※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
私たちベンドスタジオは、創設以降29年にわたるゲーム開発経験を通してたくさんの作品を制作してきました。スタジオを代表する「Syphon Filter」シリーズから『RESISTANCE 〜報復の刻〜』、『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』、そして『Days Gone』に至るまで、私たちはプレイヤーの皆さんに長く愛される、質の高い体験を提供することに努めてきました。これを機会に、これまでの歴史を振り返り、未来を見据えて、ベンドスタジオの新生ロゴを皆さんにお披露目できることを嬉しく思います。
「文字とシンボルを明確で大胆なデザインにすることで、ブランドアイデンティティを保ちつつ、さまざまなカラーバリエーションやスタイル(下記参照)を多数活用できるようにしました。 また、ロゴはシンボルと文字に分かれているため、シンボルの方には、より柔軟性を持たせています。」 – Shay Casey
このベンドスタジオの新しいロゴでは、スタジオの歴史、所在地、そしてライフスタイルを抽象的かつモダンな解釈で表現しました。オレゴン州中央部の美しいカスケード山脈の麓に位置する都市ベンドの特徴は、IT職に就きながらもアナログな生活を送ることができるユニークなライフスタイルです。オフィスで1日を過ごした後は、バチェラー山のゲレンデを滑り降りたり、デシューツ川で釣り糸をたらしたり、自然のなかで長いハイキングをしたりと、冒険に出かけることができるんです。
「私たちが目指したのは、最先端かつ抽象的で、ミニマリストな新しいアイデンティティです。シンプルでハイテクな幾何学性を持ちながら、常に動き続けるクリエイティビティを表現しています。文字がなくても、街で見かけたらすぐにベンドスタジオのロゴだとわかるようなロゴが理想でした。いつかは、某スポーツウェアブランドの”スウッシュ”マークのように、ゲームのシンボルとして広く認知されるロゴにしたいですね。
このような目標のもとに、ベンドスタジオの技術革新を正面向きなイラストで新しいロゴを表現しました。字体は、逆三角形のアングルと平行になるようにカットしていますが、中太のノンイタリックフォントの安定性は維持しています。シンボル中央のカスケードアイコンは、オレゴン州中央部の生活の中心であり、空との輪郭線をかたどる山々を抽象的に表現したものです。さらに、”i”は製材所の煙突を表しており、ベンドがアウトドア愛好家に人気な観光地となる前は伐採の町であったことを物語っています。」
– Shay Casey
アソシエイトアートディレクター(ブランディング&UI)
「新しいロゴは、さまざまなスタイルを通して想像力を活かせるようになっています。私たちはとても楽しみながら、このコンセプトを考えました。」
1993:ベンドスタジオの原点
ベンドスタジオの原点は、1993年、Blank, Berlyn and Co.の設立までさかのぼります。同社は、Apple Newton向けに『Columbo’s Mystery Capers』『Dell Crossword Puzzles』『Motil』『Notion(List Maker)』などのパズルゲームを発売していました。その後、ベンドスタジオの現スタジオヘッドであり、1993年にはPC向けの『Live Action Football』を始めとしてスポーツゲームシリーズの発売に貢献した、Christopher Reeseがスタジオに加わりました。こういった作品の発売に続き、同社は家庭用ゲーム機の世界へとさらに踏み込む野心を持つようになりました。
1995:3Dゲームの状況を学ぶ
1995年、創業者たちが社名を「Eidetic」に改名しました。その後、8人のメンバーからなる開発チームが、初のコンソールゲームで3Dゲームの『Bubsy 3D』を発売しました。技術的な観点から見ると『Bubsy 3D』は、当時高い解像度と描画距離を実現した数少ない初代PlayStation®タイトルのひとつでした。そのEideticの初タイトルが、ソニーの目に留まったのです。私たちがPlayStationという新たなゲーム機でゲーム開発ができること、そして新たなゲームを動かすための内臓エンジンをすでに持っていることが証明されたからです。その新たなゲームというのが『Syphon Filter』でした。
Eideticのロゴ(1995~2000)
1999:「ゲイブ・ローガン」の初任務
『Syphon Filter』は、特別捜査官「ゲイブ・ローガン」を主人公としたサードパーソン・シューターのステルスアクションゲームです。『Metal Gear Solid』の発売直後に発売された本作は、ステルスゲームというジャンルでその地位を確かなものにしました。ベンドスタジオは三人称視点のアクションゲームで知られていますが、そのDNAは『Syphon Filter』から始まっています。本作では、ミッション中の障害物や、建物の陰に隠れているときのプレイヤーの動きに合わせて、カメラのアングルを滑らかにするよう心がけました。また、身を隠している間はゲイブの頭部が透明になり、迫りくる敵に対して少しでも有利になるようにしました。
『Syphon Filter』(初代PlayStation、1999)
『Syphon Filter』の醍醐味は武器とガジェット。アクションとステルスの両方を組み合わせてステージをクリアするために、プレイヤーには複数の選択肢が用意されていました。また、『Syphon Filter』では、ゲイブが敵を倒すのに役立つさまざまな武器が登場します。なかでも最も人気があったのは、悪名高い「エアテーザー」です。敵に電撃を与え、炎にさらすことさえ可能で、しかも弾数が無限という唯一無二の武器でした。この武器は、弾薬が少ないときや弾切れ中の選択肢として、ステルスプレイに効果的な武器になるよう設計されました。初代『Syphon Filter』は、IPレガシーの始まりであるだけでなく、ベンドスタジオとしてのレガシーの始まりでもありました。
