの、経験値は主に関係者への聞き込みや事件現場などの調査のなかで発生する「タスク」を達成することで獲得可能。レベルが上がると手に入る「スキルポイント」はスキルの強化などに使えるので、主人公をどう育成するのか思案するのも楽しい。キャラクターのステータスを表示する画面が「キャラクターシート」という名称なのも、TRPGを彷彿とさせる要素のひとつだ。

TRPGというアナログゲームのコンピュータによる再現から始まり、さまざまな進化を遂げながら多くの人が知ることになったコンピュータゲームのRPG。そのなかでTRPGの雰囲気を前面に押し出し、原点回帰のようでありながらもさらなる進化を感じさせてくれるのが本作の面白いところ。派手なムービーやダイナミックなカメラアングルなどはないものの、油絵調のグラフィックが虚ろで怪しげな世界観を表現しているのも魅力だ。最近のRPGに慣れた人は独特のプレイフィールとテキスト量などに最初は圧倒されるかもしれないが、新鮮な感覚も味わえるはずだ。

CHECK POINT②
主人公の中にいる24の人格! 彼らの声を頼りに事件に挑め

プレイヤーはゲーム開始時に、決められた数のポイントを「知性」「精神」「肉体」「運動能力」という4つのステータスに割り振り、24種類のスキルの中から得意なスキルを決めて、分身となる主人公をキャラクターメイクする。

「知性」の高い“思想家”や「精神」の高い“神経質”、「肉体」の高い“肉体派”という、ステータスと得意なスキルがあらかじめ決められている3つのアーキタイプから主人公を選択することも可能だ。そしてなんと24種類のスキルはそれぞれ人格を持っており、さまざまな状況で主人公の意識に語りかけてくるからビックリ!

ステータスやスキルの状況が物語の展開に影響をおよぼす

どのスキルが語りかけてくるかは、ステータスのポイントに応じて行なわれる内部的なスキルチェックにより変化。同じシーンでも主人公のステータスによって、スキルとの会話内容や出現する選択肢などが異なる。

▲これは「精神」の低い主人公がカフェテリアの店長に話しかけた際の会話だ。「精神」に関する「共感」スキルが主人公の意識に話しかけてきたものの、スキルチェックは失敗。その後の選択肢は3つとなっている。
▲こちらは「精神」の高い主人公がカフェテリアの店長に話しかけた際の会話。上の画像と同じく「共感」スキルとの会話が発生しているが、スキルチェックは成功し、選択肢は4つに増加している。

選択肢によって展開が変化するうえに得られる情報も変わってくるため、事件の捜査に影響をおよぼすことは間違いない。また、選択肢の中にはスキルチェック判定が表示されているものも。その成功率はスキルの値によって変化する。

▲これは「運動能力」の低い主人公が、天井の回転しているファンに引っかかったネクタイを取ろうとしているシーン。求められるのは「運動能力」に関する「才覚」スキルで、「運動能力」の低い主人公の成功率は28%とかなり低めになっている。
▲こちらは「運動能力」が高い主人公の場合。同じ選択肢でも成功率は92%となっており、かなり高めだ。

スキルチェック自体はダイスで行なわれるため、求められるスキルの値が低くても、運が良ければ成功することも。また、衣類や道具などのアイテムにはスキルを強化できるものがあり、スキルチェックに必要なスキルを強化するアイテムを装備すれば成功率が上昇。さらに、状況をよく確認してスキルチェックを有利に進められる行動を起こすことでも、成功率が上昇する。

▲「運動能力」に関する「才覚」スキルが低いため成功率は28%だが、チェーンを引いて回転しているファンを止めることで成功率が72%に上昇! その後のスキルチェックにも無事成功し、ネクタイをゲットすることができた。

