現実世界と霊界を同時に探索しながら謎を解く三人称視点の心理的ホラー『The Medium -霊-』プレイレビュー!

0 0
現実世界と霊界を同時に探索しながら謎を解く三人称視点の心理的ホラー『The Medium -霊-』プレイレビュー!

PlayStation®5用ソフトウェア『The Medium -霊-』は、現実世界と霊界を同時に探索しながら謎を解く、三人称視点の心理的ホラーゲーム。『Layers of Fear』『Blair Witch』などのホラーゲームを制作してきたポーランドのスタジオBloober Teamが開発を手掛けている。音声は全編日本語吹き替えに対応し、主人公・マリアンヌ役は声優の武田華、トーマス役は四宮豪が担当。英語音声+日本語字幕に切り替えることも可能だ。

ダウンロード版Deluxe Editionには、オリジナルサウンドトラックとアートブックが付属する。作曲は、「サイレントヒル」シリーズで知られる山岡晃氏、『Layers of Fear』『Blair Witch』のアルカディウス・レイコウスキー氏が担当しており、ふたりのコラボレーションを堪能できる。

霊能力を駆使し、あの世とこの世を行き来する心理的ホラー

「霊媒」「霊能者」を意味するタイトルどおり、主人公のマリアンヌには霊能力が備わっている。といっても、ただ死者の霊魂が見えるだけではない。生者と死者ふたつの世界を探索したり、自在に幽体離脱したり、死者の魂を成仏させたり、さまざまな力を発揮できる。

『The Medium -霊-』日本語トレーラー

現実世界と霊界を同時に探索しながら謎を解く三人称視点の心理的ホラー『The Medium -霊-』プレイレビュー!

マリアンヌはこの能力を生かして、廃墟と化した保養所を探索し、彼女自身をめぐる謎に迫っていく。固定カメラによる三人称視点、アイテムを活用しながら謎を解くシステムは、古き良きホラーゲームの雰囲気たっぷり。その一方で、現実世界と霊界を同時に探索する「二重現実」機能(特許取得済み!)、グロテスクな精神世界のグラフィックからは斬新なオリジナリティを感じさせる。そんな懐かしくも新しい、心理ホラーゲームのプレイレビューをお届けしよう。

CHECK POINT ①
保養所で起きた惨劇と主人公の霊能力、ふたつの謎に迫るストーリー

物語の舞台は、1990年代のポーランド。葬儀会社を営む養父に育てられたマリアンヌには、特殊能力が備わっていた。それは、死者と交信したり、霊界に入り込んだりする力。この霊能力により、彼女は数々の不思議な体験を重ねてきており、周囲からは変わり者扱いされてきた。

そのうえ、彼女は不吉な夢にも悩まされていた。ひとりの少女が、夜の森を走って逃げる夢。物語は、そんなマリアンヌの回想によってひもとかれていく。

その日、マリアンヌは愛する養父ジャックを亡くし、最後の別れを告げていた。そんな彼女のもとに、1本の電話が入る。電話の主は、トーマスと名乗る男性。彼はマリアンヌの名前を知っており、彼女が繰り返し見る夢についても何か手がかりを得ているようだ。彼に「ニワ保養所」に向かうよう指示されたマリアンヌは、早速現地へと向かう。

ニワ保養所は、かつて国営のリゾート地だったが、突然営業を停止したいわくつきの場所。「ニワの大虐殺」があったのではないかと、都市伝説のように語られている。マリアンヌは、電話をかけてきたトーマスを探してこのホテルを探索することに。そして、この地に残された人々の思念や記憶の断片をたどり、保養所で何が起きたのか真相を探っていく。それは、マリアンヌ自身の秘密を解き明かすことにもつながっていくのだった。

ニワ保養所とマリアンヌ、リンクしたふたつの謎が少しずつ明かされていき、冒頭から一気にストーリーに引き込まれる。トーマスは何者なのか。保養所とはどんな関係があるのか。マリアンヌを呼び出したにもかかわらず、なぜ姿を現わさないのか。さまざまな疑問を残したまま、少女の霊が登場したり、この場所で起きた惨劇が示唆されたりと新たな謎が提示されていく。

また、フィールド上には文書やポスター、石碑などがあり、そこからもかつての保養所の様子がうかがえる。第二次世界大戦下のポーランドに関する記述が多く、歴史に詳しい人ならより楽しめるはずだ。

イベントの中でも目を引くのは、霊との会話シーン。マリアンヌの霊能力が発動すると、画面が二分割され、片方には現実世界が、もう片方には霊界が映し出される。描かれる出来事は同じだが、ふたつの世界で見え方がまったく違う。霊界側の画面ではマリアンヌが普通に霊と話をしているが、現実側の画面では霊の姿が見えず、マリアンヌが虚空に向かって話しているようにしか見えない。霊能力を持つがゆえに変わり者扱いされてきたというマリアンヌの孤独、彼女の能力の特異性がひと目でわかる演出だ。

https://gfycat.com/cloudypiercinggarpike

CHECK POINT ②
現実世界と霊界、ふたつの世界にいる主人公を同時に操作

ニワ保養所を訪れたマリアンヌは、朽ち果てた館内を探索しながら謎を解いていく。基本的には、扉を開けるカギを探したり、パズルを解いて仕掛けを動かしたりというオーソドックスな謎解きアドベンチャーだが、最大の特徴は新機能「二重現実(デュアル・リアリティー)」を採用している点だ。これは、現実世界と霊界、ふたつの世界にいる主人公を同時に操作するシステム。プレイヤーが「歩く」「しゃがむ」などの操作を行なうと、二分割画面に表示されたふたりのマリアンヌがそろって同じ行動を取るという、なんとも不思議な操作感を味わえる。

https://gfycat.com/favoritewindingaustralianfreshwatercrocodile

幽体離脱により、霊界の主人公だけ操作できる

とはいえ、ふたつの世界はまったく同じではない。霊界は不気味な雰囲気を漂わせており、マリアンヌの姿も現実世界とは少々違う。また、現実世界と霊界のどちらか片方でしか拾えないアイテムがあったり、霊界にのみ出現するクリーチャーがいたりする。

