PlayStation®VR専用タイトル『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンド クロノス)』は、国内のスタジオMyDearestが開発したVRインタラクティブストーリーアクション。同スタジオは、クオリティとボリュームを兼ね備えたVRゲームの開発に定評があり、2019年にはPS VR専用ソフトウェア『東京クロノス』で高い評価を得ている。
舞台は2280年。プレイヤーは主人公クロエとなり、探索や会話がメインの「アドベンチャーパート」、人型戦闘メカ”マキア”を操り、超巨大生物”メテオラ”と相対する「マシンアクションパート」を攻略していく。SFロボットアニメの世界に入り込んだような、胸が熱くなる展開が待っている。
亡き親友が巨大異生物に!? バトルや選択肢によって多彩に分岐するストーリー
舞台となるのは、超巨大生物メテオラの出現によって、人類が地下都市に追いやられた世界。主人公のクロエは、メテオラに対抗すべく作られた”デザインドヒューマン”であり、人型都市防衛兵器マキアのパイロットとして日々最前線で戦っている。ちなみに、このタイプのゲームには珍しく主人公は女性。VRヘッドセットを装着して視線を下に落とせば、自分が女性キャラクターになっていることを確認できるはずだ。
数年前、クロエは評議員の娘コーコの護衛を任される。車椅子の少女コーコは、本と歌を愛し、気さくで優しい性格の持ち主だ。はじめは感情が乏しく、言葉数も少ないクロエだったが、コーコと過ごすうちに少しずつ人間として成長を遂げていく。やがてふたりは”親友”になり、深い絆で結ばれることとなる。
だが2年前、コーコはメテオラに捕食され、謎の死を遂げる。それ以来、クロエはメテオラへの復讐心を胸にマキアに搭乗してきた。そんな彼女の前に、ある時コーコの姿をしたメテオラが現われて……。
……というのが、序盤のストーリー。プレイヤーはクロエになり、コーコはなぜメテオラに捕食されたのか、コーコの姿をしたメテオラは何者かを探り、この世界の謎に迫っていく。途中の行動や選択によって物語が分岐するマルチエンディングストーリーになっており、周回プレイによって初めて真実が明かされていく。
「決断補助システム リブラ」で世界の運命が変わる!
ベースとなるシステムは、プレイヤーの選択によって展開が変わるテキストアドベンチャー。通常なら画面上に選択肢が表示されるところだが、本作ではSF的な世界観にマッチしたインターフェースを採用しているのが面白い。それが、「決断補助システム リブラ」だ。
「リブラ」は、なにか決断を迫られた時、パーソナルAIが選択肢を提示するシステム。複数の選択肢がある中、どれを選ぶとどのパラメータに影響を及ぼすのかサジェストしてくれる仕組みだ。ただし、プレイヤーの現在のパラメータを確認する手段はない。「さっきの受け答えでパートナーシップのパラメータが下がったので、今回は上がるような選択肢を選んでおこう」など、プレイヤー自身であれこれ考え、判断するようになっている。
主人公=自分というVRゲームでは、一般的なテキストアドベンチャーに比べ、ひとつひとつの選択肢がずっしり重く感じられる。「私のこの判断で世界が大変なことになってしまうかも」と責任を感じ、答えを選ぶ際には真剣にならずにいられない。分岐ルートは「ARIADNE」というシステムで確認できるが、選択肢の直前でセーブしてやり直すことはできないので、ドキドキ感もひとしおだ。
さらに、このシステムはVRゲームの没入感を妨げることもない。VRゲームは主人公=プレイヤー自身の完全主観視点。そのため、実際に自分の視界に映るはずがないもの、例えば選択肢のテキストボックスのようなゲーム的なインターフェースが表示されると、没入感が薄れてしまう。だが、「リブラ」はパーソナルAIが示すARという設定なので、プレイヤーの視界に入ってもなんら不自然ではない。こうした細やかなお膳立て、世界観を引き立てる気配りが、ゲームの完成度を高めている。
巨大ロボット発進! VRならではの演出に胸が熱くなる!