とはいえ、どんなに成功率を上げたとしても運が悪いと失敗してしまうのが、スキルチェックの怖いところ。失敗すると体力や気力が減少することがあるので、緊張感は抜群。スキルチェックがある選択肢にカーソルを合わせたはいいが「本当にこれで大丈夫か?」と自問自答し、なかなか決定ボタンを押せないという状況も珍しくなかった。

CHECK POINT③
解決手段はプレイヤー次第! 自由度の高いゲームプレイを満喫しよう

本作を特徴づけるさらなるポイントが自由度の高さだ。ゲームを進行するためのタスクはさまざまで、ステータスやスキルの状況によって物語の展開が変化するのは、これまでに紹介したとおり。そしてレベルアップで獲得したスキルポイントを使用したり、アイテムを装備したりすること以外にも、スキルを強化する手段が存在する。

セットした思考によって、スキル強化や新たな選択肢などのボーナスが発生

事件の捜査を進める中で、主人公の頭の中にはさまざまな思考が浮上。それは自身の内面から出てくることもあれば、他者との会話を通じて思いつくこともある。

それらの思考を「思考キャビネット」のスロットにセットすると、その思考の研究がスタート。研究はゲーム内の時間とともに進み、進捗が100%になるとその思考を習得できる。思考をセットしておくと、スキルを強化したり会話の選択肢が増えたりといったボーナスが得られるのだ。また、思考キャビネットのスロットは最初はひとつのみだが、スキルポイントを消費することで増やすことが可能。一度に複数の思考をセットすることもできる。

ただし、習得した思考や研究中の思考の中には、特定のスキルにマイナス効果をもたらすものも。スキルの値が低下すれば、それに対応するスキルチェックの成功率も下がるのが悩ましい。習得した思考を忘れるためにはスキルポイントが必要だが、研究中の思考は自由に付け外しができる。

事件捜査を通して紡がれる、あなただけの物語

思考キャビネットやアイテムを駆使し、高いステータスに関するスキルを強化して長所を伸ばすか、それとも低いステータスに関するスキルを強化して短所を補うかはプレイヤーの自由。ゲームを進行するためのタスクも、事件の捜査に関係するものはもちろん、主人公の失われた記憶に関するものや、住民たちの些細な問題など、事件とは無関係に見えるものまで多数用意されている。それらのタスクをどういった順番でクリアしていくかも、もちろん自由だ。

ひとつのタスクに、さまざまな解決手段が用意されているのも見逃せない。例えば、閉ざされた扉の開閉ボタンを守る大男をどうにかしないといけない場合は、大男を倒すか説得するかなどを選ぶことができる。

▲大男を殴って倒すには「肉体装置」スキルが必要。スキルの値が低くてもチャレンジできるが、17%という成功率では心もとない。
▲「修辞学」スキルの値によっては、大男との会話中に「修辞学」スキルが平和的な解決手段を提案してくれることも。ただし、その際のスキルチェックで求められるのは「概念化」スキルとなっていた。

もちろん、その際に求められるスキルや思考は解決手段によって異なるうえに、”これで十分”と思える値までスキルを上げるために行なう経験値の獲得手段や捜査手順は、プレイヤーによって異なるはず。

考えられる手段を尽くしてなお成功率が低くても、ときには運を天に任せた選択が道を切り開く鍵となることも。ゲームのセーブは任意のタイミングで可能なため、こまめにセーブしておくといいかもしれない。会話の内容やスキルチェックの失敗によって体力や気力が尽き、主人公が殉職または辞職してしまうこともあるのだが、それもあなただけの物語だ。

TRPGのようなプレイフィールと、人格でもある24種類のスキルとの会話や解決手段の模索がクセになる『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』。失われた主人公の記憶と殺人事件の真相に、ぜひあなた自身の手で辿り着こう。

『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』プレイ動画

『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』プレイレビュー! 奇怪な殺人事件にテーブルトークRPGスタイルで挑む!

ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット

・発売元:スパイク・チュンソフト
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:RPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 4,939円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 4,939円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:D(17才以上対象)


PS Blogの『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』記事はこちら


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