『Syphon Filter』(初代PlayStation、1999)
1999年2月の発売以降高い評価を受けることとなった『Syphon Filter』一作目の開発中に、スタジオのメンバーは8人から13人に増えました。発売されてすぐに本作は、その後何年にもわたってファンに愛される作品となり、その成功を経て、ソニーは2000年にEideticを買収。スタジオは現在のベンドスタジオという社名に変更することとなります。
ベンドスタジオのロゴ(2000~2022)
2000~2007:『Syphon Filter』のレガシー
ベンドスタジオは7年間にわたり、3世代のPlayStationコンソールを通して6本の「Syphon Filter」シリーズを開発しました。『Syphon Filter 2』『Syphon Filter 3』の後に発売した『Syphon Filter: The Omega Strain』で、シリーズはPlayStation®2にプラットフォームを移しました。
『Syphon Filter 2』(初代PlayStation、2000)
2006年、『Syphon Filter: Dark Mirror』で、チームはPSP®「プレイステーション・ポータブル」の世界へと進出し、その後『Syphon Filter: Logan’s Shadow』『Syphon Filter: Combat Ops』もPSPで発売されました。さらに『Syphon Filter: Dark Mirror』と『Syphon Filter: Logan’s Shadow』は、後にPS2にも移植されました。
「Syphon Filter」シリーズの方式は、ストーリー、デザイン、ゲームプレイ、技術を通じて進化し続けました――新作の発売ごとにユニークなミッションが増え、プレイヤーに新たなチャレンジと謎解きを提供したのです。『Syphon Filter: Dark Mirror』から、「Syphon Filter」シリーズのグラフィックのディテールとバラエティが顕著に改善されました。各キャラクターの服にはタグやバックルが付き、靴のバリエーションも増えました。また、ゲーム内に点在する環境にも、同様のディテールが施されています。雪原での足跡やペルーの砂煙など、PSPの技術をフルに活用するとともに、可能性を最大限に引き出しました。
そして、ゲイブ・ローガンのストーリーの壮大なフィナーレを飾る『Syphon Filter: Logan’s Shadow』で、チームはさらに一段階上のステージに進みました。「Syphon Filter」シリーズの集大成となった『Syphon Filter: Logan’s Shadow』では、『Syphon Filter: Dark Mirror』から続くスムーズな操作性、改良されたゲームプレイ要素、奥深いマルチプレイシステムを実現しました。ベンドスタジオは、今でもこの作品を最高の「Syphon Filter」体験と位置づけています。
『Syphon Filter: Dark Mirror』(PS2、2007)
『Syphon Filter: Dark Mirror』- 製油所コンセプト(PS2、2007)
『Syphon Filter: Logan’s Shadow』(PSP、2007)
――シリーズ初となる水中戦を導入
ゲイブ・ローガンの水中での服装
『Syphon Filter: Logan’s Shadow』- Bitarのダム – コンセプトアート(PSP、2007)
「Shadowed」は、ハードモードでストーリーをクリアすることでアンロックされる、ゲイブの潜入をトリニダードの視点で見るボーナスミッションです。
2009:新たな方向性
ベンドスタジオは、10年ぶりに「Syphon Filter」シリーズの枠を超えて、『RESISTANCE 〜報復の刻〜』を開発しました。本作では、「ジェームズ・グレイソン」という新たな主人公が登場し、新参プレイヤーに対して「RESISTANCE」シリーズへの入門編となる体験を作り上げました。グレイソンのスタイリッシュなボンバージャケットは、すぐにファンの間で人気となり、シングルプレイのキャンペーンを終えたプレイヤーは、それが持つ意味を深く理解することとなりました。
『RESISTANCE 〜報復の刻〜』 – ルクセンブルク「下部通路」- コンセプトアート(PSP、2009)
『RESISTANCE 〜報復の刻〜』- クリサリスの巣「産生の間」 – コンセプトアート(PSP、2009)
ミッション:「報復潰える」 – キャンペーンモード最終ミッション
『RESISTANCE 〜報復の刻〜』(PSP、2009)
『RESISTANCE 〜報復の刻〜』では、従来のファーストパーソンゲームである「RESISTANCE」シリーズに、サードパーソンアクションゲームを制作してきたノウハウを投入しました。さらに、エイムアシストボックスなどの機能を追加し、操作性を向上させました。この機能は、エイムアシストボックス内にいる敵に武器の照準に直接合わせることで、アクセシビリティ性の高いゲームプレイが可能となることを目的とした機能です。
『RESISTANCE 〜報復の刻〜』に実装された最も優れている機能のひとつは、PSPでPlayStation®3のようなマルチプレイシステムを実現した機能です。PSPを通して最大8人までの対戦を手のひらで楽しめるようになり、フレンドと深いゲーム体験を共有することが可能になりました。私たちが目指したのは、シングルプレイの良さを生かしつつ、オンラインシステムと融合させることで、より洗練されたプレイを実現することでした。
2012:持ち運べる「アンチャーテッド」
