PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『アストリア アセンディング』は、日本を代表する一流クリエイターとフランス/カナダの開発スタジオにより共同制作された王道RPGだ。
野島一成氏や崎元仁氏が開発に参加した美しく歯応えのあるRPG
本作のシナリオは「FINAL FANTASY」シリーズなどの野島一成氏、楽曲は『FINAL FANTASY TACTICS』『十三機兵防衛圏』などを手掛けた崎元仁氏が担当。海外スタジオの作品ではあるが、ファンタジー世界の壮大な物語とそれを描く美しい2Dアート、攻略しがいのある多彩なゲームシステム、さらには充実のやり込み要素までが、往年のJRPGを彷彿とさせる。もちろん日本語音声、日本語表記ともに選択可能だ。
CHECK POINT ①
絵画のようなビジュアルで描かれるデミゴッドたちの運命と犠牲の物語
本作の舞台は、いにしえより12の獣が住むといわれる世界「オルカノン」。人間にあたる「メリョ」、獣人の「アルクタン」、魚人の「ペスカ」、竜やトカゲのような「ゼフト」、翼を持つ「アウィシー」という種族が暮らしており、彼らはみな「調和の実」を食べることで争いのない世界を保っている。
この平和な世界にも問題がないわけではなく、「ノイズ」というモンスターが現れては調和を乱そうとする。そしてモンスターを駆除し、世界の調和を守るための存在が「デミゴッド」と呼ばれる8人の英雄だ。
デミゴッドの運命は、とてつもなく悲しいものだ。デミゴッドに選ばれた者たちは強大な力を得て世界を守るため戦うが、3年の任期を終えると同時に命が尽きることが決まっている。デミゴッドが死ぬと、また新たなデミゴッドが選ばれ次の3年の任期を務める。オルカノンではこれが1000年近く続いており、世界の調和はすなわちデミゴッドたちの犠牲の上に成り立っているわけだ。
本作の主人公となるのは、第333期デミゴッドの8人。メリョの女性・ウラン・メレールを隊長とする彼らの任期が残り3か月となった頃、ノイズが街の中に侵入するというこれまでにない異変が起こり、物語は動きはじめる。
ファンタジー世界で過酷な運命に導かれる英雄たち。これだけでもワクワクしてしまう舞台設定だが、演出方法もJRPG好きを唸らせるものになっている。絵画のようなグラフィックは幻想的で美しく、フィールド移動もバトルもカットシーンも徹頭徹尾、2Dアートで表現。リッチな長尺ムービーなどはないが、キャラクターの表情や仕草が丁寧に描かれているから、しっかりと物語に入り込めるし、往年のJRPGを遊んでいるような懐かしさも感じられる。
CHECK POINT ②
フォーカスポイントシステムによるスリリングで戦略的なバトル!
フィールド探索中にノイズのシンボルと接触するとバトルに突入。剣を振って接触すれば先制攻撃の発生率がアップする一方、背中から接触されると奇襲を受ける。また、フィールドギミックの操作に使う「ゾディアック・リング」のパワーを利用し、敵シンボルを凍らせてジャンプで飛び越せば戦闘を回避できるという要素もある。
戦闘システムの基本はシンプルなターン制コマンドバトル。本作はゲーム開始時点から8人の主人公がすべて仲間になっており、そのうち4人をバトルメンバーとして選ぶ。メンバーの入れ替えは戦闘中でも可能だ。
そんな本作のバトルで最も特徴的かつ重要なのがフォーカスポイント(FP)システムだ。画面右上の値がデミゴッドたちのFP、画面左上の値は敵のFPを表わしており、戦闘は敵味方双方が1FPで始まる。攻撃行動の属性がターゲットの弱点を突いた場合や、フォーカスコマンドを実行した場合はFPを増やすことができ、ためたFPを消費したときのコマンド効果をアップさせられる。1FP消費するごとに効果は50%アップ。最大の4FPを消費するコマンド効果は200%アップ!
