※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
ノーティードッグ制作のタイトルにとって音楽は礎です。『The Last of Us Part II』ではそこからさらに踏み込み、音楽を直接プレイヤーの手に届けたいと考えました。
社内での初めてのストーリー提案から最初に公開したトレーラーを制作するまでの間、ギターは常に物語を伝えるにあたっての重要なアイテムとなっていました。アイデアは、そこが起点です。そしてデザイナーとして、ゲーム内に演奏できるギターを実装し、プレイヤーにジョエルとエリーのつながりを感じてもらいたいという思いは初めからありました。
しかし「The Last of Us」シリーズの世界は、どっしりとしてシリアスな雰囲気です。ド派手なギターのミニゲームは、謎の寄生菌が蔓延した世界観には合いません。さらに、エリーがギターを弾くのは自分の腕前を披露するためや、ロックスターになる夢を叶えるためでもありません。音楽で自分を表現することで愛する人を思い、絆を感じるためのものである必要がありました。
そのため、早い段階でリズムゲームは避けるべきだと感じていました。リズムゲームは非常に楽しいのですが、本作が持つ雰囲気は高度な技術を要するリフやコンボなどではなく、内省的な表現の方がマッチしていると感じたのです。
では、リズムゲームに代わるものは何か? 感情を揺さぶり物悲しい雰囲気に合う、ギター演奏のギミックを作るにはどうしたらいいのか? ――そこで私たちは既存のゲームだけでなく、音楽を個人で作るための音楽アプリからもインスピレーションを得ようと考えました。特に注目したのは、スマートフォンの音楽アプリです。ギターを演奏する際にワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK®4)のタッチパッドを利用するアイデアは、スマートフォンのタッチスクリーンを参考に生まれました。
幸い、本作の初期に撮影したムービーシーンのなかに、エリー役のアシュリー・ジョンソンがAhaの『Take on Me』を歌っているものがありました。そのため、このミニゲームの目標として参考になるものが早くから存在したのです。プレイヤーがどのくらい演奏したらムービーに切り替わるのか? 切り替わっていくなかで、プレイヤーの演奏にアシュリーの歌を重ねるべきか? 一歩引いて考えたとき、プレイヤーがどれだけ既定の演奏から外れれば失敗したと見なすべきか? ――その目標を達成するために、私たちは自問自答を繰り返しました。そして成功と失敗の判定を明確にするためには、コード進行の正しさは検知しつつも、弦を弾く動作はプレイヤーに任せるのが良いと考えました。こうすることで曲を認識できるものにしながら、テンポや拍子、スタイルなどの音楽的表現をプレイヤーに委ねることができます。
『Take On Me』のプロトタイプが固まると、私たちは他に必要な曲を考え始めました。Pearl Jamの『Future Days』が重要な曲になることはわかっていましたが、他の曲のアイデアもいくつか出ていました。いずれにしても、コードホイール(コードの選択肢)がたくさん必要になることはわかっていたので、今後実装する可能性のある曲をカバーするには、どれほどコードが必要なのか考え始めました。
これが、フリープレイ (練習)モードの原点になりました。このモードは意図して作り始めたものではなく、システムを複数の曲に対応した末に生まれたアイデアです。そうしてフリープレイの”沼”に足を踏み入れてしまった私たちは、プレイヤーの表現の自由度をさらに高めることを目標としました。ある程度の音楽知識を持ったプレイヤーが直感的に操作できながらも、初心者がコードホイールで適当に演奏しても良い音が出るようなコードホイールのレイアウトを目指しました。
いよいよ、アイデアを実現させるときです。ノーティードッグらしく、さまざまな部署が全力を尽くし、このミニゲームの真価を発揮させることができました。一流の役者たちによるモーションキャプチャーデータ、指の位置や弾くジェスチャーを調整したアニメーションチーム、複数のギターから録音して何百もの音を作ったサウンドチームとミュージックチーム、回転するペグや振動する弦、ユニークな仕上げのギターを制作した才能あふれるフォアグラウンド部門、多くのバグなどに対応してくれたQAチーム、これらのシーンのために空間や配置を慎重に仕上げてくれたその他のデザイナーたち、そしてもちろん、プレイヤーのミニゲーム体験をサポートするため、コードホイールやビジュアルフィードバックの作成に協力してくれたUIチームの存在も忘れてはなりません。
私たちは、このミニゲームがふたつのレベルで機能することを望んでいました。ひとつ目は、物語の出来事が感情的な重みを持ち、プレイヤーがこれらの曲を通してキャラクターや、そのつながりに共鳴することです。そしてふたつ目は、練習モードがオリジナルコンテンツとして、ゲームに収録されている曲以外の曲もカバーしてもらえるようになることです。ゲームが発売されると、私たちはまさにそれを期待してワクワクしていました! 数日のうちに、プレイヤーがゲーム内のギターで楽曲をカバーしたり、弾き語りをしたり、さらにはオリジナルの音楽を作ったりする動画がソーシャルメディア上に登場し始めました。ノーティードッグのメンバーは、自分たちのお気に入りの動画を社内で何度も送り合っていました! こういった動画を見られることが、私たち開発にとって本当に特別で幸せなことなのです。
本作のギターシステムについてさらに詳しく知りたい方は、GDCでのトーク(英語のみ)をご覧ください。それでは皆さん、これからも演奏を楽しんでくださいね!
『The Last of Us Part II』は、2022年1月4日(火)午前10時まで、PlayStation™Nowで提供中です。
The Last of Us Part II
・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アクション
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 4,290円(税込)
ダウンロード版 通常版 販売価格 4,290円(税込)
ダウンロード版 デジタルデラックス版 販売価格 5,390円(税込)
・CERO:Z(18才以上のみ対象)
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