さらに、現実世界では先に進めない場所も、霊界でなら往来できることがある。そんな時、役に立つのが幽体離脱だ。高い霊能力を持つマリアンヌは、幽体離脱も自由自在。幽体離脱すると、現実世界のマリアンヌがその場にとどまり、霊界の彼女だけを操作できる。ただし、幽体離脱できるのは一定時間のみ。限られた時間内に素早くアイテムを探したり、仕掛けを動かしたりしなければならず、謎解きにスリルをもたらしている。

https://gfycat.com/jovialcooldevilfish

「魂の泉」で霊力をチャージ

霊界には「魂の泉」があり、マリアンヌの腕に霊力を溜めることができる。このエネルギーを放出すると、マリアンヌが霊力を発揮。霊的なパワーで敵を倒したり、シールドを展開して蛾の大群から身を守ったり、さらには機械に電気を通したりできる。

ただし、「魂の泉」を見つけてもエネルギーが弱くて霊力をチャージできないことも。そんな時は、現実世界で謎を解いて泉を復活させなければならない。このように、現実世界と霊界を行き来し、相互に影響を与え合いながらストーリーを進めていくのがこのゲームの醍醐味だ。

マリアンヌが使える霊能力は、それだけではない。鏡を使って現実世界と霊界を行き来したり、念視によって残留思念を読み取ったり、通常では見えないアイテムを発見したりできる。謎解き自体はそこまで難しくないが、さまざまな霊能力を使い分け、じわじわと真実に迫っていく過程が楽しい。

CHECK POINT ③
怪物「ザ・モー」の脅威から身を守れ

ストーリーを進めていくと、恐ろしい怪物「ザ・モー」に遭遇することがある。霊力で身を守ることもできるが、基本的に攻撃手段はなし。追いかけてくる「ザ・モー」からひたすら逃げたり、物陰に身を潜めたりしながら、やり過ごすしかない。もちろん捕まれば、即ゲームオーバーだ。

ゲームスタートから1時間近く敵が出現せず、すっかり油断していたため、最初に「ザ・モー」が現われた時はパニック状態に。巨大な体躯を揺らし、不気味な言葉を並べて追いかけてくる姿は、異様な迫力に満ちている。正体不明の怪物に追われるという、悪夢のような体験を味わえる。

https://gfycat.com/unacceptablesmugfallowdeer

さらに、歩き回る「ザ・モー」から身を隠すステルス要素も。かくれんぼのように物陰に隠れながら進んでいくのだが、不意に「ザ・モー」が振り返ったり、近くの遮蔽物を壊したりするので、ハラハラすること間違いなし。

しかも、最初は霊界にしか出現しなかった「ザ・モー」が、いつしか現実世界にも姿を現わすようになる。現実世界では「ザ・モー」の姿が透明になり、どこにいるのかわからなくなってしまう。その際ヒントになるのが、DualSense™ ワイヤレスコントローラーのハプティックフィードバック。敵が近づくと振動が強くなるため、即座に逃げなければならない。さらに、念視を使えば敵の位置をうっすらと把握できる。この恐るべき怪物「ザ・モー」の正体も、物語の中核を成す謎になっている。

「ザ・モー」の存在は例外だが、全体を通してショッキングなシーンは少なく、ホラーというよりサスペンスに近い印象。トラウマを抱えた死者の心象風景、マリアンヌの精神世界が、緻密なグラフィックで描き出されていく。こうした世界観は、ポーランドの幻想画家ズジスワフ・ベクシンスキーの絵画から着想を得て作られたそう。「終焉」をモチーフにした画風は、確かにこのゲームで描かれる霊界の不気味さと通じるものがある。この世の理屈が通用しない、深い闇を覗き込むような体験をぜひ味わってほしい。

『The Medium -霊-』プレイ動画

現実世界と霊界を同時に探索しながら謎を解く三人称視点の心理的ホラー『The Medium -霊-』プレイレビュー!

The Medium -霊-

・発売元:ナツメアタリ
・フォーマット:PlayStation 5
・ジャンル:二重現実(デュアル・リアリティ)心理的ホラー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 8,580円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Standard Edition 8,580円(税込)
    ダウンロード版 販売価格 Deluxe Edition 10,780円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)


『The Medium -霊-』公式サイトはこちら

『The Medium -霊-』をPS Storeで購入する

®, ™ & © 2022 Bloober Team S.A. (Inc.). All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners. All Rights Reserved. © 2022 NatsumeAtari Inc. All Rights Reserved.

コメントの受付は終了しました。

お客様の生年月日を入力してください。

Date of birth fields