“コマンド効果”という表現をしているのは、FPシステムの使い道が攻撃ダメージをアップさせるだけではないからだ。回復アビリティで使えば回復量がアップするし、ガードに使えば防御性能がアップする。発生させた状態異常の継続ターンを通常より多くする効果もある。
しかし、このFPは味方パーティを有利にするだけのシステムではない。敵もFPを使いこなしてくるため、手痛い攻撃を受けたり深刻な状態異常に陥ったりする場合もある。FPは弱点を突くことで増加する以外に、属性の相性によってはFPが減少してマイナスの値になることもあるので、属性相性の理解と活用は本作のバトルで非常に大切だ。
と、本作のバトルはプレイヤーの戦略と工夫が活きるシステムが用意されてはいるのだが、それだけでは勝てない、歯応えのあるボスが幾度となく行く手を阻んでくる。たとえば、開幕早々に全体状態異常にかかり、治療やメンバー入れ替えでターンを消費しているうちにジリ貧の戦いを強いられるとか。状態異常を無効化するアビリティや装備品もあるが、序盤はその準備もままならず、「使うなよ? 耐えろよ!?」といった”リアルラック”に賭けなくてはならないこともあった。これも往年のJRPGを彷彿とさせるものだった。
キャラクターを自由にカスタマイズできる育成システム
カスタマイズ性の高いキャラクター育成システムも本作の魅力のひとつ。各キャラクターの育成には「アセンションツリー」と呼ばれる成長ツリーを使う。バトルで獲得したSPを消費することで、ツリー内でつながったノードを解放し、新たなアビリティを習得したり、ステータスをアップさせたりできる。
どのルートから解放していくかはプレイヤーの自由。また、ステータスアップは「HPまたはMPの最大値」「STR、DEF、MAG、MDEFのいずれかの最大値」といったように、ひとつのノード解放でどのステータスを上げるかはプレイヤーが決める。つまり、同じキャラクターのツリーを全開放しても、プレイヤーによって成長過程も最終形もまるで異なるというわけだ。
さらに、物語の途中で「エンブレム」を手に入れると、各キャラクターの初期ジョブであるベースジョブのほかに、メインジョブ、サブジョブ、サポートジョブを取得できるようになる。新たなジョブを取得すると、それに対応するアセンションツリーが追加され、さらに多くのノードを解放可能に。
ウランの場合、ベースジョブの「隊長」は仲間を守るタンクのようなタイプだったが、メインジョブで「ガーディアン」を選べばより強固なタンク役に、「ハーネッサー」を選べばチームのステータスを高める支援役に、「黒魔術師」を選べば「隊長」とは異なる属性攻撃使いの道も歩めるようになる(見た目もそれぞれガラリと変わる)。
ベースジョブの傾向に従ってキャラクターの個性を伸ばしていくか、見た目が好みのキャラを使うけれどバトルスタイルは自分なりにカスタムするか、すべてはプレイヤー次第だ。
CHECK POINT ③
ミニゲーム「J-STER」などやり込み要素は大ボリューム!
本作はメインシナリオ以外のやり込み要素がとても豊富。街の住人から依頼を受けるサブクエストに、指定の強敵を討伐する「狩り」といったバトルに関わるものから、「J-STER」と呼ばれるこの世界独自のボードゲームまで楽しめる。
「J-STER」はキャラクターのイラストが描かれた六角形のトークンを使ったミニゲームで、街の住人の多くが対戦相手に。勝てば相手のトークンを獲得し、負けると自分のトークンを奪われるといったように、勝負を楽しむと同時にトークンの収集要素も備えている。
数字が大きいトークンを置くことで隣接する相手のトークンを自分色に変え、最終的に自分の色のトークンが多ければ勝利。ただし六角形のトークンの各辺には数字の増減に影響するマークが付いており、どの場所に、どの向きに回転させてから配置するか、先の展開を読む頭脳戦が繰り広げられる。
最初はコツがわからず苦戦したが、慣れてくるとハマりにハマる。シナリオの進行やキャラクターの育成には影響しないにも関わらず、なかなかの時間泥棒だ。
壮大なファンタジー物語を彩る細やかな2Dアート、さまざまな要素に自分の工夫を反映できるゲームシステム。王道RPGとしての面白さをしっかりと備えつつ、かつてJRPGに親しんだゲーマーには刺さる作品だ。
『アストリア アセンディング』プレイ動画
アストリア アセンディング
・発売元:3goo
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:RPG / アクション
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 5,478円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 スペシャルエディション 7,480円(税込)
ダウンロード版 販売価格 5,478円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)
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