先ほども述べたとおり、主人公のクロエは人型戦闘ロボットのパイロットだ。メテオラの襲来を受けると、すぐさまマキアに乗り込み、相棒ノアのサポートを受けながら最前線に向かうことになる。このバトルシーンこそ、本作の醍醐味のひとつ。ロボットアニメの主人公になったかのような熱いシーンを、自分の手で再現できる。
マキアに搭乗すると、まずノアのアシストを受けつつ機体を起動。目の前に浮かぶパネルに順にタッチしていくというシンプルな動作だが、この起動シークエンスによって「これからロボットに搭乗するんだ!」という期待感が高まっていく。さらに、ユーザー認証、機体接続などの手順を経て、自分が巨大ロボットのコックピットに着座していることを実感することができる。
眼前に立ちはだかる巨大な異生物など、コックピットから見える光景にもテンションが上がるが、バトルが始まると興奮度はさらに高まっていく。サポートキャラの無機質なアナウンス、本部からの指令、果敢に攻撃を繰り出す前衛の機体。そこからプレイヤーのターンが始まり、とどめにレーザーキャノンを一閃! ロボットアニメ好きなら、アドレナリンがあふれまくる瞬間だろう。PlayStation®Move モーションコントローラー(2本必要)にも対応しているので、戦闘シーンで使えばさらなる臨場感を味わえるはずだ。
しかも、バトルの盛り上がりに合わせて、歌が流れるのも心憎い演出だ。戦闘が佳境にさしかかり、いざとどめを刺す段になると、ロボットアニメのクライマックスのように楽曲も盛り上がり、戦いをより一層ドラマティックにしてくれる。これが実に気持ちいい。
バトルは物語を盛り上げるだけでなく、ストーリーにも大きく関わってくる。特に2周目以降は、戦闘中に取った行動がストーリーの分岐に大きく関わってくることも。バトル自体それほど発生頻度は高くなく、アクション性もそこまで高くはないが、最後まで緊張感を持って戦いに臨むことができる。
最後にひとつ強調しておきたいのが、VR酔いを極限まで低減している点だ。戦闘ではロボット操縦シーンはあっても、機体の移動はない。そのため、視点の急激な変化、ぐらつきを感じることもないはずだ。
巨大異生物と巨大ロボットがぶつかり合う! 圧巻のバトルシーン
プレイヤー自身は介入できないものの、巨大異生物と巨大ロボットなどがぶつかり合う迫力のバトルも描かれる。画面だけでは伝わりにくいかもしれないが、天を衝くような巨体が地響きを上げて戦う姿は圧巻! 上空を仰ぎ見て、口を開けたままその戦いを見守ってしまった。怪獣特撮映画の世界に入り込んだかのような、ワクワクするような体験を味わえる。
VRライブで、電脳歌姫が虚空を舞い踊る!
地下都市の希望の象徴であり、バトルをサポートしてくれるノアによるVRライブシーンも見どころだ。360°に広がるVR空間で宙を舞いながら歌う姿は、まさに電脳歌姫。こちらに近づいてきたり、2体に分かれたり、巨大化したり、VRならではの演出にも圧倒される。
歌はストーリーの根幹にもかかわっているため、楽曲のバリエーションも豊富だ。ノアが披露するVRライブに限らず、全編にわたって美しいメロディを響きわたらせている。ボーカルはR!N、ASCA、セツコ、YuNi、ウォルピスカーター、作・編曲に郡陽介、高橋邦幸(MONACA)、kz(livetune)を起用している点にも注目だ。
さまざまな思いが濃密に絡み合う、奥深い人間ドラマ
ここまでシステムやVR演出について語ってきたが、何よりも素晴らしいのはストーリー。ジャンルとしては「ロボットSF」なのだろうが、そこにさまざまな人間ドラマ、この世界をめぐる謎が複雑に絡んでいる。各ルートを体験するごとに、クロエや仲間たちの過去、上層部の思惑、コーコが遺した思いなどが紐解かれていき、この世界を生きる人々の実像がクリアに浮かび上がってくる。
中でもグッとくるのが、クロエとコーコの”友情”と言うには深すぎる関係性。モノクロの回想シーンではふたりが絆を深めていく様子が丁寧に描かれ、だからこそコーコを亡くしたクロエの喪失感が痛いほど胸に迫ってくる。手を伸ばしてきたり、顔を近づけてきたりというVRならではの演出が巧みなうえ、鬼頭明里をはじめ、奥野香耶、花守ゆみり、石川由依、速水奨といった声優陣の演技も感情移入を深めてくれる。
VRゲームというと短時間でサクッとプレイできるものが多いが、本作はボリュームもたっぷり。物語の世界にどっぷり浸り、主人公クロエの人生を追体験できる。数時間プレイしてからVRヘッドセットを外すと、異世界の長い旅から戻ってきたような気分に。ストーリー重視派のVRゲームファンには、ぜひともプレイしてほしい作品だ。
『ALTDEUS: Beyond Chronos』プレイ動画
※記事内のプレイ動画に追加シーンを加えたものです。
ALTDEUS: Beyond Chronos
・発売元:MyDearest
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:VRインタラクティブストーリーアクション
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 通常版 5,478円(税込)
パッケージ版 希望小売価格 特装版 9,878円(税込)
ダウンロード版 販売価格 5,478円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
※PlayStation VR専用
※PlayStation Move モーションコントローラー対応(2本必要)
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