ベンドスタジオでは、プレイヤーの皆さんにユニークな体験をお届けするために、常に技術の限界に挑戦してきました。『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』では、PlayStation®Vitaの可能性を提示するローンチタイトルを手掛ける数少ないスタジオのひとつとして、新たなポータブルデバイスの開発初期を支えました。「アンチャーテッド」シリーズならではの謎解きやエイムアシストのオプションなど、初期のアイデアを最適な方法で取り入れるために、チームの発想力が試されました。初期段階では、カメラ付きの有機ELスクリーンやワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK®3)のプロトタイプをガムテープで貼り合わせるなどもしていました。このような初期の実験が『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』の主要な機能を形作り、PS Vitaを明るい光にかざすと、ゲーム内の羊皮紙から謎が浮かび上がるなどのゲームプレイ要素を実装するのに役立ちました。
ベンドスタジオのチームメンバー(2012)
『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』は、スタジオにとってパフォーマンス・キャプチャーのスキルを磨く機会にもなりました。私たちは、家庭用ゲーム機でプレイする「アンチャーテッド」シリーズのようなクオリティと忠実性を、PS Vitaで実現することを目標に取り組みました。この開発プロセスでは、パフォーマンス・キャプチャーの技術はまだ比較的新しいものでしたが、ノーティードッグやPlayStationビジュアルアーツチームの皆さんから専門知識を学び、それを基に開発することができました。
『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』(PS Vita、2012)
『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』(PS Vita、2012)
『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』- コンセプトアート(PS Vita、2012)
2019:『Days Gone』
ベンドスタジオは『Syphon Filter』以来初となるオリジナルIPとして、スタジオにとってこれまでで最も野心的なゲーム『Days Gone』を生み出しました。PS Vitaで発売された『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』に続き、チームは次の大きなチャレンジとして、PlayStation®4ならではの多彩なシステムを持つダイナミックなオープンワールドの制作に取り組みました。次世代ゲーム機での新規IPの開発には時間がかかりましたが、オレゴン州中部チームの能力と才能を示すことができたと思っています。
ベンドスタジオのチームメンバー(2019)
『Days Gone』では、バイクの存在がゲーム全体の基盤となり、ゲーム開発における大きな転換を生みました。A地点からB地点までどのように移動するのか? 道中、どのようなランダムな出会いがあるのか? 道路が廃車で塞がれている場合、それを回避するためにオフロードでどのような道を通れるのか? これらは、広大なオープンワールドを開発する際に答えを模索した初期の疑問の一部です。
『Days Gone』-「ドリフターバイク」のコンセプトアート(PS4、2019)
『Days Gone』の最大の特徴のひとつは、フリーカ―の大群です。大群はPS4の限界を押し広げ、私たちが作り上げたAIの進歩を示すと共に、一度に大量の敵を同一画面上に表示するという印象的な体験を作り上げました。2016年に『Days Gone』のゲームプレイ映像を世界に公開した際、ゲーム内で最大の大群をお披露目したことで、プレイヤーの心をつかむことができたと思っています。その時のユーザーの反応は、”どうやって立ち向かうんだ?”から “すごく楽しそう!”まで、さまざまなものがありました。そのような感情こそ、私たちが目指していたものであり、「世界の全てが襲いくる」というキャッチフレーズの原点なのです。
『Days Gone』-「製材所」のコンセプトアート(PS4、2019)
『Days Gone』 (PS4、2019)
2022:ベンドスタジオの未来
まずは、プレイヤーの皆さんの長年に渡るサポートにあらためて心から感謝申し上げます。「Syphon Filter」シリーズから『RESISTANCE 〜報復の刻〜』、『アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-』や『Days Gone』に至るまで、私たちのゲームに寄せてくれる皆さんの情熱は、私たちが新しい体験を提供し続けるための力となります。開発したゲームのひとつひとつは、過去の業績であると共に、さらに良い未来を築くための名誉の印としてスタジオが背負い続けるものです。
新たなロゴは、ベンドスタジオの未来の始まりに過ぎません。PlayStation Studiosファミリーの一員として、これからも皆さんに感動をお届けできるような、クオリティの高い体験を提供することを約束します。最後に、現在進行中のプロジェクトに関するニュースの一部を紹介します。現在、『Days Gone』で作り上げたオープンワールドシステムをベースに、マルチプレイ対応の全く新しい世界を開発中です。皆さんに体験していただくのを非常に楽しみに思っています。さらに詳しい内容を皆さんにお届けするのが待ち遠しい限りです!
ベンドスタジオの未来を形作るために、成長し続けるチームの一員になりませんか? 当スタジオでは、複数の部署でメンバーを募集しており、完全リモート勤務の選択肢もあります。詳しくはbendstudio.com/careersをご覧ください。(※リンク先は全て英語のみとなります。)
コメントの受付は終了しました。